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2019年7月28日

他人事でない吉本興業の騒動ー通訳翻訳業界は?

吉本興業の一連の騒動は、私たち通訳・翻訳者にとって他人事ではありません。私たち通訳・翻訳者はサービスを末端で提供する立場ですが、そのサービス提供に至るまでには複数の事業者が絡むことは少なく有りません。通訳・翻訳者と各事業者間の関係は対等であるのが理想です。では唐突ですが、エージェント業をなさる方、通訳・翻訳者の皆さんに質問です。
  • その仕事が「業務請負」なのか「準委任」なのか理解していますか?
  • 契約書の内容を確認してからサインしていますか?
  • そもそも契約書を交わしていますか?
  • 契約書を交わしていない場合、受発注の記録は残していますか?
通訳翻訳者にとって、通訳翻訳エージェントはサービス依頼者にリーチするための仲介者として有難い存在です。また、獲得したサービス依頼に対し適切に業務をおこなうことのできる通訳翻訳者を確保することで初めてエージェントビジネスが成り立ちます。要は、通訳翻訳者とエージェントは持ちつ持たれつの関係で有り、お互い対等なパートナーだと、私は考えています。

しかし、金銭授受が発生する時、往々にして「支払者」「受領者」間でどうしても支払い優位の構図ができやすくなってしまう。下請法:下請代金支払遅延等防止法はこれを補うための法律です。そして、個人事業主である通訳翻訳者もこの法律の対象です。

吉本興業の件では「契約書が存在しないにも関わらず所属芸人と契約解消する」…などとなんとも奇妙な報道がされています。この報道について、通訳翻訳業界でも他人事と捨て置くことはできないでしょう。

ビジネス上健全で対等な関係を築くため、契約書を交わすようになることは自然な流れでしょう。契約書を交わすケースでは、ほとんどの場合エージェントから文書の提示を受けますし、交わさないケースでも仕事の条件提示はエージェントからなされます。(事業者の規模によっては契約書は必須でないため契約書がないケースもあります)

契約書の有無にかかわらず、個人事業主(通訳・翻訳者)として、然るべき報酬を受け取ることができ、かつ良い仕事ができる環境が提供されることを、提示された条件の中で確認しておくことは不可欠です。この確認は必ず事前でなければなりません。提示された条件について納得のいくものなのか精査し、そうでなければお断りする、あるいはエージェントと納得いくまで交渉し安心して通訳翻訳を引受けることができる条件に両者で合意して初めて取引が成立します。

一方、契約あるいは業務内容を事前に明確にしておくことは依頼するエージェント側にとっても同様に重要です。今回の吉本報道では、吉本興業が 契約書を書面で交わさないことを改めて表明し、芸人さん達との関係性が不透明であることが世間の批判を浴びています。通訳翻訳業界においても同様に、エージェント側が通訳・翻訳者との取引条件を管理しておくことが重要なのも明らかでしょう。

今更当たり前のことを…と言われるとその通りです。でも私自身、駆け出しの頃にはつい「言われるがまま」に仕事を受けた経験もありますし、エージェントとの関係の中で「言い出しにくい」と感じる場面は今でも少なくありません。仮にそこで自分が妥協したとしても「何に自分が妥協しているのか?」「今の妥協が将来の自分に役立つ決断なのか?」を見極めておくことが、エージェントとより良い関係を築くのにとても役に立っています。そのためにも取引条件を明確にしておくことは必須だと考えています。

私自身は特段に法律に詳しい訳では有りませんが、自分が仕事に取り組んでくる中で「何かがおかしい?」と感じた時に一つの手段として法律にあたり、上述のような考え方に至りました。自分が仕事の打診を受ける際には少なくとも

  • 請負、準委任の別
  • 通訳サービス提供時の条件(拘束日時、通訳環境等)
  • 報酬(残業/交通費/移動拘束費およびその他経費の扱い)
  • キャンセル規定(日時変更を含む)
  • 支払条件(支払日、消費税、振込手数料の扱い)

*通訳の場合
を確認し(時には交渉し)てから引受けるか否かのお返事を差し上げ、仕事後にも確認できる形で記録を残しています。取引条件をこのように管理・意識しておくことは、仕事を引き受けるか否かの基準を自分に持つ上でとても役に立っていると感じます。

皆さんはいかがですか?