ちょうど、ベニース事件判決公判傍聴で大阪へ行った週末に、アメリカと日本で圧倒的に使われているEvernoteの創始者が大阪でUsers Meetingを開くという情報をTwitterで知り、10 月23日夕方4:30より出席してきました。
実は私自身はEvernoteのヘビーユーザでは全くなく、クリップしたメモや写真を、PCとiPhone間で送受信することなく使える便利なツール…としてしか使用していませんでした。しかし、その名が広く知れて普及速度も尋常ではないこのソフトの創始者が、たまたまこのタイミングに大阪に居る…というのも何か面白い!と思い、参加申し込みした次第です。でも、ちょっとびっくりする展開も待っていたのです。
当日、Twitterをしながらお昼をゆるゆる食べていると、おもむろにDM(Direct Message)がEvernote User Meeting の事務局をされているらしき方から入りました。「Profileを見てDMしてます。急に担当通訳が体調不良で困っています。今、別の方に通訳代行を打診していますが、お手伝いいただけないですか?」と言ったような趣旨でした。
正直言って「え~!?」な展開です。取り急ぎ「急なことでお困りでしょうね。会場でお手伝いできることが有ればご協力させて下さい。」とDMを差し上げました。このイベントに誘ってくださったのは実は先輩通訳者で、すぐに彼に連絡を取ったところ「プレゼン通訳の打診があった。」との事で、思わず先輩通訳者のパフォーマンスを見せていただくいい機会!と喜びました。
私が会場に着いたのはギリギリで、すでに先輩通訳はスタンバイ済み。小さなレストランを貸し切った会場はお客さんで一杯。ちなみにiPhone以外のスマートフォンユーザは一人もお見かけしませんでした。プレゼンは私が到着してすぐに始まりました。
CEOのPhilさんはとても気さくな感じの、まだ30代半ばくらいと思われる男性でした。ジャケットこそ着ていたけれど、下はジーンズのラフな格好。大阪がお好きなようで、実はもう何度も足を運んでいるとの事でした。 プレゼンの内容はざっと以下の通り。
1) Evernoteの創成期から、どのようにしてユーザを増やしていったか?
2) 日本がEvernoteにとって、市場としてアプリケーション開発パートナーの拠点としてどれだけ重要か?
3) 今後、Evernoteの市場を拡大していく中での牽引力となる重要なファクターは?
実際のプレゼンの様子は、Ustreamにアーカイブされていますのでご興味のある方は是非どうぞ。しかし、流石によく練られた内容と流れで、理解しやすいプレゼンという印象でした。
ところが、アクシデントは起こるもの…。当初15分程と思っていたプレゼン…。20分たっても30分たっても終わりません。先輩通訳とは少し離れた場所に座っていたのですが、用意された小さなメモの枚数もどんどんなくなっていくのが見えます。会場のマイクの調子もあまりよくなく、頻繁に雑音が入り、マイクを自分から遠ざけなければならない事態がたびたび発生していました。何より、ほとんど打ち合わせの時間がなかったとお聞きしていたのに、いきなり逐次でこの長丁場。結局、プレゼンは45分かかってやっと終了しました。
終わった後の疲労感…想像つくだけに、本当に心からお疲れ様!という感じ。でも何より、急な依頼を快く引き受け、通訳環境の悪い中、事前打ち合わせのない中でも、一定のスピードでテンポよく、文脈の中の流れを分かりやすく通訳されたことに、脱帽でした。
プレゼン後は、日本人ユーザお二人の対談、その後Q&Aセッションで会はお開きになりました。Q&Aセッションでは、私もホントにホントに少しだけウィスパリングでお手伝い(というのもおこがましい…笑)させていただきました。
予想外の展開でしたが、先輩通訳のお仕事を拝見できたこと、CEOのPhilさんにお会いして直接話すチャンスがあった事、冒険満載なイベントで非常に有意義でした。ちなみに先輩通訳はこのブログからリンクさせていただいている「翻訳と通訳のあいだ」の関根マイク氏でした。お疲れ様でした。
そして今回学んだこと… 「いかなる環境でもプロの仕事をする」 でした。
当初使うつもりの通訳の都合がつかない場合は、どうぞお気軽にお声掛けください。
今度は、私が責任もってプロの仕事をさせて頂きます!