2011年5月10日

「日本人が必ず悪訳する英語」越前敏弥 著

実はこの本、3月からずっと隙間時間に読む本として持ち歩いていたのですが、なかなか読み進められませんでした。つまり…あんまり楽しんで読めなかったのです。なので、当初書こうと思っていた書評も書くこと無いだろう…と思っていました。

内容は、文芸翻訳志望者に対する「譲ってはいけないコト」「必ず検証すべきポイント」等のまとめに、筆者が文芸翻訳をするに至った経緯や、経験した難しさや面白みを語ったインタビューを合わせたものになっています。


文芸翻訳に限らず、翻訳についての指南本は沢山出ていますし、もっと体系的にまとまった内容の本も読んだことがあります。そのため、筆者の既に出版されて世に出た作品について、生徒訳を示して上で筆者訳を示すというやり方が何となく好きではありませんでした。

翻訳手法を扱ったものの方が、読み手(訳者)にある程度訳出の自由度を与えてくれるのに対し、筆者のやり方では、既に世の中で広く認められた筆者の訳を出すことで、その自由度が極端に狭まるというか、殆どないというか…。

もちろん、売れっ子ですし長い経験のある有能な訳者ですから、その訳出は素晴らしいと思います。でも、ひねくれものの私には、なんとなくそれがおもしろくなかったのです。おこがましいにも程があるとは、このことだとも思いつつ、でもそれが私の正直な感想でした。

でも、せっかく読み始めたし、ちゃんと最後まで読み進もうと思って、移動飛行機の中で残り数十ページを一気に読み切りました。そして「最後まで読んでよかった。越前さんありがとうー。」という気持ちになりました。何とも現金ですが。

以前、Ustreamのインタビュー番組で越前さんを拝見したのですが、普通の人という印象でした。しかし、内にこんな情熱を秘めた方で有ることが分かり、なんだか胸が熱くなってしまいました。別に私は感動屋さんではありませんが、自分の中にある何かと通じた気がしたのです。 以下、私をそんな気持ちにさせた部分の引用です


… この機会を逃すと一生言いそびれて後悔しそうな気がするので、思い切ってここに書きます。

翻訳とは愛です。

(中略)

おもしろい原著があって、それを日本の読者に魅力を減じることなく伝えたいという強烈な欲求こそが、翻訳という作業の出発点です。
作品への愛、読者への愛、作者への愛を本気で成就させたければ、文法が苦手だとか、調べ物が面倒だとか、他にも楽しいことがあるとか、そんな柔なことを言っていられるわけがありません。。

以前、「欲しいのは『伝えようとする熱意』」で書いたこととピッタリ重なりました。
私も言いたい!

通訳とは愛です。