2013年2月8日

18. 通訳学校では教えてくれないコト -リスクをとる-

前回のようにして、コーディネーターさんや派遣会社の人に記憶(記録)される場面を増やすことはができれば、後はそこから仕事の声がかかるのを待ちながら、普段通りに勉強を進めるしかないでしょう。もちろん、定期的にスポットの仕事を自分からチェックして、案件を指定したうえで問合せをかけてみる、それによって先方の「記憶の更新」をはかることもできます。アンテナは常に張っておきましょう。

実力への不安  

そんな風にして記憶されることで、声をかけてもらえる案件も出てくるでしょう。でもきっと次にあなたが不安になるのは「私は経験もない。仕事先でちゃんとできなかったらどうしよう?」という点でしょう。でも、果たしてその不安に意味があるでしょうか?

私自身は通訳の肩書きを得て既に10年以上稼働しています。しかし、どの仕事にも未知なるものはつきまといます。でもその未知のものについてただ不安になることに意味は有りません。未知なら既知にすべく調査するしかないし、実力不足と思うなら自分で技能向上に努力するしかないのです。そういう意味では、仕事はどれをとっても「リスク」です。

言いかえれば「リスク」が取れないなら仕事は請けられない、と言うことです。

これはとても当たり前な事ですが、見えてない人が非常に多い。「できなかったら、誰が責任取るんですか?」と以前生徒さんに真剣に聞かれたことがあります。「アナタです。」と言ったら、納得いかない…という表情をされていましたが、私が責任取る訳にもいかないのです。その場でパフォーマンスというサービスを提供するのは他ならぬ、アナタですから。



リスクの対局にあるもの  
-お客さまに迷惑をかける
-人前で恥をかく
-エージェントに使ってもらえなく
他にもいろいろ有りますが、誰もあなたの代わりに(あなた自身が抱える)リスクを取ってくれる人はいません。リスクとは対極にあるものこそが「ちゃんとした仕事ができるチャンス」です。リスクをとって、失うモノばかりを数え上げるのではなく(それも必要だけど)、チャンスを活かした結果得られるものにも客観的に目を向けるべきでしょう。

でも、あなたが「市場に出ていきたい」と真剣に考える人ならば、リスクを取らないことで得られる安心は

「経歴に傷はつかない。(でも、市場にも出られないまま現状維持)」

という「市場に出ていきたい」とは相容れないものです。本当にそんな安心が欲しいのかどうか、もう一度自分で考えてみましょう。もちろん「経歴に傷がついたらもう生きていけない。」と思う人もいるでしょうし、私だって怖い(笑)。でも「必ず経歴に傷がつく」わけでなく「傷がつくかも知れない『可能性』」に過ぎないこと、ちゃんと見えていますか?その「ネガティブな可能性」をゼロに近づける方法を考えればいいことに気付きましょう、もしあなたが本当に「市場に出て行きたい」なら。

さて…もう十分ご理解頂けたのではないでしょうか?そろそろ堂々巡りはやめましょう。

マーケットへ飛び込め  
どんなときも、自分のキャリアの節目を判断できるのは「自分」だけです。
特にフリーランス通訳を見据えるのなら、フリーランスという立場上仕事にかかわる事の判断は常に「自分」で下すしか有りません。自分が決断しなければ前に進めない職業だということに気付き早々に覚悟を決めるべきです。

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長い間通訳学校に通い続け、通訳の仕事をしたいと思いつつも一歩を踏み出せずにいる通訳志望者の方は結構いのではないでしょうかそういった方々に謹んで以下の4シリーズを捧げたいと思います。必ずしも皆さんが一歩を踏み出さなければならない訳ではありません。自分には向いてない職業だ…と改めてこれを読んで思い直される方もおられるかも知れません。いずれにしても皆さんの中の「通訳になりたい。」という自分の中の気持ちと向かい合う一助となれば幸いです。

14. 通訳学校では教えてくれないコト -マーケットへ飛込め
15. 通訳学校では教えてくれないコト -仕事の探し方
17. 通訳学校では教えてくれないコト -経験を語る
18. 通訳学校では教えてくれないコト -リスクをとる

広島通訳 Tea Salon を開催します

例年、3月の決算締め月に向けて皆さん予算を使い切ろうとなさるのか、2月中旬から通訳業界は多忙を極めます。そんな中、 なんとかかんとか確定申告を終わらせて、週末にほっと一息ついているところです。 このブログのオーナーである私は、今でこそ東京住まいですが、出身の広島には頻繁に帰省して...