2023年4月12日

冠詞の世界 〜 「フローチャートでわかる英語の冠詞」遠田和子著

 英検一級を取得しTOEIC900越えをした頃、恥ずかしながら冠詞をきちんと勉強したことがなありませんでした。知っていたのは中学生程度の理解で、それだけでなんとなく対応していた気がします。英語を使う仕事をするようになり、英文メールやアナウンスメントを書く業務をする段になってはじめて、明確に「冠詞の使い方がわからない」と慌てたのを覚えています。

 基本的なおさらいはするのですが、わからなければ複数形でお茶を濁す…というような適当な感じでメールを書いたりしていたあの頃、振り返ると穴があったら入りたい…。それでも程なく、自分が「使う」場面を超えて「聞く」「読む」場面で非ネイティブの話す/書く英語の誤った冠詞使いで混乱することが続いた事から、誤って理解されるリスクを意識するようになります。以降、体系的に学びたいという気持ちで何冊も参考書を読みました。

 個人的に薦められたり、巷で良いとされる冠詞の参考書があればコソコソ買って勉強したものです。一度読んだだけでは身に付かないと、何度も繰り返し読んだものもあります。ですが、どの参考書も然るべき目次/Indexがあり理路整然とした説明が並んでいるにも関わらず、ぼんやりとしか頭に残らない、整理されて頭に入ってこない…そんな印象でした。

 昨年、そんな私のアイドル遠田和子先生の「フローチャートでわかる英語の冠詞」が刊行されましたが、やっと今頃になって読む罰当たり(発行されてすぐに購入したのに!…汗)。その名の通りフローチャートで冠詞の用法を解説した画期的な内容でした。冒頭でまず、辞書の読み方や調べ方を説明されています。そうすることでこの本の内容は代表的な用例の解説にとどめ、どのような視点で捉えるべきかに重点を置き、冠詞の世界をフローチャートで理解できるようにまとめた一冊です。

 本書を冠詞の指南書としてまず一番に手に取っていたらより整理して理解できたかどうか、は正直わかりません。ですが、それなりに知識のある状態で読んでみたところ、今までのぼんやり感がずいぶん整理されました。初学者か学習経験者かを問わず、まずは本書を入り口として、細かい使用法や使用法のさらなる検証は別の参考書に当たる、ということを繰り返しながら冠詞の使い方の定着を確実に図ることができそう。お勧めの一冊です。

Amazonの評価もとても良いですね!
遠田先生のご著書が評価されてファンの私も嬉し〜

***

 蛇足ですが、私が持っている(一応、通読した)冠詞の参考書です。これ以外にも一冊、電子書籍で「3つの基本ルール+αで英語の冠詞はここまで簡単になる~ジェームス・M・バーダマン (著) ネイティブ精選192問」も購入済み。(つまり通読できてないものが、これ以外にもあるわけで…汗)

「英語の中の複数と冠詞」小泉健吉郎著
 初めて通読した冠詞専門書です。英日完全バイリンガルの知人に勧められ購入しました。知人はいくつか読んだ中で「一番わかりやすかった」との事でしたが、私には大変難しく感じられました。用例の細かい説明が多数紹介されています。読んだ時には「そうか」と思うのですが、自分で同様の判断や説得力のある説明ができるか…となると難しかったです。

「英語監視講義」石田秀雄著
 遠田先生の本に出会うまでは、これが私の中のベストでした。加算/不可算、単数/複数、定冠詞/不定冠詞の対比で解説されており、これはこれで体系的に読み進めることができる一冊です。ただ、用例解説で説明に深く踏み込んでいるため、各分類の中でもパターンを個別に覚えるしかないような印象が残りました。その為、数回はこれまで通読しています。遠田先生の著書でも基本は変わらないのですが、段階的にフローチャートにまとめられている分、感覚的に難易度が緩和されています。

「現代英語冠詞辞典」樋口昌幸著
 これを通読するのは修行でした(笑)。とにかく用例集として活用するのが吉。通読はお勧めしません〜。

「本当の英語の冠詞の使い方」デイビッド・セイン著
「3つの基本ルール+αで英語の冠詞はここまで簡単になる~ ネイティブ精選192問」ジェームス・M・バーダマン 著

 この二冊は練習問題集として考えるのが良いと思います。特に「本当の英語の〜」の方は、「ネイティブはこう解釈する!」という説明なので、日本人脳で自分から能動的に冠詞を選択する手がかりには乏しいと感じます。

2023年3月13日

気づけば3月…

 明けましておめでとう…などという時期はとっくの昔に過ぎ去り、すでに桜の開花予想が出る時期になってしまいました。このブログを始めて10年以上になりますが、こんなことは初めてです。そのくらい2022年秋以降の通訳市場の繁忙ぶりは異常だったことは、通訳業界に身を置く方なら誰もが経験されているはずです。

ということで、こんな時期ではありますが…

2023年もどうぞよろしくお願いします。


 異常な繁忙ぶりだったからといって、新年のご挨拶ができない程に時間に追われていたかというとそうでもなく、リモート案件の増加をうまく利用して人々がすなるワーケーションと云ふものを私もしてみんとてすなり…なことを、年明けから何回かやってみました。

 このブログで書いた記憶があまりないのですが、運動音痴に加え寒いのが嫌いなくせに温泉地でスキーを楽しむのを趣味にしています。6−7年前から再開した趣味ですが、昨年は久々に板を購入したこともありシーズン前から楽しみにしていました。仲間と予定を合わせるのが難しくそれなら一人で行こうということで決行。

 一月中旬に越後湯沢の岩原スキー場(新潟)、一月末に仲間と行った数泊を延泊してアルツ磐梯(福嶋)、二月に仲間と行く計画に前乗りして北志賀よませスキー場(長野)という具合です。

 ワーケーションで大切なのは、当然ながら仕事優先の姿勢です。つい目の前にあるゲレンデに欲張りな気持ちが芽生えますが、普段の仕事と同じように余裕を持って会議前にスタンバイし、ゲレンデでも欲張って体力を消耗し切らないことにも気を遣いました。また、今シーズンが初の試みだったため用心して初めてのお客様やパートナーと入る会議はブッキングしませんでした。出発前に宿のネット環境やスマホの残りギガ容量を確認しておくことも重要です。また普段と変わらない音声クオリティを担保するために、自宅セットアップから大きく劣らない機材セットを持ち込みました。

 そろそろ雪は緩んでシーズンも終わりです。スキー場でのワーケーションは今シーズンはもうなさそうですが、旅先でのワーケーションも計画してみたいです。特にコロナ禍で海外渡航を控えていたせいで「そろそろどっか海外行きたい!」という気持ちがウズウズ。行き先を思案中のこの時間、もう少し楽しんでみようと思います。

 ということで(?)改めて本年もどうぞよろしくお願いします。

宮原 美佳子
ピースリンク通訳事務所

冠詞の世界 〜 「フローチャートでわかる英語の冠詞」遠田和子著

 英検一級を取得しTOEIC900越えをした頃、恥ずかしながら冠詞をきちんと勉強したことがなありませんでした。知っていたのは中学生程度の理解で、それだけでなんとなく対応していた気がします。英語を使う仕事をするようになり、英文メールやアナウンスメントを書く業務をする段になってはじめ...