先日の記事ですが、公開直後からいつもにない勢いで閲覧していただいているようで、皆さんの興味の高さがうかがえます。その中で、仙台にお住まいのフリーランス(英語)通訳者@kmicoco(Mihoさん)から逐次のスピーチの場合に考慮する点についてTweet頂きました。
よく考えて見たら確かにそうです。同時通訳と逐次通訳の場合では現場での準備がずいぶん違います。その点について幾つか追記しておきます。
<同時通訳スピーチの場合>
同時通訳の場合は、同通ブース付きであることがほとんどなので、実は環境はそれなりに整っていると言ってもいいでしょう。スピーチに限らず同通ブースで確認するべき事を確認すれば、後は始まるのを待つばかりです。強いていえば、オペラグラスを用意しておいて、スピーカーが聴衆とのやりとりををした時に会場の様子を確認できるよう備える…くらいでしょうか。
<逐次通訳スピーチの場合>
ー 通訳用マイクの確認
会場の大きさが小さい場合でも、スピーチのような場合には大抵のスピーカーはマイクを使用します。そこで「あーよく聞こえる。ヨカッタ!」と喜んでばかりいてはダメです。
スピーカーの言葉を通訳して伝えるのは通訳ですから、通訳にもマイクが必要です。用意の有無を確認して、なければ会場の方に直接依頼してでも用意して頂きます。最悪、マイク一本しか用意していただけない…という場合は、私の場合はスピーカーにお願いして横に立って同じマイクを使わせていただくようにしています。同じ会場で話すのに、通訳だけ声を張り上げているのはおかしいですよね。
マイクが用意できたらさぁ安心?…まだです。先日も書いたように、スピーチは脱線するのが宿命。すると、やはり脱線している間にメモを取りたい!マイクを片手に握っていてはとてもメモは取れません。
スタンドマイクでなければ、通訳する度にマイクを持ったり置いたりが発生します。私みたいにガサツだと、雑音防止でいちいちスイッチを切ると次に通訳をはじめる時にスイッチを入れ忘れてモタモタしてしまうし、スイッチを入れっぱなしだとマイクを取ったり置いたりする時にガタガタ雑音を発生させてしまいます。というわけで、ここは断然スタンドマイクです。
ー 通訳スタンバイの位置
スピーチなのでプレゼンのようにPowerPoint資料があるコトは稀ですから、前方画面を意識してスタンバイする必要はありません。それでも、状況によってスタンバイ位置は違ってきます。
大体、通訳のスタンバイ位置は主催者・スピーカーから事前指定されますが、多くの場合スピーカーのすぐ横か、スピーカーと聴衆とがよく見える最前列のどちらかでしょう。
スピーカーと一緒に演壇前に並んで立つ場合には、演壇のスペースは限られるため、たくさんの資料を演壇に準備するのはとても無理です。私の場合、狭いスペースに沢山資料を持ち込んでもかえって緊張・混乱してえらいコトになってしまうので、スピーチの準備原稿だけをもって登壇します。(中国語通訳の橋本さんも同じだそうです。)
ー 演壇前スタンバイの場合(メモ取りスペースの確保)
この状態で脱線されたら!?というか、必ず脱線するのが世の常ですが、英語通訳のHanaokaさんは「ひたすら脱線内容をリテンションして踏ん張る!」とおっしゃっていました。
私は無理にリテンションしようとすると緊張してしまうタチなので、スピーカーの様子を見ながら長くしゃべりそうな人の場合には、原稿の裏にメモ取りをします。なので、原稿は絶対に両面コピーしません。
この時にいくら演壇があるとは言っても、メモ取りスペースを確保するのは至難の技。英語通訳Mihoさんからどんな原稿クリップを使っている?という質問が有りましたが、市場に出回っているのは、極めてフツーのプラ版クリップが主流のようで、皆さんもそれを使っているようでした。
Hanaokaさん情報では、以前は無印から二つに折りたためるプラ版で折りたたみの蓋には原稿を差し挟むコトも出来るようなものが出ていたそうですが、今はもうないとか…。私も以前、夫がどこかのセミナーでもらって来た同様のボードを利用して重宝していましたが、クリップが壊れてしまい現在は使っていません。
どこかに扱っている業者を知っている方がおられたら、是非情報をお寄せ下さい。
ー 最前列スタンバイの場合
席が設けられていれば有難いですが、主催者がよく犯す間違いとしては、通訳が聴衆に背中を向けて座ってしまう形での席の確保です。
こうすると、聴衆が目に入らないので通訳にだけ集中できて緊張しないからいいのじゃない?と思われる方も居るでしょうが、聴衆あってのスピーチだということを忘れてはいけません。話の主体はスピーカーであっても、常に聴衆の反応を目で確認しながら訳す(話す)ことは大変重要です。
スピーカーによっては、スピーチの中に聴衆を巻き込むことで注意を引き出そうとする方も少なく有りませんから、通訳が背中を向けていたのではそうした咄嗟の脱線に対処することが出来ないのです。
ですから、必ず聴衆の真正面でなくとも、スピーカーのと聴衆の両方の様子がきちんと確認できる位置でなくてはならないでしょう。また、スピーカーが一段高い演壇に立っているなら、通訳も同じ高さから同じ目線で聴衆を見渡せる位置であることも抑えるべきポイントです。
ざっと、補足としてはこんなコトでしょうか?
原稿クリップについてTwitter上で話が及んだ時に「みんなはどんな必携アイテムを使ってるの?」という質問も飛び出しました。通訳者毎に好みも有るし、持ち物は様々だと思いますが、私の持ち物もいつか紹介してみようと思います。
よく考えて見たら確かにそうです。同時通訳と逐次通訳の場合では現場での準備がずいぶん違います。その点について幾つか追記しておきます。
<同時通訳スピーチの場合>
同時通訳の場合は、同通ブース付きであることがほとんどなので、実は環境はそれなりに整っていると言ってもいいでしょう。スピーチに限らず同通ブースで確認するべき事を確認すれば、後は始まるのを待つばかりです。強いていえば、オペラグラスを用意しておいて、スピーカーが聴衆とのやりとりををした時に会場の様子を確認できるよう備える…くらいでしょうか。
<逐次通訳スピーチの場合>
ー 通訳用マイクの確認
会場の大きさが小さい場合でも、スピーチのような場合には大抵のスピーカーはマイクを使用します。そこで「あーよく聞こえる。ヨカッタ!」と喜んでばかりいてはダメです。
スピーカーの言葉を通訳して伝えるのは通訳ですから、通訳にもマイクが必要です。用意の有無を確認して、なければ会場の方に直接依頼してでも用意して頂きます。最悪、マイク一本しか用意していただけない…という場合は、私の場合はスピーカーにお願いして横に立って同じマイクを使わせていただくようにしています。同じ会場で話すのに、通訳だけ声を張り上げているのはおかしいですよね。
マイクが用意できたらさぁ安心?…まだです。先日も書いたように、スピーチは脱線するのが宿命。すると、やはり脱線している間にメモを取りたい!マイクを片手に握っていてはとてもメモは取れません。
スタンドマイクでなければ、通訳する度にマイクを持ったり置いたりが発生します。私みたいにガサツだと、雑音防止でいちいちスイッチを切ると次に通訳をはじめる時にスイッチを入れ忘れてモタモタしてしまうし、スイッチを入れっぱなしだとマイクを取ったり置いたりする時にガタガタ雑音を発生させてしまいます。というわけで、ここは断然スタンドマイクです。
ー 通訳スタンバイの位置
スピーチなのでプレゼンのようにPowerPoint資料があるコトは稀ですから、前方画面を意識してスタンバイする必要はありません。それでも、状況によってスタンバイ位置は違ってきます。
大体、通訳のスタンバイ位置は主催者・スピーカーから事前指定されますが、多くの場合スピーカーのすぐ横か、スピーカーと聴衆とがよく見える最前列のどちらかでしょう。
スピーカーと一緒に演壇前に並んで立つ場合には、演壇のスペースは限られるため、たくさんの資料を演壇に準備するのはとても無理です。私の場合、狭いスペースに沢山資料を持ち込んでもかえって緊張・混乱してえらいコトになってしまうので、スピーチの準備原稿だけをもって登壇します。(中国語通訳の橋本さんも同じだそうです。)
ー 演壇前スタンバイの場合(メモ取りスペースの確保)
この状態で脱線されたら!?というか、必ず脱線するのが世の常ですが、英語通訳のHanaokaさんは「ひたすら脱線内容をリテンションして踏ん張る!」とおっしゃっていました。
私は無理にリテンションしようとすると緊張してしまうタチなので、スピーカーの様子を見ながら長くしゃべりそうな人の場合には、原稿の裏にメモ取りをします。なので、原稿は絶対に両面コピーしません。
この時にいくら演壇があるとは言っても、メモ取りスペースを確保するのは至難の技。英語通訳Mihoさんからどんな原稿クリップを使っている?という質問が有りましたが、市場に出回っているのは、極めてフツーのプラ版クリップが主流のようで、皆さんもそれを使っているようでした。
Hanaokaさん情報では、以前は無印から二つに折りたためるプラ版で折りたたみの蓋には原稿を差し挟むコトも出来るようなものが出ていたそうですが、今はもうないとか…。私も以前、夫がどこかのセミナーでもらって来た同様のボードを利用して重宝していましたが、クリップが壊れてしまい現在は使っていません。
どこかに扱っている業者を知っている方がおられたら、是非情報をお寄せ下さい。
ー 最前列スタンバイの場合
席が設けられていれば有難いですが、主催者がよく犯す間違いとしては、通訳が聴衆に背中を向けて座ってしまう形での席の確保です。
こうすると、聴衆が目に入らないので通訳にだけ集中できて緊張しないからいいのじゃない?と思われる方も居るでしょうが、聴衆あってのスピーチだということを忘れてはいけません。話の主体はスピーカーであっても、常に聴衆の反応を目で確認しながら訳す(話す)ことは大変重要です。
スピーカーによっては、スピーチの中に聴衆を巻き込むことで注意を引き出そうとする方も少なく有りませんから、通訳が背中を向けていたのではそうした咄嗟の脱線に対処することが出来ないのです。
ですから、必ず聴衆の真正面でなくとも、スピーカーのと聴衆の両方の様子がきちんと確認できる位置でなくてはならないでしょう。また、スピーカーが一段高い演壇に立っているなら、通訳も同じ高さから同じ目線で聴衆を見渡せる位置であることも抑えるべきポイントです。
ざっと、補足としてはこんなコトでしょうか?
原稿クリップについてTwitter上で話が及んだ時に「みんなはどんな必携アイテムを使ってるの?」という質問も飛び出しました。通訳者毎に好みも有るし、持ち物は様々だと思いますが、私の持ち物もいつか紹介してみようと思います。