2018年7月29日

Interpreters will not be replaced by technology; they will be replaced by interpreters who use technology – Bill Wood, company founder, DS Interpretation


私自身は驚くなかれ、実は新しい物好きでは全然ないし、ITツールについてはそれ程詳しくは有りません。本当です。でも、例えばちょっとした困った事があるとそれを解決するためにどうしたらいいか、考えるのは好きです。

最近、一番困っているのは山のように送られてくる資料達を現場まで持ち運ぶ労力です。一般的に通訳者の荷物は多い事で有名ですが、辞書が電子辞書やタブレットに置き換わった今、荷物の重量の大半を占めるのは資料です。大げさでなく肩がちぎれそうになりますし、ベテランの方の中にはキャスターバッグを使う方も多いのもうなずけます。キャスターバッグは一つの解決法ですが、資料は必ずデータでも送られてくる訳ですから、データをベースに予習することを本格的に考えたい…と思い始めました。試行錯誤中です。

先日ご一緒した海外ベースの友人の通訳者は「バイク便は海を渡れないから、PPTは全部PDFに落として、ノートもスライド内に挿入して、そこに自分のメモを書き足す」と教えてくれました。彼女はiPad Pro A4サイズを使用していて会議中にはペンでハイライトやメモを入れながら訳し進めていました。

まずい…

私もiPad Pro利用者ですが、最近は逐次通訳時の雑記帳に成り下がり、予習単語リストの確認用ぐらいにしか使えていませんでした。

まずいまずい…

今、とりあえずPDF編集ツールでどんなアプリが効果的か探しています。またPCとの使い分け、あるいはペンが使えてセキュリティ的に格段に優秀なタブレットに統一するべきなのか思案中です。ただ、手持ちの10.4インチだと資料を見るのは視認性の面からツライお年頃になり、マシンの選定からもっと慎重にしなくちゃなぁ…と思う今日この頃です。

試しに検索して見つけたPDF編集アプリ(iOS対応)についての比較サイトはコチラ
Notability Improvements and a Replacement for GoodNotes


技術のが進化が将来的に人間の仕事を奪うことになる、というのは世の常。それがことIT/AIの進化に及ぶと、人間の頭脳労働への侵食が加速するという人々の間に広がる漠然としたイメージで、通訳者・翻訳者の中にも漠然とした不安を、漠然と抱えている人は多いのではないかと思います。実際、機械翻訳に対比して「人間翻訳」という言葉が出てくるのもその漠然とした不安の現れではないでしょうか。

そういう不安を払拭するにはどうしたら良いか?やはり「相手を知る」事じゃないかと思うのです。では相手とは誰か?…いつ登場するかも分からないAI通訳者なのか、はたまたビッグデータベースの完全自動翻訳機なのか、お察しの通りそんな相手の事は分かる訳ありません。まずは見える相手を考えて戦略を練ることが重要だと思うのです。

それに関連して過去の面白い逸話がここで聞けました。近未来的な通訳業界の展望も語られていて、すごくオモシロイです。
Podcast 059: The Evolution of Interpretation
with Renato and Michael on Jul 25, 2018 9:00:00 AM

第二次世界大戦終戦時に同時通訳が初めて導入されたのは有名な話ですが、当時、会議の場から追いやられブースに閉じ込められて文脈から切り離されることを恐れた通訳者は猛烈に同通設備導入に反対したとか。今では、逐次通訳はできるだけ避けたい…という通訳者も多いというのは、何とも象徴的な展開、面白いエピソードでした。

見える相手からまずは攻略していかないと。そしてその為にはアンテナはり試行錯誤は続けていないとね…と改めて自戒する宮原であります。

広島通訳 Tea Salon を開催します

例年、3月の決算締め月に向けて皆さん予算を使い切ろうとなさるのか、2月中旬から通訳業界は多忙を極めます。そんな中、 なんとかかんとか確定申告を終わらせて、週末にほっと一息ついているところです。 このブログのオーナーである私は、今でこそ東京住まいですが、出身の広島には頻繁に帰省して...