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2012年12月9日

通訳者の服装

先日、こんな記事を見つけて何だかちょっと嫌な気分になりました。
Nikkei Business ONLINE
その仕事、しくじったきっかけは“つけまつ毛”です
あなたが空回りする原因は自分の中にある
記事の内容を私バージョン(笑?)で一言で説明すると
通訳は黒子であり黒スーツが基本。とにかく出しゃばってはならない。
(つけまつ毛のオシャレなんてもってのほか…!)
でしょうか。私は別に通訳者は必ず黒スーツを来ていなければならないと思っていません。お客さまが満足できるレベル(服装、パフォーマンス含め)で仕事をこなせている限りは問題ないと考えています。つまり、つけまつ毛(以下、ツケマ)であってもお客さまがことさらそれを問題と思わないのであれば、ツケマいいじゃないか!というスタンスです。

そもそもこの記事の通訳は「肝心の仕事ができなかった。」というところが問題だったわけです。(ツケマそのものが問題ではありませんでした。)そのできなかった事実を、即ツケマに結びつけてしまい「ツケマ通訳/オシャレな通訳は使えない」的なイメージをつくり上げてしまうのはどうかと思うのです。もし彼女が素晴らしい通訳をしていたら…?「あの通訳さんは美しくてファッションセンスがいい上に、仕事も素晴らしい!」と評判になったかも知れません(笑)

ツケマそのものを問題にしているのではなく、その意識を問題にしようとしているのだと解釈も出来ますが、以下の文章から私はもっと別の挑戦的なメッセージを感じます。「通訳のクセにオシャレなんかするな…」と。(ちなみに私はツケマはしません、念のため。不器用でつけるのもメンテもプロにお願いする必要があるので…面倒なのです。)
通訳の女性はつけまつ毛をしていた

そこにはマナーのレベルを超えた“気合い”や過剰な“見られる側”意識がある。自意識が強い。目立ちたい。そういう感情がつけまつ毛に手を伸ばさせる。

それは裏方としての通訳官の職業意識のズレを物語る。「私を見て!」という通訳って成立しない。
このライターの言い分は、彼女が言及している通訳については正しいかも知れません。しかし「裏方としての通訳官」とまで言いきってしまうのは果たして適当なことなのか?通訳はいつの場合も完全に裏方なのか?という疑問がフツフツと湧いてきます。

時には裏方にとどまらず、通訳が少しだけ前に出て双方の理解を整理したり、お客さまの意図を知った上で意識的に会話を方向付けるような言い回しを採用したりすることは珍しくありません。

プロに求められるのは違う図々しさ

「私は存在しないという前提で・・・」という身のひそめ方が、異なる言語の会話をさも会話風に成立させる。通訳を挟んだ仕事は何度か経験しているが、皆、黒服だ。手話通訳もまた黒スーツ。つまり黒子に徹しますよという意識がその色を慣例として選ばせている。

(中略)

「会話すべき方々の役に立てるよう、邪魔しないよう、彼らの背後に姿を消し、言葉のみ、図々しいほどに割って入って通訳する」のが通訳官の醍醐味ではないか。
知合いからかつて聞いたことのある女性通訳さんなのですが、テーマカラーはピンクで海外出張でも毎日違ったデザインのピンクスーツを用意して持っていくそうです。それでも彼女のパフォーマンスはピカイチであり、ピンクスーツはむしろ彼女のステータスのように語らえるそうです。「あ、あのピンクの通訳さんね!」といった感じで。

この記事では、手話通訳にも言及し彼等が黒スーツ基本であると言っています。ですが、そういう考え方がありながらも、手話通訳サービスを受ける側には「黒は目が疲れる。」という意見もみられるようです。

「通訳者を使う。」という言い方は一般的です。しかし「使う」という意識の中に「一緒に進めよう」という意識のあるクライアントとの仕事は大抵上手く行きます。会議で果たしたい目的を知った上で、通訳の合間に汲み取った意図を文化的に解釈しなおして、積極的にクライアントに伝えることも可能になります。

言葉の解釈とは常に主観的なものです。そして通訳者は自分の解釈をなるべく正しく伝えることに力を注ぎます。そのためにはいつも「会話すべき方々の役に立てるよう、邪魔しないよう、彼らの背後に姿を消し」ていては上手く行かないこともあるのです。

このあたり、以前にも「通訳は黒子か」という記事にも書いています

 
通訳現場はどれをとってもツケマが相応しくないか?」ということはさておき「通訳は裏方。裏方はオシャレなんかするな」的な乱暴な解釈につながりかねないこの記事の書き方に、なんとも納得いかない気持ちが残りました。


ちなみに、TPOに沿う形であればオシャレをするのは楽しいし、それで気分が上がればパフォーマンスが上がる…と言うことはあると思うのです。うーん、私だけ(笑?)