2013年8月25日

「通訳者と戦後日本史外交」 鳥飼玖美子 著

私自身が英語・通訳の勉強をする中で楽しいと感じることの一つに、解釈する人・表現する人によって言葉がより生き生きとしてくることを発見することに有ります。通訳が技術的に上手い人というのは多くいらっしゃいますが、現場でそういう人とご一緒するとその人の事をもっと知りたくなるのは、私だけでしょうか?


そういう興味は、日本で日英・英日通訳者として戦後の一時代を築いてこられた功績のある通訳者や、現在トップを走る通訳者に対しても例外ではなく、彼らに関する著書やニュースを見かけると嬉しくなってしまいます。

にも関わらず、ちょっと分厚いから読む時間が…と後回しにしていた本がこれでした(反省)。「通訳者と戦後日米外交」鳥飼玖美子 著

もともと鳥飼先生の博士論文を一般向けに構成しなおしたもので、戦後の著名な通訳者達(西山千氏、小松達也氏、相馬雪香氏、國弘正雄氏、村松増美氏)へのインタビューを基に、彼らが通訳として活動することになった経緯や、それぞれの通訳の役割についての考え方を比較対照する形で紹介したものです。

戦後という時代背景がそこには大きく影響していることで、現代の通訳者がたどる典型的なキャリアとは全くちがう体験が語られています。しかし、それでも通訳技術や独自の通訳感を彼らがその時代そして通訳現場を通して形成していく様子に、とても引きこまれました。

これを読んで自分を振り返ってしまうとあまりの怠惰に凹みそうにもなりますが、共感できたり引きこまれて読み進めた自分がいたという事実で、自分はこの仕事が好きなのだ…と改めて確認することができた気がします。

神様と評されるような彼らであっても、激動の時代に生きた人間味あふれる通訳者であったことを垣間見ることができたことが、私にとっては収穫でした。どのように読まれるかはみなさん次第ですが…