1.不安と向き合い現実を見て戦略を立てる
「不安」は誰にでもあります。しかし、その不安をマネージできてこそ初めて本当のプロといえるのかもしれません。では、「不安をマネージする。」とはどういうことでしょうか?
私個人を振り返ってみると、止めずに不安と折り合いをつけながら続けてこれたのは、「通訳者翻訳者としてやってきたい。」という意思が強かったこともありますが、それ以上に「なるためにどうするべきか?」を市場の情報を集めながら自分の中で分析して戦略を立ててきたからだと思っています。
ホントかよ…!? |
2.仕事が途切れる可能性ごとにに対策を考える
まず、途切れる原因は可能性として以下が考えられます。
a) は、機械翻訳(使えるかどうかは別にして需要があるのは確か)やクラウドソーシングと行った翻訳ビジネスの台頭で、市場での価格圧力は翻訳者自身が一番感じていることでしょう。エージェントから価格を下げるよう、正面から求められるケースもあるようです。しかし、レート下げに応じるということは、そのレートでこの先も「できます。」と宣言することに他なりません。かつてそのレートで仕事がもらえていたのであれば、価格下げ要求に応じることは自分のブランド低下を意味します。慎重に対応しましょう。そうなると、考えられるのが登録エージェント/クライアント数の少なさの問題です。a) (実力に対して)レートが高すぎる。
b) (実力を理解する)エージェント/クライアントにリーチできていない。
c) (実力に対して)レートが低すぎる。
d) 実力が足りておらず、市場で通用しない。
b) に対処するには、その逆を貼ればいいわけですから比較的対策は簡単です。
- トライアルを受けて登録エージェントを増やす。
- 自分を知ってもらう努力をする(翻訳通訳関連サイトへの登録)
- 通訳、翻訳者関連の技能グループへ所属する。
- 得意分野のトピックの展示会や商談会へ足を運ぶ。
c) は可能性として考えにくいですが、登録エージェントが少なく、しかも登録しているエージェントが求める通訳者レベルが高い場合は「レートが低いということは質の低い翻訳者である。」と判断される場合が考えられます。エージェントが仕事を依頼する時の一番の翻訳通訳者選択における判断基準は、レートです。しかし、多くの登録者や案件数を抱えるエージェントはわざわざ登録翻訳通訳者のバックグラウンドまで目を通して果たして依頼する相手を選んでいるでしょうか?
これは自分の経験値ですが、レートの上昇と共に明らかに「仕事の質」は上がったと思います。翻訳では社内文書や社内マニュアルなどのマテリアルを当初依頼されることが主でしたが、レートが上がってくるとより公の目に触れるものや、専門知識が求められる物に依頼内容が変化しました。また、通訳でも社内通訳にスポットで入るようなものが当初主流でした。資料もさほど出てきません。しかし、レートが上がると共に、客先の社外的にも重要な会議、社内会議でもエグゼクティブレベルの会議。そして、確実な準備作業が求められ資料も揃ってくるような大人数を集める講演会通訳、特定分野の国際会議などが増えるなどの変化がありました。
そう考えれば、自分の実力と経験にある一定の自信が持てれば、思い切って「レートを上げる。」と言うのは戦略として大変有効だと言えるでしょう。