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2010年12月6日

第16回広州アジア大会 - 中国


実は、私は中国には縁が深いのか?今までの海外出張で一番多い国は中国なのです。昨年以前に出張したのは、武漢から数百キロの襄樊(シャンファン)という街、重慶へ二回、そして上海です。
しかし、今年だけ考えてみても中国への出張はなんと三回目でした。一月に2週間ほど北京、七月に4日間上海、そしてこの度の広州18日間。実はこれ以外にも中国への出張の打診は二件ほどありましたが、仮案件で流れてしまったり、日程の関係でお断りしています。日英通訳者にして、中国へのこの出張の多さを考えてみても、いかに中国のビジネスが勢いづいているかという事が分かると思います。

(五匹の山羊はアジア大会のマスコット。
着ぐるみのパフォーマンスや、Tシャツなどの
グッズ販売が至る所で見られました。)



広州に着いてからニュース検索して見つけたのですが、「広州市の経済規模が年内に13兆円超に、中国国内3位」だという事です。都市部住民の可処分所得では、中国大都市部では第二位につけているそうです。広州に行くまでは何かと忙しくリサーチする暇もなかったので、広州がそんなに大都市だという認識が恥ずかしながら有りませんでした。

往路は香港から5時間近くかけて電車を乗り継いでの旅になり、ホテルに到着したのは午後8時半過ぎで真っ暗。移動にホトホト疲れていたし、全くその町の大きさに気づきもしませんでした。
しかし、翌日ホテルの19階から見た広州の広大さ!普段見慣れた広島は、山と海が近い日本の中くらいに地方都市ですから、比べるのも変な話ですが、ずーっとずーっと向こうまで商業ビルが立ち並び、別の方角には居住区のビルがずっと続いています。ハイウェイもホテルのすぐ下を通り遥か彼方まで続き、その先を確認することは出来ません。

また、日々様々な競技の記者会見通訳の為に行った競技場の規模と設備には圧倒されるばかりでした。前回のブログでも触れましたが、どの競技場も国際大会にふさわしい規模と質を兼ね備えています。
水泳の仕事で行った施設も、練習用のプール併設されているばかりでなく、敷地内に催物会場がありアジア大会に合わせてひっきりなしにパフォーマンスが行われていました。競技場全体が、スポーツ公園のような感じです。
男子バスケも観戦しましたが、その会場の様子はまるでESPNで見るNBAの会場と変わらない…そんな印象でした。観客席は三階まであり、一階と二階の間は会場ぐるりの電光掲示板になっています。コートの上部には大きなディスプレイが掲げられ、そこに交代選手、得点した選手の名前が大きくフィーチャーされたり、応援メッセージが表示されたりと、エンターテインメント要素も十分に演出するだけの設備がバッチリ整っていました。

  人について言えば、ボランティアの学生が見せてくれたホスピタリティーと明るさは、今の日本とついつい対比してしまうだけに、まぶしいものがありました。
ボランティアの女子学生と一緒に広州料理を食べに行っ時の事です。彼女が語る夢は、希望に満ち溢れているという感じでした。「私は家庭に収まらずに、とにかく働きたいビジネスで成功したいと思っている。でも、結婚も諦めていないし、子供も欲しい。一緒に子育てを楽しむ旦那さんを見つける。」と話します。若い女性の専業主婦指向が高まっている日本と何たる差かしら…と思いました。
背景には、ここ数世代の中国の人々には、女性も結婚して働くのが当たり前という強い意識が有るようです。通常、子供が生まれると、夫婦が働きに出ている間にどちらかの両親が孫の面倒を見るのが当たりまえ。そのために、わざわざ若い夫婦の元に両親が引っ越して来たり、同居したりするそうです。
戦後核家族化が急に進行して、企業戦士(男性)だけが産業経済を支えたという「日本の経済急成長時代」とは対照的だと思いました。

と、ここまではポジティブ(?)サイド。もちろん、ポジティブがあればネガティブもあります。
先ずは空気の悪さには閉口しました。ちょうど私が広州に到着したころは、日本は黄砂で大変だったと聞いています。ですが広州の空は黄砂とは違う、何とも言えないくすんだ色をしていました。
最初の2日程はそれもさほど気にならなかったのですが、3日目には喉がゴロゴロしてきました。もともと空調は得意ではないし、特別暑すぎるわけでもありませんでしたから(最低気温15-17℃/最高気温25-27℃)昼も夜も基本OFFにしていました。それでも喉の調子はひどくなる一方。しかも、この症状は他の通訳さんたちにも軒並みあらわれていました。それぞれ喉に聞くお茶を買って来たり、うがいをするなど対策をうっていました。
私はもともと副鼻腔が弱いため、喉の次に鼻をやられてしまい、鼻水ずるずる…ちょうど仕事が無い日だったので助かりましたが…。
よく、中国人が道端で痰を吐くことを下品と取り上げられますが、あれはきっと痰がたまるような大気の状態である事も一因のよう思います。もちろん、日本人であればこっそり手持ちのティッシュに…と言ったところでしょうが、あれだけ多くの人が老若男女問わずぺっぺぺっぺやっているという事は、それだけ痰が出る環境だという事でしょう。

次に、中国メディアの取材態度に代表される中国人の民度。
先述の痰吐きのような行為は各国メディアに取り上げられて、「中国国民はもっとお行儀よくしましょう」的なメッセージがあちらこちらと出されているとよく聞きます。広州でも、タクシー車内、スーパーマーケット、地下鉄の駅等で「海外から来るお客様を礼儀正しく歓迎しよう」的なメッセージがいたるところで見られました(全然読めないのですが、なんとなくそんな感じに読める漢字でした)。
これまでの私の中国人に対する印象も、「民度」という意味ではあまりいいものではありませんでした。道を歩きながら麺をすすり、そこらじゅうに屋台の食べ残しをまき散らして路上に捨てる。順番は守るものではなくて、あからさまに抜かして先を行った者が勝ち。順番取りが高速道路の入り口では商売になるような国…。



女子サッカーの記者会見を見学した時の事です。
私は試合終了前の早い時間から会見場に詰めていましたが、日本メディアが先に会見場にやってきて陣取ったカメラの位置は広い会場の邪魔にならない後ろの方。ところが、試合終了直後になだれ込むように入ってきた中国メディアのカメラ位置は記者会見テーブルのど真ん中正面!
私は最前列中央から少し外れたところに座っていたのですが、背後で日本メディア陣が「基本ルールもないのかこの国は!?」色めきだっているのが聞こえます。後ろに座っていた方が日本人のようでしたので、日本メディアの方であることを確認して席を代わって差し上げました。なんだか私も申し訳ない気がして…。
会見が始まると、コーチからそれぞれ一言あった後にQAセッションに入ります。この試合、女子サッカーは金メダルでしたから当然日本チームは勝利した訳ですが、中国人の会見ホストは中国メディアばかりを指名したのです。質問する側も故意かと思われるほどの長い質問。中国語→英語→日本語とリレー逐次通訳が入るので、実際の進行には時間がかかります。
結局、3名ほどの中国メディアの質問を受けた後、多くの日本メディア記者たちが懸命に手を挙げるのをしり目に「時間の関係で本日の会見は終了します。」と、一方的に会見は打ち切られました。日本メディアからどよめきが漏れたのは言うまでもありません。
(中国メディアが前にズラリ陣取ったため
日本メディアも困惑しながらその後ろの
高い位置にカメラを構えていました。)


流石に後日の日本女子サッカー優勝会見では、すべてのカメラは後ろに構えられており、日本人メディアからの質問も受けていたようですが、これはきっと日本メディアがクレームを付けたに違いないでしょう。

また、陸上の記者会見を担当した時にはこんなことが有りました。
バーレーンの女子選手が金銀を獲得した競技の会見でしたが、明らかに二人ともアジア系ではありません。中国メディアからの質問は「あなた方はもともと南アフリカの出身だが、アジア大会に出場することをどう思っているのか?」という質問です。
この時の銅メダリストは中国人でなかったと記憶しており、そんな中出た中国メディアからのこの質問に違和感を感じずには居られませんでした。質問を受けた女子選手は多少困惑気味に「そんなことは考えずにとにかく一生懸命に競技した。」と言っていました。というか、そのように発言するしかないし、それが事実でしょう。いったいそんな質問をする事で、彼らから何を引き出そうとしたのか?何も引き出せるわけがないのは明らかですから、困惑させる目的以外の何ものでもないでしょう。


次は町の一般的な印象です。
新しく整備されていることもあり市街地は綺麗です。でも、歩道と車道のつなぎ目に大きく段差があったり、少し通りを入るとゴミが散乱していたりと、詰めが甘いのです。大物を取ってみれば近代的で整っているのだけれど、細かいところを見ると日本と明らかに違いが有りますし、表向きよくできているために、そういう細かいところが(少なくとも私の目には)目立つ気がして仕方ありませんでした。そうした細かいところに注意が行くこと、その元になる美的感覚は、どんなに投資したところで国民の中に一朝一夕にできるモノではありません。
アジア大会期間中という事で、町の各所に警察官が配備され、また軍の行進もひっきりなしに目にしました。警備が厳重であった事は明らかです。でも、人も車も信号をあまり守っていません。会場のセキュリティーチェックも通り一遍で気まぐれ極まりなく、穴はいくらでもあるように見えました。

あとは情報統制でしょうか。

後から考えると、私もよく聞いたものだな…と思ったのですが、夕食を共にした女子学生に獄中のノーベル賞受賞者について知っているか、質問したのです。彼女は正直に「国内では全く報じられていなくて、台湾の友達に聞いて初めて知った。国には感謝しているけれども、こういった情報統制が不可解なやり方で行われることには、一国民として困惑している。」と話していました。国が進める近代化政策で国民が賢くなる中、中国政府が今後どうやって情報統制を進めていく事になるのでしょうか?彼女の話を聞いていて、実は一番不安を感じているのは国民かもしれないという気がしました。

国の積極的な近代化、経済大国に向けての政策により大きく生活水準は改善した(少なくとも沿岸都市部)ことに、恩恵を感じている多くの国民がいる。その一方で、隔てようのない情報化社会の中で彼ら自身が知識武装していくにつれ、疑問を感じ始めるのはごく自然の事のように思えます。地域格差が激しいことはよく言われています。それは私の以前の武漢への出張で、目を疑うような農民の生活を目にしているため、事実だと認識しています。
しかし、その事実を、当の中国国民が知らないという事はあり得ないと思うのです。農村部の国民でなく、都市部に住む彼ら自身が「何かがおかしい?」と感じ始める時期が早いのか遅いのか…?
順番抜かしが当たり前!の印象のある彼らの民度発達速度も、それによっておのずと測れるのではないかしら…と個人的に考えます。