2011年9月28日

通訳は常に「黒子」か…?

最近、ザ・インタビューズというサイトに登録しました。登録すると別の登録者から質問を受けて、それに対して回答するというシステムです。でも、質問された人にはそれが誰による質問なのかは分からない仕組みになっています。ただ、このザ・インタビューズが惜しいのは、質問したい対象、回答を読んで見たいその対象の人物を検索することが出来ないことです。

なので、インタビューズを見て頂いた方には分かるのですが、そこで受けた質問について、ここでも少しづつ言葉を足して回答してみたいと思います。


通訳者として仕事をとるために必要なことで、礼節に気を配る、基本目立たないように心がける、準備を怠らない以外のことで言うと何がありますか?

「礼節に気を配る、基本目立たないように心がける、準備を怠らない」は、どれもおっしゃるとおりに基本であり、あまり取り立てて「心がける」という事を自分がしていないように思います。

長年社会人として生活していれば、礼節を怠らない、準備は怠らない、はどちらも身につけておきたいものでしょう。ただ少し気になったのは「目立たないように心がける」です。そして「通訳者として仕事をとるために必要なこと」という切り口でこれを捉える感覚でした。

以下は私の回答です。





まず、基本目立たないように心がける…ですが、通訳中は普通に通訳していると目立ちようがありません。でも、それ以外では特に目立たないように…と気を使ったコトは私はないですよ。服装や振る舞いにおいて常識的なレベルでは気はつかいますが、お化粧が派手なわけじゃないし、場違いな格好をしていなければ特に問題ないと思っています。


むしろ雰囲気が許せば、私はお客様とは積極的に話します。そうする事で会議に関わる情報を入手できる可能性もありますし、場合によっては通訳に有利な環境作りに協力して下さる事すらあります。


ブース同通ではお客様(オーディエンス)と接触する機会は殆んどありません。ですから、少し状況は違いますが、それでもブースエンジニアや主催者とは普通に挨拶をします。それも特にビジネスライクにクールに目立たず…というよりは、一緒に仕事をしたいと思っていただけるような振る舞いを心がけます。


また、商談などビジネス通訳では、信用される言動をとるのは基本でしょう。しかし、なりを潜めていたのでは、「私」という通訳はお客様の記憶に残りません。(*もちろん、目立て!という意味ではありません。)仕事はできて当たり前なのですから。自然に私らしく振舞えばいい、そう思っています。


つまるところ、お客様に提供できる付加価値は何か?だと思います。
一般的に言われるのは、特定の分野が強い事などですが、実際に仕事の合間にそれを営業のように伝えるのはいただけません。むしろ控えるべきででしょう。

ですが、多くのお客様は英語が話せるようになりたい…と思ってらっしゃいます。通訳になった経緯や、経歴などにも勢い興味を持たれている方がおおいのです。そうした会話につながっていくには、意識的に「目だたないように…」しているのではむずかしいですよね。

あまり難しく考えず、ビジネスマナーをわきまえた上で自然に振る舞えること、がいまの私にとっては先々へのお仕事へのつながりになっているように思います。


要するに、目立つことは禁物ですが、必要以上に「目立たない」ことを「心がける」ことはない、というのが私の考えです。

実は先日嬉しい電話を受けました。二年ほど前にある海外の極寒の地に10日程ご一緒させて頂いたお客様の一人でした。現在、別の会社に転職されて「宮原さんなら業界もよく分かってくれているし、是非お願いしたいんだけど?」と。本当に嬉しい出来事でした。

なぜ、このお客様が私に声をかけて下さったのか…?実際の通訳業務を通じて業界を知っていること、実力を評価して下さったことは間違いなさそうです。でも、二年も前の出張です。

もしかすると、チームの皆さんと会議中、会議後に私と行動を共にする中で、その時の会話や雰囲気から仕事をしやすいと思って下さったのかも知れません。それとも、最終日の会議後にみんなが「いやー終わった!」と安堵する中、トイレからウデを押さえながら飛び出し「トイレの鍵が壊れていて、閉じ込められて出られなくなったので、ドアをよじ登って飛び降りたらウデを打ちました…泣」と訴えて爆笑を買ったことが多大なインパクトを与えたのかも?…しれません。

真相は謎(笑)?…ですが、「あくまでも黒子に徹した結果」でないことは確かです。