先日、ブース同通でご一緒した通訳者が使っていたアプリをご紹介します。残念なことに紹介者と同じ現場ではあまり効き目がありませんでした。でもアイデアが斬新だったのでなんとなく試してみたくなり使って見たところ、少しライトを落とした講演の場ではなんと大当たり!効果がありました!
アプリは以下紹介のもの以外にも沢山あります。こちらの二つは無料アプリでしたので参考まで…。
日本語でも英語でもスピーカーの早口に悩まされることが多いことは、一般的にみなさん想像がつくと思います。それでも逐次通訳であれば、聞き取りができる速さなら訳出は通訳者のスピードで進めることができます。早口のスピーカーであっても訳出スピードを少し抑えるとそれに影響されて少しスピードダウンし、落ち着いて話始めるスピーカーもたまにおられます。スピーカーとつい同じスピードで訳出を始めると自分の首を絞めかねないので注意するようにしています。
でもスピーカーの早口で悩まされるのは何と言っても同時通訳です。どうやってもスピーカーが話す尺に訳が収まらず、さらに訳出が遅れてしまうことをどう回避すればいいのか?情報を意図的に落とすこともありますが、こういう場合の意図的に落とすは「落とさないと追いつけない」から「落とす」場合が多く、訳出しながら焦りまくる脳みそでは情報を正しく取捨選択することを一瞬の判断でおこなうことはものすごく難しい。結果、効率的に情報を伝えきれなかったり、ただ早口でまくし立てただけで印象に残る形でメッセージを伝えられなかった…という惨敗感満載で会議を終えることになることも少なくないのです。
打ち合わせ時に「普段話すスピードより少しゆっくり目を意識して話してください」とお願いするのですが、大抵みなさん姿勢は協力的なので「もし早過ぎたら合図して下さい」と言って下さいます。でも彼らは講演中に通訳ブースの方向なんぞ多くの場合は見ちゃいないのです。打ち合わせから劇早のスピーカーはだいたい自分の早口を認識しているので、ジョークの分かりそうな方なら「早口になったら私、ブースで踊り始めてしまうんです!」などと言うと、結構ウケます(笑)
今回はこのネオンサインを自分のiPadに流して頭上にあげましたら、一度目は苦笑いして少しスピードダウンしてくださいました。二時間のプレゼンのうちトータル3回このサインを使いましたがいずれも前半で後半は使いませんでした。講演後、スピーカーからよく見えたよと声をかけていただきました。
通常はスピーカーが話そうと決めているスクリプトやスライドの量があるはずなので、いつもこの時のようにうまくいくとは限りません。でも、前方から見たときにブース内で人間が立ち上がって「落ち着け!」ポーズを取るよりも、こちらのネオンサインの方が目立つようです。ご興味ある方はぜひお試しを。