2013年4月9日

スポーツ通訳の涙

DeNA・ラミレスの通訳、関根一途さん感涙
サンケイスポーツ
 4月7日(日)7時0分配信
 


このニュースを見た方も多いのではないでしょうか?

横浜ベイスターズで見事2000本安打を達成したラミレス。そのお茶目な人柄でジャイアンツ時代からファンに親しまれていた…などと言うことは、野球音痴の私でも知っているその彼。先日、2000本安打を達成したその記者会見に同席した通訳の関根さんが、記者会見中に感極まって涙した場面がありました。関根さんは、ラミレスについてきて欲しいと言われ巨人から一緒に移籍した方だそうです。

翌日朝の、フジテレビ「特ダネ」でもこのシーンは放送されていましたが、司会の小倉氏が「通訳さんも嬉しかったんでしょうね~」とにこやかに軽く言うのを聞いて、ニコニコしながらテレビを見ながら「あなたには分からないわよ~ん、うぇ~ん!」と思い、直後に私も感極まってテレビの前で涙してしまいました。

特にこの部分…

ラミレスが「自分は接する人を厳しく選んでいるつもり。彼は自分を助けてくれる。ときには通訳であり、ときには友だちでもある」と述べた感謝の言葉を自ら通訳したときだった。


以前、「究極のインハウス-スポーツ通訳」として書きましたが、スポーツ通訳者は通訳対象との距離感が全く違います。時には通訳以上の気遣いや物理的な支援が必要になることもあるでしょう。そんな風に選手と生活や戦いをともにする中で、普段全く陽の当らない自分の働きを、記者の方々の前で労って、そして達成したことを一緒に喜んでくれる姿勢に感じる感謝の気持ち…。涙を以て以外に表せないでしょうね。

これを見ていた、スポーツ通訳者の方々の中にはきっと同じように感じた方も多いでしょうね。多くの方の励みになったと思います。私も励まされました。

ラミちゃん、ありがとう!

2013年3月31日

JAWS-UG@広島に行ってきました

JAWS-UGとはJapan Amazon Web Service Users' Groupです。一昨年秋頃から大手IT企業のベンダー向け国際会議を多く担当したことや、データサイエンティスト養成入門セミナーの仕事を複数回したことから、クラウドコンピューティング業界でも他社の追随を許さない程リードを続けている…と言われているAmazonってどんな会社?と気になっていました。

一般の人にはAmazonと言えば、大手ネット書店サイト、大手ネット通販サイトという印象ですが、実は彼らのビジネス全体に占めるその割合はわずか30%程なのだそうです。そういった浅いところから、ちょっと踏み込んだサービス、機能、ビジネス拡大のコンセプトまで、昨日のUGでは比較的素人にも分かりやすく説明頂きました。

アマゾンデータサービスジャパン株式会社 テクニカルエバンジェリスト堀内康弘さんによる「AWSが作る新しい世界」というご講演でした。講演マテリアルもぜひご覧になって下さい。



創業から"Customer Centric"をミッションに掲げて近年は爆発的な成長を遂げつつあるAmazonですが、必ずしも最初から今のペースではありませんでした。実際、1995年にシアトルでAmazon.comを創業して以降、黒字転換するまで実に7年の時間をかけています。最初は投資家も見向きもしてくれず、創業者が父親から借金をしてしのいでいた…というエピソードもあります。あえて、ここで「時間をかけています。」としているのは、同社に「顧客中心のコンセプトの実現のためには投資を惜しまないという姿勢」が一貫しているからです。

実際、堀内さんの講演の中でも、現在もデータセンターへの投資は前倒しで進めていることが言及されていました。この辺の思想の実現は「失敗したら終わり…。」という日本の風潮の中では難しいでしょう。

堀内さんの第一声で「Amazonは薄利多売の企業です。」とおっしゃったことは、そういう意味で大変印象的です。つまり多くのお客さまを巻込むインフラ、ツール(API)を作る事に力を注ぎ、実際にそれを達成することで現在のビジネスモデルを築いて来たわけです。結果、Amazonの提供するAPIはエンドカスタマーでさえ使いやすい、しかも非常に安価なものになっています。

日本国内にシステムインテグレーターを名乗る企業は数有りますが、一体彼らはどう太刀打ちしていくのか…?恐らくまともに戦っても勝てないでしょう。まず、投資する体力もないし、Amazon提供のAPIがあまりに優れていてかつ日々進化しているので、一般のエンドユーザがちょっと勉強すれば安くてある程度セキュリティの確保されたシステム構築ができてしまうのですからです。

ストーレージと言う切り口だけで見ても、オンプレ(On Premise)でさえセキュリティの確保状況やAPIレベルではむしろAmazonのクラウドに任せる方が安全で、実はオンプレは単に神話に過ぎないのではないか?と思ってしまいます。

これからAmazonが永遠に一人勝ちし続ける…ということはないでしょうが、Amazon以上に投資を惜しまず戦略的に顧客と関わっていけてイノベーションを起こせる企業はそんなにすぐには出てこないでしょう。もちろんシステムインテグレーター(SIer)も彼らの顧客で有るわけですから、緩い共存を続けていくでしょう。だからこそ、エンドユーザーは賢く選ぶ目を持たないと、SIerの中間マージンばかり膨れあがった使いにくいとんでもないシステムを掴ませられることになる…と警戒するべきなのかな…と感じました。

それにしても、サービスを提供する会社が心からテクノロジーとかイノベーションとかをEnjoy!している感じがエバンジェリストである堀内さんの言葉を通して伝わってきました。創業者CEOのジェフ・ベソスが言ったとおり「Amazonは本屋じゃなくてテクノロジーを売る会社」ですね。(堀内さん談、でもちょとうろ覚え…笑)

2013年3月30日

Speechpool - 通訳学習者向けの教材

教材にすべき素材は世の中に沢山あふれています。今は特にインターネットがあるため、そういった素材にアクセスすることは難しくありません。でも、どんな素材を選んだらいいのか迷われている人も多いかも知れません。そんな人に朗報?

このSpeechpoolは、かつてイギリスのリーズ大学で教鞭を取られたフリーランス通訳者が、当時の学生の悩みを受けてはじめたものです。彼女自身が下記のYoutubeでサイト設立の経緯や目的を解説しています。


英語の素材には興味を持って取組めそうなものが出てきつつ有ります。Facebookページも用意されており、どんなスピーチが欲しいいか?など意見交換の場となっています。サイトの日本語版が出てきて日英ペアの素材が揃うのは少し先になりそうです。ですが、利用者の立場からもスピーチをアップロードできます。ですので、日本の通訳学習者や通訳者がこのサイトに貢献することで内容も充実してくるでしょう。相互支援の在り方として、効率がいいやり方ですね。
 
でも、説明を長々書くより、見てもらう方が速いです。
では、ご覧下さい!

2013年3月29日

お花見します

関東では先週末から随分と桜満開のニュースが飛込んできていましたが、今年は西日本は少しだけ関東に遅れて満開のタイミングを迎えるようです。でも、木によって場所によって開花の様子はまちまち…。26日(月)に仕事帰りの平和公園で撮った写真はこんな感じでした。


下記の要領で、広島あるいは当日広島に立ち寄れる通訳翻訳者、または通訳翻訳に興味あるな~という方、どうぞいらっしゃいませ。手持ちの本を持ち寄って、本の交換会もやってみよう!という話になっています。

春休みなので、高校生や大学生の方で興味有る方もフラッとよってみてくれるのは大歓迎です。Facebookイベントページを作成しています。メンバー以外の方はアクセスできないと思いますので、その場合は私までご連絡下さい。

桜が水曜日まで持つかどうか心配なのですが…。
桜がなくても大いに盛り上がりましょう!

花見だ! Event for 中四国つうほんネットワーク
[When] Wednesday, April 3, 2013
[Time] 1:00pm
[Where] 平和公園近辺
*場所取り部隊は12:00頃には集合している予定。
*買い出し部隊もぞろぞろ集まる予定。
*夜の部あり。そちらのみ参加希望という方も歓迎。(早めに事前連絡下さい。)


2013年3月17日

司法通訳システムの壁

以前、法廷通訳アンケートのご協力についてご紹介しましたが、この日曜日にアンケートを実施された静岡県立大学の高畑先生が広島に来られており、お声をかけて下さったので二つ返事でお会いする約束をしました。とてもさわやかな印象の先生でした。

アンケートはその後集計され、結果を程なく郵送下さるそうです。また、このアンケート結果を受けた報告会が、アンケート参加者を一部招待して月末開催されるそうです。

お会いしたときにも法廷通訳の課題についていろいろ話しましたが、通訳に限らず一般的に、近年大学の研究分野もやはり実務に直結するものや貢献するものが求められているようです。


以前は熱心に司法通訳について研究されていた先生が、軒並み医療通訳を中心とするコミュニティー通訳に研究対象をシフトされているのことに、私自身気付いていました。研究者の立場でもやはり市場でなんんらかの利益を生む活動に結びつくアイテムでないと、一般に研究課題としてアピールしないのかも知れません。

司法通訳者の苦境については、実務で法廷を担当する仲間から聞いたり自分も実際体験することでどこに抜け道があるんだろう…と考えてきました。そして私自身の結論は
「資金不足を解消しなければ抜け道はない。」です。こういうと身も蓋もないかも知れないですが…

世界的に見ても司法通訳のシステムが円滑に進んでいる例は、私の知る限り有りません。それどころか、トラブルが後を絶たないのが現状です。GoogleでInterprerをキーワードにニュースを検索すると、出てくるニュース記事の多くは司法通訳関連です。

イギリスでは政府が法廷通訳業務を委託したApplied Language Service社が全く機能せず、昨年はじめより法廷通訳システムに大混乱をきたしていますが現在に至っても全く収束を見ていません。そして最近ではカンボジアのクメール・ルージュ裁判で通訳人に対する賃金未払いが発生し、公判が完全ストップする事態が起きています。また、比較的司法通訳の整備では先を行く
アメリカでも、司法通訳の質については常に課題となっています。
 
司法通訳には倫理規定がよく引き合いに出されますが、倫理規定を守れるだけの技量を持った通訳を調達するには、資金が必要です。数年前のベニース事件のように通訳の技量不足を訴えるケースも発生しています。当然ですが、通訳の技量の高さが市場では一般的に通訳料に反映されます。

これを考えれば、
必ずしも表面化しなくても、
司法通訳の質が確保しにくいといという問題が発生し続けるでしょう。さらに、わざわざ「食えない司法通訳」を目指す人はいないでしょうから、人材不足がさらに深刻になることも考えられます。
(ただし、言語によって状況の程度の差は随分あるようです。)

-世界的に見て資金調達の面で習うことのできるシステムがないこと
-本来必要なレベルで外国人の権利について注意を払っていないこと
-大学等の研究者の注意も司法通訳からフェードアウトしつつあること

これらは、日本の司法通訳システムの将来に暗い影を落としています。高畑先生とお会いしていろいろお話をさせて頂く中で、改めてこんなことを考えました。解決先の糸口も見えない…という状況は辛いですね。

2013年3月14日

シュレッダーを買い換えました

通訳準備のために資料がなかなか出てこない…というのは、とても悩ましい状況なのですが、山ほど資料が送られてくることも実はよくあることです。エージェントさんが「情報は何でも無いよりはマシ!」と思って送って下さるのだと思うのですが、時にはタイトルと数行だけ確認したら結局本番まで読む必要無かった…という資料も多いのです。

現場に持っていくのはもちろん、自分に関係しそうなところだけです。特に社内会議やクローズドな会であれば、持っていった資料はほぼ全ておいて帰り現場の方に処理してもらっています。エージェントとのNDAでは、こうした資料の扱いについてキッチリ説明していますし、そうすることが求められているのです。

では、自宅から持出さなかった資料は…?これはもう、シュレッダーするしか有りません。と言うわけで、シュレッダーは通訳者の必須アイテムです。最近は個人情報保護が厳しく言われているので、個人でもシュレッダーを使う家庭は多いとは思います。

で、最近買い換えました。

コクヨ
Silent-Duo KPS-MX100W [ノーブルホワイト]
作動音50dBを実現した家庭向けシュレッダー
カードや、CDなんかもガシガシ食べてくれます。紙なら一度に6枚までOKという優れもの。それに以前の機種に比べると格段に静か!買い換えてよかった…

ここからは私のおおざっぱさをさらすのでオマケです。

新たに購入したきっかけは、今まで使用していたシュレッダーが壊れたからです。スペックではマックス二枚までのところを4-5枚突っ込んだりしていたので機嫌を損ねることはよくあったのですが、だいたいリバースしたり刃を掃除したりして様子を見ていると大抵は復活してくれていました。

やっかいだったのは、息子に送られてくる進研ゼミで、ビニールに紙シールで住所が張り付いてくるのですが、紙シールを剥がすのがつい面倒でビニールごと投入したら、メリメリムリムリズーンッ……ってびくともしなくなったこと、が有ったことです。

今回はきっと度重なる酷使に嫌気がさし世を儚んだのでしょうか…。何をしたというわけでもないのに、安らかに知らないうちにその生涯を閉じたようです。

2013年3月4日

19. 通訳学校では教えてくれないコト -同志を得る-

通訳学校へ通うことメリットとしてよく上がる一つに、同じように学ぶ生徒さんの姿を見て励みになり一緒にがんばれるから、というのがあります。

私も通訳学校時代はクラスメートの存在によく助けられました。あまりにできが悪くて落込んでいる私に声をかけてくれた友人達の事は忘れません。ちょうどその頃同じクラスにいたメンバー10名弱で、今でも時々「勉強会」という名の実は飲み会を年に何度か開いてくれます。本当にありがたい。でも、そのうちフリーランスの通訳になったのは私だけです。

そのため、得難い友を得たものの実際の業界事情他を肌身で理解している人はおらず、「フリーランス通訳」の視点でビジネスや技術の事について深く語れる相手はこの中にはいません。首都圏や関西都市部では事情が違うかも知れませんが、地方業界の厳しさから、フリーランスとして稼働するようになる人は、やはり人数が限られています。

そんな少ないフリーンランスの中で社内通訳時代に親しく励まし合った友人もいましたが、残念なことにフリーになってからは音信が途絶えてしまいました。現場で見かける事は今までもあったのですが、どうも距離ができてしまったようで、親しく話すことが無くなってしまった人もいます。

他の地方の話を聞いても、業界の様相は競争が厳しいという印象です。狭い世界なのでその人の持つ印象や振るまい(残念ながら特に悪い方…)についてはすぐに伝わってしまう。また、地方は競争も激しいので、なかなか通訳者達がお互い助け合い協力しあって…という空気ができにくいのかもしれません。まぁ、これにはエージェントのコーディネーターの仕事の仕方も、けっして意図したものではないでしょうが大きく影響しているとは思います。

また、同じフリーランスといっても働くスタイルはそれぞれなので、なかなか価値観を共有する相手を見つけるのは難しいということなのかも知れません。でも、そんな中でも仕事を通して似たような価値観を持つ人や、仕事へ対する姿勢を見習いたい人には必ず巡り会うものだと最近つくづく思います。

よく行く出張先で、これまでも何度も一緒に仕事をした通訳者さんとお仕事をする機会が最近ありました。彼女とは勉強のこと、仕事へ取組み方、留守中の家庭のことまでいろいろ話ができるし、今回も随分相談に乗ってもらいました。

また、数日前に電話をくれたバリバリがんばっている友人。通訳市場の話から、具体的な現場へ向けての彼独自の準備の方法まで、お互い正直に話すことができる相手です。時間を忘れて真剣に話し込んでしまい、いつも長電話になります。

ただ単に「勉強頑張りましょう!」といううわべだけの関係ではありません。翻訳と違い、通訳は現場に出てお互いの実力が分かってしまう分、お互いを見る目は厳しくなります。それでも、単に実力の差だけにとらわれて自分を過大・過小評価することなく、お互いが本当の意味で向上できると思える相手を得られれば、それは大切な財産です。

独りで「どうしていいか分からない…」と途方に暮れている勉強中の方もいるかも知れません。もちろん、内にこもってばかりでなく自分から行動を起こすことも大切。積極的に人に会う、自分の意見をぶつけてみる…など。でも、熱意をもって誠実に向き合うことで得られる貴重な出会いが必ずあります。

2013年3月1日

IJET-24 in Hawaii !!

JAT(日本翻訳者協会)主催の毎年恒例のイベントIJET24(International Japanese English Translation Conference)が6月1日-2日に開催されます。IJETは、海外と国内と交互に開催されるイベントで、昨年は広島での開催で、私も運営委員として携わりました。ですので、あれから一年経とうとしている…と思うと感慨深いものがあります。 

そのIJET-24ですが、登録申込みが開始となりました。 IJET24のWebサイトにも続々とプログラムがアップロードされつつあります。

Register for IJET-24

今回は試みとしてははじめてと聞いていますが、通訳関連プログラムが充実しており、University of Hawaii Manoa Campusに隣接するEast-West Centerで、実際に同時通訳設備を利用しながら進めるプログラムが用意されているようです。

前日の5月31日にはJATLAW、JATPHARMAといったJATのSIG(Special Interest Group)によるワークショップも開催される予定ですので、リーガル翻訳、医薬翻訳を専門分野にされている翻訳者にとってはさらに収穫の多いものとなりそうです。

詳しくはIJET24サイトで!

2013年2月16日

「明日から使える慣用句」 京都書房編修制作部 著

ちょっと前にTwitterで下記の投稿を見ました。

それで、リンク先サイトにいって色々読んでみたのですが、私の結論はやっぱり「汚名は挽回じゃなくて返上だよなぁ。だって名誉挽回って言葉が一方で定着してるしね。」というものでした。もっと具体的な理由解説については、件のサイトのコメント欄に多くの意見が載せられていて、そこで丁寧に解説されているので、そちらを参照してもらうのが速いでしょう。

言葉は時代につれて確かに変化するものですが、インターネットの発達により流通する言葉の量が圧倒的に増えたこともあり、その変化の速さも”もしかしたら…”加速しているのかも知れません。でも、流通する言葉の大半が以前とは違った使用法になっているからといって、即それが新らしい「正しい」使用法とは言えないのではないでしょうか。それ程言葉は人間の生活の営みに長い時間をかけて複雑に絡み合ってきたもの。そんなに”簡単に”「変化」などしない…と、私は思います。

実はこのツイートを目にした直前に「明日から使える慣用句」(京都書房ことのは新書)京都書房編修制作部 (著)という本を買って読んでいたのもあり、敏感に反応したのかも知れません。

基本的な慣用句ばかりで、まさか知らないもの、間違って覚えているものは無いだろうと…とタカをくくっていましたが、案外そうでもなくてちょっとヒヤっとすることも有りました。

翻訳通訳をする上で、正しい言葉の言い回しや、敬語が使えたりすることは大前提…なはずなのに、ちょっとお恥ずかしかったりもしますが、改めていろんな慣用句の使用法、由来までを確認するのは、結構楽しい作業でした。

例えば…

「苦汁」は「苦汁をなめる」「苦汁を喫する」だけれど、「苦汁を味わう」は間違いです。「味わう」のは「苦渋(を味わう)」というのは知りませんでした。

「しのぎを削る」とは”戦いや競技などで激しく争うこと”というのは知っていましたが、「『しのぎ』とは刀の刃と峰の小高い部分。そこが削れるほど激しく斬り合うことから」というのは知りませんでした。

また、言葉の用法を確認するのに「少納言」というサイトの存在を件のツイートの下りでフォロワーさんに指摘され思い出しました。知ってはいたけど、最近はGoogle検索で済ますことが多く使っていませんでした。正しい用法はこの「少納言」サイトで確認できます。ご存知なかった方はこの機会に是非ご活用下さい。

少納言
KOTONOHA「現代日本語書き言葉均衡コーパス」
このサイトでは大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所と文部科学省科学研究費特定領域研究「日本語コーパス」プロジェクトが共同で開発した『現代日本語書き言葉均衡コーパス』(BCCWJ:Balanced Corpus of Contemporary Written Japanese)のデータを検索できます。BCCWJには、現代の日本語の書き言葉の全体像を把握できるように集められたサンプルが約1億語収録されています。

2013年2月12日

究極のインハウス - スポーツ通訳

野茂選手以降、MLBへ多くの日本人が進出するようになって随分なります。昨年、ダルビッシュ有選手の通訳兼エージェントであるジョー古河氏が the Baseball Writers' Association of America によるthe 2012 Harold McKinney Good Guy Award (日本語ではグッドガイ賞と報道されてました。)を受けたことは、日本人選手の「通訳の受賞」ということでその時の流れを感じさせる出来事だったと思います。

そして、多くの外国人選手が活躍する大リーグで、通訳のピッチでの行動について規定するルールがこのほど提案されたようです。おもしろいのは、様々な国籍の選手がいる中、とにかく通訳の言うことに頷いてしまう外国人選手として日本人選手が沢山取上げられていること。もちろん、相対的に日本人が多いのでしょうが、試合の勝敗関係なく見ている分にはほほえましいというか笑えるというか。そして当の選手や通訳の立場に立てば一筋縄でいかない問題もあり悩ましいというか…。

これまでにも何度か、サッカー通訳については取上げてきました。両言語に精通しスピーカーの意図を的確に訳出するという通訳技術という意味では、スポーツ通訳であれ会議通訳であれ変わりはありません。でも、私はスポーツ関係で選手や監督らの通訳をされている方は究極のインハウス通訳者だと思っています。

例えばこの記事中にある、ソフトバンクホークスで活躍した(笑?)二コースキーの例。

“Pitching coach said it would be good if you could pitch perfect now,” Nitkowski recalled the interpreter saying. He added that he was so exasperated by the unhelpful suggestion that he could barely contain himself.

“I told him, ‘If I could pitch perfectly, I wouldn’t be in Japan right now,’ ” Nitkowski said.
「全く役に立たない」と二コースキーが表現したそのコーチのセリフですが、文字通り訳せば「ここで完璧なピッチングしてくれたら問題なしだがね。」くらいで…まぁ字面だけ聞くと本当に役に立ちそうにありません(笑)。でも、実際にはその時のカウント数他が分からないのですが、どう解釈するべきか?と言う点においては、まさに記事でも言う ”intricate instructions from Sugimoto" で有ったことは間違い無さそうです。

つまり、コーチのコトバの裏には「ここでキッチリ仕留めておけば、その先もノッて行けるぞ!」とか「ここは落ち着いて完璧に仕留めていこう。」とか、心理的に二コースキーをリラックスさせる、あるいは引き締める意図の発言だった…かもしれません。

通訳がどこまでその裏を汲むか?フリーの会議通訳ではやるべきでないような深読みも、チームの一員として時には求められるに違いありません。スピーカーの性格や相手へのアプローチの仕方をとことん知ることでしかできない、チーム専属通訳ならではのパフォーマンスというのが必ず存在するはずなのです。そして、そういう通訳者でいるためには、どんな相手(選手、監督、スタッフ)でも懐に入っていけるような器量が必要だと思います。

先月、某野球球団の通訳者さんと食事する機会がありました。その時私の「スポーツ通訳は究極のインハウス通訳だ。」という読みは間違っていなかったなぁ…と、いろいろと話をお聞きして思いました。まさに彼は「相手の懐に入って行ける。」物腰の、でもとても内に秘めた情熱を感じさせる方でした。すっかり私はファンになってしまいました。

通訳者自身がチームの大ファンで、そしてチームの一員であるという自覚を持たないとできない、しかもそれを何年も長い間続けて行くことで、チームの文化までを言葉にのせていく…「大変だけど、やりがい有ります。」とおっしゃっていました。

今年こそAクラス入り、ぜひ頑張って欲しい!
毎年思っているけど、今年は例年よりはもうちょっと本気で応援します(笑)

Strikes Can Come Easier Than Words
Barton Silverman/The New York Times

A proposal would allow interpreters for mound conferences with pitchers like the
Yankees’ Hiroki Kuroda.

By DAVID WALDSTEIN
Published: January 19, 2013

Major League Baseball’s new proposal to allow interpreters to accompany coaches to the mound is not unprecedented. Interpreters in Japan and South Korea have long participated in mound conferences with pitchers who do not speak the same language as their managers or coaches.

But the presence of a multilingual facilitator does not always eliminate communication problems.

When C. J. Nitkowski was pitching in Japan for the Fukuoka SoftBank Hawks in 2008, the team’s interpreter would visit the mound with the manager, Sadaharu Oh, or the demanding pitching coach, Tadashi Sugimoto. On one occasion, the interpreter dutifully relayed the following intricate instructions from Sugimoto:

“Pitching coach said it would be good if you could pitch perfect now,” Nitkowski recalled the interpreter saying. He added that he was so exasperated by the unhelpful suggestion that he could barely contain himself.

“I told him, ‘If I could pitch perfectly, I wouldn’t be in Japan right now,’ ” Nitkowski said.

It is unclear whether Nitkowski’s retort was accurately relayed to Sugimoto.

Having an outsider on the mound in the heat of competition was an often awkward and weird dynamic, Nitkowski said. But in the United States, where most Asian pitchers do not go through minor league systems and often have little command of English, communication problems are not infrequent. So 19 years after the groundbreaking arrival of Hideo Nomo from Japan, Major League Baseball is set to adopt a rule that will allow interpreters to accompany the manager or the pitching coach to speak to a foreign-born pitcher.

The new rule, first reported by ESPN.com, is one of many expected to be ratified by the players association before the 2013 regular season. It would even the field for players who do not speak English fluently. After all, nothing in the rule book establishes English as the league’s official language.

Two Major League Baseball officials said interpreters would be permitted for not only Japanese, South Korean and Taiwanese pitchers, but also speakers of Spanish, Dutch and Italian.

“I think it’s a great idea,” said Yoichi Terada, the former interpreter for Hisanori Takahashi, a veteran Japanese left-hander with the Mets, the Angels and the Pirates. “Managers and coaches try to use easy words, but most of the Japanese players don’t understand every word they said on the mound.”

Still, pitchers often nod as if they do.

In September 2004, Jae Weong Seo, then pitching for the Mets, was about to face Atlanta’s Chipper Jones with a runner on second base. Rick Peterson, then the Mets’ pitching coach, jogged to the mound to give Seo simple and specific instructions on pitching to Jones. Peterson had a list of statistics to back up the tactics but did not bother describing them at the time. He just told Seo not to throw a strike under any circumstances.

Seo, a right-hander from South Korea, nodded several times and said, “O.K.,” Peterson recalled.

But Peterson had barely returned to the dugout when Seo delivered a juicy strike to Jones, who drilled the ball off the wall in center field for a double. Peterson looked at anyone who would listen and said, “You know, I don’t think he understood a word I said.”

Seo had been in the United States more than four years at that point and probably had understood Peterson’s rudimentary instructions, but with some uncertainty. A great deal of nodding from a pitcher might lead some to suspect that he is not grasping the information.

“It’s universal,” said Pittsburgh’s Russell Martin, who caught the Japanese pitcher Hiroki Kuroda with the Dodgers and the Yankees. “They nod and say yes to everything you’re saying.”

After one training camp, most foreign-born pitchers have command of enough English baseball terminology to understand the basic directives of their pitching coach and catcher. When he was with the Mets, Takahashi knew to listen for “down and away” from the pitching coach Dan Warthen.

But when a pitcher has no idea what his coach is trying to convey, perhaps he nods as if he knows what is going on, just to be polite.

“Oh, sure, that happens all the time,” said Kenji Nimura, the former interpreter for Kuroda. “That’s pretty much what’s going on out there.”

But the good pitchers, like Kuroda, usually know what they are doing anyway, and the mound conference is a way to give him a breather, or buy time for the next pitcher to warm up.

When Nomo came to the United States from Japan in 1994 to pitch for the Dodgers, he spoke almost no English. But Tommy Lasorda, their manager at the time, said he never had a problem communicating on the mound without an interpreter.

“I don’t know if he understood us or not,” Lasorda said, “but usually he got the guy out.”

In most cases, the only time interpreters are not with pitchers is on the mound. But during a scouting meeting, in the trainers’ room, warming up in the bullpen or on the team bus, the interpreter is at the pitcher’s side, translating everything said. That was the case with Kazuhisa Ishii when pitched for the Mets in 2005. But when he got to the mound, communication broke down.

“It was always a struggle with Ishii,” Peterson said.

To facilitate communication with all of his Asian pitchers, Peterson would print a small card with the translations for certain instructions, and when he got to the mound, he would point to the appropriate one. But on several occasions Ishii failed to follow strict instructions not to throw his breaking ball in certain situations. Finally, during one game in which Ishii threw a breaking ball at the wrong time, Peterson turned to the interpreter on the bench and said, “If he throws one more curveball when he’s behind in the count, I’m going to kick your butt.”

In that case, no translation was necessary.
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This article has been revised to reflect the following correction:
Correction: February 3, 2013
An article on Jan. 20 about Major League Baseball’s proposal to allow interpreters to accompany coaches to the pitcher’s mound misspelled the surname of Hiroki Kuroda’s interpreter. He is Kenji Nimura, not Nomura.

URL:http://www.nytimes.com/2013/01/20/sports/baseball/baseball-set-to-allow-interpreters-on-pitching-mound.html?_r=1&#h[]

2013年2月8日

18. 通訳学校では教えてくれないコト -リスクをとる-

前回のようにして、コーディネーターさんや派遣会社の人に記憶(記録)される場面を増やすことはができれば、後はそこから仕事の声がかかるのを待ちながら、普段通りに勉強を進めるしかないでしょう。もちろん、定期的にスポットの仕事を自分からチェックして、案件を指定したうえで問合せをかけてみる、それによって先方の「記憶の更新」をはかることもできます。アンテナは常に張っておきましょう。

実力への不安  

そんな風にして記憶されることで、声をかけてもらえる案件も出てくるでしょう。でもきっと次にあなたが不安になるのは「私は経験もない。仕事先でちゃんとできなかったらどうしよう?」という点でしょう。でも、果たしてその不安に意味があるでしょうか?

私自身は通訳の肩書きを得て既に10年以上稼働しています。しかし、どの仕事にも未知なるものはつきまといます。でもその未知のものについてただ不安になることに意味は有りません。未知なら既知にすべく調査するしかないし、実力不足と思うなら自分で技能向上に努力するしかないのです。そういう意味では、仕事はどれをとっても「リスク」です。

言いかえれば「リスク」が取れないなら仕事は請けられない、と言うことです。

これはとても当たり前な事ですが、見えてない人が非常に多い。「できなかったら、誰が責任取るんですか?」と以前生徒さんに真剣に聞かれたことがあります。「アナタです。」と言ったら、納得いかない…という表情をされていましたが、私が責任取る訳にもいかないのです。その場でパフォーマンスというサービスを提供するのは他ならぬ、アナタですから。



リスクの対局にあるもの  
-お客さまに迷惑をかける
-人前で恥をかく
-エージェントに使ってもらえなく
他にもいろいろ有りますが、誰もあなたの代わりに(あなた自身が抱える)リスクを取ってくれる人はいません。リスクとは対極にあるものこそが「ちゃんとした仕事ができるチャンス」です。リスクをとって、失うモノばかりを数え上げるのではなく(それも必要だけど)、チャンスを活かした結果得られるものにも客観的に目を向けるべきでしょう。

でも、あなたが「市場に出ていきたい」と真剣に考える人ならば、リスクを取らないことで得られる安心は

「経歴に傷はつかない。(でも、市場にも出られないまま現状維持)」

という「市場に出ていきたい」とは相容れないものです。本当にそんな安心が欲しいのかどうか、もう一度自分で考えてみましょう。もちろん「経歴に傷がついたらもう生きていけない。」と思う人もいるでしょうし、私だって怖い(笑)。でも「必ず経歴に傷がつく」わけでなく「傷がつくかも知れない『可能性』」に過ぎないこと、ちゃんと見えていますか?その「ネガティブな可能性」をゼロに近づける方法を考えればいいことに気付きましょう、もしあなたが本当に「市場に出て行きたい」なら。

さて…もう十分ご理解頂けたのではないでしょうか?そろそろ堂々巡りはやめましょう。

マーケットへ飛び込め  
どんなときも、自分のキャリアの節目を判断できるのは「自分」だけです。
特にフリーランス通訳を見据えるのなら、フリーランスという立場上仕事にかかわる事の判断は常に「自分」で下すしか有りません。自分が決断しなければ前に進めない職業だということに気付き早々に覚悟を決めるべきです。

*****
長い間通訳学校に通い続け、通訳の仕事をしたいと思いつつも一歩を踏み出せずにいる通訳志望者の方は結構多いのではないでしょうか?そういった方々に謹んで以下の4シリーズを捧げたいと思います。必ずしも皆さんが一歩を踏み出さなければならない訳ではありません。自分には向いてない職業だ…と改めてこれを読んで思い直される方もおられるかも知れません。いずれにしても皆さんの中の「通訳になりたい。」という自分の中の気持ちと向かい合う一助となれば幸いです。

14. 通訳学校では教えてくれないコト -マーケットへ飛込め
15. 通訳学校では教えてくれないコト -仕事の探し方
17. 通訳学校では教えてくれないコト -経験を語る
18. 通訳学校では教えてくれないコト -リスクをとる

天才ピアニストの今夜もグッジョブ!

あっという間に9月です。繁忙期を前にひどい風邪を引いてしまい、発熱や倦怠感などのピークは過ぎたものの、咳がまだ止まりません。改めて受診したところ気管支炎とのこと。吸入薬を処方してもらいましたが、3週間分くらいあって全て一日2回三週間きっちり吸引し切るようにと医者に釘を刺されました...