2021年6月14日

通訳業界の動向ー今後のカンファレンス形態

 コロナ禍に明け暮れた2020年の通訳業界だったと思います。私自身も大きく影響を受けました。業界的にはどうだったのでしょうか?SNSでの個人の発言は断片的で、個別の「仕事が戻ってきてる」「もう完全に回復した」という言葉をそのまま鵜呑みにするのは違うと思いつつも、全体的な動向を俯瞰して見せてくれるデータがないことに不安を募らせる通訳者も多いと思います。

 先月、日本の唯一の上場翻訳通訳会社である株式会社翻訳センターが昨年度(2021年度:2019/4-2020/3)の決算発表を公開しています。通訳部門の売上だけ見れば2020年を100%とすると2021年はほぼ50%まで落ち込み、2022年度の売上予想も対2020年で60%までしか回復しない想定です。営業利益では2021年度は通期マイナスで推移しています。

 JTFの業界白書(かなり高額ですがAmazon購入可能)も発表されています。内容を分析し先週開催されたオンラインの解説も録画で視聴してみました。通訳者の動向については回答者の数と属性に偏りもあり、個人的にはここから何らかの結論を導き出すのは難しいと感じました。

 以上のことから、個人的な細かい解釈はここでは控えるべきとは思います。しかし、大手一社の動向が業界全体を表す物ではないことは認識しつつも、市場動向がコロナ禍前のレベルまで回復するには相当の時間がかかるという印象です。あるいは、回復期間にはリモート通訳の出現も受け、業界構造が大きく変化していく可能性もあるのではと見ています。

 そこで気になるのは、リアルの現場が戻るのか?ということではないでしょうか。徐々にでなく一気に情勢が変化し、今はリモート通訳が完全に主流になりました。見込まれる増加ボリュームの多くを占めるのは、リアルイベント関連の会議ではないかと思います。

 需要回復の理由として「人は人に会いたい生き物だから」を否定はしないのですが、それだけでリアル市場の回復を説明するのは、私としては少し乱暴な気がしていました。リモートの利便性を人々が知った今、本当にそれだけの理由で以前のボリュームが元通りになるのでしょうか?私自身もこの辺りはまったく予測がつかないでいます。

 そんな中、先日聞いていたPodcastで面白い会話があったのでご紹介します。何らかの結論を導き出す物ではありません。しかし「人はお互い会いたいから」という単純な説明に終始せず、もう少し踏み込んで丁寧にケース分類をしています。ホストとゲストが実際に過去1年間に参加したカンファレンス経験などを基にこの先のカンファレンスのあり方に多少の期待を膨らませながら進められたトークになっています。

 ご興味ある方はぜひ。全編は超絶長いのですが、以下のリンクから「Chapters」タブを開き「バーチャルカンファレンス」をクリックすると該当部分を聞く事ができます。

Rebuildfm June 1/2021 306: Complaining Bot (takoratta)

…余談ですがこのRebuildfm、US在住のホスト(宮川達彦氏)が毎回さまざまなゲストをIT業界を中心に招き、ITを中心に、しかしITに止まら無い社会情勢から時には超個人的な趣味に走ったトピックまで、毎回なかなかにダラダラなのですが中毒性のあるチャンネルです。

2021年5月10日

お仕事サイトリニューアルのお知らせ

 突然ですがお仕事サイトをリニューアルしました!

 前回このサイトを作成したのはフリーランス独立後すぐの10年強前でした。どうにかお仕事に繋げようと文章にこだわりすぎ、とにかく文字が多くて御託並べまくりのサイトでした。今思えば恥ずかしい売り言葉に溢れていた気がします。もちろんプロフェッショナル然としたサイトであることは重要ですが、リニューアルしたサイトではとにかくシンプルで分かりやすい事を大前提としました。伝えたい想いは沢山ありますが、まずは気楽にアクセスしていただき、私の思いは実際にお客様とやりとりする中で感じ取っていただき、さらに実際の成果物である通訳翻訳サービスでご満足いただけることを目指したいと思います。

 もう一つ変えたかったのは、あらゆるデバイスで読みやすいサイトにする事でした。当時は扱えるHTMLの技術も今ほど発達しておらず、ネットで探してきたテンプレートにひたすらイメージや文言を入れて作成しましたが、それでも「それなり」な仕上がりでした。ところが、PCで見ることが殆どだったウェブサイトはこの10年の間にスマートフォンやタブレットが広く普及したことで、さまざまな表示サイズに対応する必要が出てきたため、ブラウザ表示技術も大きく進化しています。いわゆるResponsiveと言われるブラウザサイズに追随してイメージサイズや文章ウィジェットの配置構成を最適化して表示する技術です。

 このブログはGoogle Bloggerを利用していますが、実はGoogle Bloggerもこの間にタブレットやスマホ表示のオプションがすべてのテンプレートに設けられ、表示サイズに違和感や読みにくさを感じることなくモバイルでの表示を最適化するアップグレードが行われています。

 専門家に指導を受けながら(難しいところは丸投げしました…汗)今回のリニューアルとなりました。ITを専門領域とする私としては、今回はGitHubを実際に使ってその動きや利便性を理解できたのが大きな収穫でした。

 という訳で、新しいピースリンク通訳事務所のサイトと共に私も心機一転して前を向いて行こうと思います。このブログともども、これからも引き続きどうぞよろしくお願いします。

2021年2月21日

通訳翻訳ジャーナル(2021年春号)に寄稿しました

 これを書いている今、全豪オープンの大坂なおみ選手がプレイする決勝戦を見ています。アスリートも大舞台となると、緊張しないのかしら…とふと思ったのですが、緊張しないようとにかく練習してメンタルも同時に鍛えてるからここまで来れるんでしょうね。

 実は、自分にとり大きな仕事を控えていて昨夜はなかなか寝付けませんでした。もともと夜型なのに加え、会議の多くがリモートにシフトし起床時間が遅めで対応できるようになったことも手伝い、ここの所の就寝時間が極端に遅くなっていたのも理由の一つです。二日程前から少し早めにベッドに入るようにしていたのですが、緊張には勝てませんでした。

 でも、考えてみれば、フリーランス10年以上になるにもかかわらず、まだ緊張できる現場に臨むことができていると言うことは、けして後退はしていないと言うことです。心地よい場所に止まらず割りと果敢に挑戦してこれたかな…と思います。

 仕事の出来そのものは毎回反省の方が多いのは変わりません。でも、昨日だったか芸能通訳者の今井美穂子さんがTwitterで「だいたい脳は問題ばかり追っかけるようにできているので、『ぜんぜん成長してない』というのはバイアスであること多く…中略.…人は意外と成長している。」と書かれていました。全く同感です。

 そして午前中の(私にとって大)仕事を終えて帰宅すると、寄稿した通訳翻訳ジャーナルが献本として配送されていました。声を掛けてくださったJATに感謝です。実は打診を頂いた年末は、年明けを前に何か閉塞感をヒシヒシと感じていた時期で、この雑誌のメイン読者層を想定してどうメッセージを送っていいのか分からないでいました。この閉塞感の打開の緒を探していて、ちょうど一年近く前、昨年のお正月過ぎに東京外語大学で行われた新崎先生のご講演を聞きに行ったことを、ふっと思い出したのです。

 思えば私の泣き笑い通訳人生は常に新崎先生に(勝手に、笑)励まされてきたものだった…と思いながら、フリーランスになって以降の自分を思い返してみると、みるみる勇気が湧いてきたのでした。先の今井さんの呟きはまさにそうで、3年前、5年前と比べれば進歩してる事も贔屓目なしに確認できます。と言うことで「立ち止まってないでできる事をやろう。通訳することは、なんせ楽しいじゃないか!」…そういう記事を書きました。ちょっと内容を詰め込みすぎて失敗したかな…とも思っていたのですが、イカロス出版の方が上手く小見出しをつけて下さって、文章全体が締まりました。

今号も存じ上げてる方の記事がいくつもあり、さらにコロナ禍が始まりほぼ一年の今、業界がどのようにシフトしているのか、この先はどこへ向かうのか、考えるヒントを数多く得られそうな内容です。よければ購入して読んでみてください。

そして大坂なおみ選手、優勝しました!
おめでとう!

彼女のようなスーパースターにはなれないけれど、上を目指して挑戦する彼女の姿にグッときています。さぁそろそろ寝ます(笑)

2021年1月26日

Mac上のPDF資料をiPadに表示しApplePenで直接書込み

  昨年のコロナ禍で、エージェントから資料の電子化についての打診が相次ぎました。私は一部のエージェントには紙資料の送付は基本的になくても良い事を告げていたこともあり、電子データでの資料提供に特に不都合を感じた訳ではありません。しかし、スケジュールや分担票など現場・リモート関係なくすぐに手元に欲しい資料は自宅で印刷していましたし、枚数が少ない時にはこれ迄の慣れもあり印刷して準備することがまだまだありました。その為、流石にこの連絡が各社から来た時には「ついにデジタルトランスフォーメーション(DX)の波が通訳業界にも押し寄せてきたか…」と感じたものです。

 そうなってくると、より効率的に資料を扱える事は準備負荷を軽減するのにはとても重要になります。今回ご紹介するのは、昨年秋にはその存在を知り、使い始めてまだ数ヶ月程度ですが随分とお世話になっている機能です。

 文章で紹介するよりも、動画で紹介する方が早いと思いネット上の紹介動画を探したのですが、適当なのが見つからないので自分で撮影してみました。

【手順】

条件:開けるファイルはPDF。*サイズが大きいものは稀に開けない事があります。

  1. Mac上のFinderに対象のPDFファイルを表示し、カーソルを合わせて選択状態にする。
  2. 選択状態でスペースキーを押すと、クイックルックモードでPDFファイルが開かれる。
  3. クイックルック画面の右上メニューにあるマークアップ(ペン先のアイコン)をクリック。
  4. 同じiCloud IDのデバイスであるiPadに同じPDFファイルが開く。
  5. iPad上で通常編集するようにApplePenを使い書込むと、リアルタイムでMac側のクイックルック表示に書込み編集が反映される。

Apple社の説明ページはコチラ

2021年1月8日

2021年もよろしくお願いします。

 

 新年を見渡すにもまずは昨年を振り返るのが定番、と思い書き始めてみたのですが、何を書いても新型コロナウィルスで云々…という文章になってしまい、あまりに面白く無い。一向に筆が進まず、気付いたらあっという間に1月6日になってしまいました。新年のスタートとしてはあまり幸先の良いものではありません。

 ですが、ふと気がつきました。この際、嬉しかったことや楽しかったこと「だけ」振り返ればいいんじゃない!?と(笑)。新型コロナウィルス感染拡大があまりにもインパクトが大きすぎて埋もれがちな明るい話題、明るい気持ちになった出来事を総括してみようと思います。

  1. 同僚や一緒に学ぶ仲間にリモート通訳の手法や注意点について情報共有ができた。
  2. 昨年ご相談いただいていた通訳目指して勉強中の方から、資格試験に合格したと春に嬉しい報告が有った。
  3. 広島の中高生を対象に通訳翻訳の仕事についてリモートイベントを開催。参加者は数名だけど好評だった。
  4. リモート通訳で新規に打診をいただき、数社ほど継続的なお仕事につながった。
  5. 昨年以前にお付き合いのあったお客様数社から久しぶりの打診を頂いた。
  6. 転職されて別会社へ移られた以前お付き合いのあった方から打診を頂いた。
  7. 専門外の難解な案件にお声がけ頂き、迷ったけれど同僚の協力を得て用意された資料をもとに準備を進めお客様に好評頂いた。
  8. 多くの同僚とZoom飲み会を通じて仕事やプライベートでの不安を話したり合い励ましあったりすることができた。誘ってくれる同僚に感謝!
  9. 比較的長い期間を広島に滞在することができたので、例年より頻繁にお好み焼きを食べられた。
  10. 簡単な筋トレを始めて約三ヶ月毎日継続できた。(残念なことに五十肩でドクターストップ…)
  11. 数十年ぶりに半年以上の一人暮らしの自由を謳歌した。

 これ以外にも平時であればそれほど気に留めなかったことが嬉しかった事として記憶されています。特に、お客様や同僚とのやり取り、人の繋がりに支えられている事を感じずにはいられません。筋トレを頑張れていたのも友人の励ましのおかげでした。この場を借りて昨年私を気にかけて下さった方に心からお礼を申し上げます。

 さて、嬉しいこと楽しいことだけを振り返りましたが、人に支えられているという意味では一つ悲しい出来事に触れておきたいと思います。

 昨年春に広島を拠点に活動された先輩通訳者が逝去されました。通訳学校で講師として教えを受けたのが最初の出会いで、その後は私が社内通訳として稼働するまでは長くお会いしませんでした。外部フリーランスとして職場に来られた先輩とブースで久々にご一緒した時の緊張感は忘れません。以降、一昨年まで頻繁に県内外の現場だけでなく海外でもご一緒いただきました。また、ここ数年は個人的に気にかけていただきいろいろアドバイスを頂いていました。仕事にはとても厳しい方でしたが、出張時に触れた素顔はとても優しい女性という印象で驚いたのものです。その彼女が広島を拠点に活躍する様子が私を折にふれ鼓舞していたことは間違いありません。
 きちんとお礼もできないままにお別れすることになったのが悔やまれます。でも、別れとはそういうものなのかもしれません。今は広島の後輩として恥ずかしくない仕事を続けていくことが御供養だと思っています。

 さて本日、東京では新型コロナ新規感染者数が2,000人を超え、昨日に次ぐ記録更新。そして海の向こうも大変な事態になっているようです(ワシントンD.C.ホワイトハウスに選挙結果に抗議デモする人達が乱入)。世界的には先行き暗い一年の幕開けですが、こんな時だからこそご縁に感謝して生き抜く力を蓄えて気持ち前向きに日々過ごしたいと思います。

 そしてそんな風に過ごすことが誰かの気分を少しでも上げるきっかけになればと思います。その延長線上で通訳翻訳の仕事を通じてどなたかのお役に立てる場面が少しでも多く持てる一年にして行きたいと思います。

本年も粘り強く参ります。
引き続きどうぞよろしくお願いします。

宮原 美佳子
ピースリンク通訳事務所 代表


通訳業界の動向ー今後のカンファレンス形態

 コロナ禍に明け暮れた2020年の通訳業界だったと思います。私自身も大きく影響を受けました。業界的にはどうだったのでしょうか?SNSでの個人の発言は断片的で、個別の「仕事が戻ってきてる」「もう完全に回復した」という言葉をそのまま鵜呑みにするのは違うと思いつつも、全体的な動向を俯瞰...