4年前に私も広州アジア大会の通訳を担当しました。その時はアジア大会事務局が通訳エージェントを雇ってそこが通訳者手配を一括管理していました。けして万全とはいえませんでしたが、通訳事務局は熱心に取り組んでいましたし、通訳と事務局側が協力してすすめようといういい雰囲気は有ったと思います。
ところが仁川アジア大会では、先日はとうとうこんな記事が出てきました。
アラビア語の通訳手配そのものがそもそも無かったとか。実際には、会場にいる記者にアラビア語ができないか募ったところ一人、アラビア語中国語ならばできるという人がいたけれど、会見公式言語の英語ができなかったため断念。その後、デキるという人が現れトライしてみるも英語のクオリティーが低く途中でギブアップ。見かねた金メダリストが助け舟を出した…ということだったようです。(ちなみに広州大会では北朝鮮を除き、アラビア語含めた必要言語が手配されていました。)<アジア大会>選手が通訳に…組織委「今後はアラビア語通訳を配置」
2014年10月01日16時42分
[ⓒ ISPLUS/中央日報日本語版] comment24hatena0
29日、2014仁川アジア競技大会陸上男子1500メートルのメダリストが集まった記者会見場には、アラビア語の通訳が現れなかった。関係者および取材陣は組織委の未熟な大会運営を批判した。金メダリストのモハメド・アル・ガルニ(カタール)は英語を話せたが、銀メダリスト(バーレーン)と銅メダリスト(イラク)の選手はアラビア語以外の言語を話せなかった。結局、金メダリストのアル・ガルニが他の選手の通訳を担当した。
(一部抜粋)
その他の記事をみると、通訳が「通訳ボランティア」として言及されていますがこれも気になるところです。記者会見通訳が無償ボランティアでまかなえる訳はないので、有償ボランティア…ということなのでしょうか?今回のアジア大会には知り合いの中国人通訳者が参加しているはずなのですが、恐らく彼に「ボランティア」の意識はないと思います。
スポーツの感動はそのパフォーマンスを目にすることにあるかもしれません。ですが、アスリートの思いをストーリーとして言葉で聞くことで、感動的なパフォーマンスがより大きな共感を生むと考えれば、それを伝える人の役割は大きいはず。韓国にとっては手痛い結果となったことは言うまでもないでしょうね。
さて、2020年東京オリンピックでの日本は…!?市民レベルの交流を考えれば民間の通訳ボランティアの養成は欠かせないと思いますし、ホスト国のボランティアが果たす役割はとても大きいです。(広州で見かけた街の若者のボランティアは素晴らしかった。)一方で、プロ通訳者をどういう場面で活用すべきか全く聞こえて来ないのがちょっと心配です。私が蚊帳の外なだけか…(笑)