2014年6月15日

「機械翻訳の威力」と「人間翻訳の威力」

通訳や翻訳という職業は、テクノロジーが発達すれば要らなくなる…というのはもう数十年前から言われていることですが、これだけ科学の進歩が目覚ましいにもかかわらず、幸いそうした現実は訪れてはいません。

とはいえGoogle翻訳、Excite翻訳など、いわゆる「機械翻訳」と言われるものはもう随分一般に普及しており、個人利用のためにこうしたサイトを使う人が少なくないのは周知のとおりです。

しかし、この機械翻訳は必ずしも個人利用にとどまっているわけではなく、翻訳業界へもじわりじわりと進出しつつ有ります。実際、原文がある一定のルールに従って書かれたマニュアルのようなものであれば、機械翻訳の訳文も悪くない精度で上がってくることがあるようです。

それでもやはりまだ人間による手直し、最終チェックは必要で、その際のチェック編集作業のことを「ポストエディット」と業界では呼んでおり、この「ポストエディットのお仕事」という名の案件を耳にするようになったのはここ二年程ではないでしょうか?

そういう時代だからこそ、翻訳者も人間翻訳だからこそ出せる「原文の深い読み込み」と「訳文の精度」をより追求すべきであり、機械にできるレベルをこなしていたのでは、商売にならなくなるのは時間の問題だと言えます。

そこで「機械翻訳の威力」と「人間翻訳の威力」の例を考えるのに相応いとも言える動画を見つけたので、どうぞお楽しみ下さい(笑)

「機械翻訳の威力」


「人間翻訳の威力」


まぁ…どちらも極端な例ですが(笑)

ですが、人間翻訳では原文の理解もさることながら、ターゲット言語(この場合広島弁、笑)を知ることでここまで広島人に訴えかける訳文に仕上がるわけです。(博多弁バージョンはこちら)広島弁を知らない翻訳者に「広島がわやなんよ」の訳文は絶対に無理です。そして、これは機械翻訳には逆立ちしたって出きっこない、まさに「人間翻訳」がなせる技。こういうの目指したいですね。


そして…
ピースリンク通訳事務所では広島弁も扱えます。ご要望に合わせ、旧市内、西条、呉方面それぞれの微妙な言葉の使い分けにも対応できます(笑)

2014年6月8日

24. 通訳学校では教えてくれないコト ー キャンセル規定見てますか? その2

前回は、エージェントによってキャンセル規定が大きく異なること、そしてキャンセル規定の重要性と留意点について見てみました。今回は、キャンセル規定を理解した上で、仕事の受け方を考えてみます。

1.確定案件、仮案件の意味
通訳案件が入ってくる場合、これはもうお約束と言っても良いかもしれませんが、業務日まで日にちのある場合に「確定案件」で話が来ることはほぼなく、まずは「仮案件」として抑えて欲しいと言われることがほとんどです。基本的に、案件確定してから「キャンセル規定」が適用されるます。

ですから、案件打診の段階から各社のキャンセル規定をある程度頭に入れ、受けるか受けないか決めることは割と重要です。なぜなら「確定案件」であっても、キャンセル料金が発生するタイミングに入ってこない限りは、通訳者にとっては本当の意味での「確定」では無いからです。

2.各エージェントの案件依頼時の傾向を把握する
そこで、知っておくべきは各エージェントの傾向でしょう。下記は前回上げたエージェントのキャンセル規定にそれぞれ依頼の傾向を追加してみたものです。
【エージェントA】
打診頻度は時期によりまちまち、打診は早い時期にあてっても直前まで確定しない。
1日前~当日 合計の100%
5~2日前 合計の60%
※キャンセル日は、土日、祝日を除く営業日数で計算いたします。

【エージェントB】
打診頻度は低いが、仮案件で入ってきてもほぼ確定に結びつく。
当日/前日 100%
2,3日前 50%
4~5日前 10%

【エージェントC】
打診は頻繁にあり確定時期も早いが、直前キャンセルが多い。
前日 100%
前々日 50%
3日前 25%

【エージェントD】
打診頻度は頻繁ではないが、比較的複数日案件が多い。仮案件はまずまず確定に結びつく。
当日/前日のキャンセル: 100%
前々日/3日前のキャンセル: 50%
4/5日前のキャンセル: 30%

※上記日数表記は原則営業日換算ですが、土日、祝祭日業務の場合はその都度取り決めさせていただきます。 ※終日案件が半日案件になった場合、差額分がキャンセレーションの対象になります。 ※各種拘束費のキャンセレーションについては、その都度ご相談させていただきます。
このように、エージェンの案件依頼傾向とキャンセル規定を見るだけでも、それぞれのエージェントがどういう信条でビジネスをやっているところかが見えてこないでしょうか?例えば…

エージェントAはキャンセル規定は割と寛大な内容ですが、確定をなかなか持ってこない。それをある程度彼らサイドの保険としていることろがあります。こうしたエージェントは場合によっては案件が確定していても、レートの安い通訳者が見つかるのを待って(もちろん、そうとは告げずに)案件キャンセルを連絡してくるところがあるので要注意。

さらにエージェントCは案件は多く抱えているようですが、客先要件のためか変更キャンセルが多いようで、あえてキャンセル料発生タイミングを直前にすることで、自社リスクを最小限に抑えようとしています。つまり、その分のリスクは通訳者が取らなければならない構造です。

エージェントBとエージェントDについては確定に結びつきやすというのは通訳者にとっては大きな信頼感につながります。通訳者の顔を一人一人意識してビジネスをしていることが分かります。

3.仕事を受ける順序を考える
例えば、エージェントCから2ヶ月先迄の日程で「空いてる日程」を全部教えて欲しいと言われました。あなたならどうしますか?この「空いている日程を教えて欲しい。」攻撃…(笑)皆さん、安易に教えていませんか?これは通訳者の稼働状況や、どの位お仕事を欲しがっているかなど、相手に手の内をすべて明かしてしまうのも同じことなのです。経験上、通訳者を尊重してくれるエージェントであれば個別にそうした問合せを入れてくることは、ほぼ有りません。

通訳者には仕事の内容を見て、仕事を選ぶ権利があることを認識しましょう。もし、このエージェントCの要望に応え空き日程をすべて確定として抑えられてしまい、軒並み4日前にキャンセルされてしまったら…!大変なことです。

或いは、複数日をエージェントAやエージェントCに仮で抑えられる場合には、その期間に一日でも別エージェントからオファーがあった時には受けられない場合も出てきます。割と頻繁に打診をしてきますし、直前案件も沢山抱えているらしいことから早い時期に日程をこの2つのエージェントで抑えるのにはリスクが伴います。

むしろ、エージェントB、Dからの打診をしばらく待ってみて、埋まらない隙間をバランスよくエージェントA、Cで埋めるということを考えるのが得策でしょう。

通訳者側がエージェントを評価するという視点を持つことは大変重要な事です。もちろん、繁忙期にはお世話になっているエージェントのちょっと無理目のお願いも頑張ってみる!というサービス精神も必要ではあります。が、ただ「仕事をもらう。」のではなく「仕事を選んで取ってくる。」という姿勢は持っておきたいものです。

案件が埋まらず、空いているスケジュールを見ては不安になる気持ちは誰もが経験するところです。しかし、「武士は食わねど高楊枝」とまでは言いませんが、いい仕事を選んで、着実にこなし、お客様からよいフィードバックをもらうことこそが、エージェントからの評価にも自分自身の自信、ひいてはレートアップにつながることをしっかり認識しておきましょう。

2014年6月1日

23. 通訳学校では教えてくれないコト ー キャンセル規定見てますか?その1

フリーランス通訳のお仕事形態としてはエージェントモデルが主流です。かくいう私も自分の売り上の多くをエージェントからの仕事が占めていますが、おそらく東京で常時稼働の通訳者の中には、ほぼ100%がエージェントとの取引ではないかと考えています。

めまぐるしく動く東京のビジネスシーンでは変更も度々です。そんな中、意外と皆さんエージェントのキャンセル規定は注意していないことに気が付きました。私が契約するエージェントのキャンセル規定を四社程調べてみました。

1.各社キャンセル規定の違い
以下はいずれも案件確定連絡後に適用されるキャンセル規定です。
【エージェントA】
1日前~当日 合計の100%
5~2日前 合計の60%
※キャンセル日は、土日、祝日を除く営業日数で計算いたします。

【エージェントB】
当日/前日 100%
2,3日前 50%
4~5日前 10%

【エージェントC】
前日 100%
前々日 50%
3日前 25%

【エージェントD】
当日/前日のキャンセル: 100%
前々日/3日前のキャンセル: 50%
4/5日前のキャンセル: 30%

※上記日数表記は原則営業日換算ですが、土日、祝祭日業務の場合はその都度取り決めさせていただきます。 ※終日案件が半日案件になった場合、差額分がキャンセレーションの対象になります。 ※各種拘束費のキャンセレーションについては、その都度ご相談させていただきます。
2.キャンセル規定の注意点
見比べて分かる通り、前日および当日キャンセルの場合は100%というのは業界標準のようです。ですがそれ以外は各社まちまちで、中には3日前にならないとキャンセル料が発生しないものが有ります。さらに、営業日で計算する規定のあるエージェントもあります。

実は実際にキャンセルされてみて「そういうことだったの!?」と驚くパターンは少なく有りません。例えば…
1.キャンセル規定をそもそも確認してなかった…。
2.営業日計算の規定はないのに、実は営業日計算。
3.複数日案件が一気にキャンセルの場合でも、一日単位ごとの保障
4.「案件ごとにご相談」対象の案件だった…

1.は無いだろう…と思われるかもしれませんが、意外とこちらからお願いしないと提示してくれないエージェントもあリます。例えば、上述のエージェントCがそうでした。先方にしてみれば積極的に出したい内容ではないですね(笑)

2.についても明記が無い場合はこちらから確認しておく方が無難でしょう。

3.は一番痛いパターンです。例えば1週間フルで抑えられた案件が案件3日前にキャンセルになった場合、上記エージェントCを除くエージェントでは一週間の1日目のキャンセル料は発生します。しかし、2日目以降はどうでしょう?多くの場合は発生しないことがほとんどですが、通訳者にしてみれば抑えている一週間の仕事がすべて無くなる訳ですからこれはかなり痛い…という事になります。

そうならないためにも、長い案件を受けるときには4.を踏まえて、個別にキャンセル規定がどのように適用になるのかを予め確認しておくことは大変重要です。そうすることで、対象案件が4.の「ご相談」案件だったとしてもダメージを最小限に防ぐことが可能となります。

2014年4月28日

「米大統領尖閣発言 訳語の食違いは許容範囲?」

先日のオバマ大統領来日では、「二郎で寿司」を食べたことが何故かどこでも一番の感心事の様に取り上げられ、一部では二郎を「ラーメン二郎」と勘違いするような残念な…というか呆れた人たちも出てきたかと思えば、たかだか数万円のお寿司を国賓に振舞ったことを贅沢だと言い出す人たちもいて…何だか日本は大丈夫なのか?と思わずにはいられない…そんな出来事のオンパレードして、オバマ大統領来日は私の中に記憶されてしまいました。

その内の一つが下記の報道する側の姿勢です。内容をご存じの方であれば、報道機関は国民が耳を傾けるべき内容をわかりやすく正確に報道して欲しいとより強く感じたに違いないでしょう。(「二郎の寿司」よりも大事な事は沢山あります…。)

"profound mistake"を”正しくない”と通訳者が訳したとのこと。"profound..."という言葉は私にはとても強く響きます。もしかすると、権威ある人物の発言で激しく言い切ってしまうことを通訳者が躊躇したのかもしれません。しかし「正しくない」はやはり弱すぎると個人的には感じます。

ですがこの報道の中で問題なのは、通訳がどう訳したか?ではなく、文字にして報道する新聞各紙までもが「正しくない。」としたことです。音声を書き起こして、そこから正確な翻訳をすることが新聞であれば可能であったはずにもかかわらず、それを行ってない(通訳の訳に頼った?)のは怠慢以外の何者でもないのではないでしょうか?
米大統領尖閣発言 訳語の食違いは許容範囲?
一方で、オバマ大統領は、会見の中で尖閣問題の平和的解決の重要性に繰り返し言及。この点に関し、多くの主要メディアは、オバマ大統領が安倍首相に「事態がエスカレートし続けるのは正しくない」と述べたと報道していたが、朝日新聞と共同通信は「この問題がエスカレートし続けるのは大きな過ちだ」と述べたと伝えていた。
日本報道検証機構 GoHoo から抜粋
 話は変わりますが、ハリウッド俳優で中年の星(笑?)ジョージ・クルーニーが人権活動家の弁護士と婚約したと日本の報道機関も伝えています。でも、その報道の仕方を見て驚くのは「アメリカの◯◯誌が伝えたところによると…」と枕言葉が付いていることです。たかが芸能人の婚約でしょうが、日本の報道機関で裏をとった上で彼の婚約を報道しているところは果たしてあるのかしら…と呆れてしまいました。

日本の報道機関、本当にこんなことで良いのでしょうか?海外が伝えた内容をつぶさに検証、裏取りの努力をすることは報道機関として当然あるべき姿でしょう。情報ソースを現場に近い報道機関に頼る事があるのは、取材の厳しい環境・内容で有ればやむを得ないのかもしれませんが、それでも情報の伝達(翻訳)はできる限り正しくあることを担保できるような体制を整えるべきでは…?と思います。


2014年4月11日

簡易同時通訳機器(その5:自前で揃える)

通訳者の苦悩…
通訳現場に行ってみたところ、ウィスパリングと聞いていたのに聞かせる人数が3人以上でとても苦労した…とか、会場の都合等で「簡易通訳機器がないために通訳者が厳しい環境で通訳することを迫られた。」という状況をすべての通訳者は経験していると断言できます。

そういう状況が起こらないよう、手配をする人間(多くの場合エージェントコーディネータ)はエンドクライアントに出席者、会場、会議の運営形式について詳細なヒアリングをかけ、場合によっては会場まで出向いて行って状況を確認します。しかし、会場へ足を運べない事情があったり、当日の突然の変更により状況が一変し、上記のような苦しい通訳を迫られるということはどうしても発生してしまいます。

「自前で通訳機器を持つ」という選択
フリーランスになった当初にパナガイドを自分で購入することを検討していましたが、これまで様々な要素を考え見合わせていました。なぜなら、通訳者が自分の簡易通訳機器で自ら環境改善を行うことができる一方で、その事実による次のような幾つかの弊害を考えたからです。

レシーバーの数を一定数揃えようとすると莫大な初期投資がかかり、実質的な投資回収が不可能で、回収しようと思えばレンタル業でもするしかなくなります(笑)それは面倒…。その他、勝手な機器持ち込みでお客様に無料手配と勘違いされ、エージェントに叱られる…とか、細かいことを考えればいくつも有ります。

実際、機器は購入するには大変高価なものです。仮に送信機2機、受信機10機を想定するだけでも数十万。ところが、先日ご一緒した自前パナをお持ちのパートナーに話をお聞きして、この前提が間違っていたことに気付きました!彼女は「現場で自前パナに助けられた事は数知れず!」と仰っていました。そして、あくまでも「通訳者が困らない前提」で考えれば、送信機 2機、受信機 3機程度で十分なはずだということに気付きました。
自前調達に妥当と思われる機器数> 送信機 2機、受信機 3−4機
受信機はウィスパリングは通常二人まで、三人以上へは非常に難しいことをベースで考える。送信機は、生耳でスピーカー音声を拾うリスク回避のため、スピーカー用にも1機で合計2機。
豆知識>ステレオスプリッター
受信機のイヤホン挿入口に差して、イヤホン二本を差し込み可能にし、受信機1機で二人をサービスできます。
私が持ってるのはコレ。生産終了してるとか…悲
他にもいろいろ有りますが、プラグ差し込み口がケーブルになっているタイプの方が使い回しが効きます。会場用意の音声設備へのプラグインで上記のタイプでは本体が邪魔して入らなかった経験が…。

 参考: http://p.tl/XEug

誰のリスクか…?
依頼書をもらった時点で怪しい…と思われれば、計画段階でコーディネーターに現場環境を詳しく聞いた上で機器準備をお願いするのは大前提。それでも、現場で全く無茶な同時(ウィスパ)通訳環境であるのが判明した際には、お客様に状況をご理解頂いた上でコーディネータにヘルプ要請(機器手配をお願い)するしかないでしょう。

また、「多くの受信機」を自前で準備してお使い頂くと「無料で手配」だと逆にお客様に勘違いさせてしまう…ということにも気付きました。実際、「多くの人」へ通訳サービスが行えない(「多くの人」が通訳サービスを受けられない)リスクを通訳者がカバーする立場にありませんし責任もありません。「通訳者は自分が気持ちよくサービスができる。」という一点において自前の簡易通訳機器を持てばよいのです。

****

劣悪な通訳環境に影響を受けるのは、本来あるべきサービスを受けられない「お客様」…ですが、実は通訳者自身も非常に苦しい思いをするということは見逃されがちです。

私達通訳者は機械ではありませんから、お客様に通訳を聞いて頂いてはじめて通訳者として仕事をしたといえます。誰も聞く人がいないところでぼそぼそ機械のように通訳することを「平気で」できる存在では有りません。環境が悪ければ、聞きづらい、訳しづらい、役に立てているのだろうか、そして「申し訳ない…」という気持ちを持ちながら通訳をすることになります。

自前の簡易通訳機器を持って自らの手で環境改善をはかることができ、気持よくサービスを行いお客様に喜んでいただけるのであれば、フリーランス通訳者にとって「自前の簡易通訳機器を持つ」という選択は大変合理的なことだと今は思っています。





お客様のご要望により簡易通訳機器に限らず必要な通訳設備をご用意することが可能です。

ピースリンク通訳事務所

2014年4月4日

簡易同時通訳機器(その4:デジタル機器)

前回までで解説した通り、従来から広く使われているアナログ機器での対応チャネル数は最大6チャネルまでです。ところが困ったことに海外の客様から、分科会を4つ平行して開催しそれぞれに日英同時通訳で2チャンネル合計8チャンネルを使用して会議を進めたい、とのご要望を頂きました。

そこでいつもお願いしている機器サプライヤに尋ねてみたところ、従来のアナログ機器では対応できるものがないが、デジタル機器で対応可能なものがあると教えてくれました。「トラベルイヤホン」という商品名です。この商品は前回確認した電波法の中のB帯を使用するものです。


  1. A帯: 要ライセンス取得 テレビの番組中継波等として使用。
  2. B帯(700MHz~800MHz): 混信の可能性が高く使用にはリスクが伴う。音質はA帯と変わらない。ただしA帯とは異なり許可制ではないので自由にチャンネルを設定できる。
  3. C帯(300MHz): B帯同様に混信の可能性があり。音質はA・B帯より劣るようで電波の飛び(距離)は波長が低いため一般的に長いとされる。(パナガイドやTOA社製品が使用しているのはこの帯域です。)

以下のような利点、難点(特徴)があります。

【利点】
  1. B帯使用のため、好都合なことにアナログ機器との併用でも干渉は発生しません。(通訳機器以外の電波発信装置、例えば会場設置のワイヤレスマイク等との干渉確認は必要でしょう。)
  2. 同時使用可能チャネル数が16チャンネル!
  3. 機器が軽い。
  4. 海外の電波法に合わせて設定変更が可能なため、海外持ち出しも可能。
  5. レンタル料金が従来型簡易通訳機器と比較して圧倒的に安価。

【難点】
  1. デジタル操作のボタンを押してチャンネルを調節しますが、チャネル操作感に欠け操作しにくい(実際に業務で使用経験のある方の感想)。
  2. 多くの日本の通訳者は使用経験がない。
  3. レンタル業者数が限られているため、必ず予約可能とは限らない場合も…。

具体的なレンタル価格や業者については言及を避けますが、サービス業者は検索すれば直ぐに見つかります。私自身実際に行って実機を触って確認しましたが、機能上はまったく問題ありませんでした。

【レンタルの際の留意点】
レシーバーの視聴機器のデフォルトは「(消毒済の耳穴挿入タイプ: 写真参照)イヤホン」ですので、パナガイドに慣れているお客様向けにはレンタルの際に「耳たぶ装着式のイヤホン」を指定することをお忘れなく。

***

実は随分前にもパナガイドについての記事を書いています。その中で、携帯電話、スマートフォンのような小型機器が出てくるにも関わらず未だパナガイドやTOA機が主流を占めていることに疑問を投げかけていたのを思い出します。技術の進歩によりもっと安価に、もっと便利にこうした機器は使えるようになるはずです。

今回は簡易通訳機器についてでしたが、技術の進歩は電話会議システム、テレビ会議システムにも及んできています。将来的には国際会議級の会議でも、現場に足を運ばなくとも通訳を聞きながら出席することは十分可能になるはずです。実際には技術はすでにそこにあっても、使う側が追いついていないことを認識し、通訳者もそういう時代にどう対処するべきかを考えておく必要があるでしょう。

しかし、設置型のシステムについては企業としては償却の必要があるためか、なかなか新しい物に出会うことは稀です。そんな中、通訳者が個人で簡易通訳機器を持つことの意味を、次回は考えてみたいと思います。 

2014年3月24日

広島通翻 Let's お花見2014 in 広島

4月6日(日)に広島平和記念公園でお花見をします!

通訳翻訳に興味のあるかた、気軽にご参加下さい。お昼から集まって夜までグダグダします(笑)詳しくは下記のPeatixページに情報が有ります。アンケートに答えるのをお忘れなく!(ちなみに、「チケットを申し込む」となっていますが、出席者集計のためだけで、会費は現地徴収となります。)お昼だけ、夜だけの参加も可能です。

お昼の部ではオードブルを注文し、あとはちょこちょこ買い出し、夜の部は近隣の居酒屋へ移動します。本の交換会も実施予定!

ご質問あれば、遠慮無く私までお問い合わせ下さい。

Peatixサイト: http://peatix.com/event/32513/view

2014年3月19日

映画『ドストエフスキーと愛に生きる』

先日は、戦火を逃れて厳しい時代の中で「赤毛のアン」の翻訳を手がけた村岡花子をご紹介しましたが、今回は同様に戦時を生き抜いた翻訳者スヴェトラーナ・ガイヤーを追った作品「ドストエフスキーと愛に生きる」をご紹介します。2月22日から東京で公開されています。

広島ではサロンシネマで「近日公開」となっていますが、公開予定作品の中にはまだ入っていないようです。私もまだ見ていないのですが…。

最近、翻訳という職業に少し世の中の興味が集まっているのかな…と思います。出版翻訳者に限られるのかもしれませんが…。文章が時代を超えて広く読み継がれるのは、時にたった一人の翻訳者によって発掘(翻訳)されたからです。翻訳者がどんな風に原文を読み発掘(翻訳)していくのか興味をそそられます。

****
84歳の翻訳家スヴェトラーナが織り成す、
深く静かな言語の世界と、紡がれる美しい言葉たち。
ドストエフスキー文学と共に歩んだ一人の女性の、
数奇な半生を追ったドキュメンタリー。



***
今回の映画劇場公開に合わせて、webDICEというサイトでは文芸翻訳家9名にインタビューをしています。経歴もお人柄も人それぞれ。その中でも柴田元幸さんと、鴻巣友季子さんはひときわメディアにお出になっているように感じます。お二人はオシャベリも大変面白いです。ご興味のある方はPodcast 「学問のススメ」で試聴できます。

言語をほどき紡ぎなおす者たち───海外文学界の第一線で活躍する翻訳家9名の仕事場を訪ねて vol.1 <柴田元幸/きむふな/野崎歓>
文芸翻訳家たちに訊いた“翻訳”という営為の魅力
http://www.webdice.jp/dice/detail/4096/


言語をほどき紡ぎなおす者たち───海外文学界の第一線で活躍する翻訳家9名の仕事場を訪ねて vol.2 <野谷文昭/松永美穂/飯塚容>
文芸翻訳家たちに訊いた“翻訳”という営為の魅力
http://www.webdice.jp/dice/detail/4112/


言語をほどき紡ぎなおす者たち───海外文学界の第一線で活躍する翻訳家9名の仕事場を訪ねて vol.3 <和田忠彦/鴻巣友季子/沼野充義>
文芸翻訳家たちに訊いた“翻訳”という営為の魅力
http://www.webdice.jp/dice/detail/4113/


2014年3月11日

簡易同時通訳機器(その3:アナログ機器の干渉・混信注意点)

前回まで見てきたように、同じメーカーの製品であっても干渉・混信の危険があることがわかったと思います。そのため、事前のチャンネル確認は割と重要なポイントといえるでしょう。それ以外にも当然と思われるものも含め、干渉・混信についてはいくつかの注意点が有ります

チャンネル使用上の決まり(?)

通訳がチャンネル切換しやすいようにチャンネルの割り当ては、隣同士のチャンネルを割り当てます。つまり、1ch-2ch、3ch-4ch…のような組合せです。「若い番号の方が必ず英語が常識」と社内通訳時代に言われたことが有りますが、フリーになってからは特に聞きません。指定のない限り現場でペアの方と相談して割り当てています。


異機種間の干渉・混信

また、TOA社製機器とパナガイドはチャンネルによって完全干渉します。つまり、完全互換があると言えます。社内通訳時代の同僚に確認したところ、受信機の台数が足りない時には、両社製の受信機を合わせて台数を揃えることもあるそうです。

干渉・混信についての注意点

代表的な上記二社製品について述べましたが、それぞれの機器を使っていても完全互換(完全干渉域)があるなど「必ず大丈夫!」とはいえず、大事な場面であればあるほど必ず事前確認を徹底することが大切でしょう。これを怠ったがために「当日現場で干渉・混信した…」となれば、機器を貸し出した側にも一定の責任が伴うからです。

さらに注意しなければならないのは、このパナガイドが非常に普及している製品であるために、自分が関わる会議以外でしかも近隣で同じ製品が使用されているケースが東京では少なからず発生するということです。

例えばホテルの会議場やオフィスビルの場合は、建物の構造や気象条件にも左右されるとは言うものの50M以上電波が届くことはめずらしくなく、会議が始まって混信を確認して慌てて不使用のチャンネルを探すはめになる…ことが残念ですが稀に有ります。

オフィスビルの場合は仕方がないですが、ホテル会議などの場合は使用チャネルを決めた上で、ホテル側に対して主催者を通じて予め「パナガイド使用の旨と使用チャンネル」を連絡しておき、後日設定の別会議では同チャンネル使用を回避してもらうなどの対策を講じることが有効でしょう。

電波法による分類

ここで、電波法による分類について簡単に見ておきます。日本では電波法により周波数帯域を周波数の高い順に次のように使い分けています。
  1. A帯: 要ライセンス取得 テレビの番組中継波等として使用。
  2. B帯(700MHz~800MHz): 混信の可能性が高く使用にはリスクが伴う。音質はA帯と変わらない。ただしA帯とは異なり許可制ではないので自由にチャンネルを設定できる。
  3. C帯(300MHz): B帯同様に混信の可能性があり。音質はA・B帯より劣るようで電波の飛び(距離)は波長が低いため一般的に長いとされる。(パナガイドやTOA社製品が使用しているのはこの帯域です。)

また、日本製の電波を発信する製品は日本の電波法に準拠して製造されているため、メーカーは基本的に海外への持ち出しを禁止しています。海外とは周波数使用帯域が異なる場合があるためです。

次回は、4グループ以上に同時通訳サービスを提供したい(8チャネル以上同時使用したい)場合に使えるデジタル機器についてです。

2014年3月6日

簡易同時通訳機器(その2:主なアナログ機器)

市場で利用されている一般的な簡易同時通訳機器として有名なものが2種類有ります。どちらもアナログ機器で機能的に大きな違いはありませんが、細かい注意事項があります。基礎知識として頭の片隅においておきましょう。

パナガイド(パナソニック社製)

(俗に「パナ」と呼んでます。)

チャンネル数が6チャネルあるものが一般的です。(2チャンネルの製品も有り。)しかしながら(意外と知られていないのですが…)メーカーの推奨使用条件では「同一エリアに於いては1ch~4chの4つを最大同時使用チャンネル」としているようです。細かいスペックで言うなら、2chー5ch、4chー6chのチャンネルペアではそれぞれ干渉の危険性があるとのこと。

ただ、完全に同一のチャンネルを複数の送信機で使用する場合よりも影響は小さく、1ch~4chと5ch〜6chの使用エリアが離れていれば受信機に対して近い送信機の電波が勝つため、この場合6チャンネル全てを同時に使用したとしても(例えば、1Fと3Fで1ch~4chと5ch〜6chを分けられれば)それほど深刻な影響は出にくいようです。

私は6チャネルをフルで使う場面では、安全策をとって必ず現場での事前確認を行うようにしています。ですが、個人的な使用経験からは、特に6チャンネル使っていて深刻な影響を検知したことはありません。

ワイヤレスガイド携帯型送信機/受信機(TOA社製)


こちらもチャンネル数が2−6までのものが一般的なようですが、最大では13チャネルタイプの物も商品ラインナップに入っています。しかしながら、同時使用可能チャンネル数は6チャンネルまでとのこと。注意しましょう。


個人的な使用感等

市場に出回っている数で言うと圧倒的にパナソニック社製パナガイドが多く、簡易同通機器の代名詞としてほぼ「パナ」という呼び方が定着しています。使用感も個人的にパナガイドの方が使いやすいと感じています。理由は、以下の二点です。

  1. パナガイドはチャンネル、電源・音量のツマミの位置が適度に離れていてつまみやすい。
  2. TOA社製はツマミ回転にパナガイドに比べてかなり力が要るので、回しすぎてしまう。
ただし、購入するのであれば若干TOA社製品の方が安く手に入るようですが、購入価格については大抵オープン(法人と個人で違うなど…)となっていますので、個別に確認されることをオススメします。

次回は干渉・混信についての留意点等についてです。

2014年3月2日

簡易同時通訳機器(その1:使用場面と特徴)

同時通訳機器を使う場面

一般的に同時通訳をする際には当然ですが、機材の助けを借りる必要が有ります。同時に同程度の音量で原発言と通訳発言を聞き取ることは不可能だというのがその理由です。その問題を回避するために利用する無線機器が同時通訳機器です。

大きな専用会議場などでは会場場備え付けの通訳ブースがあり、通訳者がオーディエンスの前に姿を表すことは殆んどありません。ホテルの会議室などの場合は、会議室の後方に簡易通訳ブースを設置して、オーディエンスから隔離された状態でブースに入って機材を操作しながら通訳することも有ります。オーディエンスは一人ひとり自分の受信機を持つか、比較的大規模の近代型会議場では、オーディエンス席に用意されているジャックにイヤホンを差し込んで受信するというシステムのところも有ります。

広島国際会議場 会議室ダリア常設ブース
この時は便宜上通訳機材が三台入ってますが、通常は二台です!

ですが、傾向として比較的小さなビジネスミーティングなどでも、いわゆる「簡易同時通訳機器」といわれる物を利用して同時通訳をすることが通訳を利用する立場のお客様にも好まれるようです。これは、逐次通訳と比べた時の同時通訳の時間効率の良さ、そしてウィスパリング通訳*と比べた時の同時視聴可能オーディエンス人数における効率とオーディエンス視聴の音声クオリティの良さが理由です。
*ウィスパリング通訳
通訳者が聞き手の耳元でささやくように通訳をすることからウィスパリングという名前がついています。聞き手が1-2名までに限定される場合に用いられる同時通訳です。通訳者はオーディエンスの後ろや横に座り、他の聞き手の迷惑にならない程度の小声で訳出します。簡易同時通訳機器を使った同時通訳(パナ同通と言ったりします。)をこれに含めることも有ります。

簡易同時通訳機器の主な特徴

機器は送信機(マイク/トランスミッター)と受信機(レシーバー)と呼ばれる2タイプの機器で構成されます。機能は至ってシンプル。送信機を持った通訳者が送信機マイクに向かって通訳し、受信機をもった人が通訳を受信し視聴するというものです。

その際、送信機・受信機とにチャンネルが装備されており、言語ごとに仕様者が割り当てチャンネルを決めて運用します。基本的には受信者が聞きたい言語は一言語のはずですから受信側では最初にチャンネルを合わせるだけで以降のチャンネル操作は発生しません。一方、通訳者側はターゲット言語ごとに設定されたチャンネルに切り替える作業を行います。

もっと具体的にいうと、事前に通訳者とオーディエンスの間で言語へのチャンネル割り当てを取り決めておき、例えば右下の図の場合だと通訳者は英語に訳出する場合はチャンネル2に合わせ、日本語に訳出する場合は1に合わせる。日本語オーディエンスはチャンネル1、英語オーディエンスはチャンネル2に設定する…といった具合です。

   

イヤホンですが、耳たぶにかけるタイプのものが一般的です。これは、多くの人が使いまわす際の衛生上のことを考慮して、耳穴挿入タイプになっていないと考えられます。しかし、はじめて使われる方はなかなか上手く耳にかけることができず苦労される場合もあるようなので、慣れないお客様の場合には最初に装着の仕方を説明して差し上げるのが親切かも知れませんね。



次回は一般的な簡易同時通訳機器について説明します。

明けましておめでとうございます

2026年 明けましておめでとうございます 本年もよろしくお願いします    …と始めてみましたがすでに本日は2026年2月も下旬です。ブログ投稿はコロナ禍前後から生存確認できるレベルでできていればいいか…と怠惰を決め込んでおりましたが、今年の正月はご挨拶もないままだったので「お...