Upcoming Events !!

Upcoming Events

Coming soon!!

2011年12月12日

通訳案内士による東電への賠償請求 その3

6.これからの通訳案内士業界について

ここまで見てきた通り、通訳案内士制度の長い歴史があるにもかかわらず、国家資格である通訳案内士の職業ではもはや食べていけない環境が出来上がってきたことが分かりました。その原因は、国の失策によるモグリ通訳案内士の横行と、それによる本職通訳案内士の仕事の激減、さらに通訳案内士の数の極端な地域的偏りです。そして今回の原発事故による観光客激減が追い打ちをかけた形でしょう。

ところが、ニュースを調べるうちにおもしろい記事に当りました。


2011年11月24日 12時12分
県は新たな沖縄振興計画に盛り込む観光関連の新制度提案として、一定の研修修了を条件に有償で外国客の通訳ガイドができる新たな通訳ガイド制度の創設を国に要望している。現行制度で外国客の通訳ガイドができるのは、国の通訳案内士か県の地域限定通訳案内士のみで、外国客の増加に対応できていない。


新制度の創設で通訳ガイドを確保する狙いがあるが、沖縄通訳案内士会は「通訳ガイドの質が維持できるのか」と懸念している。


県は2007年度に地域限定通訳案内士制度を導入したが、11年10月21日現在の登録者数は85人と伸び悩んでいる。全国と比べ県内の受験者数は多いものの、高度な能力が必要とされ合格率は低いという。


新制度では、通訳案内士や地域限定通訳案内士の資格がなくても、県が実施する語学や沖縄の地理・歴史など一定の研修を修了すれば、通訳ガイドに登録する。


本年度中に沖縄通訳案内士会や旅行業界との意見交換などで事業・制度内容を検討し、12年度に研修の対象者や内容などを定める方針。研修開始は13年度の見込み。県の担当者は「外国客とじかに対応する職業なので質が下がらないように配慮したい」としている。


通訳ガイドの不足は、大型クルーズ船の入港時や大型MICEの開催時などで顕著になっている。特に中国語の通訳ガイド登録者数は48人と少なく、増加する中国語圏からの外国客に対応できていないという。


沖縄通訳案内士会は22日、県庁で県から新制度の概要について説明を受け、臨時総会で新制度に反対する方針を固めた。関係者は繁忙期以外に通訳ガイドが過剰供給になれば報酬相場が下がったり、通訳案内士の資格者の受注件数が減ったりすると懸念。「一時的にはガイド不足が解消されるかもしれないが、質は担保できるのか。通訳案内士を目指す人が減れば、人材育成の点でも大きなマイナスになる」と指摘している。

これは沖縄の例ではありますが、京都やその他の有名観光地でも通訳案内士は足りておらず、実際そうした穴を埋めるために2006年4月よりは都道府県単位で地域限定の通訳案内士の登録が行えるよう法改正が行われたと認識しています。

しかし、沖縄のこのニュースはそれをもってしても有資格の通訳案内士の供給が追いついていないことを意味しています。つまり、現実的に「足りない」→「無資格者の稼働」の流れはもやは手の付けられない勢いに達しているいうことです。

全くの私見ですが、ここで報道されている「一定の研修修了を条件に有償で外国客の通訳ガイドができる新たな通訳ガイド制度の創設」は当面進むべき方向として正しいと思います。

いずれにしても何も手を講じなければ無資格者が法外に安い報酬で仕事を請け負い、さらに品質の低い仕事を行うことになります。"民間外交官"という通訳案内士の仕事の重要な側面を何とか維持するには、今はここで提案されている方法しかないと思うのです。

その代わり、新たな制度で資格を得て働く人に対しては、稼働時間に応じてそれなりの収入が得られるように国が一定期間に渡ってガイドラインを決め、通訳案内士を雇うことになる旅行会社に対して厳しいチェックを行うことも制度の一部とするべきでしょう。

期間はあくまでも一定期間とした上で、それまでの間に市場経済にさらされても需要を満足できる程度の通訳案内士の量的および質的確保を行う施策をとることも必要になります。

7.まとめ

最終的には市場の原理にある程度任せることが確実な道である、と私は思っています。国に十分先見の明があり、バランスよくコントロールすることができるのであれば、政府管理下でのシステム運営も十分可能かも知れません。しかし、長い歴史がそれがおおよそ不可能であることをすでに如実に物語っていると思います。国家資格だから食べることができて当然な職業…弁護士さんでも厳しい時代です。

どうすれば誇りを持って技術のある自営業者/フリーランスとして生き残って行く事ができるのか、一人一人が真剣に考える必要があると思います。中国語に限れば、このニュースが正しければ沖縄へ移住すれば十分需要はあるようです。しかし、それでも食べていけるかどうかを保証してくれる人はいません。そこをどうやって生き残っていくか?を考えるのが、自営業者/フリーランスという”職業”だと思います。

8.お詫び

ここ数週間にわたって色々自分のキャリアや人生について考え込んでいたのですが、そんな時に飛び込んできたこのニュース…。読んだ後しばらく上記の様なことや自分自身の身に起こった過去の出来事を色々と思い巡らせていました。多忙なスケジュールの移動中に咄嗟に悲しいというかヤケな気分になり、このニュースについてTwitterで不用意な発言をしてしまいました。読まれた方には不快な思いをさせてしまったこと、大変申し訳ありませんでした。この場を借りてお詫びいたします。