結果的には外務省の調査で、通訳が総理の発言していない文言を独自の解釈で付け足したことが問題だとされ、通訳を手配したエージェントに厳重注意し、外務省内での優秀な通訳者要請が急務であろう…というニュースが流れて事態は収束しているようです。
コトの顛末については「IR通訳会社代表のブログ」で代表通訳者の丹埜段さんが丁寧にまとめたうえで、ご自身の見解について述べられています。その中でも下記は私も大きくうなずけるところです。
ダボスの通訳者に対する安易な批判は、それが「通訳という作業がいかに高付加価値であるかという事実に対する無知・無関心」に端を発している、という意味で、ダボスの通訳者一人ではなく、我々通訳者全員に対するものと考えるべきです。
ただ、担当通訳者は「悪くない。」ということは十二分に理解できるし同情もするのですが、一方「非が無かったか…?」という視点でみると、厳しいかもしれませんがそうとは言い切れないと私は思うのです。
担当通訳者は経験豊富な優秀な方だったに違い有りません。でも、そうだからこそ彼女/彼が訳出してしまった原発言にないセンテンスを加えることで、「確かに」しかし「背後に」流れているコンテクストが多くの人の注目を集めるメインコンテクストとして認識された為に問題視されるに至ったのは事実でしょう。
通訳者に非がある…とするのは短絡的ですが、やはり実際に「付け足しをした。」という事実については、その場に相応しいものであったかを通訳者は謙虚に考えていく必要があると思います。
タイトルはセンセーショナルですが、通訳が果たす役割が大きいことを自負する態度が伺える英語ブログ記事があります。最後の文は通訳の仕事の深さを再確認させてくれて、身が引き締まる思いがします。
Translation Guy
Ken Clark CEO of 1-800-Translate on the power of translate and language
The Interpreter Who Almost Started a War
Even meticulous planning for live events cannot prevent all error.