なんだか通訳もサービス業も貶めるかのようなこの言葉。
でも、時々耳にします。
「通訳なんて所詮はサービス業だから。」
仕事をしていて面白くない場面はもちろんあるし、周囲に100%自分の仕事を理解してもらうなんて、この仕事に限らず無理な話です。そういう言葉を耳にすると「なんか嫌なことでもあったかな?」「疲れているんだろうな」と思います。
その上で客観的に上記の言葉を考えるに、サービス業の要素の伴わないフリーランス職業はまずないと言っていいでしょう。「人付き合いが苦手だからフリーになった。」という発言も聞きますが、ビジネスのインターフェースは人です。私もけして人付き合いが得意な方ではありません。ですが、一国一城の主である以上サービス業的側面を避けて通る事は不可能です。そしてサービス業に求められるものは自分にとっては「めんどう」なことのオンパレードじゃないでしょうか?
サービス業から想起されるものの対局にあるのが「ビジネスライク」という言葉かもしれません。この言葉にはまるで事実とデーターだけで淡々とやりとりが進むイメージがあリます。しかし、そこに人間が介在する以上、けして人間的なコミュニケーションを全てそぎ落として成り立つものではないと思います。
追求しているのはビジネス面での効率性であり、ビジネス効率向上を目指す上で「お互いが気持よく仕事できる環境に気を配る」ことはビジネスライクの一つの側面であるはず。
私もめんどうなことは嫌い。だけどめんどうなこと好きな人なんてそもそも居ないはず。みんな思っていても言わないだけじゃないでしょうか?
「所詮はサービス業だからめんどうなこともやらなきゃね。」という含みはなんとなく寂しい。翻訳や通訳はよく腕一本(技術だけ)で稼いでいる…という風に自ら言う人もいるし、周囲からもそう見られがちです。でも、必ずしもそうでないこと、もし気づいていないならとても残念なことです。
技術があるし業界に貢献しているから、知らない相手に今更あいさつなんてしない。
「めんどう」だから…
納期だから納品を受けた訳で、特に受領連絡しない。
「めんどう」だから…
これらの例ですら、人間関係が一旦出来上がってしまえば何でもないことかも知れません。でも、よくわからないうちはちょっとした気遣いの無さが「あれあれ?」という感覚につながる事があります。
最近こんなシーンを目にすることが続き「めんどうが嫌い」とわざわざ公言する人には「『めんどう』をかけると『めんどう』なことになるから、つまり自分に近づくなとサインをだしているのかも…」と、少し深読みしてしまう癖がついてしまいました。
疲れているのかもしれません(笑)疲れてくるとついつい「めんどうだな」と思っている自分がいます。日頃、自分とかかわる人が考えてくれている配慮を、ありがたいと感謝しつつ、少し疲れ気味な「めんどうな誰か」の気持ちを受け止められるくらいのココロの余裕が必要だなと思います。あるいは、そんな「『めんどうビーム』をはねのけるくらいのタフさ」が必要とも言えるかもしれません。
タフになる。疲れない。めんどくさがらない。
そのためにできる事ってなんだろう?
管理項目が山盛りすぎてちょっと疲れてきました。
あ〜めんどう。
いかんいかん…
2014年9月10日
2014年8月16日
「おい、スティーブ!」はオリジナルにはなかった…(世界の料理ショー)
昔から料理番組が大好きな私ですが、急に思い出して「子どもの頃に見てたあれなんだったっけ?」と調べたアメリカの料理番組がこれ。「アメリカ 料理 70年代」で検索したら一発で出てきました。
「世界の料理ショー」
Galloping Gourmet / Graham Kerr
まず、あの当時男性がネクタイ姿で料理しているのが斬新でした。当時の豊かな「アメリカ」が、電気製品、カトラリー、カラフルな鍋や食器類として「台所」ではない「キッチン」の随所に散りばめられていました。それら全部を曲芸みたいに操り、さらに軽妙なオシャベリでたまに裏方Steveに「おい、スティーブ!」なんて毒付いたりオヤジギャクを飛ばしながら、美味しそうな料理を完成させてしまいます。
今見ても本当に楽しい。ところが、あらためて気付いた事があります。当時私は当然日本語で観ていましたから、あの楽しい軽妙な彼の語り口は「日本語の吹替え」でした。つまり、吹替用のスクリプトが素晴らしい!ということだったのです。英語の動画も見ましたがGrahamの語り口を全く損なっていないし、再現している声優さんも本当に上手い。
最後に、翻訳者と声優の名前がクレジットされていたので、ちょっと調べてみたところやっぱり素晴らしいにはそれなりの理由がありました。翻訳者は小川裕子さん。そして声優は数名が担当していたみたいですが、最終的にはの黒澤良さんに落ちついたようです。
「世界の料理ショー」
Galloping Gourmet / Graham Kerr
まず、あの当時男性がネクタイ姿で料理しているのが斬新でした。当時の豊かな「アメリカ」が、電気製品、カトラリー、カラフルな鍋や食器類として「台所」ではない「キッチン」の随所に散りばめられていました。それら全部を曲芸みたいに操り、さらに軽妙なオシャベリでたまに裏方Steveに「おい、スティーブ!」なんて毒付いたりオヤジギャクを飛ばしながら、美味しそうな料理を完成させてしまいます。
今見ても本当に楽しい。ところが、あらためて気付いた事があります。当時私は当然日本語で観ていましたから、あの楽しい軽妙な彼の語り口は「日本語の吹替え」でした。つまり、吹替用のスクリプトが素晴らしい!ということだったのです。英語の動画も見ましたがGrahamの語り口を全く損なっていないし、再現している声優さんも本当に上手い。
最後に、翻訳者と声優の名前がクレジットされていたので、ちょっと調べてみたところやっぱり素晴らしいにはそれなりの理由がありました。翻訳者は小川裕子さん。そして声優は数名が担当していたみたいですが、最終的にはの黒澤良さんに落ちついたようです。
なんとオリジナルではスティーブに突っ込んでなかったとは!この他にも、アメリカのポップを口ずさむところを吹替ではピンクレディーの歌詞で歌わせたりしていたそうです。Grahamのあの軽さに合わせて「やっこさん」「おっかさん」「べったり塗ってね、オバちゃんの厚化粧のように。」「はいはいカワイイ僕のチキンちゃーん」なんて、日本人の耳にとても楽しいじゃないですか。まぁおやじギャグではありますが(笑)グラハム・カーGraham Kerr の初代吹替・浦野光インタビュー
(平凡社『QA』1991年2月号掲載)
「ぼくが声を担当していたころは、東北新社のディレクターの川村常平さんと翻訳の小川裕子さんで、日本語版を作ってたんですけど、翻訳の小川さんがこの番組に惚れ込んでいましてね。
外国のギャグなんて、そのまま翻訳しても日本では通じないもののほうが多いから、ストーリーに合わせていろいろアレンジしてくれたんですよ。
それでもまだ、グラハムの口と台詞が合わない部分が出てくるんです。
そこで、番組のスタッフロールにスティーブっていう監督の名前が出てくるんですが、こいつを使って台詞を作ろうということになりましてね。
ですから日本語では、『だめじゃないか、スティーブ!』とか言ってますが、実際の作品にはそんな台詞はないわけですよ」
「奥様は魔女」に始まりアメリカや海外のテレビドラマやショーは小さい頃から見てきましたが「面白かった!」と記憶している物にあまり「吹替え」を意識して見た覚えは無いな…と今更思います。原語で理解できる楽しさもありますが、深く自分の中に馴染んだ日本文化の脈絡で優れた日本語吹替えを聞くことで、作品を堪能し尽くす事ができていたのだなぁ…と、映像翻訳者の仕事の奥深さを再発見しました。
2014年8月15日
「最低でも通訳には…」と言わないで!
私は常々、スポーツチーム所属の通訳者は究極のインハウス通訳者だと感じています。以前も何度か描いた事があると思うのですが、日々勝負を重ねる選手や監督たちと生活を共にし、同じ目標に進んでいくために彼らがカバーしなければならない範囲は、一般企業のインハウス通訳とは比べ物になりません。
先ごろワールドカップサッカーでの日本敗退を以ってザッケローニ監督が退任し、彼が就任以降ずっとサポートし続けた通訳矢野氏も退任となったようです。(矢野氏については彼が就任当初にも記事を書いています。)矢野氏が在任中にどんな風に自分の職務に取り組んでいたかが伺えるニュースを見つけました。
MSN産経ニュース
「通訳が今明かすザックのプライベート 和食レストラン探しに歯科医の付き添い!? 」
2014.8.15 07:00 (1/3ページ)[スポーツ・ウオッチ]
この中で彼は次のように語っています。
多くの場合スポーツ通訳者はその競技の経験者が採用されることが多いようです。それは、求められる専門知識がかなり特殊で深い…ということが有るでしょう。また、日々繰り広げられる勝負の中で常に数字を意識しながら、選手と一丸になって試合に臨む姿勢は欠かせません。通訳者も間違いなくチームの一員です。
そして、何よりチームのメンバーからどれだけ信頼されているかは、最も重要なポイントではないでしょうか?矢野氏はこれについては「監督への忠誠心」という言葉で表現してます。ですが、実際には彼の人柄がとても重要なポイントを占めていたように推察しています。
私も個人的に地元野球球団の通訳さんを知っています。お会いして話したことは一度しかないのですが、球団に寄せる愛情と熱意をもって取り組んでおられる様子がオシャベリの中からもヒシヒシと伝わってきて、その人柄に触れてすぐに彼の大ファンになりました。
つまり、球団や選手に対する忠誠心や人柄で、通訳が好感を持たれ信頼される存在にならなければ、上手いコミュニケーションは取れないということです。これはビジネスでも程度の差はあれ同じことが言えると思っています。
インタビュー記事からは「やりきった!」という感じが読み取れます。本当におつかれさまでした!ただ一つ言わせて欲しいのは、記事の最後に「最低でも通訳くらいにはなれる(笑)」と言っている点…。選手として大成できなかった自分を評して謙遜している言葉だと思うのですが、とても残念です。彼が監督とチームに信頼され4年間務め上げた功績は大きいと思います。しっかりと胸を張って、今後スポーツ通訳を目指す人たちへエールを送って欲しい!と思いました。
先ごろワールドカップサッカーでの日本敗退を以ってザッケローニ監督が退任し、彼が就任以降ずっとサポートし続けた通訳矢野氏も退任となったようです。(矢野氏については彼が就任当初にも記事を書いています。)矢野氏が在任中にどんな風に自分の職務に取り組んでいたかが伺えるニュースを見つけました。
MSN産経ニュース
「通訳が今明かすザックのプライベート 和食レストラン探しに歯科医の付き添い!? 」
2014.8.15 07:00 (1/3ページ)[スポーツ・ウオッチ]
この中で彼は次のように語っています。
通訳業の重要なポイントに挙げたのが、(1)専門知識(2)集中力と記憶力(3)情報収集能力(4)伝達力(5)監督への忠誠心-の5項目。
多くの場合スポーツ通訳者はその競技の経験者が採用されることが多いようです。それは、求められる専門知識がかなり特殊で深い…ということが有るでしょう。また、日々繰り広げられる勝負の中で常に数字を意識しながら、選手と一丸になって試合に臨む姿勢は欠かせません。通訳者も間違いなくチームの一員です。
そして、何よりチームのメンバーからどれだけ信頼されているかは、最も重要なポイントではないでしょうか?矢野氏はこれについては「監督への忠誠心」という言葉で表現してます。ですが、実際には彼の人柄がとても重要なポイントを占めていたように推察しています。
私も個人的に地元野球球団の通訳さんを知っています。お会いして話したことは一度しかないのですが、球団に寄せる愛情と熱意をもって取り組んでおられる様子がオシャベリの中からもヒシヒシと伝わってきて、その人柄に触れてすぐに彼の大ファンになりました。
つまり、球団や選手に対する忠誠心や人柄で、通訳が好感を持たれ信頼される存在にならなければ、上手いコミュニケーションは取れないということです。これはビジネスでも程度の差はあれ同じことが言えると思っています。
インタビュー記事からは「やりきった!」という感じが読み取れます。本当におつかれさまでした!ただ一つ言わせて欲しいのは、記事の最後に「最低でも通訳くらいにはなれる(笑)」と言っている点…。選手として大成できなかった自分を評して謙遜している言葉だと思うのですが、とても残念です。彼が監督とチームに信頼され4年間務め上げた功績は大きいと思います。しっかりと胸を張って、今後スポーツ通訳を目指す人たちへエールを送って欲しい!と思いました。
2014年8月10日
「漫画貧乏」 佐藤秀峰 著
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佐藤秀峰 漫画貧乏 Kindle版 ¥ 0 |
デジタルの普及に伴い長い不況にあえぐ出版業界の影響を、マンガ家のみならず執筆を生業とする方はもろに受けているということが分かりました。その中でもマンガは、仕上げるために何人ものスタッフの手がかかり、題材の取材費などを含めると、「売れっ子マンガ家」と言われる人でも、単行本の売上が一定数なければ基本赤字運営なのだそうです。
佐藤さんのサイト: マンガ on Web
http://mangaonweb.com/creatorOnlineComicTop.do?cn=1
この本は、そういう出版業界とマンガ家の関係とは別に、独自で作品を発表するプラットフォームをデジタル・ネット上に構築するまでの佐藤氏の実話です。自分だけでなく多くのマンガ家が自分の作品に誇りを保てる対価を得る仕組みを作る中で、様々な困難や時には同業者からの批判に直面します。それを自分なりに解釈してそれでも前に進んでいく様子が語られています。
フリーランスという立場は翻訳者・通訳者にも共通しており、出版社を通訳・翻訳エージェントとして読んでみることができるように思います。さすがにマンガ家と出版社の関係ほどの酷さが「常識」とはなっていません。しかし、中には最低賃金を割るような翻訳レートのオファーも出てきているとか…?
マンガの中にも出てくる、編集者の「誰がお前のマンガを売ってやってると思ってるんだ。」というセリフと、それを言われると萎縮してしまうマンガ家の感じ…というのは何とも象徴的だと感じました。しかし、佐藤氏は「出版社も原資であるマンガを買い、それを売ることで利益を上げている。そう考えれば出版社はけしてマンガ家のために売っている訳ではない」と気付きます。お互いがお互いのビジネスを尊重し、利益を上げるために納得行く形で手をとれる関係が必要ということでしょう。
自分の仕事が好きで本当にそれを続けたいと思っているのに、それでは生活が立ち行かない…。私が購読しているメーリングリストにも最近までこんな話題が出ていました。でも、現状に不満を述べ自分の主張だけを叫んで何も行動を起こさなければ、変化はおとずれません。佐藤氏はものすごい精神的経済的な重圧の中で、諦めずに前へ前へ進んでいきます。
その中で、あまり多くは登場しないのですが、彼の奥様が優しくそして力強く彼を支えていることを随所で感じました。自分が正しいと思う道でも、必ずしも周囲の全てが支援してくれるとは限りません。その時に応援してくれる人がいるかいないかは、その人がどういう生き方をしてきた人なのか?他者を尊重できる人なのか?何より、自分の信念にどのくらい本気であり正直な人なのか?を知っている人達でしょう。
少し前に「速く行きたいなら一人でも行け、遠くに行きたいなら仲間と行け。」というアフリカだったかの言葉を聞いて、深いな…と思いました。
自分が変えたい現状について、他者による変化を望むのはおよそ不可能です。自分にしか変えられません。であれば、アイデアを沢山持っていることは変化に向けた行動をする上で大きな強みとなるでしょう。でも、それを支える信念や仲間も同じくらい大切だ、ということもこの「漫画貧乏」は教えてくれている気がします。
2014年8月1日
翻訳者のオフ会 @ 広島県福山市
Facebookの中国四国通翻グループに集まった翻訳者の会話から、来週土曜日に広島県福山市でオフ会が開催されることになりました。アメリカから一時帰国中の翻訳者を含めた地元翻訳者が集まってゆるくオシャベリの予定です。
福山はJR岡山駅から在来線でちょうど一時間くらい。岡山市や倉敷市在住の方がいらっしゃればアクセス圏内と思います。
マイナー地方都市(おっと失礼!)でこうしたオフ会があることは珍しいと思います。少し遠い方も足を伸ばして見てはいかがでしょうか?
すでに数人のメンバーが出席予定です。特に事前の予約は必要ありませんが、一言お声をかけて頂いていると嬉しいです。よろしくお願いします。
福山はJR岡山駅から在来線でちょうど一時間くらい。岡山市や倉敷市在住の方がいらっしゃればアクセス圏内と思います。
マイナー地方都市(おっと失礼!)でこうしたオフ会があることは珍しいと思います。少し遠い方も足を伸ばして見てはいかがでしょうか?
【翻訳者オフ会(ゆるくオシャベリ)】
日時:
8月9日(土)13時~(14時の時点で全員顔合わせられたらいいな)
場所:
JR福山駅から徒歩圏内のカフェで
天満屋の中のアフタヌーンティー or
駅直結の「さんすて」内のUCCカフェなど
すでに数人のメンバーが出席予定です。特に事前の予約は必要ありませんが、一言お声をかけて頂いていると嬉しいです。よろしくお願いします。
2014年7月12日
26. 通訳学校では教えてくれないコト ー フリーランス通翻ビジネスの変化
私が所属するあるメーリングリスト(以下、ML)に、こんな投稿がつい先日ありました。プライバシーの問題もあるので詳しくは書きませんが、要旨は「皆さんはどうやって仕事を確保していますか?」というものです。
そんな投稿に、ML内のメンバーから温かい投稿が寄せられるのを見るのは大変励みになることでした。同時に、返信投稿を見ていてここ3-4年の間に大きな変化が起きている事をはっきりと読み取る事ができました。つまり、直クライアントにアクセスする手段を持つことがフリーランスビジネスの一貫として必須であるとの認識が格段に強化され広まってきていることが分かったのです。
1.数年前までの翻訳者の意識
IJET23を開催したのは2012年の事でしたが、その前年2011年秋におこなわれた大阪プレイベントで、翻訳者はどのようにして仕事を受けているのか?どう自分を差別化しているのか?のようなテーマでパネルディスカッションが行なわれました。私の記憶では、当時は「エージェントを通じて仕事を取ってくるのが基本モデル」というのが多くの方の共通見解で有ったように思います。
そのためか、「直クライアントの獲得についての提言」が明確になされたのにもかかわらず、お一人が「翻訳エージェントになるつもりはない。」という趣旨の発言をされ、各パネリストの発言も付き合いのある複数エージェントとのつきあい方を話されたに終始していました。
2.現在の翻訳者の意識
ところが、今回のMLでの反応はおよそ下記のような内容です。
3.現状認識を裏付けるデータ
そんな中、タイミングよく日本翻訳者連盟のJTFジャーナル2014年7/8月号*が発行されており、その中にも大変興味深い数字が提示されていました。(http://journal.jtf.jp/files/user/pdf/JTFjournal272_2014jul.pdf)
2014年JTF定時社員総会基調講演「日本翻訳産業の実態〜でJTF理事として登壇された井口耕二さんの講演内容として紹介されている下記の文章です。
4.通訳者の意識とこれからのビジネスモデル
一方、通訳業界はまだまだ日本では「エージェント対応モデル」でビジネスをしている通訳者がほとんどです。昨今レート崩壊が叫ばれる翻訳業界に比べると、レートを初め通訳環境を保護する観点から通訳エージェントがこれまで日本市場で果たしてきた功績が大きいため、通訳者とエージェントが強いつながりをもっている事が理由と考えられます。
しかし同時に、海外のエージェントを通じた仕事、国内・海外のお客様からの直接アプローチを受ける機会がじわりじわりと増えているのを身を持ってここ数年感じています。そういう状況の中で「生き残るエージェントはどこなのか?」さらに、フリーランスとして「エージェント対応モデルだけで生き残れるのか?」通訳者も真剣に考えるべき時期に来ているように感じました。
5.フリーランスは自営業
そもそもフリーランス(自営業)という職業を考える時、そのお客様が実は全て仲介業者(エージェント)であるということが少しイレギュラーであったと考えるべきかもしれません。よく言われることですが、フリーランスとは”技術職能を持つ人間であると同時にビジネス活動の主体である。”ということを、今一度肝に銘じる必要が今後よりいっそう出てきそうです。
*JTFジャーナル
どなたでも無料でDLして購読できます。
今号はこの他にも翻訳レートについての考察などとても興味深い内容になっています。
そんな投稿に、ML内のメンバーから温かい投稿が寄せられるのを見るのは大変励みになることでした。同時に、返信投稿を見ていてここ3-4年の間に大きな変化が起きている事をはっきりと読み取る事ができました。つまり、直クライアントにアクセスする手段を持つことがフリーランスビジネスの一貫として必須であるとの認識が格段に強化され広まってきていることが分かったのです。
1.数年前までの翻訳者の意識
IJET23を開催したのは2012年の事でしたが、その前年2011年秋におこなわれた大阪プレイベントで、翻訳者はどのようにして仕事を受けているのか?どう自分を差別化しているのか?のようなテーマでパネルディスカッションが行なわれました。私の記憶では、当時は「エージェントを通じて仕事を取ってくるのが基本モデル」というのが多くの方の共通見解で有ったように思います。
そのためか、「直クライアントの獲得についての提言」が明確になされたのにもかかわらず、お一人が「翻訳エージェントになるつもりはない。」という趣旨の発言をされ、各パネリストの発言も付き合いのある複数エージェントとのつきあい方を話されたに終始していました。
2.現在の翻訳者の意識
ところが、今回のMLでの反応はおよそ下記のような内容です。
- 翻訳者やその他の集まりに顔を出し、自分を知ってもらい個人的なつながりをもつ。
- 自分の差別化要素をアピールできる情報共有サイトに登録する。
3.現状認識を裏付けるデータ
そんな中、タイミングよく日本翻訳者連盟のJTFジャーナル2014年7/8月号*が発行されており、その中にも大変興味深い数字が提示されていました。(http://journal.jtf.jp/files/user/pdf/JTFjournal272_2014jul.pdf)
2014年JTF定時社員総会基調講演「日本翻訳産業の実態〜でJTF理事として登壇された井口耕二さんの講演内容として紹介されている下記の文章です。
フリーランス翻訳者をどう定義した上でのアンケートであったかまで確認していませんが、多くの「翻訳者」が直接クライアントを持って稼働していることが分かります。受注方法については「翻訳会社から」 が 86.7%であるのに対し、「ソースクラ イアントから直接」が 38.2%と示され ている(複数回答可で重複あり)。ソー スクライアントとの直接取引のきっかけ については、「知人の紹介」が 48%、「以 前からの知り合い」が 43%と圧倒的な 数値を示している。「営業」が 12.7%を 示していることについては、翻訳会社の 営業力の強みが感じられるとの指摘があった。「翻訳マッチングサイト」と「SNS 経由」がそれぞれ 8.6%を示しているこ とについては、インターネット普及の効 果かが見られるとしながらも、意外に低い 数値てであるという印象をもったとの発言 があった。
4.通訳者の意識とこれからのビジネスモデル
一方、通訳業界はまだまだ日本では「エージェント対応モデル」でビジネスをしている通訳者がほとんどです。昨今レート崩壊が叫ばれる翻訳業界に比べると、レートを初め通訳環境を保護する観点から通訳エージェントがこれまで日本市場で果たしてきた功績が大きいため、通訳者とエージェントが強いつながりをもっている事が理由と考えられます。
しかし同時に、海外のエージェントを通じた仕事、国内・海外のお客様からの直接アプローチを受ける機会がじわりじわりと増えているのを身を持ってここ数年感じています。そういう状況の中で「生き残るエージェントはどこなのか?」さらに、フリーランスとして「エージェント対応モデルだけで生き残れるのか?」通訳者も真剣に考えるべき時期に来ているように感じました。
5.フリーランスは自営業
そもそもフリーランス(自営業)という職業を考える時、そのお客様が実は全て仲介業者(エージェント)であるということが少しイレギュラーであったと考えるべきかもしれません。よく言われることですが、フリーランスとは”技術職能を持つ人間であると同時にビジネス活動の主体である。”ということを、今一度肝に銘じる必要が今後よりいっそう出てきそうです。
*JTFジャーナル
どなたでも無料でDLして購読できます。
今号はこの他にも翻訳レートについての考察などとても興味深い内容になっています。
2014年7月5日
25. 通訳学校では教えてくれないコト ー 不安をマネージする 後編
3.「自分の実力」を知る(認める)
ただし、上記で上げた項目では、上から順番に「プロとして市場で稼働できる実力あり」を前提に考えられる選択肢となっていて、最終的に受け入れるのに辛いことかもしれませんが「実力が足りない。」という原因も4.として除外できません。
自分の「技術」を活かして仕事を始めたいと考える時、果たしてその「技術レベル」が市場でお金に還元できるものか?が「仕事にできる/できない」の大きな判断基準になってくるでしょう。ですが、すべての技術系の職業人がプロの域に達してから仕事を開始しているかというと、正直なところそうでない場合がほとんどです。なぜなら技術は訓練で完成に近づき、経験を積み重ねるからこそ独自のスキルが身につくからです。
自分が思うだけの実力が自分にないことを知り認めることは辛いことです。しかし、仮にそうでならそれを認めて戦略を立てるしか有りません。無意味に「不安」な状態を継続したところで、世界の終わりはきませんから永遠に不安と戦う辛い状態が続くだけです。そしてその判断は自分にしかできないのです。
4.自分で判断する。
「自分の技術レベル」は自分で判断する」しか方法は有りません。それは「キャリアのどのステージにあっても」です。そしてその「自分で判断する。」という事こそ、ビジネスの主体として翻訳者通訳者自身が責任を持って行うべき業務なのです。
例えば、通訳としての訓練は通訳学校で勉強することもそうですが、ある程度レベル的に及ばない事を納得づくで低レートの派遣社員として職場を得ることもできるでしょう。ですが「いつフリーランスになるか?」「プロで食べて行くか?」は誰かが教えてくれるものでは有りません。
会社組織に属していれば通訳翻訳者が組織内で使える存在かどうかを、周囲の人の評価から知ることができるかもしれません。しかし、彼らの判断は市場価値という観点から見た「使える/使えない」の判断であり、技術職能を「売り」とする通訳者翻訳者としてやっていく中で一つの指針にはなっても、技術レベルとして自分がどこにいるかの判断基準には本質的になり得ないと考えるのが適当でしょう。
つまり、翻訳や通訳の職能技術に明るくない人からは、自分の実力レベルを知る上で有効な情報やヒントを得られないということであり、裏返せば同業者(一切のエージェントを含みません。)に当たればそれらが得られるということです。
5.仲間を持つことの意義
もちろん、孤独に言葉と向き合いコツコツと自分の中に力を積み上げていく作業は必要です。しかし、多くの仲間を得ることで、仲間から翻訳通訳スタイルやテクニックを学ぶ事ができます。さらに、実はそうやって技能レベルを高めるということ以上に、派遣フリー立場を問わず、仲間を得るということはビジネス上「自分で判断する力」を養う上で重要なことであると認識しましょう。
何より、同じ翻訳通訳に魅力を感じて集まる仲間と共感し合える事は、大きな喜びです。不安も共有した上で建設的に解決するための智恵を仲間が分けてくれるはずです。
私自身も仲間のお陰で切り抜けた場面が数えきれない程ありました。そして、エラそうにこんなブログを書いている私でさえ(ごめんなさい、エラそうで…)、仲間に支えられながら不安と向き合いフリーランス通訳翻訳者として頑張っていることを書き添えておきます。
ただし、上記で上げた項目では、上から順番に「プロとして市場で稼働できる実力あり」を前提に考えられる選択肢となっていて、最終的に受け入れるのに辛いことかもしれませんが「実力が足りない。」という原因も4.として除外できません。
自分の「技術」を活かして仕事を始めたいと考える時、果たしてその「技術レベル」が市場でお金に還元できるものか?が「仕事にできる/できない」の大きな判断基準になってくるでしょう。ですが、すべての技術系の職業人がプロの域に達してから仕事を開始しているかというと、正直なところそうでない場合がほとんどです。なぜなら技術は訓練で完成に近づき、経験を積み重ねるからこそ独自のスキルが身につくからです。
自分が思うだけの実力が自分にないことを知り認めることは辛いことです。しかし、仮にそうでならそれを認めて戦略を立てるしか有りません。無意味に「不安」な状態を継続したところで、世界の終わりはきませんから永遠に不安と戦う辛い状態が続くだけです。そしてその判断は自分にしかできないのです。
「自分の技術レベル」は自分で判断する」しか方法は有りません。それは「キャリアのどのステージにあっても」です。そしてその「自分で判断する。」という事こそ、ビジネスの主体として翻訳者通訳者自身が責任を持って行うべき業務なのです。
例えば、通訳としての訓練は通訳学校で勉強することもそうですが、ある程度レベル的に及ばない事を納得づくで低レートの派遣社員として職場を得ることもできるでしょう。ですが「いつフリーランスになるか?」「プロで食べて行くか?」は誰かが教えてくれるものでは有りません。
会社組織に属していれば通訳翻訳者が組織内で使える存在かどうかを、周囲の人の評価から知ることができるかもしれません。しかし、彼らの判断は市場価値という観点から見た「使える/使えない」の判断であり、技術職能を「売り」とする通訳者翻訳者としてやっていく中で一つの指針にはなっても、技術レベルとして自分がどこにいるかの判断基準には本質的になり得ないと考えるのが適当でしょう。
つまり、翻訳や通訳の職能技術に明るくない人からは、自分の実力レベルを知る上で有効な情報やヒントを得られないということであり、裏返せば同業者(一切のエージェントを含みません。)に当たればそれらが得られるということです。
5.仲間を持つことの意義
もちろん、孤独に言葉と向き合いコツコツと自分の中に力を積み上げていく作業は必要です。しかし、多くの仲間を得ることで、仲間から翻訳通訳スタイルやテクニックを学ぶ事ができます。さらに、実はそうやって技能レベルを高めるということ以上に、派遣フリー立場を問わず、仲間を得るということはビジネス上「自分で判断する力」を養う上で重要なことであると認識しましょう。
何より、同じ翻訳通訳に魅力を感じて集まる仲間と共感し合える事は、大きな喜びです。不安も共有した上で建設的に解決するための智恵を仲間が分けてくれるはずです。
私自身も仲間のお陰で切り抜けた場面が数えきれない程ありました。そして、エラそうにこんなブログを書いている私でさえ(ごめんなさい、エラそうで…)、仲間に支えられながら不安と向き合いフリーランス通訳翻訳者として頑張っていることを書き添えておきます。
2014年6月28日
25. 通訳学校では教えてくれないコト ー 不安をマネージする 前編
キャリアを重ね技能を高めていく過程で「自分の実力(これからの伸び代も含め)で将来やっていけるのだろうか?」と誰もが不安に思うものです。私もかつては通訳志望の通訳学校の生徒、派遣通訳者を目指したバイリンガルセクレタリー派遣社員、嘱託契約社員を目指した通訳派遣社員、そして駆け出しのフリーランス通訳者でした。それぞれの段階で「職が得られるのか。」「派遣期間満了後はどうするのか。」「フリーランスの仕事が途切れたら…」と不安は尽きませんでした。
1.不安と向き合い現実を見て戦略を立てる
「不安」は誰にでもあります。しかし、その不安をマネージできてこそ初めて本当のプロといえるのかもしれません。では、「不安をマネージする。」とはどういうことでしょうか?
私個人を振り返ってみると、止めずに不安と折り合いをつけながら続けてこれたのは、「通訳者翻訳者としてやってきたい。」という意思が強かったこともありますが、それ以上に「なるためにどうするべきか?」を市場の情報を集めながら自分の中で分析して戦略を立ててきたからだと思っています。
「仕事の依頼が途切れたら…」というのは、新米フリーランスのみならずある程度経験ある通訳者翻訳者でさえ必ず陥る不安です。でも、そこでただ仕事を待つ時間は、不安な時間の継続に他なりません。不安な時間を回避、終了させるには「仕事が途切れるのはなぜか?」を客観的に分析することから始めましょう。
2.仕事が途切れる可能性ごとにに対策を考える
まず、途切れる原因は可能性として以下が考えられます。
b) に対処するには、その逆を貼ればいいわけですから比較的対策は簡単です。
c) は可能性として考えにくいですが、登録エージェントが少なく、しかも登録しているエージェントが求める通訳者レベルが高い場合は「レートが低いということは質の低い翻訳者である。」と判断される場合が考えられます。エージェントが仕事を依頼する時の一番の翻訳通訳者選択における判断基準は、レートです。しかし、多くの登録者や案件数を抱えるエージェントはわざわざ登録翻訳通訳者のバックグラウンドまで目を通して果たして依頼する相手を選んでいるでしょうか?
これは自分の経験値ですが、レートの上昇と共に明らかに「仕事の質」は上がったと思います。翻訳では社内文書や社内マニュアルなどのマテリアルを当初依頼されることが主でしたが、レートが上がってくるとより公の目に触れるものや、専門知識が求められる物に依頼内容が変化しました。また、通訳でも社内通訳にスポットで入るようなものが当初主流でした。資料もさほど出てきません。しかし、レートが上がると共に、客先の社外的にも重要な会議、社内会議でもエグゼクティブレベルの会議。そして、確実な準備作業が求められ資料も揃ってくるような大人数を集める講演会通訳、特定分野の国際会議などが増えるなどの変化がありました。
そう考えれば、自分の実力と経験にある一定の自信が持てれば、思い切って「レートを上げる。」と言うのは戦略として大変有効だと言えるでしょう。
1.不安と向き合い現実を見て戦略を立てる
「不安」は誰にでもあります。しかし、その不安をマネージできてこそ初めて本当のプロといえるのかもしれません。では、「不安をマネージする。」とはどういうことでしょうか?
私個人を振り返ってみると、止めずに不安と折り合いをつけながら続けてこれたのは、「通訳者翻訳者としてやってきたい。」という意思が強かったこともありますが、それ以上に「なるためにどうするべきか?」を市場の情報を集めながら自分の中で分析して戦略を立ててきたからだと思っています。
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ホントかよ…!? |
2.仕事が途切れる可能性ごとにに対策を考える
まず、途切れる原因は可能性として以下が考えられます。
a) は、機械翻訳(使えるかどうかは別にして需要があるのは確か)やクラウドソーシングと行った翻訳ビジネスの台頭で、市場での価格圧力は翻訳者自身が一番感じていることでしょう。エージェントから価格を下げるよう、正面から求められるケースもあるようです。しかし、レート下げに応じるということは、そのレートでこの先も「できます。」と宣言することに他なりません。かつてそのレートで仕事がもらえていたのであれば、価格下げ要求に応じることは自分のブランド低下を意味します。慎重に対応しましょう。そうなると、考えられるのが登録エージェント/クライアント数の少なさの問題です。a) (実力に対して)レートが高すぎる。
b) (実力を理解する)エージェント/クライアントにリーチできていない。
c) (実力に対して)レートが低すぎる。
d) 実力が足りておらず、市場で通用しない。
b) に対処するには、その逆を貼ればいいわけですから比較的対策は簡単です。
- トライアルを受けて登録エージェントを増やす。
- 自分を知ってもらう努力をする(翻訳通訳関連サイトへの登録)
- 通訳、翻訳者関連の技能グループへ所属する。
- 得意分野のトピックの展示会や商談会へ足を運ぶ。
c) は可能性として考えにくいですが、登録エージェントが少なく、しかも登録しているエージェントが求める通訳者レベルが高い場合は「レートが低いということは質の低い翻訳者である。」と判断される場合が考えられます。エージェントが仕事を依頼する時の一番の翻訳通訳者選択における判断基準は、レートです。しかし、多くの登録者や案件数を抱えるエージェントはわざわざ登録翻訳通訳者のバックグラウンドまで目を通して果たして依頼する相手を選んでいるでしょうか?
これは自分の経験値ですが、レートの上昇と共に明らかに「仕事の質」は上がったと思います。翻訳では社内文書や社内マニュアルなどのマテリアルを当初依頼されることが主でしたが、レートが上がってくるとより公の目に触れるものや、専門知識が求められる物に依頼内容が変化しました。また、通訳でも社内通訳にスポットで入るようなものが当初主流でした。資料もさほど出てきません。しかし、レートが上がると共に、客先の社外的にも重要な会議、社内会議でもエグゼクティブレベルの会議。そして、確実な準備作業が求められ資料も揃ってくるような大人数を集める講演会通訳、特定分野の国際会議などが増えるなどの変化がありました。
そう考えれば、自分の実力と経験にある一定の自信が持てれば、思い切って「レートを上げる。」と言うのは戦略として大変有効だと言えるでしょう。
2014年6月15日
「機械翻訳の威力」と「人間翻訳の威力」
通訳や翻訳という職業は、テクノロジーが発達すれば要らなくなる…というのはもう数十年前から言われていることですが、これだけ科学の進歩が目覚ましいにもかかわらず、幸いそうした現実は訪れてはいません。
とはいえGoogle翻訳、Excite翻訳など、いわゆる「機械翻訳」と言われるものはもう随分一般に普及しており、個人利用のためにこうしたサイトを使う人が少なくないのは周知のとおりです。
しかし、この機械翻訳は必ずしも個人利用にとどまっているわけではなく、翻訳業界へもじわりじわりと進出しつつ有ります。実際、原文がある一定のルールに従って書かれたマニュアルのようなものであれば、機械翻訳の訳文も悪くない精度で上がってくることがあるようです。
それでもやはりまだ人間による手直し、最終チェックは必要で、その際のチェック編集作業のことを「ポストエディット」と業界では呼んでおり、この「ポストエディットのお仕事」という名の案件を耳にするようになったのはここ二年程ではないでしょうか?
そういう時代だからこそ、翻訳者も人間翻訳だからこそ出せる「原文の深い読み込み」と「訳文の精度」をより追求すべきであり、機械にできるレベルをこなしていたのでは、商売にならなくなるのは時間の問題だと言えます。
そこで「機械翻訳の威力」と「人間翻訳の威力」の例を考えるのに相応いとも言える動画を見つけたので、どうぞお楽しみ下さい(笑)
「機械翻訳の威力」
「人間翻訳の威力」
まぁ…どちらも極端な例ですが(笑)
ですが、人間翻訳では原文の理解もさることながら、ターゲット言語(この場合広島弁、笑)を知ることでここまで広島人に訴えかける訳文に仕上がるわけです。(博多弁バージョンはこちら)広島弁を知らない翻訳者に「広島がわやなんよ」の訳文は絶対に無理です。そして、これは機械翻訳には逆立ちしたって出きっこない、まさに「人間翻訳」がなせる技。こういうの目指したいですね。
そして…
ピースリンク通訳事務所では広島弁も扱えます。ご要望に合わせ、旧市内、西条、呉方面それぞれの微妙な言葉の使い分けにも対応できます(笑)
とはいえGoogle翻訳、Excite翻訳など、いわゆる「機械翻訳」と言われるものはもう随分一般に普及しており、個人利用のためにこうしたサイトを使う人が少なくないのは周知のとおりです。
しかし、この機械翻訳は必ずしも個人利用にとどまっているわけではなく、翻訳業界へもじわりじわりと進出しつつ有ります。実際、原文がある一定のルールに従って書かれたマニュアルのようなものであれば、機械翻訳の訳文も悪くない精度で上がってくることがあるようです。
それでもやはりまだ人間による手直し、最終チェックは必要で、その際のチェック編集作業のことを「ポストエディット」と業界では呼んでおり、この「ポストエディットのお仕事」という名の案件を耳にするようになったのはここ二年程ではないでしょうか?
そういう時代だからこそ、翻訳者も人間翻訳だからこそ出せる「原文の深い読み込み」と「訳文の精度」をより追求すべきであり、機械にできるレベルをこなしていたのでは、商売にならなくなるのは時間の問題だと言えます。
そこで「機械翻訳の威力」と「人間翻訳の威力」の例を考えるのに相応いとも言える動画を見つけたので、どうぞお楽しみ下さい(笑)
「機械翻訳の威力」
「人間翻訳の威力」
まぁ…どちらも極端な例ですが(笑)
ですが、人間翻訳では原文の理解もさることながら、ターゲット言語(この場合広島弁、笑)を知ることでここまで広島人に訴えかける訳文に仕上がるわけです。(博多弁バージョンはこちら)広島弁を知らない翻訳者に「広島がわやなんよ」の訳文は絶対に無理です。そして、これは機械翻訳には逆立ちしたって出きっこない、まさに「人間翻訳」がなせる技。こういうの目指したいですね。
そして…
ピースリンク通訳事務所では広島弁も扱えます。ご要望に合わせ、旧市内、西条、呉方面それぞれの微妙な言葉の使い分けにも対応できます(笑)
2014年6月8日
24. 通訳学校では教えてくれないコト ー キャンセル規定見てますか? その2
前回は、エージェントによってキャンセル規定が大きく異なること、そしてキャンセル規定の重要性と留意点について見てみました。今回は、キャンセル規定を理解した上で、仕事の受け方を考えてみます。
1.確定案件、仮案件の意味
通訳案件が入ってくる場合、これはもうお約束と言っても良いかもしれませんが、業務日まで日にちのある場合に「確定案件」で話が来ることはほぼなく、まずは「仮案件」として抑えて欲しいと言われることがほとんどです。基本的に、案件確定してから「キャンセル規定」が適用されるます。
ですから、案件打診の段階から各社のキャンセル規定をある程度頭に入れ、受けるか受けないか決めることは割と重要です。なぜなら「確定案件」であっても、キャンセル料金が発生するタイミングに入ってこない限りは、通訳者にとっては本当の意味での「確定」では無いからです。
2.各エージェントの案件依頼時の傾向を把握する
そこで、知っておくべきは各エージェントの傾向でしょう。下記は前回上げたエージェントのキャンセル規定にそれぞれ依頼の傾向を追加してみたものです。
エージェントAはキャンセル規定は割と寛大な内容ですが、確定をなかなか持ってこない。それをある程度彼らサイドの保険としていることろがあります。こうしたエージェントは場合によっては案件が確定していても、レートの安い通訳者が見つかるのを待って(もちろん、そうとは告げずに)案件キャンセルを連絡してくるところがあるので要注意。
さらにエージェントCは案件は多く抱えているようですが、客先要件のためか変更キャンセルが多いようで、あえてキャンセル料発生タイミングを直前にすることで、自社リスクを最小限に抑えようとしています。つまり、その分のリスクは通訳者が取らなければならない構造です。
エージェントBとエージェントDについては確定に結びつきやすというのは通訳者にとっては大きな信頼感につながります。通訳者の顔を一人一人意識してビジネスをしていることが分かります。
3.仕事を受ける順序を考える
例えば、エージェントCから2ヶ月先迄の日程で「空いてる日程」を全部教えて欲しいと言われました。あなたならどうしますか?この「空いている日程を教えて欲しい。」攻撃…(笑)皆さん、安易に教えていませんか?これは通訳者の稼働状況や、どの位お仕事を欲しがっているかなど、相手に手の内をすべて明かしてしまうのも同じことなのです。経験上、通訳者を尊重してくれるエージェントであれば個別にそうした問合せを入れてくることは、ほぼ有りません。
通訳者には仕事の内容を見て、仕事を選ぶ権利があることを認識しましょう。もし、このエージェントCの要望に応え空き日程をすべて確定として抑えられてしまい、軒並み4日前にキャンセルされてしまったら…!大変なことです。
或いは、複数日をエージェントAやエージェントCに仮で抑えられる場合には、その期間に一日でも別エージェントからオファーがあった時には受けられない場合も出てきます。割と頻繁に打診をしてきますし、直前案件も沢山抱えているらしいことから早い時期に日程をこの2つのエージェントで抑えるのにはリスクが伴います。
むしろ、エージェントB、Dからの打診をしばらく待ってみて、埋まらない隙間をバランスよくエージェントA、Cで埋めるということを考えるのが得策でしょう。
通訳者側がエージェントを評価するという視点を持つことは大変重要な事です。もちろん、繁忙期にはお世話になっているエージェントのちょっと無理目のお願いも頑張ってみる!というサービス精神も必要ではあります。が、ただ「仕事をもらう。」のではなく「仕事を選んで取ってくる。」という姿勢は持っておきたいものです。
案件が埋まらず、空いているスケジュールを見ては不安になる気持ちは誰もが経験するところです。しかし、「武士は食わねど高楊枝」とまでは言いませんが、いい仕事を選んで、着実にこなし、お客様からよいフィードバックをもらうことこそが、エージェントからの評価にも自分自身の自信、ひいてはレートアップにつながることをしっかり認識しておきましょう。
1.確定案件、仮案件の意味
通訳案件が入ってくる場合、これはもうお約束と言っても良いかもしれませんが、業務日まで日にちのある場合に「確定案件」で話が来ることはほぼなく、まずは「仮案件」として抑えて欲しいと言われることがほとんどです。基本的に、案件確定してから「キャンセル規定」が適用されるます。
ですから、案件打診の段階から各社のキャンセル規定をある程度頭に入れ、受けるか受けないか決めることは割と重要です。なぜなら「確定案件」であっても、キャンセル料金が発生するタイミングに入ってこない限りは、通訳者にとっては本当の意味での「確定」では無いからです。
2.各エージェントの案件依頼時の傾向を把握する
そこで、知っておくべきは各エージェントの傾向でしょう。下記は前回上げたエージェントのキャンセル規定にそれぞれ依頼の傾向を追加してみたものです。
このように、エージェンの案件依頼傾向とキャンセル規定を見るだけでも、それぞれのエージェントがどういう信条でビジネスをやっているところかが見えてこないでしょうか?例えば…【エージェントA】
打診頻度は時期によりまちまち、打診は早い時期にあてっても直前まで確定しない。
1日前~当日 合計の100%
5~2日前 合計の60%
※キャンセル日は、土日、祝日を除く営業日数で計算いたします。
【エージェントB】
打診頻度は低いが、仮案件で入ってきてもほぼ確定に結びつく。
当日/前日 100%
2,3日前 50%
4~5日前 10%
【エージェントC】
打診は頻繁にあり確定時期も早いが、直前キャンセルが多い。
前日 100%
前々日 50%
3日前 25%
【エージェントD】
打診頻度は頻繁ではないが、比較的複数日案件が多い。仮案件はまずまず確定に結びつく。
当日/前日のキャンセル: 100%
前々日/3日前のキャンセル: 50%
4/5日前のキャンセル: 30%
※上記日数表記は原則営業日換算ですが、土日、祝祭日業務の場合はその都度取り決めさせていただきます。 ※終日案件が半日案件になった場合、差額分がキャンセレーションの対象になります。 ※各種拘束費のキャンセレーションについては、その都度ご相談させていただきます。
エージェントAはキャンセル規定は割と寛大な内容ですが、確定をなかなか持ってこない。それをある程度彼らサイドの保険としていることろがあります。こうしたエージェントは場合によっては案件が確定していても、レートの安い通訳者が見つかるのを待って(もちろん、そうとは告げずに)案件キャンセルを連絡してくるところがあるので要注意。
さらにエージェントCは案件は多く抱えているようですが、客先要件のためか変更キャンセルが多いようで、あえてキャンセル料発生タイミングを直前にすることで、自社リスクを最小限に抑えようとしています。つまり、その分のリスクは通訳者が取らなければならない構造です。
エージェントBとエージェントDについては確定に結びつきやすというのは通訳者にとっては大きな信頼感につながります。通訳者の顔を一人一人意識してビジネスをしていることが分かります。
3.仕事を受ける順序を考える
例えば、エージェントCから2ヶ月先迄の日程で「空いてる日程」を全部教えて欲しいと言われました。あなたならどうしますか?この「空いている日程を教えて欲しい。」攻撃…(笑)皆さん、安易に教えていませんか?これは通訳者の稼働状況や、どの位お仕事を欲しがっているかなど、相手に手の内をすべて明かしてしまうのも同じことなのです。経験上、通訳者を尊重してくれるエージェントであれば個別にそうした問合せを入れてくることは、ほぼ有りません。
通訳者には仕事の内容を見て、仕事を選ぶ権利があることを認識しましょう。もし、このエージェントCの要望に応え空き日程をすべて確定として抑えられてしまい、軒並み4日前にキャンセルされてしまったら…!大変なことです。
或いは、複数日をエージェントAやエージェントCに仮で抑えられる場合には、その期間に一日でも別エージェントからオファーがあった時には受けられない場合も出てきます。割と頻繁に打診をしてきますし、直前案件も沢山抱えているらしいことから早い時期に日程をこの2つのエージェントで抑えるのにはリスクが伴います。
むしろ、エージェントB、Dからの打診をしばらく待ってみて、埋まらない隙間をバランスよくエージェントA、Cで埋めるということを考えるのが得策でしょう。
通訳者側がエージェントを評価するという視点を持つことは大変重要な事です。もちろん、繁忙期にはお世話になっているエージェントのちょっと無理目のお願いも頑張ってみる!というサービス精神も必要ではあります。が、ただ「仕事をもらう。」のではなく「仕事を選んで取ってくる。」という姿勢は持っておきたいものです。
案件が埋まらず、空いているスケジュールを見ては不安になる気持ちは誰もが経験するところです。しかし、「武士は食わねど高楊枝」とまでは言いませんが、いい仕事を選んで、着実にこなし、お客様からよいフィードバックをもらうことこそが、エージェントからの評価にも自分自身の自信、ひいてはレートアップにつながることをしっかり認識しておきましょう。
2014年6月1日
23. 通訳学校では教えてくれないコト ー キャンセル規定見てますか?その1
フリーランス通訳のお仕事形態としてはエージェントモデルが主流です。かくいう私も自分の売り上の多くをエージェントからの仕事が占めていますが、おそらく東京で常時稼働の通訳者の中には、ほぼ100%がエージェントとの取引ではないかと考えています。
めまぐるしく動く東京のビジネスシーンでは変更も度々です。そんな中、意外と皆さんエージェントのキャンセル規定は注意していないことに気が付きました。私が契約するエージェントのキャンセル規定を四社程調べてみました。
1.各社キャンセル規定の違い
以下はいずれも案件確定連絡後に適用されるキャンセル規定です。
見比べて分かる通り、前日および当日キャンセルの場合は100%というのは業界標準のようです。ですがそれ以外は各社まちまちで、中には3日前にならないとキャンセル料が発生しないものが有ります。さらに、営業日で計算する規定のあるエージェントもあります。
実は実際にキャンセルされてみて「そういうことだったの!?」と驚くパターンは少なく有りません。例えば…
1.は無いだろう…と思われるかもしれませんが、意外とこちらからお願いしないと提示してくれないエージェントもあリます。例えば、上述のエージェントCがそうでした。先方にしてみれば積極的に出したい内容ではないですね(笑)
2.についても明記が無い場合はこちらから確認しておく方が無難でしょう。
3.は一番痛いパターンです。例えば1週間フルで抑えられた案件が案件3日前にキャンセルになった場合、上記エージェントCを除くエージェントでは一週間の1日目のキャンセル料は発生します。しかし、2日目以降はどうでしょう?多くの場合は発生しないことがほとんどですが、通訳者にしてみれば抑えている一週間の仕事がすべて無くなる訳ですからこれはかなり痛い…という事になります。
そうならないためにも、長い案件を受けるときには4.を踏まえて、個別にキャンセル規定がどのように適用になるのかを予め確認しておくことは大変重要です。そうすることで、対象案件が4.の「ご相談」案件だったとしてもダメージを最小限に防ぐことが可能となります。
めまぐるしく動く東京のビジネスシーンでは変更も度々です。そんな中、意外と皆さんエージェントのキャンセル規定は注意していないことに気が付きました。私が契約するエージェントのキャンセル規定を四社程調べてみました。
1.各社キャンセル規定の違い
以下はいずれも案件確定連絡後に適用されるキャンセル規定です。
2.キャンセル規定の注意点【エージェントA】
1日前~当日 合計の100%
5~2日前 合計の60%
※キャンセル日は、土日、祝日を除く営業日数で計算いたします。
【エージェントB】
当日/前日 100%
2,3日前 50%
4~5日前 10%
【エージェントC】
前日 100%
前々日 50%
3日前 25%
【エージェントD】
当日/前日のキャンセル: 100%
前々日/3日前のキャンセル: 50%
4/5日前のキャンセル: 30%
※上記日数表記は原則営業日換算ですが、土日、祝祭日業務の場合はその都度取り決めさせていただきます。 ※終日案件が半日案件になった場合、差額分がキャンセレーションの対象になります。 ※各種拘束費のキャンセレーションについては、その都度ご相談させていただきます。
見比べて分かる通り、前日および当日キャンセルの場合は100%というのは業界標準のようです。ですがそれ以外は各社まちまちで、中には3日前にならないとキャンセル料が発生しないものが有ります。さらに、営業日で計算する規定のあるエージェントもあります。
実は実際にキャンセルされてみて「そういうことだったの!?」と驚くパターンは少なく有りません。例えば…
1.キャンセル規定をそもそも確認してなかった…。
2.営業日計算の規定はないのに、実は営業日計算。
3.複数日案件が一気にキャンセルの場合でも、一日単位ごとの保障
4.「案件ごとにご相談」対象の案件だった…
1.は無いだろう…と思われるかもしれませんが、意外とこちらからお願いしないと提示してくれないエージェントもあリます。例えば、上述のエージェントCがそうでした。先方にしてみれば積極的に出したい内容ではないですね(笑)
2.についても明記が無い場合はこちらから確認しておく方が無難でしょう。
3.は一番痛いパターンです。例えば1週間フルで抑えられた案件が案件3日前にキャンセルになった場合、上記エージェントCを除くエージェントでは一週間の1日目のキャンセル料は発生します。しかし、2日目以降はどうでしょう?多くの場合は発生しないことがほとんどですが、通訳者にしてみれば抑えている一週間の仕事がすべて無くなる訳ですからこれはかなり痛い…という事になります。
そうならないためにも、長い案件を受けるときには4.を踏まえて、個別にキャンセル規定がどのように適用になるのかを予め確認しておくことは大変重要です。そうすることで、対象案件が4.の「ご相談」案件だったとしてもダメージを最小限に防ぐことが可能となります。
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