2011年11月27日

「侍とキリスト」ザビエル日本航海記 ラモン・ビラロ 著/宇野和美 訳

夏前だったか、知合いのスペイン語通訳さんがTwitterで紹介しておられた歴史小説の訳書です。おもしろそうですぐに購入したものの、ハードカバーのため持って歩くのに難があり、しばらく本棚の端に積まれたままになっていました。ふと「この調子でいくとずーっと読まないかも…おもしろそうなのに。」と思い、読み始めてみることにしました。

そうしたら何とおもしろいこと!ほぼ2日で読み切ってしまいました。ストーリーもさることながら、それ以外の面でも十分楽しめました。

日本史の授業で誰もが習う、日本にキリスト教を伝えたフランシスコ・ザビエルの日本での布教活動を書き表したものです。無実の罪をきせられ日本を逃れマラッカに渡った弥次郎という男と出会います。彼はポルトガル船で覚えたポルトガル語を話し、遠い日本についてザビエルに聞かせ、ザビエルはまだ見ぬ日本の思いをはせるようになります。そして、弥次郎を通訳として連れて日本へ渡り布教活動の旅がはじまります。

2011年11月19日

第5回学生通訳コンテスト(於 : 名古屋外語大学)

第5回学生通訳コンテスト 学生通訳コンテストのお知らせが舞い込んできました。コンテストは学生によるものですが、行われる講演や、審査員に名前を連ねている方々のお顔ぶれは蒼々たるものが有ります。フォローアップもしっかりしていて、2日目には医療英語のセミナーも開かれるうようです。

ご興味の有る方はぜひどうぞ!
私も前後の仕事の調整が付けば行ってみよう考えています。


第5回学生通訳コンテスト
Topic: 文化と医療 Culture and Health Care
主催: 名古屋外国語大学 現代国際学部
後援: 中日新聞 / The Japan Times 週刊ST / 愛知県教育委員会 / 愛知県
特別協力校: 東京外国語大学

日程: 2011年12月3日(土) 12:00~18:00 (予定)
場所: 名古屋外国語大学7号館B1階 701教室

出場校
大阪大学 / 神田外語大学 / 京都外国語大学 / 金城学院大学 / 神戸市外国語大学 / 神戸女学院大学 / 大東文化大学 / 津田塾大学 / 東京外国語大学 / 名古屋外国語大学 / 南山大学 (50音順) 計11校より参加

スピーカー
押味貴之 (日本大学医学部助教/医師・医療通訳者)
デボラ宮下 (豪州 マッコーリー大学大学院 通訳翻訳コース 講師)

審査員
原不二子(G7サミット、GATT閣僚会議、ILO総会など国際会議の同時通訳として活躍/(株)ディプロマット代表取締役)
関沢紘一(在日統合法務局米軍法律顧問、在日米海軍統合法務局国際法ディレクター)
実吉典子(清泉女子大学名誉教授)
同時通訳デモンストレーション:
柴原智幸(NHK放送通訳者・映像翻訳者として活躍中。神田外語大学専任講師)

講演:
「通訳者の喜怒哀楽-異文化の狭間で」新崎隆子(会議・放送通訳者、東京外国語大学 非常勤講師)

スケジュール:
12:00~ 開会式
12:30~ コンテスト開始
15:00~ 特別講演
16:00~ 閉会式(表彰式・講評)
17:00~ 懇親会

※ 一般の観覧も歓迎しています。入場無料。事前申込み不要。

問合わせ先:
名古屋外国語大学 現代国際学部事務室
〒470-0197 愛知県日進市岩崎町竹の山57番地
TEL: 0561-75-1725 / FAX: 0561-75-1729
e-mail: kumazaki@nufs.ac.jp (担当:熊崎)

医学会議通訳セミナー: 「文化と医療」を通訳する
講師: 押味貴之(日本大学医学部 医学教育企画•推進室)
内容:
第5回学生通訳コンテスト「文化と医療」の題材を使い、下記のトピックに関する逐次通訳を実践形式で学びます。
1. 災害医療
2. ナースプラクティショナー
3. 予防医学
4. 医療制度
5. 高齢者医療
6. 受診
7. 出産
8. オーダーメイド医療
9. 治験
10. がん治療
11. 医療倫理

***

学生通訳コンテストに参加した学生さんの体験を踏まえ、どういった訳が適切なのかを様々な視点からディスカッションしていきます。また通訳準備段階での医療英語の勉強法も紹介します。学生通訳コンテストに参加された方はもちろん、医学会議通訳に興味のある方は是非お気軽にご参加ください。

日時: 12月4日(日) 10:00-12:30
場所: 名古屋外国語大学 K402教室
交通案内: 地下鉄東山線 上社駅と地下鉄 鶴舞線 赤池駅からスクールバスが出ます。
     大学行き 9:10
     帰宅用スクールバスは、上社行 赤池行とも13:20です。

申込方法
下記をメールでishizuki@nufs.ac.jpまで送って下さい。締切は11月25日(金)です。
講義形態から、50名程度までの参加を想定しています。あまりに申込が多数の場合は、抽選させていただくことがあります。
住所
氏名
電話番号
学生の場合は大学名および学年

2011年11月17日

通訳批判の在り方 - ダライ・ラマ法王会見

自由報道協会主催で行われたダライ・ラマ法王の会見をご覧になった方はきっと多いのではないでしょうか。私もぜひリアルタイムで視聴したかったのですが、あいにく仕事だった為つい先日やっとYouTubeで視聴したところです。法王様は英語ネイティブではないものの、いわんとするメッセージのクリアなことこの上ないと感じました。

ところが偶然、法王様のこの会見における発言の通訳について「ニュアンスが違うのではないでしょうか?」と発言された方がいらっしゃるのを見つけました。マリア・リン・チェンさんという法王様が来日の際には必ず通訳をされる方で、法王様の著作の翻訳にも携わっておられる方です。(この方の経歴についてはコチラに詳しくありますので、ご興味が有る方はどうぞ。)以下の動画は実際にそれを語っておられる映像です。

 

このマリアさんの経歴や、彼女の通訳で法王様の講話を聞いた方々のブログ記事を拝見したりして、素晴らしい通訳をなさる方なのだろうと言うことが十分理解できます。ただ、上記の動画でなされた批判には少しフェアじゃないな…と感じています。
出来ればYouTubeサイトに飛んで「もっと見る」のタブをクリックしてみて下さい。

2011年11月13日

「PROJECT名古屋」に参加してきました。

先日11月12日(土)名古屋で行われたJAT主催のイベント「PROJECT名古屋」に参加してきました。 私は以下のセッションで、パネリストをつとめました。
15:30-16:45
How to earn the rate you deserve.
Cathy Eberst, Steven Venti, Mikako Miyahara
Joji Matsuo(MC)
レートの話は誰もが興味のある内容です。「稼げていること」は、フリーランスとしてどの程度成功しているかをはかる一つの指標と考えられます。そのため比較的大きなセミナー会場は大入りでした。しかもオーディエンスの中には超ベテラン翻訳者通訳者も数多かったため、珍しく人前でかなりの緊張してしまいました。

2011年11月3日

翻訳の品質

その他多くのサービスがそうであるように、翻訳には「翻訳(サービス)を享受する人が納得出来るレベルの品質が担保されている」というのは大前提です。どうも、それがあまりに当たり前すぎて、見落とされているケースが最近多い…という印象です。

先日、あるIT系のサイトのニュース記事翻訳が「まるで中学生が辞書と首っ引きでやったような翻訳だ」と叩かれている、という情報をTwitterで拾い、私も実際に見に行ってみました。

残念ながら全くその形容の通りで、機械翻訳を使ったのではないかと多くの人が推測するのも無理からぬ品質でした。いずれにしても、翻訳者の力量、翻訳者への(限られた?)報酬、翻訳時間、訳文品質のチェック体制等様々な要因がそれぞれ複雑に絡み合った結果だ、と言えそうです。

これ以外にも業界にいれば「全く酷すぎて使えずやり直した…」という話はよく耳にしますし、一般にもこの夏には「アインシュタイン-その生涯と宇宙-下」の出版で機械翻訳が使われ、全く読めない日本語の書籍が出版されてしまったことは記憶に新しいところです。

このIT系サイトの場合、専属翻訳者を数名雇っているようです。しかし、一般的に翻訳を依頼する場合は翻訳会社へアプローチして、コーディネーターと調整したのち、翻訳者へ依頼…というプロセスを経ます。もちろん、最終訳文は翻訳会社のチェックを経て依頼者へ返されることになりますから、そこで品質が担保されるというプロセスは少なくとも存在しています。(機能しているかどうかは別にして…)

しかし、そのプロセス全部あるいは一部WEB上で対応できるサービスが幾つか登場しています。以下のサイトもその1つです。おもしろいことに、プロセス効率化について触れられていますが、訳文の品質をどう担保するのか?ということには一切触れられていません。

2011年11月1日

翻訳を通してはじめて届く声がある

下記は本日付の地元紙「中国新聞」サイトのニュースです。翻訳者が大切な役割を担っているということを再認識するニュースです。にもかかわらず、こうした活動はボランティアの手を借りて行われることが非常に多いのが現状のようです。今回のこのニュースについてどうだったか?は私の知るところではありません。

6言語翻訳の被爆体験記公開

国立広島原爆死没者追悼平和祈念館(広島市中区)は26日、アラビア語など6言語に翻訳した6人分の被爆体験記の公開を始めた。昨年、ロシア語など10言語に翻訳しており、同館の被爆体験記の翻訳版は計16言語となった。地下1階の閲覧室で読むことができる。

 アラビア語のほか、ヒンディー語、インドネシア語、マレー語、ウルドゥー語、フィリピノ語。平和記念公園内の原爆資料館はすでに同じ16言語の音声ガイド機器を来館者に貸し出している。

 翻訳は業者に依頼。体験記の6人は被爆時の年齢が8歳から31歳で、原爆で肉親や夫を失った悲しみや、その後の苦難、平和への思いをつづっている。言語ごとにファイルに収められている。

 松井悟副館長は「外国人の入館者には英語を読める人も多いが、母国語だと実感が格段に違うはず。多くの人に被爆者の肉声に触れてほしい」と期待している。

【写真説明】新たに6言語の翻訳版をそろえた被爆体験記
2011年11月1日付 中国新聞
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn201110270021.html
こちらの朝日新聞社のサイトでは、サイトの中の紹介文にもありましたが、ボランティアを募ったところ350名以上もの方が翻訳・プルーフリーディングに協力したとのこと。多くの人が被爆体験記を残し伝えることに使命感を持って取り組まれたようです。

お年を召された方の文章は時に独特のものもあったでしょうし、方言などで困ることはなかったのかな…と、実際に翻訳に携わった方にお話をうかがってみたい気がします。