イカロス出版による「通訳・翻訳ジャーナル」に連載されていた字幕翻訳者の太田直子さんの記事がこのほど書籍として出版されました。「字幕屋に「、」はない (字幕はウラがおもしろい)」です。まだ手元に届いていなかったのですが、丁度私のFBに流れてきた情報から、その太田直子さんがラジオ番組に出演されることを知りました。
その日は9時から客先でしたが、8:35-9:00までのJWAVEのラジオ番組「別所哲也のJ-WAVE TOKYO MORNING RADIO」を通勤途中にradikoで視聴することができました。(便利な時代になったもんです…笑)
面白いな…と思ったのは、音声でメッセージが流れてくることにより、文字で誰かの文章を読む時とはちがった印象を受けたことです。通訳・翻訳ジャーナルの連載は時々拝見していたので彼女の書く文章は目にしていましたが、こうして声を聞くと当たり前なのですがより人物に立体感が生まれる気がしました。
そんなことを考えながらふと彼女が専門としている「字幕翻訳」を考える時、いわゆる文字ベースで作業の行われる「翻訳」とはまた違った新しい分野の翻訳であることをハッキリ認識したのです。
音声や動画が伴うという側面でとらえると、今急速に需要が伸びており、目指す翻訳者も増えていると聞く「ゲーム翻訳」も文字ベースの「翻訳」とは違う、この新しい分野の翻訳といえるのかもしれません。(というか、知ってはいても私がハッキリ分かる形で認識していなかっただけなのですが…汗)
私自身の経験では、以前に故新藤兼人監督を紹介する「百年の軌跡」プロジェクトで短いビデオに字幕をつける仕事のお手伝いをしたことが有ります。本人の声、出演者の声、そして間によって語られる「場面」を丁寧に解釈していく仕事は翻訳で有りながら「通訳の側面も随分ある。」「文字ベースの翻訳とはまた違った醍醐味だ。」と感じたのを思い出しました。
JAT(日本翻訳者協会)でも、今月初めに9月1日(日)にJATENT(JATエンタ)グループが、同グループのキックオフイベントとして「字幕翻訳/吹き替え翻訳/ゲーム翻訳比較パネル ~似ているようで、別世界~ (日本語セッション)」を開催しています。残念ながら私は出席することが出来なかったのですが、告知期間が短かったのにもかかわらず大盛況でした。
また、字幕翻訳者によるこんなサイトも新しく立ち上がったようです。
このエンタメ翻訳、ちょっとこれから面白い事になってきそうです。