2022年11月3日

AI通訳翻訳は脅威か?

 先日、地方から出てくる学生時代の友人が幕張メッセで開催中のメタバース展のために上京するというので、友人に会うついでに私もちょっと覗いてみることにしました。主にメタバースが提供するコミュニケーション(会議/イベント/遠隔トレーニング)プラットフォームの企業ブースを周り、同時通訳用チャネルの用意があるか聞いてみましたが、皆無でした(笑)ゲームプレーヤー向けのプラットフォームでは、すでにAI通訳による対応が導入されているようです。「AI通訳かぁ」と何の感慨もなく、思わず心中棒読みで呟いた次第です。

最近はNHKや民放放送局でもAI字幕翻訳で放送するようになりました。瞬時に意味の分かる字幕が繰り出され、不自然な部分もありつつ、ニュース全体として情報を理解するのに特に困らないレベルです(だから放送しているのでしょうけれど)。

NHK国際ニュースナビ 

【AI翻訳】プーチン大統領 演説動画 ウクライナ4州併合を宣言 2022年10月5日

時期を同じくして、監査案件で客先に張り付く仕事を終日対応しました。通訳対応は数回のみ、それ以外はお客様の指示で契約書翻訳をしました。機械翻訳OKとの事でDeepLにかけた後にいわゆるポストエディットで調整という作業です。DeepL出力文章も捨てたものではありません。法律文書である事を意識した文体での出力で手直し不要のセンテンスも有ります。が、周知の通り処理不能な箇所はすっぽり飛ばしたり、混乱してるのか同じ箇所に複数の訳文を出力したり、はたまた定型表現に一部マッチするところは原文にない文章を丁寧にでっち上げていたり…というお約束の展開でした。

個人的には「人間通訳翻訳者がAI通訳翻訳の進化に脅威を感じるべきか?」と問われると、正直「どうでもいい」という感じです(投げやりでごめんなさい)。AIがどんな進化を遂げているのかは興味深いし、業界に入り込んで物議を醸している以上、動向やレベルを知っておいて損はないと考えています。でも「それに対して」私達ができること、私は「何もない」と思っています。

仕事がAIに奪われて無くなる、じわじわとそれは進んでいるし、その未来はどこかの時点できっと来るのだろうと思います。でも、心配してどうなる?通訳業界の歴史で見るなら、鳥インフルエンザ、リーマンショック、新型コロナウィルス、と一気に仕事が消えるような事態は過去に何度かすでに訪れています。この先も、しかも恐らくAI通訳に人間通訳の仕事を全て奪われるまでの間に、また同様の仕事が消える事態が起こる可能性は十分に有ります。AIの脅威などよりむしろそちらの方が私はずっと現実味を帯びて脅威だと感じます。

「仕事が一時的に消滅する事態」に対してできる事は、個人事業主としてビジネス面からの備えを考え、技術職として技術の維持向上に意識を向けること、ではないでしょうか。
業界全体がそれらの誤った使い方を推進する事には反対ですが、AIや機械翻訳をただただ敵視するのはナンセンスだ…という気がします。実際、恥ずかしながら、限られた準備時間の中で調べ物の段階でネット情報を楽に大量に読むためにDeepL、とても役に立ってます。

2022年11月1日

通訳者の声のトーン - その1

通訳場面では「どのような声のトーン、ボリューム、ペースが適切か」については、かねてから興味があり自分自身であれこれ考え、発声法を試してきています。大方の結論として自分自身に課しているのは「トーン下げる、ボリューム下げる、ペース下げる」の原則です。

調子が乗ってくる、緊張してくる、集中度が高まる(集中していないともちろん通訳はできないのですが…)な状況で、私はどうしても声のトーンが上がり、ともすると声が「上ずる」までになりがちでした。さらにそういう時のペースは一様に早く、ボリュームも通常の話し声レベルでの最大になっていたようです。「トーン下げる、ボリューム下げる、ペース下げる」の原則を自分に都度課すようにしてからは、その成果か緊張していても少なくとも声が「上ずる」ことはほぼ無くなりましたし、逆に緊張してきても落ち着いて訳出することができるようになりました。

しかし、上ずらなくなった時に自分が自然に出せている声のトーンのレベルについて気づきがありました。これは同時通訳時ですが、どんなに意図しても自分の音声トーンレンジの「最低トーン」で話す事がなかなかできません。それどころか、むしろ「低いトーン」での訳出では聞き取りに影響が出る感じがする、つまり聞こえづらい感じがしてどうしても意図したトーンよりも少し高めのトーンで訳出しているようです。

英語は日本語よりも喉のより深い場所を使う方が発声しやすく、勢いそうして出す声のトーンは低くなります。また日本語でもそうですが、低い声のトーンの方が落ち着いている、信頼感を与える印象が期待できます。その為「低いトーン」での訳出を心がけていました。

色々考えてみてたどり着いた仮説は、この現象は会議参加者に男性が圧倒的に多い事に起因するということです。ご承知の通り男性は一般的に女性よりも低いトーンで話します。その為、自分の声のトーンを下げると聞こえてくる音声と干渉する感じがして、自分自身の声が聞こえにくいということがあるように感じます。私の地声は女性にしてはかなり低めなので、その傾向が顕著なのかもしれません。

加えて、以前からそうでしたが男性の低い声、いわゆるイケボは私にとっては非常に聞き取りづらいのです。(いえ、イケボは大好物なのですが…)これは同僚通訳者からも同様のことを聞いたことがあります。ある程度の高さのトーンの方が、大多数の男性の音声の中では際立って聞こえると言えるのではないでしょうか。実際、聴く側の立場に立った時にも男性の低いトーンの声に混じって聞こえてくる女性の声は、多くの場合瞬時に聞き分けられることを考えれば納得がいきます。

少なくとも私自身は自分の音声トーンレンジで最低トーンより少し上のトーンを目指して発声する方が良いようです。

2022年4月24日

JAT PROJECT2022「通訳キャリア構築法 - キャリアパスの歩き方のヒント」

  昨日開催されたJAT PROJECT2022で会議通訳者として「通訳キャリア構築法 - キャリアパスの歩き方のヒント」と題して講演しました。公開の場で人前に出るのはとても久しぶりで、少し緊張しました。ただ、参加者もそれほど多くないことを事務局からお聞きしていたこともあり、またリモートで自宅からのスピーチということもあり、本番はリラックスして臨むことができました。

 最初は自身のキャリアパスをなぞりながら、節目毎に判断を要した内容に触れる形でトークを構成しようと考えていました。ですが、それでは聞いてる方がどうご自身に役立てれば良いか分かりにくい…と気づき、前の晩に一から作り直しました。

 結果としては良かったと思っています。視聴くださった方からも一部個人的にポジティブなフィードバックを頂きホッとしています。キャリアパスの歩き方と言っても、私自身が現役通訳者してキャリアパスの途上になります。つまり、お話しした内容は今も自分の判断基準の軸というか信条のようなものになっています。もちろん、キャリアパスの何処にいるかで具体的な行動は変化すると思いますが、それでも基本的な姿勢として変化しないものですし、むしろ変化してはいけないものと近年では考えるようになりました。

 昨今、情報商材や安易なコーチングが通訳翻訳分野でもSNSを騒がせている現状があります。多くの先輩方が日々言葉や仕事と真摯に向き合う様子を間近でみていると、それが詐欺的であることはすぐにピンときます。ですが、初学者にとっては「すぐに〇〇できる!」「みるみる上達!」というコピーは魅力的なのだろうと思います。今回のスピーチではそういう安易にできる的な期待は望めないこと、時間をかけてじっくり歩むべきキャリアパスですよ、というようなことをお話ししました。

 質疑応答では、通訳学校に通うべきか?や、地方在住で通訳キャリアをどう考えるべきか?などまさに私自身がかつて考えていた疑問や不安の声を聞くことができました。私なりの回答をしましたがお役に立てれば嬉しいです。

録画はご勘弁いただきましたが、資料はこちらで閲覧可能にしています。諸々手配くださったJAT事務局、そしてご参加くださった皆さま、ありがとうございました。

2022年1月17日

The written word will flourish in the post-pandemic workplace (The Economist誌より)

The Economist:
Remote work and the importance of writing

The written word will flourish in the post-pandemic workplace

 受講しているニューストピックをディスカッションする講座で、The Economist誌からこの記事を取り上げて発表したのだけど、数日経っても色々考えてておもしろいなぁと思ってます。

 文章を書く行為は日本的にいうと文系的行為なんだろうけれど、情報を伝える為の書く技術の重要性を説いてるのがGoogleやGitHubといったテック巨大企業だとこの記事では紹介されてます。考えてみればソフトウェアを作るのに必要な様々なプログラミング言語は「言語」な訳で、本質的に理路整然と書くことで成立するプログラムを書くには「書く技術」が必要なのは当然と言えば当然。
 リモートワークになって議事録用にミーティングを録音されるお客様が増ましたが、後でその議事録を見せてもらうと、まとめた方の「書く力」が分かるというか、うまく行ってるプロジェクトの議事録はよくまとまっているけれど、そうでないのは以下略…笑
 理路整然であることは当然の要件とはいえ、独りよがりでなく、時宜にあった、さらに読み手の共通理解を前提として考慮したトピック設定、理論の展開、さらに伝えるべき事実の伝達というのは、それだけで本当に技術がいることだなと再認識してます。
 そして動画やスライド利用のプレゼンも、核になる企画書(書き物)が(頭の中であれ、どこかに)存在していることで、意図した内容を意図したレベルに近い形で表現できる気がします。すべての思考はきっと書くことから始まった…と過去にどこかの偉人が言ってないでしょうか?笑。
 私自身、誰の目にも触れないけど自分が気の赴くままに、時には自分の思考を整理するために文章を書くということを普段から割としてて、それはとても楽しい。でも、過去に何度か多くの人の目に触れる場所に文章を書いているので、こういうコラムを見ると、改めて振り返るの怖い感じがしてしまいます。でも、全ての思考の展開は書くことから始まると信じて、恐れずに自分なりに「まず何でも書いて文章にしてみる」という行為を続けていきたいと思います。
 …と書いた後で、この文章大丈夫か??
と心配になりますが、まぁいっか〜。

2022年1月4日

2022年もよろしくお願いします。

 

明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いします。

 昨年の初ポストは何を書いていたか…?と振り返ったところ、新型コロナ感染者数が猛烈に再拡大したお正月となり、海の向こうアメリカでは議会に暴徒が押し寄せ犠牲者が出た事件が発生したことが記されていました。新型コロナウィルス蔓延後とうとう二度目のお正月を迎えたことを改めて噛み締めた次第です。

 一昨年にもまして2021年はお客様や仲間達に支えられた一年となりました。政府の水際対策が継続し海外との人の往来が回復しないことには、通訳市場の需要は一部ごっそりと欠けたままであることは間違い有りません。しかし、新型コロナウィルスとの付き合い方に慣れてきた昨年は一昨年と比較すると、数多くのかつての現場がリモートで復活、そして新たにリモートをスタンダードとして始まったプロジェクトも多く存在したようです。直ビジネスに加え、エージェントさんからのご照会も随分復活して、一昨年に比較してお陰様で仕事量は大きく持ち直しています。

 その中でも昨年印象に残ったのは、自身が学ぶオンライン通訳の講座で特別講座を持たせて頂き、個人事業主ビジネスのプロセスの一例をご紹介させて頂いた事です。実は、ここ数年はできるだけ同業者の集まりで人前に出ることは避けてきました。久々に同業者の前で話すという事もあり、入念に準備をおこない、テーマに沿い網羅的にお話しすることができたと思います。直後から、早速とても役立った、実践的でわかりやすかった、と個別に沢山の感想を頂きホッとしましたし、お役に立ててとても嬉しかったです。

 また、現場に出向くオンサイトリモート案件で久しぶりに同僚と対面でご一緒する事が有りました。以前には気付かなかった同僚の心配りに、コロナ禍で臨む環境でハッとさせられることが有りました。多くは先輩方なのですが、一見すると何でもなかった事にも意味があることを知ったり、細かに配慮してくださっていた事に改めて気付かさました。フリーランスで10年以上稼働していますが、自分自身がまだ余裕を持って同じレベルで配慮ができていない点は通訳技術の向上と共に精進していくべきと気持ちを新たにしました。

 仕事を離れて個人的なところでは、昨年は誰も住まなくなった実家を解体し駐車場にするという大仕事を一つ片付けました。家族から「全て不要。廃棄してよし」と聞いていても、かつて慣れ親しんだ物、部屋、家を誰でもない「自分の手」で手放す、廃棄する、解体する、手続きを進めることは心の痛むことでした。やった者にしか分からない痛みだったと思いましたが、だからこそ自ら進めた事は私にとって良い経験になったと思っています。

 簡単に昨年を振り返りましたが、振り返りはこれでお仕舞い。過去は戻って来ないので、新たな年は、前向きに、昨年よりは少しだけ前のめりの姿勢を心掛けます。年末からオミクロン株の拡大が伝えられ、すでに国内の市中感染も全国的に見られ、新型コロナの状況は一進一退しながら今年も進むことが予想されます。前のめりを意識しつつ、それでも今年も一つ一つのお仕事を大切にしながら、仲間やお客様と一緒に前進して参ります。

 本年もどうぞよろしくお願い致します。

宮原 美佳子
ピースリンク通訳事務所

2021年11月4日

要事前確認!延長時の交代対応

 未だに鎖国状態ですから相変わらずオンサイトイベントは復活していませんが、リモートでは秋真っ盛りよろしくWebinarなどイベントの打診を頂くようになりました。

 オンラインでのイベント案件では参加者への配慮から、従来のオンサイトイベントと比較するとスケジュールが時間通りきっちり進むものが多い印象です。通常、イベントでの通訳分担はエージェントさんが事前に決定して通訳者にご連絡下さいます。実は、先日のお仕事でも分担が決まっているにも関わらず焦る出来事がありました。

 30分予定のプレゼンで前後半それぞれパートナーと15分毎の分担でした。私が後半を担当したのですが、15分経っても終了しません。16分、17分と経つうちに苦しくなり別回線のパートナーに合図をして18分で何とか交代できました。

 隣に座っていれば気配で察してもらえるため、これまでこういう場合でも難しさを感じることは稀で、多くの場合パートナーが気づいて引き取ってくれていました。リモートでは画像有りの回線接続であっても、人によっては交代タイミングでしかパートナー画面を確認していない、中には音声も交代タイミングでしか流されない方もいらっしゃいます。

 対応のパートがオーバーランした時の対応については、一言事前に確認しあっておいた方がいいという事を学びました。

 それにしても、割り当ての時間をこなすと「やることやった!」という意識からなのか、途端に苦しくなり焦る現象はなんでしょう…?事前に「20分まではやる」「終わりまでやる」と決めておきさえすれば苦しても少なくとも焦りはしなかったはずです。

 「これは自分のパート」と覚悟を決めて最後まで担当することができず、パートナーにヘルプをお願いしてしまったのも少し反省でした。ただ、結局はそのパート、オーバーランすること7分。交代してもらって正解でした。

 リモート通訳珍道中は続きます…

2021年9月30日

「運まかせ」でない勘どころ

 会議出席者の発話に訛りやアクセントがある場合には知っている言葉もそれに聞こえないというのはよくあります。苦労します。訛りがきつい時は本当にツラい。ですが、英語ネイティブスピーカーでない私が話す英語にはそのまんまブーメランなので、ツラいと表明することも申し訳なくは思っています。ごめんなさい。

 先日、取り扱いに注意すべき個人情報を適切に管理する、という文脈の話を通訳した時のこと、ある場所に格納された情報項目を列挙していくのですが…

fist name, last name, address, phone number, card number…

ファーストネーム、ラストネーム、住所、電話番号、カード番号…

 と、ほぼ自動的に訳出しながら、なんか違和感。日本語で「カード番号」というとほぼクレジットカード番号を意味します。しかし「英語では credit card number と 必ず credit を言うよね?」と頭によぎり、でも「sensitive information の話をしてるから間違いないはず。」とわずかな違和感をはたしてあっさりと打ち消してしまいました。そして、そして2-3回目からの訳出ではかなり堂々と、ご丁寧に「クレジットカード番号」と訳出してしまいました。

 が、なんと card number ではなくcart number でした。話者は英語ネイティブではなかったのですが、通販サイトでカート内にユーザーが入れた商品点数をこう表現していたようです。確かにトピックはEコマース。であれば「カート」でピンとくるべきか?運任せに聞こえた通り「カード番号」とせずに確信を持って「カード番号」とまでしたものが全く裏目に出てしまいました。でも sensitive information じゃないし…と、脳内で言い訳をグルグル回しながらも、誤訳なのですぐに訂正した次第です。

 扱うトピックについて「勘どころがある」「勘がはたらく」と言うのは割と大切なこと。実際、私たちは日常の会話では常に、あれ、それ、これなどの指示語を巧みに用いて相互理解を成立させています。明示的に何かを言われなくても「あの事を話している」とピンときたり、ピンとまでこなくても「何となくそういうことかなぁ」でどうにかなってしまっている訳で。

 だけど、ピンとこなかった…。それどころか「もっと昔はカートではなくてバスケットだったよね?」「ほらバスケットサイズとかいう用語もあったし」とか、どうでもいい事まで思い出す始末。

 明日もがんばります。

2021年8月7日

進化するRSIオフィス環境 ー 大型ディスプレイ導入

  長いこと欲しいと思っていた大型ディスプレイ。RSIの案件が増加して以降、多くの通訳者から「Game Changerだった!」と聞いていたものの「無くても死なない」という状態が続いていたこともあり、なかなか購入に踏み切れずにいました。東京の3回目の緊急事態宣言が明けてすぐに所用のため広島に戻ったのですが、家人が購入して使用していた大型ディスプレイを拝借して4日間使わせてもらいあっさり購入を決めました。ちなみに私が購入したのはこちらの商品です。

【Amazon.co.jp限定】Dell U2720QM 27インチ 4K モニター 

 大型ディスプレイですから表示面積を大きく確保できるため、1. リモート通訳時に共有された資料を大きく表示して確認できる 2. 手持ち資料や用語集を常時確認しながら通訳できる、は当然のメリットとして期待していたことでしたが、それに加えて決め手になったのは以下のポイント。

  1. デスク上の配線が多少ではあるがスッキリする(ディスプレイに付属のUSB-Aおよび給電接続)

    外付けマイク、サブ回線機材、ミキサー等を使用しているためオーディオ系のケーブルがかなり煩雑にデスク上にあり、この配線を少しでもスッキリできるのはメリット。
  2. ラップトップ画面とのマウス移動のスムーズさと画面配置のフレキシブルさ

    私はマウスではなくトラックパッド操作のみで使用しています。画面配置を詳細に設定できてほぼラップトップ画面とのカーソル移動にストレスがありません。(ラップトップ画面をそのままミラーリングで使用することも可能)
  3. 解像度選択の自由度の高さ
    
Macbookの Ratina画面は非常に画質が高く、外付けディスプレイのスペックによっては長く使う間に画質の差がストレスになると聞いていました。その点、私が購入に踏み切ったディスプレイは4K対応で長時間の利用でもストレスは今のところ感じていません。

一方で、使用し始めてわかった事(いいことばっかりでもない…)も有りました。

  • グラフィック処理にCPU負荷増加しラップトップのファンが轟音をあげ始めた(特にMS Teamsで顕著…)
  • RSIプラットフォームには一定以上のブラウザサイズに対応しないものがあり、画面拡大してもコンテンツサイズは追従しない


 こうなると、Mac使いとしてはファンレスのM1チップを詰んだ新しいMacBookが欲しくなるのは当然な展開。でも、ラップトップは現行MacbookProがあるのだから次に買うのはMacMiniでも良いのでは?と夢は広がりますが、もう少しよく考えようと思います(笑)

でも、大型ディスプレイを購入した事は概して正解でした。

 これまでのブログ投稿で紹介してきませんでしたが、外付けマイクやミキサーもすでに導入してすっかりRSIの最適な環境が整いつつあります。これからも必要に応じて進化していくと思いますが、こうなってくるとオンサイト・リモート案件ではよほど環境が整備されていないと、パートナー通訳者とのハンドオーバー以外には不便さえ感じるようになってしまいました。

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 デスク左下にはシュレッダーとゴミ箱、右下にはプリンターを配置。奥に同じ幅のデスクをもう一台設置し、コロナ禍が明けたらここで二人同通もできることを想定しています。パートナーにオフィスに来てもらう手間は発生しますが、未だにハンドオーバーでは神経を使うことが多く、また稀に発生するオンサイトRSIでのスムーズなハンドオーバーと仕事後のちょっとした息抜きのおしゃべりや情報交換は恋しい…というのが本音です。

2021年6月14日

通訳業界の動向ー今後のカンファレンス形態

 コロナ禍に明け暮れた2020年の通訳業界だったと思います。私自身も大きく影響を受けました。業界的にはどうだったのでしょうか?SNSでの個人の発言は断片的で、個別の「仕事が戻ってきてる」「もう完全に回復した」という言葉をそのまま鵜呑みにするのは違うと思いつつも、全体的な動向を俯瞰して見せてくれるデータがないことに不安を募らせる通訳者も多いと思います。

 先月、日本の唯一の上場翻訳通訳会社である株式会社翻訳センターが昨年度(2021年度:2019/4-2020/3)の決算発表を公開しています。通訳部門の売上だけ見れば2020年を100%とすると2021年はほぼ50%まで落ち込み、2022年度の売上予想も対2020年で60%までしか回復しない想定です。営業利益では2021年度は通期マイナスで推移しています。

 JTFの業界白書(かなり高額ですがAmazon購入可能)も発表されています。内容を分析し先週開催されたオンラインの解説も録画で視聴してみました。通訳者の動向については回答者の数と属性に偏りもあり、個人的にはここから何らかの結論を導き出すのは難しいと感じました。

 以上のことから、個人的な細かい解釈はここでは控えるべきとは思います。しかし、大手一社の動向が業界全体を表す物ではないことは認識しつつも、市場動向がコロナ禍前のレベルまで回復するには相当の時間がかかるという印象です。あるいは、回復期間にはリモート通訳の出現も受け、業界構造が大きく変化していく可能性もあるのではと見ています。

 そこで気になるのは、リアルの現場が戻るのか?ということではないでしょうか。徐々にでなく一気に情勢が変化し、今はリモート通訳が完全に主流になりました。見込まれる増加ボリュームの多くを占めるのは、リアルイベント関連の会議ではないかと思います。

 需要回復の理由として「人は人に会いたい生き物だから」を否定はしないのですが、それだけでリアル市場の回復を説明するのは、私としては少し乱暴な気がしていました。リモートの利便性を人々が知った今、本当にそれだけの理由で以前のボリュームが元通りになるのでしょうか?私自身もこの辺りはまったく予測がつかないでいます。

 そんな中、先日聞いていたPodcastで面白い会話があったのでご紹介します。何らかの結論を導き出す物ではありません。しかし「人はお互い会いたいから」という単純な説明に終始せず、もう少し踏み込んで丁寧にケース分類をしています。ホストとゲストが実際に過去1年間に参加したカンファレンス経験などを基にこの先のカンファレンスのあり方に多少の期待を膨らませながら進められたトークになっています。

 ご興味ある方はぜひ。全編は超絶長いのですが、以下のリンクから「Chapters」タブを開き「バーチャルカンファレンス」をクリックすると該当部分を聞く事ができます。

Rebuildfm June 1/2021 306: Complaining Bot (takoratta)

…余談ですがこのRebuildfm、US在住のホスト(宮川達彦氏)が毎回さまざまなゲストをIT業界を中心に招き、ITを中心に、しかしITに止まら無い社会情勢から時には超個人的な趣味に走ったトピックまで、毎回なかなかにダラダラなのですが中毒性のあるチャンネルです。

2021年5月10日

お仕事サイトリニューアルのお知らせ

 突然ですがお仕事サイトをリニューアルしました!

 前回このサイトを作成したのはフリーランス独立後すぐの10年強前でした。どうにかお仕事に繋げようと文章にこだわりすぎ、とにかく文字が多くて御託並べまくりのサイトでした。今思えば恥ずかしい売り言葉に溢れていた気がします。もちろんプロフェッショナル然としたサイトであることは重要ですが、リニューアルしたサイトではとにかくシンプルで分かりやすい事を大前提としました。伝えたい想いは沢山ありますが、まずは気楽にアクセスしていただき、私の思いは実際にお客様とやりとりする中で感じ取っていただき、さらに実際の成果物である通訳翻訳サービスでご満足いただけることを目指したいと思います。

 もう一つ変えたかったのは、あらゆるデバイスで読みやすいサイトにする事でした。当時は扱えるHTMLの技術も今ほど発達しておらず、ネットで探してきたテンプレートにひたすらイメージや文言を入れて作成しましたが、それでも「それなり」な仕上がりでした。ところが、PCで見ることが殆どだったウェブサイトはこの10年の間にスマートフォンやタブレットが広く普及したことで、さまざまな表示サイズに対応する必要が出てきたため、ブラウザ表示技術も大きく進化しています。いわゆるResponsiveと言われるブラウザサイズに追随してイメージサイズや文章ウィジェットの配置構成を最適化して表示する技術です。

 このブログはGoogle Bloggerを利用していますが、実はGoogle Bloggerもこの間にタブレットやスマホ表示のオプションがすべてのテンプレートに設けられ、表示サイズに違和感や読みにくさを感じることなくモバイルでの表示を最適化するアップグレードが行われています。

 専門家に指導を受けながら(難しいところは丸投げしました…汗)今回のリニューアルとなりました。ITを専門領域とする私としては、今回はGitHubを実際に使ってその動きや利便性を理解できたのが大きな収穫でした。

 という訳で、新しいピースリンク通訳事務所のサイトと共に私も心機一転して前を向いて行こうと思います。このブログともども、これからも引き続きどうぞよろしくお願いします。

2021年2月21日

通訳翻訳ジャーナル(2021年春号)に寄稿しました

 これを書いている今、全豪オープンの大坂なおみ選手がプレイする決勝戦を見ています。アスリートも大舞台となると、緊張しないのかしら…とふと思ったのですが、緊張しないようとにかく練習してメンタルも同時に鍛えてるからここまで来れるんでしょうね。

 実は、自分にとり大きな仕事を控えていて昨夜はなかなか寝付けませんでした。もともと夜型なのに加え、会議の多くがリモートにシフトし起床時間が遅めで対応できるようになったことも手伝い、ここの所の就寝時間が極端に遅くなっていたのも理由の一つです。二日程前から少し早めにベッドに入るようにしていたのですが、緊張には勝てませんでした。

 でも、考えてみれば、フリーランス10年以上になるにもかかわらず、まだ緊張できる現場に臨むことができていると言うことは、けして後退はしていないと言うことです。心地よい場所に止まらず割りと果敢に挑戦してこれたかな…と思います。

 仕事の出来そのものは毎回反省の方が多いのは変わりません。でも、昨日だったか芸能通訳者の今井美穂子さんがTwitterで「だいたい脳は問題ばかり追っかけるようにできているので、『ぜんぜん成長してない』というのはバイアスであること多く…中略.…人は意外と成長している。」と書かれていました。全く同感です。

 そして午前中の(私にとって大)仕事を終えて帰宅すると、寄稿した通訳翻訳ジャーナルが献本として配送されていました。声を掛けてくださったJATに感謝です。実は打診を頂いた年末は、年明けを前に何か閉塞感をヒシヒシと感じていた時期で、この雑誌のメイン読者層を想定してどうメッセージを送っていいのか分からないでいました。この閉塞感の打開の緒を探していて、ちょうど一年近く前、昨年のお正月過ぎに東京外語大学で行われた新崎先生のご講演を聞きに行ったことを、ふっと思い出したのです。

 思えば私の泣き笑い通訳人生は常に新崎先生に(勝手に、笑)励まされてきたものだった…と思いながら、フリーランスになって以降の自分を思い返してみると、みるみる勇気が湧いてきたのでした。先の今井さんの呟きはまさにそうで、3年前、5年前と比べれば進歩してる事も贔屓目なしに確認できます。と言うことで「立ち止まってないでできる事をやろう。通訳することは、なんせ楽しいじゃないか!」…そういう記事を書きました。ちょっと内容を詰め込みすぎて失敗したかな…とも思っていたのですが、イカロス出版の方が上手く小見出しをつけて下さって、文章全体が締まりました。

今号も存じ上げてる方の記事がいくつもあり、さらにコロナ禍が始まりほぼ一年の今、業界がどのようにシフトしているのか、この先はどこへ向かうのか、考えるヒントを数多く得られそうな内容です。よければ購入して読んでみてください。

そして大坂なおみ選手、優勝しました!
おめでとう!

彼女のようなスーパースターにはなれないけれど、上を目指して挑戦する彼女の姿にグッときています。さぁそろそろ寝ます(笑)

AI通訳翻訳は脅威か?

 先日、地方から出てくる学生時代の友人が幕張メッセで開催中のメタバース展のために上京するというので、友人に会うついでに私もちょっと覗いてみることにしました。主にメタバースが提供するコミュニケーション(会議/イベント/遠隔トレーニング)プラットフォームの企業ブースを周り、同時通訳用...