2013年6月16日

ご相談を受けました「フリーランスになりたいのですが…」 その2

前回からの続き…

また、フリーランスとして働くことに興味を持たれて通訳を志しておられると言うことですが、数あるフリーランスの職業のなかでなぜ通訳を選ばれるのかを考えて見られることも必要じゃないでしょうか?

フリーランスを目指すにあたって…ということで、メッセージを頂いたわけですが、私は「フリーランスを目指して」フリーランスになったのではありません。勤めていた会社からお暇を出されたために、はからずもフリーランスになった…という言ってみれば情けない経緯です。

ですが「通訳の仕事をどうしても辞めたくなかった。通訳することが好きで、楽しくて仕方がなかった。」から何とかして続けられる道を模索していたらそれがフリーランスという形だったということです。

単に仕事を生活の糧と割切るのではなく「とてもやりがいがあり楽しく感じる」ことが、鈴木さんにとって重要な事であるなら、自分がなぜ通訳になりたいのかをじっくり考えてみられたらどうでしょうか?考えるだけでは分かりにくいと思うので、ボランティアスタッフなどで簡単な英会話を伴う仕事を余暇に引受けてみるとか…。それだけでも随分雰囲気がつかめると思います。

それに、フリーランス通訳への典型的な道のりの途中には「インハウス通訳」がつきものです。あくまで「典型的な」ですが、ここで獲得できる知識や学習できる技術には代え難いものがあります。

勉強の道のりは長いと思います。もし「フリーランス通訳」を目指されるのであれば、あまり今の段階から「フリーランス」を意識しなくても、そこを目指すキャリアパスのなかから自ずと「フリーランス通訳」が自分の目指すべき道かどうかは見えてくると思いますよ。

勉強、頑張って下さい!
返信を差し上げた後、すぐに丁寧にお礼のメッセージを頂きました。前向きに今の会社で頑張りながら、好きな英語の勉強をコツコツ続けて行き、その中で「フリーランス」「通訳の仕事」についてじっくり考えていかれる決意をされたようです。

他の若い皆さん、フリーランスを考えておられる皆さんのご参考になれば幸いです。


ご相談を受けました「フリーランスになりたいのですが…」 その1

ブログを長く書き続ける中でいろいろな相談を受けるのですが、ここ一年ほど多かった相談内容は「フリーランスとして働くこと」についてです。

通訳・翻訳の仕事をする形態としてはけしてフリーランスだけが選択肢ではありませんが、実際問題フリーランスとして稼働している方が大多数を占めるのではないかと思います。ですが「フリーランスの仕事」 という切り口で見れば、通訳翻訳以外にも多くの職業があります。

ところが、フリーランスの仕事の特徴でよく語られるのは「しがらみがない。」「好きなことを仕事にできるのでやりがいがある。」ということでしょうか。安藤美さんが昨年春頃から自分の職業を「フリーランス」と名乗ったことで、ここばかりが強調されて「職業」の抜け落ちた「フリーランス」という言葉が一人歩きしてきた感があります。

フリーランスの前に仕事として自分は何をするのか?自分がその仕事で目指すところはどこなのか?をもう少し具体的に考えて見るよう、お便りを頂く度に返事をさせて頂いてます。

実際、私自身「フリーランスをめざした」事が有るわけではなく「通訳・翻訳の仕事をしたい。」というのが先立ったので、正直いうと「フリーランスとしとして仕事をすることについて、企業勤務の経験と比べて良い点、悪い点」を問われてもピンときません。

そんな中、先日も同様のご相談を頂きました。お名前は仮名ですが、ご本人が快く許可して下さったので、こちらへ掲載させて頂きます。

こんにちは。ブログにメッセージ頂きありがとうございました。
恐らくご質問は下記の部分だと思われますので、私なりに回答します。ただ、これはあくまでも私の感じ方であって、良い点、悪い点、とハッキリ切り分けられるものではないということは念頭に置いて頂ければ幸いです。

>>宮原様は企業で働かれていた経験もあるとお聞きしたので、その時と比べてどのような気持ち、環境の変化などがあったのか、また良い点・悪い点などをお聞きしたいのです。

まず「組織に属しているしがらみがないぶん」というところ。
私は正直言って、組織好きな人間です。かつてSEとして富士通の地方SE会社に勤務し、通訳としてフォード、マツダ他に10年以上の組織人経験がありますが、そのどこでも同僚、上司、後輩達と働くことは私にとっては大きな喜びでした。確かにしがらみと言いたくなるような人間関係の複雑さには悩みましたが、課題や喜びを共有する事ができる仲間が居ると言うことは、私にとっては心の支えでした。

次に「すべて自分で決めてそれがそのまま自分に返ってくる。」です。
全て自分で決めるということは大方外れてはいません。しかし、個人事業主として他業者、業界とわたり合って行く中で集まる情報の中で、何を選択するのかを決める事は多くの場合精神的苦痛を伴います。なぜか?「そのまま自分にかえってくる」ことを知っているからです。でも、それが、いつ、どんな形で、返ってくるのかは予想することは容易ではありません。

こう言うと私が鈴木さんに通訳を目指すな…と言っているようですが、そういうことでも無いんです。当たり前ですが、物事には両面があるということです。今回頂いた鈴木さんのメールだと、ただ単に「しがらみなく自分で全て管理できる。」という事が大きな動機のようですが、けしてそうではない逆側の要素が沢山あるので、そういうところもしっかり考え合わせた方がいいのでは?ということです。

しがらみはなくとも、ボーナスが無いどころか来月のお給料も保証されないし有給休暇もありません。「自分」を買ってもらえなければ、仕事にはありつけません。自分が何をきめた結果、そうなったのか?と(収入が無い状態でも)じっくり考える事のできる精神力が必要になってきます。

今は会社務めとのことですが、組織の人間関係の中で見えてくる大切なことは沢山あります。しばらく勉強されるということであれば、組織を「しがらみ」と捉えてしまわずに、そこから何かをつかみ取る努力をされるのも一手ですよ。

続く

2013年6月12日

JAT(日本翻訳者協会)理事に就任しました

先にご報告の通り参加したIJET24の一日目のセッション後に開催されたJAT(日本翻訳者協会)年次総会(Annual General Meeting)にて、JATの理事に正式に就任いたしました。一昨年のPROJECT名古屋、昨年のIJET運営委員会副委員長、そして9月のJAT通訳グループの立上げとここ数年JATには大変お世話になってきたと思っています。

来年にはIJETも25周年を迎え現在東京での開催が予定されています。また、通訳グループの輪もさらに広げて行くとともに、JAT本体の組織力強化をJATのPRを通して進めて行きたいと考えています。

とはいうものの、何かおもしろい事をやる気のある仲間と広げていきたいと言うのが本音(笑)JAT理事として、また一人の翻訳・通訳者として多くの皆さんと出会い活動していきたいと思っています。

引き続きよろしくお願いします。

2013年6月6日

IJET24 in Hawaii へ参加してきました!


6月1日(土)2日(日)にハワイで行われたIJET24(日英英日翻訳者国際会議)へ参加してきました。ハワイ行きの前後に仕事が詰まっていたこともあり、ワイキキビーチで泳ぐこともなくとんぼ返りでしたが、今年もIJETに集まる世界中の翻訳・通訳者仲間と会えたことは、自分にとっての大きな刺激となりました。

昨年、私も運営委員会副委員長として広島で企画したIJET23は大成功だったので、お手並み拝見!といったところでしたが、現地スタッフのアレンジは隅々まできめ細やかで、開催中に特に困った…ということは全くありませんでした。中でも、基調講演はすばらしい面々をそろえて頂いたと感謝しています。

<素晴らしかった基調講演>

ご存知の通りハワイと広島の縁は深いこともあり、そうした関係のハワイの言葉にまつわる興味深い話、そして言葉が人々の生活の中で時代の流れに沿ってどう変化していくのか?についての講演にはとても引き込まれました。

そして、アメリカではじめての日系人知事である元ハワイ州知事ジョージ有吉氏の講演は、お人柄のにじみ出た心に触れるものでした。ご高齢にもかかわらず講演時間中立ったままハンドマイクを片手で握りしめて、最後までしっかりとした口調で話されたその姿勢もさることながら、元知事から紡ぎ出される言葉の一つ一つを日本人として受けとめ誇りに思いましたし、翻訳・通訳者として日米をお互いの「おかげさま」の心でつないで行きたいと思いました。


<私も講演しました>
翻訳・通訳者の駆出しの方向けに10分ちょっと程お話をさせて頂くチャンスを頂きました。私にしかできない話がしたい…と思い、先月「通訳翻訳ジャーナル」に寄稿させて頂いた内容をベースに自分が社内通訳につくところからフリーランスになるまでをお話させてもらいました。お役に立てたらよかったのですが、どうだったでしょう?

今回のパンフレットも素敵でこんな感じに掲載してもらいました。



一度主催側に回ったことがあるため、この企画の準備がどれ程大変かをよく知っています。今回の企画メンバーは多くが日本在住であったため、現地との調整には苦労されたことは想像に難くありません。にもかかわらず、快適に滞在することができ、しかも個人的にも有意義なIJETとなりました。

海外IJETの良いところの一つは、普段日本のイベントではお会い出来ない世界中の日英翻訳通訳者に会えることです。今年も素晴らしいチャンスをくれたIJET委員会のメンバーに感謝!

ありがとうございました。