最近、ひょんなことから東京外国語大学で教鞭をとられている鶴田知佳子先生とメールのやり取りをすることが有りました。
先生のご著書は、著名人のスピーチを集めた「リーダーの英語」をはじめ、世界経済フォーラム(ダボス会議)を取り上げた著書まで発刊される度に必ず購入していますが、その中でも私のお気に入りは「英語で伝えるオジサン的ビジネス表現」です。そのことをご本人に伝えたところ、「実は自分も特に思い入れを持って書いた本だけれども売上が今ひとつ…。」とおっしゃられ、とても意外でした。おもしろいのに!なぜ!?…という感じです。
表題の通り、オジサン的表現をどう通訳するか?という問題に応えてくれる本です。しかし、世のオジサマ達はここにあげられている例にとどまらず日々「オジサン的表現」を自由に創造してくれるわけで…(笑)。そういう意味ではその全てには応えきれているわけではありません。しかし「文脈の中にあるメッセージはこんな風に考え工夫して発信すればいい」というプロセスを、様々なオジサン的表現をもとに解説してくれています。
常々「通訳とはメッセージを発信するもの」「言葉に近づき過ぎないで、スピーカーの意図をつかむ」と頭では考えてわかっているつもりだったもののピンとこないでいた社内通訳当時、大いに目から鱗だったことを思い出します。
ここにあげられている具体例を現場で使ってオーディエンスの反応を確かめるのも楽しかったですし、自分が出会った「オジサン的表現」を自分なりに工夫することに密かな楽しみを見出したりしていました。
先日、通訳学校の生徒さんにも本を持参して実物を見せて紹介したのですが、写真をとったりメモをとって帰るなど皆さん興味を持ってくれたようです。
私は社内通訳当時、会社のデスクに侍らせて、疲れた時や、息抜きしたい時の読み物としても読んでいました。今でも「そういえばこの『オジサン的表現』あの本に!」と思い出して、時々開くことが有ります。