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2013年12月28日

同時通訳者の悲劇ー国連総会

けして人事ではなく、誰にでも起こりうることです。最新の注意を払ってこうした事態は避けなければなりません。それが、メディアの目にも晒されており、国際的意義の高い国連会議の場で起こってしまいました。

イスラエルに関する決議を国連総会で行う場面でした…。

UN interpreter in disbelief over anti-Israel resolutions
A Spanish-English translator voices disbelief on the disproportionate number of resolutions on an open mic

スピーカーのメッセージを伝えるのが通訳者の役目です。ですが、メッセージは字面だけに現れるだけでなく語気やスピードなどにも如実に現れますから、通訳者のスタイルにもよるとは思いますが、ある一定のラインまではそこから読み取れるメッセージを解釈してアウトプットする必要が出てきます。

そんな役割において、通訳者本人の信条とするところと違う内容を通訳することには、かなりな抵抗を伴うのは事実です。かつて鳥飼先生が通訳の神様と呼ばれた國弘先生に「自分の歌が唄いたくなるよ…」とおっしゃられたのは、そういう通訳者としての葛藤を絶え間なく経験されていたから…ではなかったでしょうか。



この通訳者がやってはならない間違いを犯したのは確かです。でも、私自身もブース内で通訳の合間の休憩に、ペア通訳と寛ぎながらお喋りをしながら突然「まさかマイクONじゃないよね…!?」とヒヤッとしたことは有ります。他人ごととは思えません。

この通訳者にどういった対応(処分?)が下されるのか、気になるところです。

2013年12月20日

22. 通訳学校では教えてくれないコトー専門分野を絞る〜今昔

音楽や映画、芸能関係の通訳をしたい!という声をよく聞きます。実は先日、映画もご専門にされているある大先輩にお話を伺ったところ、そういった業界はすでにそれだけをご専門に長く活動されている方が多くおられるそうです。(つまりそれ以外の分野には全く手を出さない通訳者…ということのようです。)

一昔前の通訳が全体的に不足していた時期には、通訳者の「これがしたい!」という望みは割と難なく叶えられたようですが、現在は業界単位で目を向けると、多くの人が専門にしたいと思うような人気分野は飽和状態で入り込むのは厳しい…とのこと。この先輩通訳者も今現在の「芸能分野専門通訳のなり方」については、わからないな…と困ったような表情でらっしゃいました。

しかし、エンタメ系の一分野であるゲーム産業の通訳案件は、その産業の成長と共に一昔前に比べると格段に増えているようです。このような業界では、通訳を使う側が
ゲーム知識のある通訳にどうリーチすればよいのか知らないはずです。(一般の通訳エージェントが抱える会議通訳者でこの分野の専門…という方は非常に稀だと想像しています。実際、通訳エージェントで得意分野を聞く時に「ゲーム通訳」の選択肢を見たことが有りません。)もし、そのチャンスを捕まえたい…と思うなら、マーケティング面での個人的な戦略が必要になりそうです。

結局、先輩達の世代とは違ってやはり何が来ても一定レベルこなせる力をつけた上で専門を絞れる、つまり、エージェントに希望分野の要望を聞いてもらえるレベルに全体的な技術の底上げが必要…という事になるでしょうし、同時に自分が興味ある分野の急成長が予想されそうなら、マーケティング面でのアプローチも必須ということでしょう。

日本の通訳業界はエージェントを介したビジネスモデルが主流、或いは半ば確立していると言っていいでしょう。しかし、通訳者の絶対数が増えている今、エージェント任せでただ「育ててもらう。」という姿勢だけでは生き残れない(継続的なスキル向上の努力は大前提…)と私は強く意識しています。考えてみれば「フリーランス」ですから当然の事なのですが…。

2013年12月13日

イベント「かいま見る通訳の世界」神戸女学院大学


2014年1月13日(月・祝日)、神戸女学院大学大学院文学研究科英文学専攻では、「通訳・翻訳コース」開設10周年を記念して【かいま見る通訳の世界】と題して下記要領でイベントを開催するそうです。(詳しくは以下のリンクをご覧ください。)

http://www.kobe-c.ac.jp/files/dtl/hm_0000001270.html

ここの教員の一人は元同僚なのですが、いわゆる大学教員に時々ある実務は限られた年数…というのではなく、実務経験も長く本当に現場に出てもバリバリの実力を備えた方です。後半では逐次通訳マスター・クラスを公開とのことですので、通訳にご興味のある方は是非足を運ばれることをおすすめします。

2013年12月5日

2014年度関西大学大学院新規開設「通訳翻訳プログラム」

2014年度から関西大学大学院で新たに開設される「通訳翻訳プログラム」のお知らせです。

http://someya-net.com/ITProgram_Kansai.pdf

出願書類は下記ウェブサイトから入手可能です。

http://www.kansai-u.ac.jp/Gr_sch/guidebook.html#A13
(抜粋)…高度な学問的見識を備えた通訳 翻訳実務者の養成(高度職業人再教育)を挙げている。
関西でここまで本格的な通訳翻訳の大学院におけるプログラムははじめてでは無いでしょうか?すでに市場で実務経験のある者が対象になるとはいえ、初年度入学者の卒業後の動向が気になるところです。


2013年12月1日

21. 通訳学校では教えてくれないコトー同時通訳:入り口としてIT

私は大学卒業後にシステムエンジニアとしてメーカー系のシステムインテグレーター(いわゆるSIer)へ就職しました。その為、職歴書を見たエージェントさんが比較的IT関連のお仕事を多めに振ってくれたこともあり、フリーランス駆け出しの頃からかなりIT寄りで仕事をしてきました。振返ってみると同時通訳の経験を積むのにIT分野は(私のバックグラウンドを考慮しなくても)入り口としては入りやすい分野だったように感じています。

経験上、IT分野の通訳はちょっと損かな…と思うのは、5年前と現在ではトピックになっている末端技術や、データベースやプログラミングに関する思想がずいぶん様変わりしてる感じのあることでしょうか。刻々と進化する業界ですからそのスピードにキャッチアップしていくには、ずっとその流れを見ている必要があります。

こうした業界の文脈における概念を理解せずに「ITはカタカナだから大丈夫。」と思っているうちは「あの通訳さんはカタカナにしているだけ。」とお客様に厳しく指摘される事態も起こりかねません。(そういう通訳さんと残念ながらご一緒したことが有ります。)

一方でIT用語の多くは、日英の場合にそのまま英語読みにしてロジックを組み立てていけば何とか形にすることができるのも事実で、英日の場合でも日本語の定訳(略語・概念)を知らない場合でもそのままカタカナでの訳出で、業界の方であればほぼ理解できてしまいます。

用語そのものの音を変換する必要が無いことで、概念やロジック構築に時間を多く割くことが可能です。同時通訳に於いては一瞬の出来事ですが、この一瞬が物をいうのが同時通訳ですから。また業界的に見ても案件数はコンスタントに非常に多い印象で、同時通訳の経験を積みたい方の入り口としては比較的入りやすいかな…と思います。

ただ、ちょっと注意は必要なのは、エージェントからIT案件として出てくるものの多くは、実はIT業務案件である場合も少なくなく、ITそのものの知識よりは業務内容(物流、生産管理、業務管理 他)について精通していることを求められることも少なく有りません。その場合に求められるITの知識はそれほど高次の物ではないので、いかにお客様業務の飲み込みが速いか、事前に一般的な業務手順を知っているか、ということが鍵になります。

結局、何にしても全体的な底上げは必要ということには変わりない…ということになりますね。

2013年11月13日

2013年度 映画英語教育学会(ATEM)西日本支部 第11回大会

広島でこんな学会が開かれるようです。

私は残念ながら同日に開催のInterpretJAPAN2013へ出席のため、こちらへは参加できません。ですが、地方在住者にもこうした興味深い学会に出席できるチャンスがあるんですね。

「映画英語教育」と何だか固い名前がついていますが、プログラムを見ると英語学習者が映画を利用して効率的に学ぶことのヒントが得られそうです。

ただいつも思うのですが、こうした学会関係者は実務関係者とはかなり距離が有りますよね…。JATでもJATENT(エンタ)というグループが新たに立ち上がり、字幕や映画翻訳を専門とする翻訳者が集まって活動を始めましたが、彼らもこの学会については知らないだろうし、学会の先生方も日々字幕翻訳を手がけている翻訳者にはコンタクトが無いのではないでしょうか?(私が知らないだけかな?)

「英語教育」という切り口が、「翻訳」とはかなり違うようにも思われます。しかし、映画の文化的背景に深く根ざした側面は、英語教育でも重要な部分を占めるでしょうし、日々海外の映画・メディアに接する翻訳者から情報を得ることができれば、新たな視点を得られるかも知れません。

逆に、広く字幕や映画を考察した研究者から新たな視点を得て、映画の時代背景や想定されるオーディエンスに向けて新しいスタイルに翻訳者がチャレンジする…ということも出てくるかもしれません。

通訳業界もそうですが、実務者と研究者の交流はもっと盛んになればいいな、と思います。(プログラムURL> http://www.atem.org/kansai/document/2013ATEMN11_Program.pdf)


映画英語教育学会(ATEM)
URL:http://www.atem.org/new/index.php

2013年11月4日

医療通訳ー講演会ワークショップ他(多文化共生きょうと)

先日、明海大学浦安キャンパスで開催されたイベントでも鳥飼先生が話しておられましたが、必ずしも移民大国でない日本にも、観光目的以外の外国人の流入が拡大しています。それにともない「コミュニティー通訳の需要はこれから先も増え続ける」ことはどうやら間違いなさそうです。その中でも特に需要が増えるだろうと言われていたのが、医療通訳でした。

そんな中先日、多文化共生センターきょうとさんから下記のような講演会、ワークショップの案内を頂きました。日本でも、神奈川、京都、神戸にはこうしたコミュニティー通訳への取り組みは進んでおり、その意味でも充実した内容を期待できると思います。

あの、「医療通訳基準」を策定した第3回から3年半、
12月15日(日)第4回医療通訳を考える全国実践者会議を再び京都で開催します!今回は、国内外から医療通訳の現場で活躍する多彩なゲストをお招きし、
色々な視点から医療通訳について考える1日にしたいと思っています。

前日14日には、センター・京都市・京都市国際交流協会の恊働で行っている京都市医療通訳派遣事業が始まってから今年で10年を記念し、記念フォーラムを開催します。
寒い時期ではありますが、ぜひ2日間おこしいただければ幸いです。

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第4回医療通訳を考える全国実践者会議「医療通訳の現在・未来を考える」
詳細:http://www.tabunkakyoto.org
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医 療通訳を考える全国会議では、医療現場におけることばの問題に取り組んでいる行政、国際交流協会、NPO、医療関係者、通訳者などが集まり、医療通訳にお
ける課題の共有や解決に向けた議論を行ってきました。第4回「医療通訳を考える全国実践者会議」では、医療通訳や
外国人医療に関わる国内外の注目すべき潮流やテーマについて取り上げます。医療通訳の今、そして未来について考えていきたいと思います。

日時:2013年12月15日(日)
時間:10:00~17:30(受付開始時間 9:30〜)
場所:関西医科大学枚方学舎(大阪府枚方市新町二丁目5番1号)
参加費:2,500円(資料代込み)*当日受付にてお支払いください
主催:特定非営利活動法人 多文化共生センターきょうと
関西医科大学 医学部公衆衛生学講座
申し込み方法:インターネットのフォームからお申し込みください

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全体会 10:00~12:00
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「移民国家における通訳認定の取り組みから学ぶ
-移民国家はいかに通訳認定制度をつくったか?-」

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分科会 13:00~15:00
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・医療通訳分科会「医療通訳の質を考える」

・医療分科会「多様化する医療の現状と展望」

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医療通訳に関する3つテーマについての
ワークショップもそれぞれ開催します 15:30~17:30
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workshop1「医療通訳制度を創るには?」
-如何にしてつながる(連携)・育てる(育成)・制度化するか-
workshop2「本音で語り合おう私たち(通訳)のこと」
workshop3「医療従事者に求められる異文化間能力とは?」

※各ワークショップには対象・募集定員を設けているものもあります。参加希望の場合はご確認の上お申し込みください。


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京都市医療通訳派遣事業10周年記念フォーラム
詳細:http://www.tabunkakyoto.org
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京都市医療通訳派遣事業は、2003年の事業開始より10年を迎えました。本フォーラムでは、事業運営者、医療通訳者、患者、医療従事者等の視点からこれまでの歩みを振り返るとともに、次の10年の医療通訳の未来について語り合いたいと思います。

日時:2013年12月14日(土)
時間:13:30~17:00(受付開始時間 13:00〜)
場所:京都市国際交流会館(京都市左京区粟田口鳥居町2番地の1)
http://www.kcif.or.jp/HP/rental/map/jp/access.html
参加費:無料

■鼎談「医療通訳事業の10年を振り返って」
■医療通訳事業を利用者の視点から語る
■表彰式 16:45~

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特活)多文化共生センターきょうと

京都市下京区五条通高倉角堺町21
jimukino-ueda bldg.206
TEL 075-353-7205(月~金 10:00-18:00)
FAX  075-353-7206
E-mail: info@tabunka-kyoto.org
URL: http://www.tabunkakyoto.org
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2013年10月20日

ゲーマーを意識した翻訳、乙。

『グランド・セフト・オート5』の和訳スラングが面白い「乙」に「ワロタ」など

日本で10月10日に発売された『グランド・セフト・オート5(以外、GTA5)』だが、世界的にも次々と記録を塗り替えて話題となっている。

(中略)

とある『ブリッター』という『GTA5』の架空のSNSでのやりとりでネットの相手に「クソによるクソカキコ乙」「お前の赤ちゃんブサイクすぎワロタ」と発言していたと父親に報告しているシーンだ。これらのやりとりがエスカレートしてとんでもない事件に巻き込まれたのであったが……。

膨大なテキストを直訳せずにその国にあったアレンジを加えるという素晴らしい作業。昨今日本語に有料パッチを出す日本のメーカーもあるが、是非見習って欲しいものだ。
言葉が時代と共に変化し…というのは当たり前ながら、同時代にあってもある一定のコミュニティー内で使われる言葉というのは存在するものです。そういった言葉はやがてコミュニティーを飛び出し一般スラングとして使われるようになることもあるため、侮れません。例えば、その昔「デフォルト」や「〜フラグ」などはごく一部のITに詳しい人達の言葉でしたが、今は一般の会話にも随分浸透している気がします。

ですが、逆にコミュニティー内でなじまれている言葉を使わないと、その場のニュアンスを微妙に表現しきれない場面もあります。翻訳の際にそれらのコミュニティー用語を知っておくと、読み手に与える印象が大きく違ってきます。場合によっては、知らないが為に別の言葉を使い説明したものの、結局ニュアンスが正しく伝えられなければ誤訳と判断されてしまうレベルの物もあるかもしれません。

にしてもこのゲーム(私はゲームはしないのですが)…やってる人は二重に楽しいに違いないでしょうね。翻訳者グッジョブ(笑)!

2013年10月19日

ヒロシマの通訳者

谷本清平和賞:平和のためのヒロシマ通訳者グループ、代表の小倉さんに 市民の願い、世界に届ける /広島
毎日新聞 2013年10月19日 地方版

 公益財団法人、ヒロシマ・ピース・センターは16日、世界平和の実現のために寄与した個人・団体を顕彰する第25回谷本清平和賞を「平和のためのヒロシマ通訳者グループ」代表の小倉桂子さん(76)に贈ると発表した。贈呈式は中区の広島工業大で11月17日、留学生による世界平和弁論大会と共に開催する。
この小倉桂子さんの活動を取材したドキュメンタリーの翻訳に関わったことが有ります。彼女は広島では「平和のための広島通訳者グループ」の代表として有名な方です。

最初はヒロシマの語り部達の通訳として活動しておられました。自分も被爆者でらっしゃるために、被爆者の口から語られる被爆体験は彼女自身にも当時を思い出させ非常につらい思いをされたそうです。ですが、語り部たちが勇気をもって語るその姿を見て、後世に伝えることの大切さを身を以て知ったとおっしゃっていたのが印象的でした。その後、ご自身も英語で語る「語り部」となられています。

特に海外経験が長いわけでもなく、こうした英語通訳の活動をはじめられたのは40歳を過ぎてからの事とお聞きしました。「本当はあまり英語は上手くなくて恥ずかしかった。」とされながらも「伝えたい」という思いにつき動かされて英語や通訳の勉強をされて活動をされたことには、頭が下がります。

「平和のためのヒロシマ通訳者グループ」(HIP)のウェブサイトはコチラ
HIPが中心になって作っている出版物(特に「ヒロシマ辞典」)は、ヒロシマを翻訳するときには欠かせない重要な資料です。

2013年10月18日

「人の言葉」を訳すということ(通訳の二次利用)

以前、通訳批判の在り方 - ダライ・ラマ法王会見という記事を書いたことが有ります。この記事へのアクセスは比較的年間一定しており、通訳批判のあり方について、またダライ・ラマ法王のような権威のある方の通訳あるいは通訳者について一般的に興味が高いのだな…と個人的に感じていました。

そんな中、最近ダライ・ラマ方法のチベット語英語の通訳者を長く務めておられる方のニュースが掲載されていたので、興味深く読みました。全文は長いので部分的に抜粋しますが、全文はリンクからご覧ください。
By Jon Letman Posted: 10/18/2013 5:47 pm EDT | Updated: 10/18/2013 5:47 pm EDT

その中でやはり印象的だったのは、法王の言葉を語る事に伴う重責と、言葉を理解して訳出するために求められる知識量でした。この通訳者Mr. Dorjeeは法王との共著も出版するほど法王のメッセージには精通しておられます。しかし、その彼でさえ最初の通訳の場面は、法王に通訳の間違いを指摘され、重責のあまり緊張で
押し黙ってしまったとか…。

スピーカーが通訳者の訳出言語(この場合英語)に慣れているというのは、通訳者にしてはそれだけでも大きなプレッシャーです。でも、そうしたプレッシャーにさらされながら大きなミスをした通訳に、次からもオファーがあったのは何故でしょうか?
“As a Tibetan, the Dalai Lama is everything to us," he says. He is a human but also a divine being and so we put him on a pedestal. I couldn't imagine being in his presence but I was asked to translate. It was the first time and I got nervous.”

Dorjee had made a mistake to which the Dalai Lama responded with a firm "No."

“I was so scared, I had a blackout,” Dorjee says. “When I regained my senses I realized that His Holiness was speaking in English and I thought, 'Well, that was the first and last chance for me. No one will call me back.'”

But they did call back, repeatedly. By working closely with the Dalai Lama again and again, Dorjee says he was able to develop a relationship that allowed him to better understand the Dalai Lama’s way of thinking and gradually he grew more confident.
もしかすると、当初はただ単に渡米の際にチベット語英語通訳に他に適当な人がいなかった…だけかも知れません。でも、そうした偶然を大切にして法王との関係を構築し、法王の考え方をより深めることで自分の通訳に自信を持てるようになった…というのはなんとも心強い話だと思いました。

前回は、通訳批判のあり方について「いつも担当しない通訳が自分の知識を総動員し、発言を瞬時に判断して訳出したものが、いつも担当する通訳のパフォーマンスと比べて批判されるのはフェアでない。」と書きました。これが、今回のMr. Dorjee氏の発言にしっかり裏付けられていると思います。

誰か「人の言葉」を訳すという行為はそれだけ深い行為だ、といえるかもしれません。

話は少しそれますが、通訳の二次利用についてご存知でしょうか?通常、私達が会議通訳で呼ばれて行う同時通訳ですが、主催者側の都合で録音を取ることが有ります。ですが、特に事前の契約のない限り、これを公開目的で利用することはありません。なぜならば、
その現場でしか得られないコンテクストの多くが削ぎ落とされた形でしかまとめられないことが多く、さらに事前のスクリプトなくその場ではじめて行われる発言につけられるベストエフォートの通訳パフォーマンスは、何度も繰り返し再生して行う検証に耐えるパフォーマンスであることは稀だからです。

ところが、時々これをご存じない業者がこれ幸いと動画に音声をのせて流すことがあります。実際に私もこの二次利用について主催者と揉めたことが有りました。説明してもなかなか分かってもらえない、難しい問題の一つです。

2013年10月17日

GoogleのNgram Viwer

GoogleのNgram Viwerご存知だったでしょうか?

Google Updates Ngram Viewer With Improved Search Tools

言葉は時代と共に変化するというのは周知の事実ですが、時代と共にどのように変化してきたのかを確認することができるのがこの、GoogleのNgramViwerです。この機能に新機能が加わり、さらに使いやすくなったというニュースです。

実は今までGoogleNgramについて知ってはいたものの、翻訳する場面で特に役立てようと使ったことは有りませんでした。でも、とにかく使ってみました。

接続副詞として「さらに」「加えて」の意味で使われる語を幾つかランダムに投入してみました。文頭に来る場合に限定し、最初の文字は大文字で検索。通常、書き言葉での頻出語としてはFurthermore、Moreoverが一般的だとされています。ところが…


個人的にIn additionはより口語的で、字数の面から考えても不利だと思っていたのですが、近現代以降は圧倒的にIn additionが群を抜くようになっています。一方、19世紀には圧倒的だったBesidesは近現代に入るとFurthermore、Moreoverにさえ譲る形で使用頻度が低下しているのが分かります。

使用語彙や表現には時代の流れだけでなく地域的な特色もあるでしょうし、その時々の時代背景を考えて読み解くことが必要になってくるとは思われます。しかし、それにしても書き言葉の適切性の指標としては大いに役に立ちそうです。

2013年10月7日

明海大学「通訳と翻訳の世界」イベント

明海大学(学長:安井利一)では、10月19日(土)に浦安キャンパスで「通訳と翻訳の世界」をテーマに公開講座を開催する。当日は、立教大学特任教授で国立国語研究所客員教授の鳥飼玖美子氏による「通訳者の役割 -透明な存在か、文化の仲介か」、株式会社静山社会長・翻訳家で「ハリー・ポッター」の翻訳者としても名高い松岡ハリス 佑子氏による「言葉の魔法 -ハリー・ポッターの翻訳者として」と題した講演、また同大外国語学部英米語学科教授・山岸勝榮氏および同学科准教授・小林裕子氏をまじえたパネルディスカッションを行う。受講料無料、要事前申し込み。
宮原はこれに行きます!鳥飼先生には随分長いことお会いしたいと考えていましたがなかなかその機会を得られませんでした。やっとやっと…!という気持ちです。若い子がアイドル芸能人のコンサートに行く時にはこんな気持なのでしょうか(笑)。 春に上梓されたご著書「戦後史の中の英語と私」を持参して、サインしていただこうと思います。



そして、鳥飼先生のみならず通訳者としても以前はご活躍されていた松岡佑子さんのご講演もとても楽しみです。通訳だけでなく、翻訳を同じステージ上で語るイベントというのは近年かなり珍しいのでは無いでしょうか?お席にはまだ多少余裕もあるようですので、ご興味のある方は是非足を運んで見て下さい。会場でお会いしましょう!

2013年9月30日

20. 通訳学校では教えてくれないコト -フリーランス前夜(後編)

時刻は午前五時をまわり、残すところ三十分。十五分交代で回ってきた私の最後の出番。会議もまとめの段階に入り、今後フォローすべき点を地域別に確認していく。全て確認し終わったところで私の持ち時間が終わり、パートナーに交代。パートナーは議長のまとめと次回会議予定を淡々と通訳して、四時間に及んだ会議が終了した。業界における提携の構図が大きく変わりつつあった当時、この会議の成果がその後の社の方向性を決める重要なインプットになったように思う。皮肉にもそうした大きな変化の流れにのまれ、私は派遣期間満了の雇い止めとなった。

ブースを出ようと立ち上がった時に自然と涙が溢れた。もう同通ブースには一生入れないかも…通訳のチャンスすら巡ってこないかもしれない。ごく限られた通訳需要しかない広島を出るわけにはいかず、先が全く見えなかったからだ。でも、楽しかった。通訳が好きだった。事情を知る顔見知りの管理職の方は、どう声をかけていいかわからない様子だった。その後「失礼します。」とだけ言って会議室を後にした私だったが、今伝えたい。

「大好きな通訳を今も頑張っています!」と。

2013年9月28日

20. 通訳学校では教えてくれないコト -フリーランス前夜(前編)-

派遣期間もあと二日となった深夜二時、通い慣れた管理職用の会議室の同時通訳ブースに私は座っていた。世界の拠点を繋いで午前六時までの予定で開かれた、この会社で最後の管理職会議だった。長引く円高不況に苦しむ自動車業界へリーマン・ショックが追い打ちをかけ、業界再編が目まぐるしく進む中、今後のグローバル戦略を多角的に探っていこうとするトップ会談だった。

各地域の現状、これまでの傾向、今後予想される展開が次々と報告されていく。社内で関わった多くの部門の方から仕入れ親しんだ情報から、機密情報まで…慎重な訳出が求められる場面が続いた。しかし、業界の最先端を行くトピックを通訳していることに、私は静かに興奮していた。

地元企業で四年半に渡り通訳職を得られた事は、私にとって代えがたい経験だった。思えば入社直後は、同時通訳ブースに入るだけで緊張で声が上ずり、惨憺たるパフォーマンスだった。辛抱して育つのを待ってくれた上司、励ましてくれた先輩。そして未熟な通訳にも「助かりました。ありがとう。」と言葉をかけてくれた社員の方々。だからこそ、自分の出来に満足が行かない…と素直に反省することができた。「次は少しでも上手く…」と、早朝や深夜の会議も進んで引き受けた。

2013年9月25日

JAT新人翻訳コンテスト

今年も日本翻訳者協会(JAT)による新人翻訳コンテストが開催される事になりました。このコンテストは今年で10回目となります。本コンテストの運営は全てボランティアによるものですが、ボランティアにも関わらず多くの審査員メンバーが毎年継続してこの新人翻訳コンテストの運営に積極的に参加してくださっています。

今年は参加資格が例年とは少し異なるようで「過去の応募者も入賞者以外は応募可」となっていますので、昨年実力を出し切れなかった…という方もチャンス!です。
JAT新人翻訳コンテスト 開催概要

主催   NPO法人 日本翻訳者協会(JAT)
目的   優秀な新人実務翻訳者の発掘と奨励
応募資格  実務翻訳(放送・映像翻訳も含む)経験3年未満の方(JAT会員・非会員は問いません。過去のコンテストに応募した方も入賞者以外は応募可とします。)
応募部門 英日翻訳部門、日英翻訳部門
応募料 なし

開催スケジュール
2013年10月1日(火) 
本サイトに英日・日英両部門の課題文およびコンテストの実施要綱を掲載
2013年10月31日(木) 日本時間24:00
最終訳文提出締切 (今回は人数制限はありません)
2013年12月下旬     
最終選考進出者5名を本サイトで発表
2014年 2月上旬      
受賞者を本サイトで発表(受賞者には直接連絡)
2014年6月21日(土)~22日(日) 
受賞者をIJET-25に招待し、授賞式

InterpretJAPAN2013

日本翻訳者協会(JAT)の通訳者グループイベントとして、InterpretJAPAN2013が開催されることになりました。これまでに行った通訳グループの小さなイベントから一歩前に進めた、もう少し本格的な通訳者イベントになっています。

午前は基調講演で、オバマ大統領の就任演説を同時通訳された野口由紀子さんにお願いしています。また、分科会ではデポジション通訳、IR通訳などの特定分野に焦点を絞った講演から、ビジネス通訳一般について広く翻訳者へも参考になる形での講演、そして現役通訳者によるパネルディスカッションが予定されています。ふるってご参加下さい。

事前申し込みをお忘れなく!

InterpretJAPAN2013
イベント概要

開催日:2013年11月23日(土)
時間:10:00~16:20
開場:9:30   開演:10:00
会場:アルカディア市ヶ谷 
所在地: 〒102-0073 東京都千代田区九段北4-2-25
参加費:JAT会員・・・3,000円 / 非会員・・・5,000円(要事前申込)
振込期限:11月20日(水)

※キャンセルの連絡は11月8日(金)までに通訳グループにお願いします。なお、返金額からは振込手数料を差し引かせていただきます。ご了承ください。
交流会:TBA (こちらで順次アナウンス致します。)
問い合わせ:通訳グループ(jatinterp@jat.org)

2013年9月24日

エンタメ翻訳

イカロス出版による「通訳・翻訳ジャーナル」に連載されていた字幕翻訳者の太田直子さんの記事がこのほど書籍として出版されました。「字幕屋に「、」はない (字幕はウラがおもしろい)」です。まだ手元に届いていなかったのですが、丁度私のFBに流れてきた情報から、その太田直子さんがラジオ番組に出演されることを知りました。

その日は9時から客先でしたが、8:35-9:00までのJWAVEのラジオ番組「別所哲也のJ-WAVE TOKYO MORNING RADIO」を通勤途中にradikoで視聴することができました。(便利な時代になったもんです…笑)

面白いな…と思ったのは、音声でメッセージが流れてくることにより、文字で誰かの文章を読む時とはちがった印象を受けたことです。通訳・翻訳ジャーナルの連載は時々拝見していたので彼女の書く文章は目にしていましたが、こうして声を聞くと当たり前なのですがより人物に立体感が生まれる気がしました。

そんなことを考えながらふと彼女が専門としている「字幕翻訳」を考える時、いわゆる文字ベースで作業の行われる「翻訳」とはまた違った新しい分野の翻訳であることをハッキリ認識したのです。

音声や動画が伴うという側面でとらえると、今急速に需要が伸びており、目指す翻訳者も増えていると聞く「ゲーム翻訳」も文字ベースの「翻訳」とは違う、この新しい分野の翻訳といえるのかもしれません。(というか、知ってはいても私がハッキリ分かる形で認識していなかっただけなのですが…汗)

私自身の経験では、以前に故新藤兼人監督を紹介する「百年の軌跡」プロジェクト短いビデオに字幕をつける仕事のお手伝いをしたことが有ります。本人の声、出演者の声、そして間によって語られる「場面」を丁寧に解釈していく仕事は翻訳で有りながら「通訳の側面も随分ある。」「文字ベースの翻訳とはまた違った醍醐味だ。」と感じたのを思い出しました。

JAT(日本翻訳者協会)でも、今月初めに9月1日(日)にJATENT(JATエンタ)グループが、同グループのキックオフイベントとして「字幕翻訳/吹き替え翻訳/ゲーム翻訳比較パネル ~似ているようで、別世界~ (日本語セッション)」を開催しています。残念ながら私は出席することが出来なかったのですが、告知期間が短かったのにもかかわらず大盛況でした。

また、字幕翻訳者によるこんなサイトも新しく立ち上がったようです。

このエンタメ翻訳、ちょっとこれから面白い事になってきそうです。

2013年9月1日

「通訳という仕事」 原不二子 著

先日の、鳥飼先生の「通訳者と戦後日米外交」でも書いた流れで、私が興味をもって以前から拝見している通訳者の一人が原不二子さんです。相馬雪香さんの娘さんにして、元首相のお孫さんでらっしゃいます。

これより後に発行された「通訳ブースから見る世界」(2004出版)は読んでいたのですが、知り合いの通訳さんの紹介でこの著書を最近知りました。

「通訳ブース…」の方は、通訳を単なる職業として捉えるのでなく、使命感をもってコーリング(天職)として勤める先生の真摯な姿勢が語られており、ちょっと固い内容でした。ですが、こちらは通訳を目指す人向けに、原先生が考える通訳としての心構えや、ご自身がキャリアの中で体験された事を語られており、大変読みやすい内容です。ご高名な通訳者であっても、一人の女性としてキャリアを積み重ねられる中で大変な努力をされた方であるということも
垣間見せて頂けたご著書でした。

自伝的な内容で語られた通訳者の本も多い中、原先生のこの本に関してはそういう部分は最小限にとどめ、一般的に通訳とはどういう職業か?通訳としての心構えは?ということに焦点を絞って書かれています。通訳を将来の自分の職業選択肢の一つとして考えている人にはオススメの一冊です。

余談ですが、先日実際に原先生には直接お会いするチャンスが有りました。第一印象はお若い!ということ。通訳者は人の言葉を伝えるのが職業な訳ですが、自らが社会問題に対して問題意識を常に持ってお仕事にのぞまれている様子には感銘を受けました。そういう姿勢こそが、若さの秘訣…なのかもしれません。私も枯れてる場合じゃない…(笑)

2013年8月25日

「通訳者と戦後日本史外交」 鳥飼玖美子 著

私自身が英語・通訳の勉強をする中で楽しいと感じることの一つに、解釈する人・表現する人によって言葉がより生き生きとしてくることを発見することに有ります。通訳が技術的に上手い人というのは多くいらっしゃいますが、現場でそういう人とご一緒するとその人の事をもっと知りたくなるのは、私だけでしょうか?


そういう興味は、日本で日英・英日通訳者として戦後の一時代を築いてこられた功績のある通訳者や、現在トップを走る通訳者に対しても例外ではなく、彼らに関する著書やニュースを見かけると嬉しくなってしまいます。

にも関わらず、ちょっと分厚いから読む時間が…と後回しにしていた本がこれでした(反省)。「通訳者と戦後日米外交」鳥飼玖美子 著

もともと鳥飼先生の博士論文を一般向けに構成しなおしたもので、戦後の著名な通訳者達(西山千氏、小松達也氏、相馬雪香氏、國弘正雄氏、村松増美氏)へのインタビューを基に、彼らが通訳として活動することになった経緯や、それぞれの通訳の役割についての考え方を比較対照する形で紹介したものです。

戦後という時代背景がそこには大きく影響していることで、現代の通訳者がたどる典型的なキャリアとは全くちがう体験が語られています。しかし、それでも通訳技術や独自の通訳感を彼らがその時代そして通訳現場を通して形成していく様子に、とても引きこまれました。

これを読んで自分を振り返ってしまうとあまりの怠惰に凹みそうにもなりますが、共感できたり引きこまれて読み進めた自分がいたという事実で、自分はこの仕事が好きなのだ…と改めて確認することができた気がします。

神様と評されるような彼らであっても、激動の時代に生きた人間味あふれる通訳者であったことを垣間見ることができたことが、私にとっては収穫でした。どのように読まれるかはみなさん次第ですが…

2013年8月20日

「英語で伝えるオジサン的ビジネス表現」鶴田知佳子 著

最近、ひょんなことから東京外国語大学で教鞭をとられている鶴田知佳子先生とメールのやり取りをすることが有りました。

先生のご著書は、著名人のスピーチを集めた「リーダーの英語」をはじめ、世界経済フォーラム(ダボス会議)を取り上げた著書まで発刊される度に必ず購入していますが、その中でも私のお気に入りは「英語で伝えるオジサン的ビジネス表現」です。そのことをご本人に伝えたところ、「実は自分も特に思い入れを持って書いた本だけれども売上が今ひとつ…。」とおっしゃられ、とても意外でした。おもしろいのに!なぜ!?…という感じです。

表題の通り、オジサン的表現をどう通訳するか?という問題に応えてくれる本です。しかし、世のオジサマ達はここにあげられている例にとどまらず日々「オジサン的表現」を自由に創造してくれるわけで…(笑)。そういう意味ではその全てには応えきれているわけではありません。しかし「文脈の中にあるメッセージはこんな風に考え工夫して発信すればいい」というプロセスを、様々なオジサン的表現をもとに解説してくれています。

常々「通訳とはメッセージを発信するもの」「言葉に近づき過ぎないで、スピーカーの意図をつかむ」と頭では考えてわかっているつもりだったもののピンとこないでいた社内通訳当時、大いに目から鱗だったことを思い出します。


ここにあげられている具体例を現場で使ってオーディエンスの反応を確かめるのも楽しかったですし、自分が出会った「オジサン的表現」を自分なりに工夫することに密かな楽しみを見出したりしていました。

先日、通訳学校の生徒さんにも本を持参して実物を見せて紹介したのですが、写真をとったりメモをとって帰るなど皆さん興味を持ってくれたようです。


私は社内通訳当時、会社のデスクに侍らせて、疲れた時や、息抜きしたい時の読み物としても読んでいました。今でも「そういえばこの『オジサン的表現』あの本に!」と思い出して、時々開くことが有ります。

2013年8月15日

セキュリティ・信用の考え方

日本企業の社外秘資料大量流出=中国の文書共有サイトに-大手軒並み被害
【北京時事】文書・資料やデータをインターネット上で共有できる中国の有力サイト「百度文庫」に日本企業の社外秘資料や内部文書が1、2年前から大量流出し、誰でも見られる状態になっていることが7日分かった。情報流出問題を調査し、日本企業の対応にも当たる分部悠介弁護士(上海駐在)によると、大手メーカーの特許出願前の技術資料や、日本の広告会社の顧客向けプロジェクト提案資料なども流出したことがあるという。
時事ドットコム(2013/08/07-14:29)
翻訳会社あるいはエンドクライアントと直に契約する場合でも、NDA(Non-Disclosure Agreement)にサインするよう依頼されるのは当たり前のことになりました。いわゆる守秘義務契約書です。頂いたデータは外部に漏れないように細心の注意を払います。ですが、今回の百度文庫への企業の機密文書の漏洩状況をみていると、そういった「守秘義務などお構いなしの第三者」が加担している場合がほとんどの様に想像されます。

翻訳業界の値崩れ傾向の裏には、LCC(Low Cost Countries)にアウトソーシングされているという大きな流れが有ります。日英翻訳で一文字一円‥という信じられないレートを耳にすることもあります。私の知るある翻訳会社社長は「現地人員でも教育次第で使えるクオリティーの翻訳が可能になる!」と豪語し、某東南アジアの国に事務所を構えて「これからはアウトソーシング!」と意気揚々とされていました。

このように、これまでは翻訳者の顔が全く見えなくても(翻訳者が顔を見せなくても)品質が担保されさえすれば、取引には問題がないと見なされていましたが、将来的には翻訳の品質と同様に「信用」をお客様に頂くことができなければ「いい仕事」を頂く事も難しくなるのではないでしょうか。大手が大量受注で利益を出す中、弱肉強食の様相を市場が呈する状況下では、中小の翻訳会社が堅実にビジネスを進めていくにはこうした「信用」「顔が見える翻訳会社・翻訳者」というのが一層お客様にアピールするようになるような気がします。

一方で、大量受注できる足回りの軽さを中小企業でもシステマティックに実現していくため、知恵を絞っていくことも考えてみたい‥と思っています。

2013年8月11日

Translators Are Waste of Space....




最初は「なにコレ!‥‥」

ですが、スクリーンがさかのぼり始めた瞬間すばらしさに息を呑みました。
素晴らしい!!
ブラボー!

2013年8月7日

法廷通訳人制度のゆくえ

連日、法廷通訳関係でニュースが流れています。以前、静岡県立大学の高畑先生より依頼を受けて、法廷通訳経験者にこのブログでもアンケートに答えて頂けるようご案内した件に関連するものです。

法廷通訳、裁判員導入で負担増 公正な裁判に支障も
河北新報社 2013年08月04日日曜日

アンケート内容に上がっている声については法廷通訳の間では、裁判員制度導入前から予想されたものでしたが、初めてデータとして結果をまとめられて客観性を実証したことは意義があったと思います。

一方で、翌日のニュースでは

法廷通訳人の資格制度提案
共同通信 2013年 08月 5日 16:58 JST

日弁連が法廷通訳人に資格制度を求めるよう、意見書を最高裁に提出したとのこと。

現場の通訳人の声がどのように届いてるのか、はかりかねます。また、弁護士会は現場に近いところにいながらこういった提案をしているわけですが、言語によっては十分な技能を備えた通訳者が足りていない現状をどう理解しているのでしょうか?また、数では問題ない日英通訳でも、地方都市部では法廷通訳人をめぐる事情は随分と違います。第三者機関に‥との記述も見られますが、これについてもすでに心当たりがありながら発言しているのかも知れません。しかし、この第三者機関が妥当な機関どうか、一体誰がどういった観点から確認していくことになるのか‥。多くの疑問が残ります。

流れとして一見間違っていないようにも見えますが、個人的にその前にやるべきことがもっとあるのでは‥?という気がしてなりません。

2013年8月6日

Language is ...


先日、日本でも高名な会議通訳者にお話を伺いました。お年を召されてもなお社会問題に対する意識も高く、通訳という職業を与えられた天職としてお仕事を実践されている方です。その方のお話を聞く中で出てきた言葉がとても印象に残りました。

Language is not just language.
It's your face.
It's your body.
It's your aura

何でもないビジネスミーティングでも、こういうこと忘れずに言葉をつないでいけるといいな‥と思いました。相当難しいことではありますが‥。

2013年7月8日

第3回JAT通訳グループワークショップ

第3回JAT通訳グループワークショップを開催します。これまでの講演ベースと違い、今回は初めてのワークショップです。1グループ8名程度が、3つテーマのワークショップを交代で行います。逐次通訳のワークショップが2つ、そして「こんな時どうする?」的な通訳倫理に関するワークショップ1つを用意しています。

これまで数名の方から「プロの方々ばかりではついていけないと思うのですが‥」というお問い合わせを頂いています。対象はまだ現場に出てない方から、プロでお仕事をされている方まで、実は限定していません。でも、今回はワークショップだからこそ独学や現場ではじっくり出きない「人のパフォーマンスから学ぶ」ことが出きます。レベルの如何を問わず実りはあるはず。

Q&Aも比較的長時間設けていますので、ざっくばらんにいろいろな質問にこたえて行きたいと考えています。楽しいイベントになること請け合いです!


第3回JAT通訳グループワークショップ

日時:8月3日(土) 13:00-17:00
場所:渋谷FORUM8
お申込み
http://jat.org/ja/events/show/3rd_jat_interpreters_group_workshop

2013年6月16日

ご相談を受けました「フリーランスになりたいのですが…」 その2

前回からの続き…

また、フリーランスとして働くことに興味を持たれて通訳を志しておられると言うことですが、数あるフリーランスの職業のなかでなぜ通訳を選ばれるのかを考えて見られることも必要じゃないでしょうか?

フリーランスを目指すにあたって…ということで、メッセージを頂いたわけですが、私は「フリーランスを目指して」フリーランスになったのではありません。勤めていた会社からお暇を出されたために、はからずもフリーランスになった…という言ってみれば情けない経緯です。

ですが「通訳の仕事をどうしても辞めたくなかった。通訳することが好きで、楽しくて仕方がなかった。」から何とかして続けられる道を模索していたらそれがフリーランスという形だったということです。

単に仕事を生活の糧と割切るのではなく「とてもやりがいがあり楽しく感じる」ことが、鈴木さんにとって重要な事であるなら、自分がなぜ通訳になりたいのかをじっくり考えてみられたらどうでしょうか?考えるだけでは分かりにくいと思うので、ボランティアスタッフなどで簡単な英会話を伴う仕事を余暇に引受けてみるとか…。それだけでも随分雰囲気がつかめると思います。

それに、フリーランス通訳への典型的な道のりの途中には「インハウス通訳」がつきものです。あくまで「典型的な」ですが、ここで獲得できる知識や学習できる技術には代え難いものがあります。

勉強の道のりは長いと思います。もし「フリーランス通訳」を目指されるのであれば、あまり今の段階から「フリーランス」を意識しなくても、そこを目指すキャリアパスのなかから自ずと「フリーランス通訳」が自分の目指すべき道かどうかは見えてくると思いますよ。

勉強、頑張って下さい!
返信を差し上げた後、すぐに丁寧にお礼のメッセージを頂きました。前向きに今の会社で頑張りながら、好きな英語の勉強をコツコツ続けて行き、その中で「フリーランス」「通訳の仕事」についてじっくり考えていかれる決意をされたようです。

他の若い皆さん、フリーランスを考えておられる皆さんのご参考になれば幸いです。


ご相談を受けました「フリーランスになりたいのですが…」 その1

ブログを長く書き続ける中でいろいろな相談を受けるのですが、ここ一年ほど多かった相談内容は「フリーランスとして働くこと」についてです。

通訳・翻訳の仕事をする形態としてはけしてフリーランスだけが選択肢ではありませんが、実際問題フリーランスとして稼働している方が大多数を占めるのではないかと思います。ですが「フリーランスの仕事」 という切り口で見れば、通訳翻訳以外にも多くの職業があります。

ところが、フリーランスの仕事の特徴でよく語られるのは「しがらみがない。」「好きなことを仕事にできるのでやりがいがある。」ということでしょうか。安藤美さんが昨年春頃から自分の職業を「フリーランス」と名乗ったことで、ここばかりが強調されて「職業」の抜け落ちた「フリーランス」という言葉が一人歩きしてきた感があります。

フリーランスの前に仕事として自分は何をするのか?自分がその仕事で目指すところはどこなのか?をもう少し具体的に考えて見るよう、お便りを頂く度に返事をさせて頂いてます。

実際、私自身「フリーランスをめざした」事が有るわけではなく「通訳・翻訳の仕事をしたい。」というのが先立ったので、正直いうと「フリーランスとしとして仕事をすることについて、企業勤務の経験と比べて良い点、悪い点」を問われてもピンときません。

そんな中、先日も同様のご相談を頂きました。お名前は仮名ですが、ご本人が快く許可して下さったので、こちらへ掲載させて頂きます。

こんにちは。ブログにメッセージ頂きありがとうございました。
恐らくご質問は下記の部分だと思われますので、私なりに回答します。ただ、これはあくまでも私の感じ方であって、良い点、悪い点、とハッキリ切り分けられるものではないということは念頭に置いて頂ければ幸いです。

>>宮原様は企業で働かれていた経験もあるとお聞きしたので、その時と比べてどのような気持ち、環境の変化などがあったのか、また良い点・悪い点などをお聞きしたいのです。

まず「組織に属しているしがらみがないぶん」というところ。
私は正直言って、組織好きな人間です。かつてSEとして富士通の地方SE会社に勤務し、通訳としてフォード、マツダ他に10年以上の組織人経験がありますが、そのどこでも同僚、上司、後輩達と働くことは私にとっては大きな喜びでした。確かにしがらみと言いたくなるような人間関係の複雑さには悩みましたが、課題や喜びを共有する事ができる仲間が居ると言うことは、私にとっては心の支えでした。

次に「すべて自分で決めてそれがそのまま自分に返ってくる。」です。
全て自分で決めるということは大方外れてはいません。しかし、個人事業主として他業者、業界とわたり合って行く中で集まる情報の中で、何を選択するのかを決める事は多くの場合精神的苦痛を伴います。なぜか?「そのまま自分にかえってくる」ことを知っているからです。でも、それが、いつ、どんな形で、返ってくるのかは予想することは容易ではありません。

こう言うと私が鈴木さんに通訳を目指すな…と言っているようですが、そういうことでも無いんです。当たり前ですが、物事には両面があるということです。今回頂いた鈴木さんのメールだと、ただ単に「しがらみなく自分で全て管理できる。」という事が大きな動機のようですが、けしてそうではない逆側の要素が沢山あるので、そういうところもしっかり考え合わせた方がいいのでは?ということです。

しがらみはなくとも、ボーナスが無いどころか来月のお給料も保証されないし有給休暇もありません。「自分」を買ってもらえなければ、仕事にはありつけません。自分が何をきめた結果、そうなったのか?と(収入が無い状態でも)じっくり考える事のできる精神力が必要になってきます。

今は会社務めとのことですが、組織の人間関係の中で見えてくる大切なことは沢山あります。しばらく勉強されるということであれば、組織を「しがらみ」と捉えてしまわずに、そこから何かをつかみ取る努力をされるのも一手ですよ。

続く

2013年6月12日

JAT(日本翻訳者協会)理事に就任しました

先にご報告の通り参加したIJET24の一日目のセッション後に開催されたJAT(日本翻訳者協会)年次総会(Annual General Meeting)にて、JATの理事に正式に就任いたしました。一昨年のPROJECT名古屋、昨年のIJET運営委員会副委員長、そして9月のJAT通訳グループの立上げとここ数年JATには大変お世話になってきたと思っています。

来年にはIJETも25周年を迎え現在東京での開催が予定されています。また、通訳グループの輪もさらに広げて行くとともに、JAT本体の組織力強化をJATのPRを通して進めて行きたいと考えています。

とはいうものの、何かおもしろい事をやる気のある仲間と広げていきたいと言うのが本音(笑)JAT理事として、また一人の翻訳・通訳者として多くの皆さんと出会い活動していきたいと思っています。

引き続きよろしくお願いします。

2013年6月6日

IJET24 in Hawaii へ参加してきました!


6月1日(土)2日(日)にハワイで行われたIJET24(日英英日翻訳者国際会議)へ参加してきました。ハワイ行きの前後に仕事が詰まっていたこともあり、ワイキキビーチで泳ぐこともなくとんぼ返りでしたが、今年もIJETに集まる世界中の翻訳・通訳者仲間と会えたことは、自分にとっての大きな刺激となりました。

昨年、私も運営委員会副委員長として広島で企画したIJET23は大成功だったので、お手並み拝見!といったところでしたが、現地スタッフのアレンジは隅々まできめ細やかで、開催中に特に困った…ということは全くありませんでした。中でも、基調講演はすばらしい面々をそろえて頂いたと感謝しています。

<素晴らしかった基調講演>

ご存知の通りハワイと広島の縁は深いこともあり、そうした関係のハワイの言葉にまつわる興味深い話、そして言葉が人々の生活の中で時代の流れに沿ってどう変化していくのか?についての講演にはとても引き込まれました。

そして、アメリカではじめての日系人知事である元ハワイ州知事ジョージ有吉氏の講演は、お人柄のにじみ出た心に触れるものでした。ご高齢にもかかわらず講演時間中立ったままハンドマイクを片手で握りしめて、最後までしっかりとした口調で話されたその姿勢もさることながら、元知事から紡ぎ出される言葉の一つ一つを日本人として受けとめ誇りに思いましたし、翻訳・通訳者として日米をお互いの「おかげさま」の心でつないで行きたいと思いました。


<私も講演しました>
翻訳・通訳者の駆出しの方向けに10分ちょっと程お話をさせて頂くチャンスを頂きました。私にしかできない話がしたい…と思い、先月「通訳翻訳ジャーナル」に寄稿させて頂いた内容をベースに自分が社内通訳につくところからフリーランスになるまでをお話させてもらいました。お役に立てたらよかったのですが、どうだったでしょう?

今回のパンフレットも素敵でこんな感じに掲載してもらいました。



一度主催側に回ったことがあるため、この企画の準備がどれ程大変かをよく知っています。今回の企画メンバーは多くが日本在住であったため、現地との調整には苦労されたことは想像に難くありません。にもかかわらず、快適に滞在することができ、しかも個人的にも有意義なIJETとなりました。

海外IJETの良いところの一つは、普段日本のイベントではお会い出来ない世界中の日英翻訳通訳者に会えることです。今年も素晴らしいチャンスをくれたIJET委員会のメンバーに感謝!

ありがとうございました。

2013年5月22日

BBC同時通訳者の苦難「主の祈り」

「主の祈り」と言えば「天にまします我らの父よ…」で始まるアレです。私は中学高校とミッション系の学校だったため、入学当初に聖書の授業の一環として「主の祈り」を全文暗記させられました。三つ子の魂なんとやら…で、聖書は私にとっては嫌いな授業の一つでしたが今でも暗唱することができます。でも、もし前触れもなくいきなり日本語で「主の祈り」を唱えられたら咄嗟に英語に通訳できるかと言われると、間違い無くアウトです。

'He is clearly not a Catholic! Viewers slam BBC's Pope election coverage after on-air translator fails to decipher the Lord's Prayer and the Hail Mary correctly

On-air translator could not even turn the Lord’s Prayer into correct English
Viewer tweeted: ‘BBC translator now in pits of despair and given up entirely’


先日、新しく就任したローマ法王が行ったイタリア語の講話の同時通訳がBBCで流れたときに、BBC通訳が英語に上手く訳すことができず、放送直後に通訳を非難する声が多数寄せられたそうです。問題になったBBCの放送はこちらのYoutubeでご覧下さい。



通訳の合間にとにかく鼻息が激しいのが痛々しい…。定訳があるお祈りが出てきてしまったことは本人もすぐに気がついたはずです。それでも訳さないわけに行かないのでなんとか聞いた内容を訳そうと必死です。最初の2-3センテンスまではそれでも英語を聞いているとかなり上手く訳出できていると思います。ちなみに、この後に続く「聖母マリアへの祈り」も完璧に訳出することのできた同じニュースを流した別の局の通訳者がいたことを理由にさらにバッシングされている事実もあるようです。(ただし、同時通訳だったかどうかは言及されていません。)

放送通訳は同時通訳と言っても、多くの場合完璧な同時通訳とは違います。放映時間の少し前に原稿を一通りもらい、内容把握やリサーチをする時間があります。この場面ではわずか1時間前に新しい法王選出を知らせる白煙が上がり、急遽就任のスピーチとなったようです。この1時間の間に果たして伊英通訳者が充分な準備をすることができたのか?と言うことが焦点になります。

と思っていたら、同じことを考える人が居たようでこんなブログを見つけました。

andrewleightranslator
#8: In defence of the BBC Pope’s Speech Interpreter…
Posted on March 14, 2013


このブロガーは通訳者を擁護しBBCに責任があるのではないか、としています。午後6:30という放映時感を考えれば緊急依頼の伊英通訳者だった可能性も高く、一人の通訳者が準備するには時間不足(1時間)であり、来るべき法王スピーチに向けてBBC(あるいは専属通訳者)が参考資料他を事前にリサーチしておくべきであったことを理由としています。

もうかなり前にBBCの同時通訳者(日英)はとても優秀で狭き門だと通訳情報誌で読んだ覚えがあります。この通訳者はイタリア人だったようですが、やはり私と同じように母国語では言えても、ターゲット言語である英語にその場で訳出する場面を想定していなかったと思われます。英語はキリスト教と関係の深い言語であることを考えれば、やはり「主の祈り」”くらい”英語で言えて当然…なのでしょうか?

THE LORD'S PRAYER IN FULL

Our Father who art in Heaven,
Hallowed be thy name;
Thy kingdom come
Thy will be done
On earth as it is in heaven.
Give us this day our daily bread;
And forgive us our trespasses
As we forgive those who trespass against us;
And lead us not into temptation,
But deliver us from evil.

2013年5月20日

通訳翻訳ジャーナル 2013年 7月号

明日発売の通訳翻訳ジャーナル 2013年7月号にて「SNSを仕事に生かす」で記事を執筆させて頂きました。知合いの翻訳コーディネーターさんも執筆されています。ご興味あれば手にとってご覧下さい。

いつもはブログを書きたいように何の制限もなく好きなように書いているので、今回のように字数制限付きで言いたい内容を過不足なくまとめることにはとても苦労しました。

図も作ってなるべく分かりやすく、自分ならではのエピソードを織り込むことを心がけましたが…文章を書くということはこんなに難しいのか!と再確認。

ブログ記事ももう少し簡素に、要点を明確に書くことを努めようと反省中です。まずはもう少し更新をがんばらなくちゃ…ですね(笑)

2013年5月6日

十人十色(翻訳)勉強会 広島編

東京の翻訳者が中心となって結成する十人十色勉強会が、今月広島に出張してきます。このグループは自分の翻訳スタイルや、普段使っているツールをお互いに披露しあい、翻訳者どうし技術や知識を広げながら切磋琢磨することを目的としています。また、勉強会の様子をUstream中継して、その場に集まることのできない翻訳者へも間口を開いています。(私も一応…メンバーです。幽霊会員みたいで申し訳ないのですが、Ustreamがあるときは見てます。
日時: 5月21日(火)14:00~17:00
場所: アステールプラザ工作演習室
https://www.facebook.com/events/162862647212753/
今回、広島出張でこられるのは以下の名。

井口富美子さん 
日翻訳者
高橋聡さん 
日翻訳者
光明宜孝さん 
日翻訳者
齋藤貴昭さん 
日翻訳者・翻訳コーディネーター

皆さん、最近の翻訳専門誌でお見かけする方々で、有名翻訳者養成学校で講師されてる方、翻訳者向けに著書をお持ちの方、はたまた翻訳者向けUstrem放送を定期的に配信されている方と、翻訳者の間では熱心に情報発信を行ってらっしゃいます。

残念ながら私は出張で出席がかなわないのですが、広島の翻訳者の方はご参加検討されてみてはいかがでしょうか?ご自分の翻訳スタイルや独自のツールを公開したいという方はもちろん、今回は見学参加だけという方も大歓迎と伺っています。また、翻訳はまだ始めていないけれど興味がある…という方も受け入れて下さるそうです。

お申込みは記のFacebookグループからどうぞ!
参加される方の十人十色勉強会レポートも楽しみです。

2013年5月3日

「猪野瀬知事よ、おまえもか…」

猪野瀬東京都知事が物議を醸していましたが、結局IOCからは処分無しということで決着がついた(?)ようです。

IOC、猪瀬知事発言を処分せず=20年五輪招致
時事通信 5月1日(水)21時46分配信

先日の知事の発言(失言)については、以下の通り

猪瀬都知事、イスラム失言を謝罪
AFPBB News 2013年04月30日 15:17
2020年夏季五輪の開催を目指す東京の猪瀬都知事は米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)とのインタビューで通訳を介し、「イスラム教国が共有するのはアラー(神)だけで、互いにけんかしており、階級がある」と述べた。
その後のご本人がFBのGovernor of Tokyo (東京都知事 猪瀬直樹 の部屋)で、そんなつもりはなかったうんぬんかんぬん…と釈明とも反論(?)とも取られる書込みをされており、Twitterのフォロワーから「どうするの?」と問われると「FBに書いた」とメンションされるなど混迷していた様子です。この書込みは削除されて、現在は別のきちんとした「謝罪文」が掲載されています。

猪瀬都知事、一転謝罪 五輪巡る発言「訂正したい」
2013/4/30 12:11

まぁ…「やれやれ。」で終わるのかなと思っていましたが、通訳者にとっては見過ごせない発言が周辺から出てきました。Twitterで私がフォローする方が指摘されているのを偶然目にしましたが、Yahoo!ニュースに寄せられていた個人の記事です。

猪瀬知事失言、ディフェンス強化を。
松瀬学 | ノンフィクション作家
2013年5月1日 9時7分
「猪瀬知事だけでなく、できれば、帯同する通訳にもIOCの行動規範を理解してもらっていた方がいい。」
通訳がIOC行動規範を読んで、知事がそれに沿わない発言をしたら沿うようにでっち上げろ…ってことでしょうか?IOCの行動規範を通訳が読むくらいは別に問題はないと思いますが、それを「ディフェンス強化の対策の一つ」として明示するのは間違っていると思います。

それでも、ただ単に一個人の提言だから目くじら建てても仕方無いか…などと思っていましたが、あらあら今度はご本人の言。

五輪招致で都知事「他都市にも敬意払う」「失言はもう終わった話」
産経新聞 5月3日(金)7時55分配信

会見ではIOCから処分しないなどとする通知があったことを強調。相次ぐ質問に「もう終わった話だ。通訳を介した話でもあり、これ以上お話しする必要はない」などといらだちものぞかせた。
複数言語間のコミュニケーションで理解に齟齬が生じると、まずは」通訳や翻訳のせいにしてしまおうとする一般的な態度は今に始まったことではありません。「通訳翻訳を介することで微妙なニュアンスが伝わらないこともある」とでもおっしゃりたいのでしょうが、公式に謝罪までされている内容について「通訳を介した話でもあり…」ということは、いくら何でも言うべきではなかったはずです。 

「猪野瀬知事よ、おまえもか…」的な残念さが、この言わなくてよかった一言にずっしり満載です…。
 

ちなみに、詳しいことの顛末について知りたい方は、下記のTogetterが参考になると思います。〔報道検証〕五輪誘致:NYタイムズ紙が報じた猪瀬都知事のイスラム誹謗発言は①事実なのか②公式な発言なのか

2013年4月28日

「戦後史の中の英語と私」 鳥飼玖美子 著

「鳥飼先生は学生時代から同時通訳として活躍した英語界のアイドル的存在だ」とどこかで聞いたことが有ります。そのくらい有名な方なのに、私が実際に彼女を知ったのはNHKの教育テレビ「クロスロード・カフェ」に出られていた頃からで、彼女の経歴他は全く知らなかったのですが、彼女の持つ気取らない雰囲気がとても好きで、それ以降なんとなくずっと気になる存在でした。

近年出された著書国際共通語としての英語」 (講談社現代新書)(2011/4/15) 「英語公用語」は何が問題か (角川oneテーマ21) (2010/11/10) については、このブログでも書評を書いていますが、読んでいて「そうそう!」と膝を打つことが多く、それ以降すっかり彼女のファンになりました。

というものの、それ以外の有名な著書「歴史をかえた誤訳」 (新潮文庫)  (2004/3/28) 「通訳者と戦後日米外交」 (2007/8/11) については読んでいない…という呆れたファンなのですが(

ファンで有りながら、彼女がどういう経緯で同時通訳になり、さらには教員・研究者の道へと進んでいったのかは知りませんでしたし、ましてや女性として三人の子育てをしながら40才を過ぎて英語教育について海外の大学院で学位を取られたということなど想像すら及ばず、英語を母国語と同じレベルで習得された
帰国子女らっしゃるとさえ思っていました

この著書では、ご自身の言葉に対する思い入れ、英語に対する興味と情熱がどう芽生えて彼女のその後のキャリアへと導いいったかを、ご自身が研究した日本同時通訳界の草分け達と対比しながら、また時代背景に影響されたご自分の姿を客観的にとらえながら紐解いておられます。

読み進めながら、人よりもずっと遅くに勉強をはじめた私自身の中にも、言葉、英語への興味が実は小学校前からくすぶっており、中高時代にあまのじゃくな性格からスッカリ英語嫌いになってしまった自分がいたものの、それが単なる「フリ」でしかなく、実は「言葉」「英語」で「対話」することにはいつも興味津々だった自分に気付かされました。

今年三月に亡くなられたという同時通訳草分けの一人、村松増美先生が出会った中学時代の英語教師で今石益之先生のエピソードがこの本のはじめの部分で紹介されます。今石先生の名前を見たときにはドキドキしました。院長先生があの村松先生をインスパイアした方だったとは…!

私が通った母校で、丁度私が在籍した六年間にずっと院長先生をされていた方です。もちろん言葉を交わしたことはありませんし、いつも礼拝の時には小首をかしげて静かに椅子に座っておられた姿が思い出されます。あれだけ中学高校に馴染めなかった私が院長先生を覚えているのは、あの温厚なお顔のせいなのか、単なる偶然なのか…。担任して下さったのに名前もロクに思い出せない先生もいるのに(失礼)!

鳥飼先生とは丁度親子の年の差ですから時代背景は随分違います。もちろん育った環境も違うのですが、彼女を通して自分自身がどういう「時代」に生きてきたのか、自分の言葉、英語に対する興味を支えたものは何だったのかを振り返るとても貴重な時間を頂きました。

そして、ますます鳥飼先生のファンになったことは言うまでもありません。
現在、引き続き「通訳者と戦後日米外交」を読んでいます(笑)

2013年4月10日

海外の通訳・翻訳者事情

私が通訳・翻訳のキャリアパスを語る時は、やはり自分の経験から語ることがほとんどです。もちろん、それ以外のことを語っても説得力がないので、当たり前なのですが(笑)。

でも、海外の通訳・翻訳者がどういうキャリアパスをたどっているのか、どう業界に参入して仕事をするようになったのか?フリーランス通訳者・翻訳者の仕事の仕方は?また自分たちの職業をどうとらえているのか?などなど、気になるところではないでしょうか。

そんな方のためにお薦めの一冊を紹介します。


日本語以外の言語を商売道具としているわけですから、海外のクライアントと直接取引することも実際出てきます。海外の事情を垣間見ておくことに損はないでしょう。

ただ、何か特別これを知らないと困る…と言うことが書かれている訳では有りません。ですが、世界中の同業者が少し身近に感じられるようになると思います

日本の雑誌や、通訳・翻訳学校では私が知る限り勧めているのを聞いたことがないのですが、組織(日本だとJAT、JTFなど)に所属することのメリットを複数の人が説いているのが印象的でした。そして、 私自身も同じ意見です。


キャリアの長い短いに関係なく、同業者との横の繋がりはフリーランスにとっては技能向上ビジネスの両面において大変重要だと思います。

短いですし、英語もとても平易なのですぐに読み切れてしまいます。ちょっと、ATA(American Translators Associationの宣伝が多い気がしなくもないですが、そこはご愛敬でしょう。

2013年4月9日

スポーツ通訳の涙

DeNA・ラミレスの通訳、関根一途さん感涙
サンケイスポーツ
 4月7日(日)7時0分配信
 


このニュースを見た方も多いのではないでしょうか?

横浜ベイスターズで見事2000本安打を達成したラミレス。そのお茶目な人柄でジャイアンツ時代からファンに親しまれていた…などと言うことは、野球音痴の私でも知っているその彼。先日、2000本安打を達成したその記者会見に同席した通訳の関根さんが、記者会見中に感極まって涙した場面がありました。関根さんは、ラミレスについてきて欲しいと言われ巨人から一緒に移籍した方だそうです。

翌日朝の、フジテレビ「特ダネ」でもこのシーンは放送されていましたが、司会の小倉氏が「通訳さんも嬉しかったんでしょうね~」とにこやかに軽く言うのを聞いて、ニコニコしながらテレビを見ながら「あなたには分からないわよ~ん、うぇ~ん!」と思い、直後に私も感極まってテレビの前で涙してしまいました。

特にこの部分…

ラミレスが「自分は接する人を厳しく選んでいるつもり。彼は自分を助けてくれる。ときには通訳であり、ときには友だちでもある」と述べた感謝の言葉を自ら通訳したときだった。


以前、「究極のインハウス-スポーツ通訳」として書きましたが、スポーツ通訳者は通訳対象との距離感が全く違います。時には通訳以上の気遣いや物理的な支援が必要になることもあるでしょう。そんな風に選手と生活や戦いをともにする中で、普段全くの当らない自分の働きを、記者の方々の前で労って、そして達成したことを一緒に喜んでくれる姿勢に感じる感謝の気持ち…。涙を以て以外に表せないでしょうね。

これを見ていた、スポーツ通訳者の方々の中にはきっと同じように感じた方も多いでしょうね。多くの方の励みになったと思います。私も励まされました。

ラミちゃん、ありがとう!

2013年3月31日

JAWS-UG@広島に行ってきました

JAWS-UGとはJapan Amazon Web Service Users' Groupです。一昨年秋頃から大手IT企業のベンダー向け国際会議を多く担当したことや、データサイエンティスト養成入門セミナーの仕事を複数回したことか、クラウドコンピューティング業界でも他社の追随を許さない程リードを続けている…と言われているAmazonってどんな会社?と気になっていました。

一般の人にはAmazonと言えば、大手ネット書店サイト、大手ネット通販サイトという印象ですが、実は彼らのビジネス全体に占めるその割合はわずか30%程なのだそうです。そういった浅いところから、ちょっと踏み込んだサービス、機能、ビジネス拡大のコンセプトまで、昨日のUGでは比較的素人にも分かりやすく説明頂きました。

アマゾンデータサービスジャパン株式会社 テクニカルエバンジェリスト堀内康弘さんによる「AWSが作る新しい世界」というご講演でした。講演マテリアルもぜひご覧になって下さい。



創業から"Customer Centric"をミッションに掲げて近年は爆発的な成長を遂げつつあるAmazonですが、必ずしも最初から今のペースではありませんでした。実際、1995年にシアトルでAmazon.comを創業して以降、黒字転換するまで実に7年の時間をかけています。最初は投資家も見向きもしてくれず、創業者が父親から借金をしてしのいでいた…というエピソードもあります。あえて、ここで「時間をかけています。」としているのは、同社に「顧客中心のコンセプトの実現のためには投資を惜しまないとう姿勢」が一貫しているからです。

実際、堀内さんの講演の中でも、現在もデータセンターへの投資は前倒しで進めていることが言及されていました。この辺の思想の実現は「失敗したら終わり…。」という日本の風潮の中では難しいでしょう。

堀内さんの第一声で「Amazonは薄利多売の企業です。」とおっしゃったことは、そういう意味で大変印象的です。つまり多くのお客さまを巻込むインフラ、ツール(API)を作る事に力を注ぎ、実際にそれを達成することで現在のビジネスモデルを築いて来たわけです。結果、Amazonの提供するAPIはエンドカスタマーでさえ使いやすい、しかも非常に安価なものになっています。

日本国内にシステムインテグレーターを名乗る企業は数有りますが、一体彼らはどう太刀打ちしていくのか…?恐らくまともに戦っても勝てないでしょう。まず、投資する体力もないし、Amazon提供のAPIがあまりに優れていてかつ日々進化しているので、一般のエンドユーザがちょっと勉強すれば安くてある程度セキュリティの確保されたシステム構築ができてしまうのですからです。

ストーレージと言う切り口だけで見ても、オンプレ(On Premise)でさえセキュリティの確保状況やAPIレベルではむしろAmazonのクラウドに任せる方が安全で、実はオンプレは単に神話に過ぎないのではないか?と思ってしまいます。

これからAmazonが永遠に一人勝ちし続ける…ということはないでしょうが、Amazon以上に投資を惜しまず戦略的に顧客と関わっていけてイノベーションを起こせる企業はそんなにすぐには出てこないでしょう。もちろんシステムインテグレーター(SIer)も彼らの顧客で有るわけですから、緩い共存を続けていくでしょう。だからこそ、エンドユーザーは賢く選ぶ目を持たないと、SIerの中間マージンばかり膨れあがった使いにくいとんでもないシステムを掴ませられることになる…と警戒するべきなのかな…と感じました。

それにしても、サービスを提供する会社が心からテクノロジーとかイノベーションとかをEnjoy!している感じがエバンジェリストである堀内さんの言葉を通して伝わってきました。創業者CEOのジェフ・ベソスが言ったとおり「Amazonは本屋じゃなくてテクノロジーを売る会社」ですね。(堀内さん談、でもちょとうろ覚え…笑)

2013年3月30日

Speechpool - 通訳学習者向けの教材

教材にすべき素材は世の中に沢山あふれています。今は特にインターネットがあるため、そういった素材にアクセスすることは難しくありません。でも、どんな素材を選んだらいいのか迷われているも多いかも知れません。そんな人に朗報?

このSpeechpoolは、かつてイギリスのリーズ大学で教鞭を取られたフリーランス通訳者が、当時の学生の悩みを受けてはじめたものです。彼女自身が下記のYoutubeでサイト設立の経緯や目的を解説しています。


英語の素材には興味を持って取組めそうなものが出てきつつ有ります。Facebookページも用意されており、どんなスピーチが欲しいいか?など意見交換の場となっています。サイトの日本語版が出てきて日英ペアの素材が揃うのは少し先になりそうです。ですが、利用者の立場からもスピーチをアップロードできます。ですので、日本の通訳学習者や通訳者がこのサイトに貢献することで内容も充実してくるでしょう。相互支援の在り方として、効率がいいやり方ですね
 
でも、説明を長々書くより、見てもらう方が速いです。
では、ご覧下さい!

2013年3月29日

お花見します

関東では先週末から随分と桜満開のニュースが飛込んできていましたが、今年は西日本は少しだけ関東に遅れて満開のタイミングを迎えるようです。でも、木によって場所によって開花の様子はまちまち…。26日(月)に仕事帰りの平和公園で撮った写真はこんな感じでした。


下記の要領で、広島あるいは当日広島に立ち寄れる通訳翻訳者、または通訳翻訳に興味あるな~という方、どうぞいらっしゃいませ。手持ちの本を持ち寄って、本の交換会もやってみよう!という話になっています。

春休みなので、高校生や大学生の方で興味有る方もフラッとよってみてくれるのは大歓迎です。Facebookイベントページを作成しています。メンバー以外の方はアクセスできないと思いますので、その場合は私までご連絡下さい。

桜が水曜日まで持つかどうか心配なのですが…。
桜がなくても大いに盛り上がりましょう!

花見だ! Event for 中四国つうほんネットワーク
[When] Wednesday, April 3, 2013
[Time] 1:00pm
[Where] 平和公園近辺
*場所取り部隊は12:00頃には集合している予定。
*買い出し部隊もぞろぞろ集まる予定。
*夜の部あり。そちらのみ参加希望という方も歓迎(早めに事前連絡下さい。)


2013年3月17日

司法通訳システムの壁

以前、法廷通訳アンケートのご協力についてご紹介しましたが、この日曜日にアンケートを実施された静岡県立大学の高畑先生が広島に来られており、お声をかけて下さったので二つ返事でお会いする約束をしました。とてもさわやかな印象の先生でした。

アンケートはその後集計され、結果を程なく郵送下さるそうです。また、このアンケート結果を受けた報告会が、アンケート参加者を一部招待して月末開催されるそうです。

お会いしたときにも法廷通訳の課題についていろいろ話しましたが、通訳に限らず一般的に、近年大学の研究分野もやはり実務に直結するもの貢献するものが求められているようです。


以前は熱心に司法通訳について研究されていた先生が、軒並み医療通訳を中心とするコミュニティー通訳に研究対象をシフトされているのことに私自身気付いていました。研究者の立場でもやはり市場でなんんらかの利益を生む活動に結びつくアイテムでないと、一般に研究課題としてアピールしないのかも知れません。

司法通訳者の苦境については、実務で法廷を担当する仲間から聞いたり自分も実際体験することでどこに抜け道があるんだろう…と考えてきました。そして私自身の結論は
「資金不足を解消しなければ抜け道はない。」です。こういうと身も蓋もないかも知れないですが…

世界的に見ても司法通訳のシステムが円滑に進んでいる例は、私の知る限り有りません。それどころか、トラブルが後を絶たないのが現状です。GoogleでInterprerをキーワードにニュースを検索すると、出てくるニュース記事の多くは司法通訳関連です。

イギリスでは政府が法廷通訳業務を委託したApplied Language Service社が全く機能せず、昨年はじめより法廷通訳システムに大混乱をきたしていますが現在に至っても全く収束を見ていません。そして最近ではカンボジアのクメール・ルージュ裁判で通訳人に対する賃金未払いが発生し、公判が完全ストップする事態が起きています。また、比較的司法通訳の整備では先を行く
アメリカで、司法通訳の質については常に課題となっています
 
司法通訳には倫理規定がよく引き合いに出されますが、倫理規定を守れるだけの技量を持った通訳を調達するには、資金が必要です。数年前のベニース事件のように通訳の技量不足を訴えるケースも発生しています。当然ですが、通訳の技量の高さが市場では一般的に通訳料に反映されます。

これを考えれば、
必ずしも表面化しなくて
司法通訳の質が確保しにくいといという問題が発生し続けるでしょう。さらに、わざわざ「食えない司法通訳」を目指す人はいないでしょうから、人材不足がさらに深刻になること考えられます。
(ただし、言語によって状況の程度の差は随分あるようです。)

-世界的に見て資金調達の面で習うことのできるシステムがないこと
-本来必要なレベルで外国人の権利について注意を払っていないこと
-大学等の研究者の注意も司法通訳からフェードアウトしつつあること

これらは、日本の司法通訳システムの将来に暗い影を落としています。高畑先生とお会いしていろいろお話をさせて頂く中で、改めてこんなことを考えました。解決先の糸口も見えない…という状況は辛いですね。

2013年3月14日

シュレッダーを買い換えました

通訳準備のために資料がなかなか出てこない…というのは、とても悩ましい状況なのですが、山ほど資料が送られてくることも実はよくあることです。エージェントさんが情報は何でも無いよりはマシ!」と思って送って下さるのだと思うのですが、時にはタイトルと数行だけ確認したら結局本番まで読む必要無かった…という資料も多いのです。

現場に持っていくのはもちろん、自分に関係しそうなところだけです。特に社内会議やクローズドな会であれば、持っていった資料はほぼ全ておいて帰り現場の方に処理してもらっています。エージェントとのNDAでは、こうした資料の扱いについてキッチリ説明していますし、そうすることが求められているのです。

では、自宅から持出さなかった資料は…?これはもう、シュレッダーするしか有りません。と言うわけで、シュレッダーは通訳者の必須アイテムです。最近は個人情報保護が厳しく言われているので、個人でもシュレッダーを使う家庭は多いとは思います。

で、最近買い換えました。

コクヨ
Silent-Duo KPS-MX100W [ノーブルホワイト]
作動音50dBを実現した家庭向けシュレッダー
カードや、CDなんかもガシガシ食べてくれます。紙なら一度に6枚までOKという優れもの。それに以前の機種に比べると格段に静か!買い換えてよかった…

ここからは私のおおざっぱさをさらすのでオマケです。

新たに購入したきっかけは、今まで使用していたシュレッダーが壊れたからです。スペックではマックス二枚までのところを4-5枚突っ込んだりしていたので機嫌を損ねることはよくあったのですが、だいたいリバースしたり刃を掃除したりして様子を見ていると大抵は復活してくれていました。

やっかいだったのは、息子に送られてくる進研ゼミで、ビニールに紙シールで住所が張り付いてくるのですが、紙シールを剥がすのがつい面倒でビニールごと投入したら、メリメリムリムリズーンッ……ってびくともしなくなったこと、が有ったことです。

今回はきっと度重なる酷使に嫌気がさし世を儚んだのでしょうか…。何をしたいうわけでもないのに、安らかに知らないうちにその生涯を閉じたようです。

2013年3月4日

19. 通訳学校では教えてくれないコト -同志を得る-

通訳学校へ通うことメリットとしてよく上がる一つに、同じように学ぶ生徒さんの姿を見て励みになり一緒にがんばれるから、というのがあります。

私も通訳学校時代はクラスメートの存在によく助けられました。あまりにできが悪くて落込んでいる私に声をかけてくれた友人達の事は忘れません。ちょうどその頃同じクラスにいたメンバー10名弱で、今でも時々「勉強会」という名の実は飲み会を年に何度か開いてくれます。本当にありがたい。でも、そのうちフリーランスの通訳になったのは私だけです。

そのため、得難い友を得たものの実際の業界事情他を肌身で理解している人はおらず、「フリーランス通訳」の視点でビジネスや技術の事について深く語れる相手はこの中にはいません。首都圏や関西都市部では事情が違うかも知れませんが、地方業界の厳しさからフリーランスとして稼働するようになる人は、やはり人数が限られています。

そんな少ないフリーンランスの中で社内通訳時代に親しく励まし合った友人もいましたが、残念なことにフリーになってからは音信が途絶えてしまいました。現場で見かける事は今までもあったのですが、どうも距離ができてしまったようで、親しく話すことが無くなってしまった人もいます。

他の地方の話を聞いても、業界の様相は競争が厳しいという印象です。狭い世界なのでその人の持つ印象や振るまい(残念ながら特に悪い方…)についてはすぐに伝わってしまう。また、地方は競争も激しいので、なかなか通訳者達がお互い助け合い協力しあって…という空気ができにくいのかもしれません。まぁ、これにはエージェントのコーディネーターの仕事の仕方も、けっして意図したものではないでしょうが大きく影響しているとは思います。

また、同じフリーランスといっても働くスタイルはそれぞれなので、なかなか価値観を共有する相手を見つけるのは難しいということなのかも知れません。でも、そんな中でも仕事を通して似たような価値観を持つ人や、仕事へ対する姿勢を見習いたい人には必ず巡り会うものだと最近つくづく思います。

よく行く出張先で、これまでも何度も一緒に仕事をした通訳者さんとお仕事をする機会が最近ありました。彼女とは勉強のこと、仕事へ取組み方、留守中の家庭のことまでいろいろ話ができるし、今回も随分相談に乗ってもらいました。

また、数日前に電話をくれたバリバリがんばっている友人。通訳市場の話から、具体的な現場へ向けての彼独自の準備の方法まで、お互い正直に話すことができる相手です。時間を忘れて真剣に話し込んでしまい、いつも長電話になります。

ただ単に「勉強頑張りましょう!」といううわべだけの関係ではありません。翻訳と違い、通訳は現場に出てお互いの実力が分かってしまう分、お互いを見る目は厳しくなります。それでも、単に実力の差だけにとらわれて自分を過大・過小評価することなく、お互いが本当の意味で向上できると思える相手を得られれば、それは大切な財産です。

独りで「どうしていいか分からない…」と途方に暮れている勉強中の方もいるかも知れません。もちろん、内にこもってばかりでなく自分から行動を起こすことも大切。積極的に人に会う、自分の意見をぶつけてみる…など。でも、熱意をもって誠実に向き合うことで得られる貴重な出会いが必ずあります。

2013年3月1日

IJET-24 in Hawaii !!

JAT(日本翻訳者協会)主催の毎年恒例のイベントIJET24(International Japanese English Translation Conference)が6月1日-2日に開催されます。IJETは、海外と国内と交互に開催されるイベントで、昨年は広島での開催で、私も運営委員として携わりました。ですので、あれから一年経とうとしている…と思うと感慨深いものがあります。 

そのIJET-24ですが、登録申込みが開始となりました。 IJET24のWebサイトにも続々とプログラムがアップロードされつつあります。

Register for IJET-24

今回は試みとしてははじめてと聞いていますが、通訳関連プログラムが充実しており、University of Hawaii Manoa Campusに隣接するEast-West Centerで、実際に同時通訳設備を利用しながら進めるプログラムが用意されているようです。

前日の5月31日にはJATLAW、JATPHARMAといったJATのSIG(Special Interest Group)によるワークショップも開催される予定ですので、リーガル翻訳、医薬翻訳を専門分野にされている翻訳者にとってはさらに収穫の多いものとなりそうです。

詳しくはIJET24サイトで!

2013年2月16日

「明日から使える慣用句」 京都書房編修制作部 著

ちょっと前にTwitterで下記の投稿を見ました。

それで、リンク先サイトにいって色々読んでみたのですが、私の結論はやっぱり「汚名は挽回じゃなくて返上だよなぁ。だって名誉挽回って言葉が一方で定着してるしね。」というものでした。もっと具体的な理由解説については、件のサイトのコメント欄に多くの意見が載せられていて、そこで丁寧に解説されているので、そちらを参照してもらうのが速いでしょう。

言葉は時代につれて確かに変化するものですが、インターネットの発達により流通する言葉の量が圧倒的に増えたこともあり、その変化の速さも”もしかしたら…”加速しているのかも知れません。でも、流通する言葉の大半が以前とは違った使用法になっているからといって、即それが新らしい「正しい」使用法とは言えないのではないでしょうか。それ程言葉は人間の生活の営みに長い時間をかけて複雑に絡み合ってきたもの。そんなに”簡単に”「変化」などしない…と私は思います。

実はこのツイートを目にした直前に明日から使える慣用句」(京都書房ことのは新書)京都書房編修制作部 (著)という本を買って読んでいたのもあり、敏感に反応したのかも知れません

基本的な慣用句ばかりで、まさか知らないもの、間違って覚えているものは無いだろうと…とタカをくくっていましたが、案外そうでもなくてちょっとヒヤっとすることも有りました。

翻訳通訳をする上で、正しい言葉の言い回しや、敬語が使えたりすることは大前提…なはずなのに、ちょっとお恥ずかしかったりもしますが、改めていろんな慣用句の使用法、由来までを確認するのは、結構楽しい作業でした。

例えば…

「苦汁」は「苦汁をなめる」「苦汁を喫する」だけれど「苦汁を味わう」は間違いです。「味わう」のは「苦渋(を味わう)」というのは知りませんでした。

「しのぎを削る」とは”戦いや競技などで激しく争うこと”というのは知っていましたが、「『しのぎ』とは刀の刃と峰の小高い部分。そこが削れるほど激しく斬り合うことから」というのは知りませんでした。

また、言葉の用法を確認するのに「少納言」というサイトの存在を件のツイートの下りでフォロワーさんに指摘され思い出しました。知ってはいたけど、最近はGoogle検索で済ますことが多く使っていませんでした。正しい用法はこの「少納言」サイトで確認できます。ご存知なかった方はこの機会に是非ご活用下さい。

少納言
KOTONOHA「現代日本語書き言葉均衡コーパス」
このサイトでは大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所と文部科学省科学研究費特定領域研究「日本語コーパス」プロジェクトが共同で開発した『現代日本語書き言葉均衡コーパス』(BCCWJ:Balanced Corpus of Contemporary Written Japanese)のデータを検索できます。BCCWJには、現代の日本語の書き言葉の全体像を把握できるように集められたサンプルが約1億語収録されています。

2013年2月12日

究極のインハウス - スポーツ通訳

野茂選手以降、MLBへ多くの日本人が進出するようになって随分なります。昨年、ダルビッシュ有選手の通訳エージェントであるジョー古河氏が the Baseball Writers' Association of America によるthe 2012 Harold McKinney Good Guy Award (日本語ではグッドガイ賞と報道されてました。)を受けたことは、日本人選手の「通訳の受賞」ということでその時の流れを感じさせる出来事だったと思います。

そして、多くの外国人選手が活躍する大リーグで、通訳ピッチでの行動について規定するルールがこのほど提案されたようです。おもしろいのは、様々な国籍の選手がいる中、とにかく通訳の言うことに頷いてしまう外国人選手として日本人選手が沢山取上げられていること。もちろん、相対的に日本人が多いのでしょうが、試合の勝敗関係なく見ている分にはほほえましいというか笑えるというか。そして当の選手や通訳の立場に立てば一筋縄でいかない問題もあり悩ましいというか…。

これまでにも何度か、サッカー通訳については取上げてきました。両言語に精通しスピーカーの意図を的確に訳出するという通訳技術という意味では、スポーツ通訳であれ会議通訳であれ変わりはありません。でも、私はスポーツ関係で選手や監督らの通訳をされている方は究極のインハウス通訳者だと思っています。

例えばこの記事中にある、ソフトバンクホークスで活躍した(笑?)二コースキーの例。

“Pitching coach said it would be good if you could pitch perfect now,” Nitkowski recalled the interpreter saying. He added that he was so exasperated by the unhelpful suggestion that he could barely contain himself.

“I told him, ‘If I could pitch perfectly, I wouldn’t be in Japan right now,’ ” Nitkowski said.
「全く役に立たない」と二コースキーが表現したそのコーチのセリフですが、文字通り訳せば「ここで完璧なピッチングしてくれたら問題なしだがね。」くらいで…まぁ字面だけ聞くと本当に役に立ちそうにありません(笑)。でも、実際にはその時のカウント数他が分からないのですが、どう解釈するべきか?と言う点においては、まさに記事でも言う ”intricate instructions from Sugimoto" で有ったことは間違い無さそうです。

つまり、コーチのコトバの裏には「ここでキッチリ仕留めておけば、その先もノッて行けるぞ!」とか「ここは落ち着いて完璧に仕留めていこう。」とか、心理的に二コースキーをリラックスさせる、あるいは引き締める意図の発言だった…かもしれません。

通訳がどこまでその裏を汲むか?フリーの会議通訳ではやるべきでないような深読みも、チームの一員として時には求められるに違いありません。スピーカーの性格や相手へのアプローチの仕方をとことん知ることでしかできない、チーム専属通訳ならではのパフォーマンスというのが必ず存在するはずなのです。そして、そういう通訳者でいるためには、どんな相手(選手、監督、スタッフ)でも懐に入っていけるような器量が必要だと思います。

先月、某野球球団の通訳者さんと食事する機会がありました。その時私の「スポーツ通訳は究極のインハウス通訳だ。」という読みは間違っていなかったなぁ…と、いろいろと話をお聞きして思いました。まさに彼は「相手の懐に入って行ける。」物腰の、でもとても内に秘めた情熱を感じさせる方でした。すっかり私はファンになってしまいました。

通訳者自身がチームの大ファンで、そしてチームの一員であるという自覚を持たないとできない、しかもそれを何年も長い間続けて行くことで、チームの文化までを言葉にのせていく…「大変だけど、やりがい有ります。」とおっしゃっていました。

今年こそAクラス入り、ぜひ頑張って欲しい!
毎年思っているけど、今年は例年よりはもうちょっと本気で応援します(笑)

Strikes Can Come Easier Than Words
Barton Silverman/The New York Times

A proposal would allow interpreters for mound conferences with pitchers like the
Yankees’ Hiroki Kuroda.

By DAVID WALDSTEIN
Published: January 19, 2013

Major League Baseball’s new proposal to allow interpreters to accompany coaches to the mound is not unprecedented. Interpreters in Japan and South Korea have long participated in mound conferences with pitchers who do not speak the same language as their managers or coaches.

But the presence of a multilingual facilitator does not always eliminate communication problems.

When C. J. Nitkowski was pitching in Japan for the Fukuoka SoftBank Hawks in 2008, the team’s interpreter would visit the mound with the manager, Sadaharu Oh, or the demanding pitching coach, Tadashi Sugimoto. On one occasion, the interpreter dutifully relayed the following intricate instructions from Sugimoto:

“Pitching coach said it would be good if you could pitch perfect now,” Nitkowski recalled the interpreter saying. He added that he was so exasperated by the unhelpful suggestion that he could barely contain himself.

“I told him, ‘If I could pitch perfectly, I wouldn’t be in Japan right now,’ ” Nitkowski said.

It is unclear whether Nitkowski’s retort was accurately relayed to Sugimoto.

Having an outsider on the mound in the heat of competition was an often awkward and weird dynamic, Nitkowski said. But in the United States, where most Asian pitchers do not go through minor league systems and often have little command of English, communication problems are not infrequent. So 19 years after the groundbreaking arrival of Hideo Nomo from Japan, Major League Baseball is set to adopt a rule that will allow interpreters to accompany the manager or the pitching coach to speak to a foreign-born pitcher.

The new rule, first reported by ESPN.com, is one of many expected to be ratified by the players association before the 2013 regular season. It would even the field for players who do not speak English fluently. After all, nothing in the rule book establishes English as the league’s official language.

Two Major League Baseball officials said interpreters would be permitted for not only Japanese, South Korean and Taiwanese pitchers, but also speakers of Spanish, Dutch and Italian.

“I think it’s a great idea,” said Yoichi Terada, the former interpreter for Hisanori Takahashi, a veteran Japanese left-hander with the Mets, the Angels and the Pirates. “Managers and coaches try to use easy words, but most of the Japanese players don’t understand every word they said on the mound.”

Still, pitchers often nod as if they do.

In September 2004, Jae Weong Seo, then pitching for the Mets, was about to face Atlanta’s Chipper Jones with a runner on second base. Rick Peterson, then the Mets’ pitching coach, jogged to the mound to give Seo simple and specific instructions on pitching to Jones. Peterson had a list of statistics to back up the tactics but did not bother describing them at the time. He just told Seo not to throw a strike under any circumstances.

Seo, a right-hander from South Korea, nodded several times and said, “O.K.,” Peterson recalled.

But Peterson had barely returned to the dugout when Seo delivered a juicy strike to Jones, who drilled the ball off the wall in center field for a double. Peterson looked at anyone who would listen and said, “You know, I don’t think he understood a word I said.”

Seo had been in the United States more than four years at that point and probably had understood Peterson’s rudimentary instructions, but with some uncertainty. A great deal of nodding from a pitcher might lead some to suspect that he is not grasping the information.

“It’s universal,” said Pittsburgh’s Russell Martin, who caught the Japanese pitcher Hiroki Kuroda with the Dodgers and the Yankees. “They nod and say yes to everything you’re saying.”

After one training camp, most foreign-born pitchers have command of enough English baseball terminology to understand the basic directives of their pitching coach and catcher. When he was with the Mets, Takahashi knew to listen for “down and away” from the pitching coach Dan Warthen.

But when a pitcher has no idea what his coach is trying to convey, perhaps he nods as if he knows what is going on, just to be polite.

“Oh, sure, that happens all the time,” said Kenji Nimura, the former interpreter for Kuroda. “That’s pretty much what’s going on out there.”

But the good pitchers, like Kuroda, usually know what they are doing anyway, and the mound conference is a way to give him a breather, or buy time for the next pitcher to warm up.

When Nomo came to the United States from Japan in 1994 to pitch for the Dodgers, he spoke almost no English. But Tommy Lasorda, their manager at the time, said he never had a problem communicating on the mound without an interpreter.

“I don’t know if he understood us or not,” Lasorda said, “but usually he got the guy out.”

In most cases, the only time interpreters are not with pitchers is on the mound. But during a scouting meeting, in the trainers’ room, warming up in the bullpen or on the team bus, the interpreter is at the pitcher’s side, translating everything said. That was the case with Kazuhisa Ishii when pitched for the Mets in 2005. But when he got to the mound, communication broke down.

“It was always a struggle with Ishii,” Peterson said.

To facilitate communication with all of his Asian pitchers, Peterson would print a small card with the translations for certain instructions, and when he got to the mound, he would point to the appropriate one. But on several occasions Ishii failed to follow strict instructions not to throw his breaking ball in certain situations. Finally, during one game in which Ishii threw a breaking ball at the wrong time, Peterson turned to the interpreter on the bench and said, “If he throws one more curveball when he’s behind in the count, I’m going to kick your butt.”

In that case, no translation was necessary.
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This article has been revised to reflect the following correction:
Correction: February 3, 2013
An article on Jan. 20 about Major League Baseball’s proposal to allow interpreters to accompany coaches to the pitcher’s mound misspelled the surname of Hiroki Kuroda’s interpreter. He is Kenji Nimura, not Nomura.

URL:http://www.nytimes.com/2013/01/20/sports/baseball/baseball-set-to-allow-interpreters-on-pitching-mound.html?_r=1&#h[]