2012年12月20日

世界初マンガ翻訳公式コンテスト「Manga Translation Battle 2012」

翻訳にも本当に色んな分野があります。マンガ翻訳は未知の分野ですが、最近は大型書店へ行くと洋書コーナーに堂々と「洋書マンガ」が並んでいます。そんな中、こんなニュースを見つけました。

世界初マンガ翻訳公式コンテスト 受賞上位は北米在住者が独占
2012年12月16日(日) 01時27分

日本マンガを題材に、世界に向かってその翻訳を募集、それをコンテスト形式で競ったのが、「Manga Translation Battle 2012」である。“世界初マンガ翻訳公式コンテスト”を謳い、今年7月にスタートした。コンテストは日本のマンガ出版社39社が参加するデジタルコミック協議会が主催、そして文化庁のメディア芸術情報拠点・コンソーシアム構築事業が協力する。マンガの国際交流を活性化させるプロジェクトである。
コンテストは、主催者から『チョコレートコスモス』(春田なな著/集英社)、『コッペリオン』(井上智徳著/講談社)、『神童』(さそうあきら著/双葉社)が課題として出された。日本から日本マンガのデジタル公式配信するマンガポータルJMangaを中心に実施した。その結果が12月13日に発表された。

受賞者は、大賞/作品優秀賞賞に『チョコレートコスモス』(春田なな 著/集英社)を翻訳したカナダ・トロント在住のmimizuさん、作品優秀賞に米国オハイオ在住Amanda Haleyさん、同国サンディエゴ在住のpinkie-chanさんである。さらに一般読者からのオンライン投票(有効投票824票)から神奈川県在住のSawa Matsueda Savageが読者投票賞に選ばれた。
mimizuさんは、副賞として2013年2月に東京で開催される文化庁メディア芸術祭開催中に予定するシンポジウムに招待される。このシンポジウムは、2013年2月21日18時半から20時半まで「海外における日本マンガのいま」(仮題)として予定されている。詳細は、後日、Facebookページで、告知される。

今回のコンテストは世界に向けとしたが、結果的には作品優秀賞は3名とも北米からとなった。これはコンテストの運営基盤となったJMangaが、まず北米向けのサービスからスタートしたことも反映していそうだ。同時に英語のマンガの翻訳者、読者は、北米に厚みがあることを示している。
もともと「Manga Translation Battle 2012」は、マンガ文化の海外普及の基盤となる優秀な翻訳家の発掘・育成を目的としているとみられる。海外へのマンガ文化発信の強化が言われる中で、今後そのニーズはさらに高くなるだろう。今回は、行政(文化庁「メディア芸術情報拠点・コンソーシアム構築事業」)がその支援をする。コンテストの開催を通じた、英語翻訳の拡大効果は小さくないに違いない。

しかし、本来であれば、日本マンガの読者人口の多いアジア、ヨーロッパ地域の言語でも同様の取り組みが望まれる。「Manga Translation Battle 2012」には、少なくないプロジェクト資金が必要とされるだけに、なかなか厳しい課題ではある。しかし、英語以外の優れた翻訳者のニーズこそ、今後さらに拡大するとみられる。コンテスト以外のかたちも含めて、今後の取り組みが期待される分野だ。

「Manga Translation Battle 2012」

大賞/作品優秀賞
Mimizu (カナダ トロント州在住)
作品優秀賞
Amanda Haley (米国オハイオ州在住)
pinkie-chan  (米国サンディエゴ州在住)

読者投票賞
Sawa Matsueda Savage (神奈川県)

授賞式・シンポジウム
日時: 2013年2月21日 18:30~20:30
場所: 六本木ヒルズ アカデミーヒルズ
『海外における日本マンガのいま』(仮題)
http://www.facebook.com/jmanga.official/app_260529577390869

デジタルコミック協議会
http://www.digital
ジェイマンガ
http://www.jmanga.com

以前、World Mobile Congress2011へ仕事で行った時に、コンテンツバイヤーの方とお話する機会がありました。その方によると、日本のマンガ(番組/動画)にはヨーロッパでもアメリカでも熱狂的なファンがついており、日本で放映されるとすぐに欧米でも動画が流れてしまう…そうです。もちろん、ほとんどが著作権をクリアせず非合法な公開になっているとか。

中でも、アメリカへの動画流出のスピードは飛び抜けており、日本の放送翌日には熱狂的なファンが英語字幕をつけてネット公開してしまうそうです。アマチュアのつけた字幕が視聴に耐えるモノかどうかは別にして、そういった事実があるためになかなかマンガ(動画)の日英翻訳がビジネスとして成立しないということの背景がここにある…と伺いました。

このニュースの例は動画ではありませんから少し事情が違うかも知れません。しかし、業界団体がいち早くこうした動き、つまりこうしたイベントを通じて一般に「価値ある分野であることを知らしめる」活動をすることで、一定の翻訳価値を守る姿勢は評価できると思います。

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