翻訳会社あるいはエンドクライアントと直に契約する場合でも、NDA(Non-Disclosure Agreement)にサインするよう依頼されるのは当たり前のことになりました。いわゆる守秘義務契約書です。頂いたデータは外部に漏れないように細心の注意を払います。ですが、今回の百度文庫への企業の機密文書の漏洩状況をみていると、そういった「守秘義務などお構いなしの第三者」が加担している場合がほとんどの様に想像されます。日本企業の社外秘資料大量流出=中国の文書共有サイトに-大手軒並み被害
【北京時事】文書・資料やデータをインターネット上で共有できる中国の有力サイト「百度文庫」に日本企業の社外秘資料や内部文書が1、2年前から大量流出し、誰でも見られる状態になっていることが7日分かった。情報流出問題を調査し、日本企業の対応にも当たる分部悠介弁護士(上海駐在)によると、大手メーカーの特許出願前の技術資料や、日本の広告会社の顧客向けプロジェクト提案資料なども流出したことがあるという。
時事ドットコム(2013/08/07-14:29)
翻訳業界の値崩れ傾向の裏には、LCC(Low Cost Countries)にアウトソーシングされているという大きな流れが有ります。日英翻訳で一文字一円‥という信じられないレートを耳にすることもあります。私の知るある翻訳会社社長は「現地人員でも教育次第で使えるクオリティーの翻訳が可能になる!」と豪語し、某東南アジアの国に事務所を構えて「これからはアウトソーシング!」と意気揚々とされていました。
このように、これまでは翻訳者の顔が全く見えなくても(翻訳者が顔を見せなくても)品質が担保されさえすれば、取引には問題がないと見なされていましたが、将来的には翻訳の品質と同様に「信用」をお客様に頂くことができなければ「いい仕事」を頂く事も難しくなるのではないでしょうか。大手が大量受注で利益を出す中、弱肉強食の様相を市場が呈する状況下では、中小の翻訳会社が堅実にビジネスを進めていくにはこうした「信用」「顔が見える翻訳会社・翻訳者」というのが一層お客様にアピールするようになるような気がします。
一方で、大量受注できる足回りの軽さを中小企業でもシステマティックに実現していくため、知恵を絞っていくことも考えてみたい‥と思っています。