2020年11月8日

リモート通訳におけるマイク環境

 コロナ禍は終わりの気配を見せるどころか、再度猛威をふるい始めています。欧州では第二波を受けて完全ロックダウンに踏み切る国も有り、アメリカでは死者数が25万人に迫る勢い。しかし、世界経済はこれ以上の停滞を良しとはしていないようで、人の往来は極力抑えられてはいるため業界によりバラツキはあるものの、経済活動は加速度的に回復しているのを感じます。しかし、未だ「回復の途上にある」だけで完全復活には相当の時間がかかる…のは、私なんかが言うまでもなく皆さんご承知の通りです。

 通訳業界へ顕著に影響を与えている事実は、やはり日本がほぼ鎖国状態にあることでしょう。海外からの人の往来は基本的にストップしたままの状態で、事業を回復し動かし始めるにあたり必要な会話はリモート会議にするしか有りません。私自身、春以降お請けしたお仕事は長期にわたり発生した一件のレアケースを除き、総てがオンライン案件でした。

 オンライン通訳案件では、通訳音声をお客様に届けるためにインターネットを通じて機能するコミュニケーションプラットフォーム(アプリケーション)を利用します。これらのプラットフォームはウェブブラウザ上で機能するウェブアプリケーションと呼ばれるものが殆どで、ユーザには特にインストール作業などの煩雑な準備は必要ありません。しかし当然ながら、「機材を通して」音を聞きとる/届ける、この物理的な動作はPC内蔵あるいは外付けのデバイスを利用しておこなう必要があります。そして、この「音(音声)」の質の良し悪しが会議参加者に(これまでの物理対面の会議ばかり経験していた方には余計に)思いの外高い負荷を与えることに皆さん気付き始めているような気がします。

 これは普段から「良い音」を欲しがる通訳者にとってはお客様と理解を共有できたという意味で朗報です。しかし一方でこれは、今までエンジニア任せだった音質を「発信デバイスのオーナー」として担保する責務が通訳者に発生したという事であり、私達はこれに適切に対処する必要があるということです

 以前から、指向性のあるヘッドセット付きマイクでは環境音を拾わないと経験上感じてはいました。実際、RSI(遠隔同時通訳)プラットフォームを提供する業者は通訳者に対して、指定のマイク環境を必須要件としている場合があるのですが、むしろ高価な卓置きマイクを利用しているペアが何度も「風切り音が聞こえる(エアコン?PCファン?)」「マイクを引きずるな」「もっと声を大きく」などと指摘を受けていました。卓置きマイクの感度が良すぎるから…?程度の理解でいましたが、それにしても設備投資しているにもかかわらず納得のいかない状況です。

 そこへ先日、大学のリモート授業の実施にあたり、苦心して練り上げた授業を効果的に生徒さんに届ける取り組みの一環としてマイク環境について研究された先生の発言をTwitterに見つけました。そしてその先生が研究のまとめを動画で公開されました。マイク環境を作るために注意するポイントが、マイクの機能性をベースにとてもシンプルに分かりやすくまとめられています。公開されたご本人に許可を頂きこちらに掲載させて頂きます。


 この動画に関連し、興味深い以下のツイートも貼り付けておきます。
 通訳者はブース内でブーム先のマイクヘッドに話しかける動作に慣れているので、マイクヘッドとの距離を維持して訳出することに問題ないように思われるかもしれません。ところが、私の経験上ですが卓置きマイクを利用するペアには、必ずと言っていいほどRSIプラットフォームエンジニアから「音が遠い、マイクに近づいて!」とチェックが入ります。これは 1. 暗いブース環境と違い通訳場所が明るいこと 2. 通訳場所が生活スペースであること、で、声を殊更に張ることを心理的に憚らせているのでは、と想像しています。そうすると、このツイートで起きているような現象が発生している可能性もありそうです。

 今後も通訳という職業を続ける限り、オンライン通訳を避けて通ることはほぼ不可能だと考えています。私自身も、プラットフォーム業者の指示に従うだけでなく、積極的に良質な音声を届けるための環境作りをして行こうと計画中です。




2020年8月10日

通訳市場 ポジティブな変革への展望 ー 敢えて「今はまだ」の視点

 私自身は広くITを専門に通訳者として稼働をしている関係上、テクノロジーを利用した身近なガジェットにも興味があります。ですのでRSI、遠隔通訳が理論的、技術的には随分昔から可能であったはずだと考えていました。しかし、それがなかなか実現しなかったのは、言い方は悪いかもしれませんがそこに既得権益を享受していた者がいたからであろうと個人的に感じています。しかし、そうした既得権益や無駄を排除せよとばかりに「コスト削減一直線」で時間軸を無視して邁進したのでは、見落としてしまう価値があまりに大きすぎないかとも思うのです。

排除すべき無駄と見えていない必要なもの

 では既得権益とは何か、見落としてしまう価値は何か、を少し具体的に考えてみました。日本の通訳市場におけるメインプレーヤーは、お客様、通訳者、そして通訳エージェントおよび機材業者です。既得権益を享受しているのは、すべての関係者だと私は思っています。既得権益と言うもはやビジネスに直接価値を生まないような部分を解消すれば業界全体がプラスの方向に向かう可能性が大きいということになります。

 では、お客様と通訳者の既得権益(的なもの?)とは?遠隔会議の選択肢がなければ、出張対応し海外等の遠方に足を運び会議をすることになります。高い交通費を会社に出してもらい広く世界を見聞するチャンスを得ることはやはり役得の一面がありました。また、機材業者にとってはすでに減価償却した機材は、活用すればするほど儲けに直結するという旨味があるでしょう。ここであえて私が「既得権益者」という言葉を使わなかったのは、一見、既得権益と見えるものの陰に「今はまだ」見逃すには大きな価値が存在していると考えるからです。そのすべてひっくるめて考える時、既得権益を享受する人を即「既得権益者」と呼ぶべきではないでしょう。

 例えば、お客様や通訳者が現地に行かずに会議だけで大切な契約を結ぶことができるでしょうか?もちろん、契約の内容や規模にもよるでしょうが、長く関係を結びたいと考えるビジネスであれば相手を知ることはとても重要です。パートナー候補がどんな土地でどんな事務所を構えて事業をしているのか。会社の雰囲気はどうなのか。地元での評判はどうなのか。現地に行かなければわからないことは山ほどあります。製造業であれば「物で確認する」が基本ですから言わずもがな…でしょう。こうしたことは人間の経験による判断力や直感です。中でも直感は、言葉で理論的に説明できないものの経験的にその場の雰囲気から違和感を感じ取ることで得られるものであり、その感覚に基づく判断はけして無視できるものではなく、直感を信じる信じないことのリスクを測りながら最終的な決定を下しているはずです。


変化へ向けて敢えて「今はまだ」と立ち止まること

 これには、だから今Artificial Intelligence/人工知能が注目されていると言う反論もあるでしょうし、将来的に状況は変化すると私も考えています。しかし、「今はまだ」そこまでの対応を即座にAIに期待できるレベルではありません。であれば、経験則に基づく判断をするには、例え多くの会議や折衝をメールや電話等の遠隔で行ったとしても、どこかの段階で現場に赴いてビジネスパートナーやその候補に会うことはとても重要なことだと思うのです。様々なところで「人間は結局人に会いたいのだから、現場は戻る」という論調を見かけますが、私はそれでは説明が弱すぎると思っています。将来的には人間の顔をした人間のようなAIが登場するかもしれません。だから強調するべきは「今はまだ、それが必要である」と積極的に必要性を肯定する考え方ではないでしょうか。

 通訳者はどうなのか?利用機材はブース内のものとほぼ変わらないし、自宅から仕事ができる、しかも世界を相手にするので時差のある地域の仕事も取り込めれば自分が好きな時間で稼働することができます。しかし、実際にはそんなに甘くありません。自宅環境をいくら万全に整えても、停電やネットワークの不具合のリスクはゼロではありません。そして、その対処や瑕疵責任の所在に明確に言及している例を未だみたことがありません。また、現場ではブースメイト通訳者とペアで連携した部分が、遠隔になることで補完される機器により様々なテクノストレスを引き起こします。さらに現場に向かわないことのその他の弊害として、リハーサルに参加できない、事前打合せをしてもらえないなど、通訳パフォーマンスに直結するような環境変化も出てきています。そして、通訳者も現場の状況や空気から経験に基づく直感で訳出をなんとか紡いでいる場面は少なくないのです。

 そして、ここでも注目したい視点は「今はまだ」です。これらの問題も5Gが広く普及し、ルールの整備が進めば心配無用になるでしょう。ホログラムでパートナーを自分の横にバーチャルで映し出せれば、パートナーをリアルに感じて現場通訳と遜色のないパフォーマンスができるようになるかもしれません。(その頃には通訳者はいらないかもしれないけれど…笑)しかし「今はまだ」その段階にきていません。

 エージェントや機材業者はどうか。市場が遠隔に流れ機材が低コストで利用できるようになれば、通訳者とRSI業者とお客様が直接ビジネスを始める場面は確実に増えるでしょう。そうするとエージェントも機材業者も要らなくなるか…?むしろ、質が求められる現場にはますますエージェントや機材業者の関与が必要になると私は考えています。特に日本はエージェントを通じて通訳者手配をする仲介型モデルが確立しており、お客様と直接折衝することにまったく不慣れな通訳者が多数います。もっと言えば機材のことをあまり詳しくは知りません。また、会場が大きな現場になれば現場機材を適切に組んでRSIシステムに音声を送ることは、専門のエンジニアでなければ不可能です。実際、私も現場にエンジニアのいないRSI経験では現場から送られる音声に随分苦しめられたことがあります。今はコロナ禍で、そもそもエンジニアが入ることが難しい個人事務所や自宅から参加ということも多いですが、スピーカーの声が室内で反響して…というのには閉口せざるを得ません。あー…ヘッドセット、せめてイヤホンを使って下さいと何度泣きそうになったか。


変化へ向けて市場プレーヤーはどう行動すべきか

 コロナ禍のため現場通訳がほぼ停止状態の現状、なんとか需要開拓を試みようと遠隔通訳に注目が集まりそれが追い風となり遠隔会議・通訳へと流れが加速しています。個人的にはRSIへの流れはあるべき姿と考えていますし、それが加速することは良いことだと捉えて無闇にその流れを恐れず対応していく柔軟性は必要だと思っています。しかし、現在の市場の論調を見ると、RSI業者が「コスト削減できます!ITノウハウを身に付けましょう!」とその利点を前面に出し、お客様、特にお金に敏感な経営者は「低コスト」に反応してその波に乗ろうとしている、そればかりが目につきさらに強調されすぎているように思います。変化には痛みが伴うのは常です。この流れの中で市場のすべてのプレーヤが互いの強み弱みを理解した上で、お互いが「今現在(今はまだ)抱える問題」に目を向け認識した上で「明確に言及し」けして古いやり方に止まるのでなく「解決する」にはどうすべきかということに知恵を出し合いながら進められないか?と強く思います。

 通訳者の立場でいえば、通訳技術を磨くことは大前提です。何らかの理由で遠隔やRSIに対応しないという選択をする方もいるでしょう。しかし、もし遠隔・RSI利用で業界全体が健全に機能していくことに希望を見出しているなら、やはり、自分たちも変化することは待ったなしです。現場の技術を勉強して会議資料の電子化など身近なテクノロジーを利用し適切に自衛策を講じられるようにすることや、お客様と直接やり取りする場合に留意することをエージェントさんの過去の振舞いを振り返り学び実践しなければならないでしょう。


 技術の進歩で市場に明るい未来が見えることは喜ばしいことです。しかし、今はまだ、既存市場の形が一気に崩れる程の大きな変化は訪れておらず、人間通訳者も、機材業者も、エージェントさんも必要です。その上で、特にRSI業者さんへは、お客様に遠隔・RSIをアピールするだけでなく、通訳者やエージェントおよび機材業者の遠隔・RSI移行に絡み「今はまだ解決すべきどんな問題があるのか」「今はまだ何が必要か」を具体的に考えて時系列で対応の方向性を市場に提示し、お客様を巻き込む形で会議やプロジェクの成功にみんなで向かっていける波を作って下さったらと思います。何しろ今注目の遠隔・RSIなのですから!

2020年6月26日

遠隔時代に考える通訳成果物に対する通訳者著作権

3月に遠隔同時通訳のセミナーを情報共有を目的に同業者とZoom会議で開催してから、早くも三ヶ月経ちました。その間、細々とですが遠隔のお仕事の打診を受けています。

遠隔通訳には、いわゆるハブ型と自宅型がありますが私が経験したのはいずれも自宅型になります。その中で利用機材などの技術的な事以外で、これまでの現場対応通訳業務ではさほど気にする必要のなかった事でも留意するべき事項があることを痛感しています。このサイトと動画にとてもよくまとめて発信されているので、ぜひご覧になってください。この動画のスピーチ内容は以下の通りです。動画だけでなくウェブサイトに文章(英語)でもまとめがあります。




  1. 疲労
  2. 機器操作ストレス
  3. 労働環境
  4. 瑕疵責任範囲
  5. 顧客啓蒙
  6. 報酬
この動画を見たことで仲介エージェントとの間で確認する事項を明確にする事ができたのは、大変ありがたい事でした。しかし、遠隔業務案件についてお客様やエージェントと会話する中で、これ以外にも心配な事が出てきました。それは以下の三点です。
  • 通訳パフォーマンス録音の有無
  • ライブストリーミングの範囲
  • 録音の目的による契約上の区別

通訳成果物の取り扱い
マイクや機材、さらにインターネットを通じて自分の音声が世界中のどこかに届けられる時、録音の有無がこれまでの現場通訳と比べて通訳者の目には見えにくくなります。さらに、インターネットで届けることそのものが「ライブストリーミング」と捉える事ができます。そうなると公開範囲については通訳者として事前に確認しておきたいところです。

以前は「議事録を書きたいので…」と言う理由があれば目の前にICレコーダーを置かれても「仕方がないかな…」と思わざるを得ませんでした。しかし、自分が認識しない範囲に録音音声が届けられることはもとより、自分の預かり知らないところで録音が利用されることには抵抗を感じてしまいます。現場パフォーマンスに通訳者の著作権があることもそうですが、それ以上に何となく気が進まないと個人的には感じてしまいます。

こう書くと「プロ通訳のクセにパフォーマンス録られて嫌な気分になるのは違うっしょ?」と言う方もおられるかもしれません。ですが私としては、プロ通訳者だからこそ限られた条件で準備し臨んだ本番通訳の音声が、録音という何度も再生するに耐えるものとして後に世に出回ることの理不尽は避けたいのです。ネット公開の目的で再利用を考えるのであれば、それは動画に字幕やボイスオーバーをつけるという全く違う分野のお仕事になることを、お客様にはご理解いただく必要があります。

もちろん、中には企業の株主総会通訳のように、後日公開を想定した上で同時通訳現場の音声を録音しネット公開する場合もあります。しかし、この場合には早めの資料共有はもとより、入念な打ち合わせやリハーサルがおこなわれる事が当然望ましい訳ですし、二次使用料については当然支払われるべきものでしょう。(実際にどの程度の準備ができるかは現場によりまちまちのようですが…)


通訳成果物の著作権
しかし、残念なことに日本には通訳成果物の著作権について理解がない(知らない)企業が少なくありません。実際に国際的に名の通った大企業との商談時に「著作権を放棄してください」と(何の対価もなく)一方的に主張された時には驚きました。でもこれが現実です。

個人的には通訳成果物に対し二次使用料を請求する前に、使用目的を確認した上で納得のいくものであれば、覚書を作成するか、見積書の備考に著作権を放棄しない旨を明記して、受注時に見積書番号を添えてご発注いただくようにお願いしています。そうすれば、お客様も成果物に二次使用料が発生することは承知されるでしょうし、気になる場合はあえて先方から追加料金の有無を聞いてこられます。これまでのお取引で、不正な、あるいは意図しない二次使用への抑止効果はあったと感じています。


DL/AIの未来への考慮
上述のように、今後、RSIや遠隔業務が広がるのに合わせ通訳成果物の二次使用については積極的に通訳者からお客様に何らかの形でお伝えしていく必要があると思っています。これにはもう一つ別の理由があって、それは機械学習(Deep Learning)や人工知能(Artificial Intelligence)とRSIプラットフォーム技術の融合の可能性があることです。

機械翻訳ならぬ機械通訳が可能になるには、機械翻訳のために多数のデータを読み込ませる必要があるのと同様、通訳のオリジナルスピーチとターゲット言語での通訳音声の両方を読み込ませる必要が出てきます。RSIプラットフォーム開発者はこれらのデータを収集するのに有利な位置に存在しています。通常は、データ学習の際に特定の通訳者と音声を紐付けて管理することは考えにくいです。しかし、音声は一度収集(録音)されればどんなに決め事をしていようと、私たち通訳者の預かり知らぬところで出回っていく可能性をゼロにする事ができません。

そこで私は、自分が指定されたRSIプラットフォームで未来の通訳システムのためにデータ収集が行われているのかをそれとなく質問してみるようにしています。それにより「通訳者が自分の成果物を大切に扱って欲しいと感じていること」を伝えられると考えています。実際、質問をしたケースでは仲介エージェントに知識がなかったので聞き返されましたが、丁寧に事情を説明したところ快くRSI業者に確認はして頂けました。(個人的に「個人情報保護に配慮し収集している」との回答があれば特にアクションを起こすことは得策でないと考えます。)

コロナ禍で仕事量は激減はおろかほぼ消滅に近い状況です。しかし、この状況の中多くの新しい通訳スタイルが生まれました。通訳者はそれを可能にするための機材操作を学び、コロナ禍後に一部市場が遠隔へ移行するのに対応する準備をしています。私が参加する通訳者のコミュニティでの情報交換は盛んで、一緒に乗り越えようという気概を感じ取れるのは本当に嬉しいことです。
今月初めから少しですがお問い合わせが増えてきた気もしますが、引き続きこの状況にあっても切磋琢磨していく事が、お客様に安心してご依頼いただくためにできる、私たちの「今の仕事」だと痛感しています。

2020年5月13日

【広島限定】通訳・翻訳お仕事紹介セミナー(オンライン)

 ウィルス感染拡大の出口がおぼろげに見えてきたように感じる今日この頃、それでも何かと不便で心配の絶えない状況ですが、皆さまそれぞれに日々の生活を工夫しながら過ごしておられることと思います。政府・文科省の指導のもと学校が閉鎖されてすでに二ヶ月近くになり、生徒学生の皆さんにも辛い時期だろうと想像しています。

さて、私達こと宮原健と宮原美佳子の二名は広島で生まれ育ち広島を拠点に通訳翻訳業を営んでいます。(姻戚関係は未確認です、笑)生徒・学生の皆さんに、この機会にぜひ私たちの職業や外国語を習得するとはどういうことなのかに触れて欲しいと考え、このような企画を準備いたしました。
【日時】
小学生対象:5月23日(土) 2:00pm -
中高大学生対象:5月24日(日) 2:00pm -

【内容】
1. はじめに(15分)ー簡単な自己紹介と本日の内容紹介
2. 宮原Kプレゼン(25分/5分QA)ー翻訳者視点
3. 宮原Mプレゼン(25分/5分QA)ー通訳者視点
4. 皆さんの疑問に答えながらトーク
5. まとめ

小学生から英語の授業が導入されるものの、その理由については「社会に出ると必要だから」という外からのメッセージが大半です。この企画では、通訳翻訳者である私達から必要性ではなくその醍醐味や可能性の広がりをお話しし、言葉で世界の橋渡しをする私たちの仕事についてその一端をご紹介する予定です。

ついては申込みフォームを以下のURLに準備しました。参加費は無料で広島県内の小中高大学生の皆さんが対象です。関係する方、お知り合いへの本メール転送は大歓迎です。参加有無を決めかねておられる場合も含め、セミナーについてのご質問も申し込みフォーム経由でお受けしますので遠慮なくお寄せください。多くの方のご参加を楽しみにしております。

宮原K こと 宮原健
精密機器メーカーや重工業系企業で通訳・翻訳業務、教育機関で英文事務の経験を積みました。2019年4月から在宅翻訳(英日・独日)で契約書、太陽光発電、自動車・精密機器取扱説明書/製造/品質管理・保証、観光案内(ドイツ)、ITマーケティング関連の翻訳をしています。

宮原M こと 宮原美佳子 
広島のIT企業で製造業専門CAD担当SEとして勤務後、出産を機に退職。通訳学校の勉強と並行して自動車業界で通訳翻訳者として約10年勤めた後、2009年に独立。IT全般、自動車含む製造業を専門とし、企業、官公庁、学会などに逐次から同時通訳(日英)まで幅広く対応。

申込フォームURL
https://bit.ly/2WIjEnD

2020年3月10日

RSI(遠隔同時通訳)について情報共有してみました

COVID-19が蔓延している…と言われています。全数検査でないため、実際の感染者数は知る由もなく、ただ確実に広がりつつあるのでしょう。しかし、それすら、人々が恐怖を感じてナーバスになる様子から以外からは実感として認識する事が難しい状況です。一般のビジネスでも在宅勤務/リモートワークの勤務形態を取り入れざるを得ない状況に追い込まれる中、このトピックへ寄せられた関心は予想以上のものでした。

私が普段受講するオンライン講座を通じて、また個人的にお付き合いのある東京や地方また海外在住の通訳者へお声がけさせていただき、先日、3月8日(日)にZoomアプリを利用して情報共有セッションを開催しました。

昨年夏以降、主に海外エージェントから遠隔同時通訳の打診を頻繁に受けるようになりましたが、国内案件で十分に…というか捌き切れないほどに秋は繁忙していたため、いずれも打診を見送っていました。年末になり国内案件が一段落ついたところで入ってきた案件があり、そろそろ重い腰をあげることにし、年明けに立て続けに二件ほど経験する事となりました。

すでに同僚の中には数多く経験している通訳者もいるのですが、僭越ながら忘れないうちにいろいろな気づきをアウトプットしておこうと思い、またCOVID-19のお陰でポッカリ空いてしまった時間の有効活用もかねて、本セッションの企画となりました。

冒頭に書いたように興味関心は高く、広くアナウンスした訳ではありませんが40名弱のご参加を頂きました。ご参加の皆さんに改めて感謝します。


2020年1月4日

mont-bell 折りたたみ傘 &オマケ

 「通訳者の荷物は重いもの」と相場が決まっていて、現場近くで重そうな荷物の人を見つけて「きっとあの人が今日のパートナー…」と初対面のパートナーを見つける事も少なく有りません。資料の電子化等による荷物の減量、歩きやすい靴、持ちやすいカバン…持ち歩きの負荷をどこまで低減できるか?は通訳者にとって大きな課題です。

先日、TSUTAYAでミニマリスト系雑誌を立ち読みしている時に見つけた、mont-bell の折りたたみ傘が良さそうだったので、お正月明けの今日、早速買いに出かけました。

mont-bell  折りたたみ傘>>
とにかく軽い!理屈抜きに軽い!それに登山者向けブランドなので軽さの割に構造がしっかりしているとレビューにあります。他にも骨本数8本、骨長55cm、日傘機能をそれぞれ備えた商品があり価格もこれより少しずつ安く設定されていました。現在使用している折りたたみ傘が骨長50cmで急な雨には十分対応できるため、軽さを重視しこちらを購入しました。

わずか86g!!
骨長50cm
朝から土砂降り…のように一日中雨が予想される日には、普通の傘を持って出ます。また、海外に出る際には普通の傘は諦めて折りたたみ傘とレインコートを持参します。


オマケ: 小分け容器>>
 さて、その海外。東南アジア圏への出張はなるべく手荷物を機内持ち込みレベルにコンパクトにまとめあげます。意外に困るのがシャンプー/コンディショナー類。機内持ち込みの液体は100ml容器までの制限があります。小分けにして持参するにも気圧変化で中身の流出が懸念されるため、これまでは宿泊数分のサッシェ入りシャンプー/コンディショナーセットをドラッグストアで購入していました。愛用のシャンプー/コンディショナーを持ち歩けないのが難点でしたが、コレがあれば大丈夫そうです。

次回の出張が楽しみです!


機内持ち込みOK!
中身が飛び出すのを防ぐロック付き
GoToob+ “No-drip valve” Lockable cap
ロック状態:スライド式ストラップをフタに引っ掛けてロック!
大きさ:53ml手のひらサイズ(75ml/100mlもありました)

2020年1月1日

2020年もよろしくお願いします

明けましておめでとうございます
2020年もよろしくお願いします



 SNSでは折りに触れて発言していたのですが、9月末をもって完全フリーランス10年を迎えて11年めに突入しました。地元の社内通訳者として稼働していましたが、リーマンショックの煽りを受け派遣切りとなり選択の余地なくなったフリーランスでした。

 10年にわたりお付き合いくださった、エージェント、コーディネータの皆さん、お客様、同僚の通訳者、駆け出しの自分は皆さんに育ててられ経験10年の通訳者になりました。また、仕事の付き合いがなくても地元広島そしてSNSで繋がっている通翻訳者仲間、時に勇気づけ励ましてもらい、時に襟をただされ…私には大切な存在です。10年のご愛顧に感謝し、今年もまた新たな10年のスタートとして相応しい年になるよう精進していきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

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 2019年大晦日にこのポストを書いていますが、投稿する頃には年が明けているはず…。そこで新年に向けての抱負の前に、2019年とこれまでの10年を振り返って見ます。

 独立当初はとにかく「続けて行けるのか?」という不安でいっぱいでした。実は、この不安は10年経った今でも完全に払拭されている訳ではありません。あの頃とは違い、ITの進化によって通訳現場にも遠隔通訳など新たな動きが生まれています。翻訳は機械翻訳の波が押し寄せ業界は今まさに大きく揺れています。ですが、この「続けていけるのか?」という不安はあの頃感じていた得体の知れない不安ではなく「健全な不安」だろうと今では認識しています。折しも2019年の通翻業界は「通翻訳者の不安」につけ込んだ情報商材(一部は詐欺)ビジネスに湧いた一年ではなかったでしょうか?

 10年続けてきて思うのは、確かなレベルの技術を日々の仕事の中で提供し続けることこそが、通訳翻訳者には一番のマーケティングだということです。通翻訳者が商品とする私たちの技術は、松竹梅のように品質・機能レベルを加減した店頭に並ぶ商品とは本質的に違います。個人の通翻訳者がその時々に出せる技術レベルこそがコア商材です。お客様の要求に応えられる技術レベルを確保し日頃の仕事でパフォーマンスを出し続けていれば、殊更に「商品説明」はそもそも必要ないと思うのです。

 もちろん、対応可能分野、稼働地域、お客様への当たり、スムーズなコミュニケーション等の付加価値があることはお客様やエージェントさんには魅力ですが、意識・行動で直ぐにでも対応可能なものが少なく有りません。しかし、コア技術(通訳・翻訳)が要求レベルになければ付加価値は無意味です。

 実際、私が頂いた多くの仕事は、ご一緒した同僚が仕事ぶりを見て声を掛けてくれたり、エージェントさんを紹介してくれたり、提供した技術レベルや仕事ぶりをエージェントさんが評価した上で異なるレベルや分野の打診を下さった結果、成立したものでした。

 独立して数年後「フリーランス」「セルフブランディング」という言葉がもてはやされた時期がありました。恥ずかしながら私自身もこのブログとビジネスサイトを作成し、頻繁なブログポストやSNS発言を通じて固定ビュワー数を増やし、ビジネスサイトへのフローを作り、検索ランキング上位表示を目指してそこから仕事につなげる…という流行りのコンセプトに乗った時期もありました。しかし、そんな目論見通りのネット集客シナリオが実際に仕事に繫がった経験はほとんどありませんでした。

 文章を書く事は好きで、思いが湧いてくると一気に書き上げ投稿したものです。幸いな事に同業の皆さんや通翻訳者を志す方に読んでもらえた事で、業界内イベントに参加すれば「広島の宮原さんですか?」とお声がけいただけるようになりました。そのようにして私を知って頂いて打診を頂いたお仕事もいくらかありますが、それも通常は実績表を先方に提示するというプロセスを踏んでいます。つまり、実績を評価して頂かなくては商談そのものが成立しなかったのです。

 このブログでの発信やビジネスサイトの立ち上げは、当初目指したマーケティングとはまったく違う、コミュニティとの繋がりを私に提供してくれました。これは嬉しい誤算でした。フリーランスになった当初の私が未熟な自分を諦めず、遅い歩みでも粘り強く進歩し実績を重ねることができたのは、協力し支えてくれた同僚や先輩、試してみようと使ってくださったエージェントさん、そして業界内で有益な情報をくれる友人、息抜きに付き合ってくれる仲間達、そして信頼して私にご依頼下さったすべてのお客様のお陰です。数十万円するコンサルサービスや情報商材を購入しなくても必要な情報は同業者から得ることができました。「客観的な評価」という実は「自分以外の誰かの主観的評価」に主導権を渡さず、安易なマーケティングに依らず、自分の頭で考えて10年かけて(通訳翻訳業を継続している)今の私が有ります。

 とは言うものの、自分の未熟さに悔し涙を流したり経験不足から周囲にご迷惑をおかけしたことも少なく有りません(ああ、ごめんなさい…)。ただ最近では、これはキャリアのどの段階にあっても目指す自分があれば散発的に経験するものだと考えるようになりました。誰の評価を当てにするのではなく、獲得したい技術レベルや成りたい自分の姿を自分自身で更新していく中で、困難は必ず訪れるはずです。困難があるからこそ、冒頭に書いた「健全な不安」がある訳で、そう考えればむしろそれは「持ち続けるべき不安」なのだと思います。そして困難を克服していく事で少しずつステップアップしていけるのでは無いでしょうか。これからの10年もゆっくりと、でも粘り強く、なりたい自分に成長していきたいと思います。

 そしてまずは初めの一歩、2020年。体力の衰え、技術進歩へのキャッチアップ等、不安材料は増えますが、平常心で「健全な不安」と折り合いをつけながら頑張りたいと思います。

本年も改めてどうぞよろしくお願いします!

宮原 美佳子
ピースリンク通訳事務所 代表