2022年11月1日

通訳者の声のトーン - その1

通訳場面では「どのような声のトーン、ボリューム、ペースが適切か」については、かねてから興味があり自分自身であれこれ考え、発声法を試してきています。大方の結論として自分自身に課しているのは「トーン下げる、ボリューム下げる、ペース下げる」の原則です。

調子が乗ってくる、緊張してくる、集中度が高まる(集中していないともちろん通訳はできないのですが…)な状況で、私はどうしても声のトーンが上がり、ともすると声が「上ずる」までになりがちでした。さらにそういう時のペースは一様に早く、ボリュームも通常の話し声レベルでの最大になっていたようです。「トーン下げる、ボリューム下げる、ペース下げる」の原則を自分に都度課すようにしてからは、その成果か緊張していても少なくとも声が「上ずる」ことはほぼ無くなりましたし、逆に緊張してきても落ち着いて訳出することができるようになりました。

しかし、上ずらなくなった時に自分が自然に出せている声のトーンのレベルについて気づきがありました。これは同時通訳時ですが、どんなに意図しても自分の音声トーンレンジの「最低トーン」で話す事がなかなかできません。それどころか、むしろ「低いトーン」での訳出では聞き取りに影響が出る感じがする、つまり聞こえづらい感じがしてどうしても意図したトーンよりも少し高めのトーンで訳出しているようです。

英語は日本語よりも喉のより深い場所を使う方が発声しやすく、勢いそうして出す声のトーンは低くなります。また日本語でもそうですが、低い声のトーンの方が落ち着いている、信頼感を与える印象が期待できます。その為「低いトーン」での訳出を心がけていました。

色々考えてみてたどり着いた仮説は、この現象は会議参加者に男性が圧倒的に多い事に起因するということです。ご承知の通り男性は一般的に女性よりも低いトーンで話します。その為、自分の声のトーンを下げると聞こえてくる音声と干渉する感じがして、自分自身の声が聞こえにくいということがあるように感じます。私の地声は女性にしてはかなり低めなので、その傾向が顕著なのかもしれません。

加えて、以前からそうでしたが男性の低い声、いわゆるイケボは私にとっては非常に聞き取りづらいのです。(いえ、イケボは大好物なのですが…)これは同僚通訳者からも同様のことを聞いたことがあります。ある程度の高さのトーンの方が、大多数の男性の音声の中では際立って聞こえると言えるのではないでしょうか。実際、聴く側の立場に立った時にも男性の低いトーンの声に混じって聞こえてくる女性の声は、多くの場合瞬時に聞き分けられることを考えれば納得がいきます。

少なくとも私自身は自分の音声トーンレンジで最低トーンより少し上のトーンを目指して発声する方が良いようです。

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