昨年秋だったか、お友達(というか大好きな先輩)のサイトで紹介されていた"White House Interpreter"をワクワクしながら読んだのを思い出します。この本は、その名の通り長年にわたりホワイトハウスで仕事をしていた英独"通訳者"によるものです。
通訳に対しての理解が得られず、万全な環境が整わない状況の中通訳しなければなら無かったときの実際の様子や彼自身の葛藤、通訳をした歴代大統領の通訳に対する考え方や態度、ホワイトハウスの通訳として得られた経験の数々がダイナミックに語られています。
ホワイトハウスの通訳としての重責はちょっと想像を絶しますが、同じ通訳としてご本人が葛藤しながら、それでも誠実にお仕事をこなしてこられた様子には大変共感しましたし、随分と勇気づけられました。
そして、この本の中で唯一人名前の挙がっていた日本人通訳者が故横田謙さんでした。
お名前だけは前から存じ上げていましたが、ネットにもあまり多くの情報はなく、どんな方なのかな?と思った記憶が有ります。ですが、この本でお名前を見つけて以来、一度お会いしてお話を聞いてみたい…と思っていた方でした。もちろん、それもおこがましいくらいに、雲の上の人であるとは思っていたのですが。
残念ながらそれが叶うことなく訃報が先日飛び込んできました。7月1日早朝、ガンとの戦いの後逝去されたそうです。購読しているメーリングリストで流れてきたのですが、そのメールによれば彼の仕事の品質、そして彼自身の人柄が多くの人を惹きつけて止まなかったとのこと。
一級の通訳者であり、バブル成長期に通訳として日本外交を支えたともなれば、大きくメディアにもカバーされネット上での情報も豊富に違いない…と思いきや、ネットでは殆ど名前をお見かけしません。でも、昨年読んだこの”White House Interpreter" の文章を読むと、世界の外交の場で他国の通訳にまで彼がどんなに信頼し尊敬されていたのか、それがよく分ります。
謹んで哀悼の意を表します。
通訳に対しての理解が得られず、万全な環境が整わない状況の中通訳しなければなら無かったときの実際の様子や彼自身の葛藤、通訳をした歴代大統領の通訳に対する考え方や態度、ホワイトハウスの通訳として得られた経験の数々がダイナミックに語られています。
ホワイトハウスの通訳としての重責はちょっと想像を絶しますが、同じ通訳としてご本人が葛藤しながら、それでも誠実にお仕事をこなしてこられた様子には大変共感しましたし、随分と勇気づけられました。
そして、この本の中で唯一人名前の挙がっていた日本人通訳者が故横田謙さんでした。
お名前だけは前から存じ上げていましたが、ネットにもあまり多くの情報はなく、どんな方なのかな?と思った記憶が有ります。ですが、この本でお名前を見つけて以来、一度お会いしてお話を聞いてみたい…と思っていた方でした。もちろん、それもおこがましいくらいに、雲の上の人であるとは思っていたのですが。
残念ながらそれが叶うことなく訃報が先日飛び込んできました。7月1日早朝、ガンとの戦いの後逝去されたそうです。購読しているメーリングリストで流れてきたのですが、そのメールによれば彼の仕事の品質、そして彼自身の人柄が多くの人を惹きつけて止まなかったとのこと。
一級の通訳者であり、バブル成長期に通訳として日本外交を支えたともなれば、大きくメディアにもカバーされネット上での情報も豊富に違いない…と思いきや、ネットでは殆ど名前をお見かけしません。でも、昨年読んだこの”White House Interpreter" の文章を読むと、世界の外交の場で他国の通訳にまで彼がどんなに信頼し尊敬されていたのか、それがよく分ります。
謹んで哀悼の意を表します。
Although the simultaneous interpreters are in constant motion, the bilateral interpreter handles only a few hours of consecutive interpreting during a summit, leaving ample private time to observe the discussions and learn from them, not only the terminology but how the economic and financial world operates at the strategic level, what is important and what is secondary. I was always fascinated by the amount of knowledge I was privileged to accumulate without studying the subject at a university. Having attended about a dozen summits in one capacity or another, I would not want to have missed any one of them. It was at economic summits that I finally had an opportunity to have a private chat with such famous diplomatic interpreters as Ken Yokota of Japan and Christopher Tiery of Paris.
Harry Obst, White House Interpreter : The Art of Interpretation, Author House, 2010
サミット中同時通訳者は常時せわしなくしていた一方で、2国間交渉用に連れてこられた通訳はほんの数時間の逐次通訳をこなせば、あとはサミットの議論を観察しそこから学ぶための時間がたっぷりと持てた。しかもそこで得られたのは、単なる専門用語にとどまらず、経済・金融業界が戦略レベルでどのように影響をもち、何が重要で、何が二次的なのか?という知識にまでに及んでいた。大学なんかで勉強しなくても通訳だからこそ蓄積できる多くの知識に、私はいつも胸躍らせたものだ。何らかの形で十数のサミットに立ち会ったが、そのどれ一つをとっても逃がし難い経験だったいえる。実際、日本の横田謙氏やフランスのChristopher Tiery氏といった有名な外交通訳者にお会いして個人的に話す待望のチャンスに恵まれたのは経済サミットでのことだった。
(宮原訳)