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2014年8月15日

「最低でも通訳には…」と言わないで!

私は常々、スポーツチーム所属の通訳者は究極のインハウス通訳者だと感じています。以前も何度か描いた事があると思うのですが、日々勝負を重ねる選手や監督たちと生活を共にし、同じ目標に進んでいくために彼らがカバーしなければならない範囲は、一般企業のインハウス通訳とは比べ物になりません。

先ごろワールドカップサッカーでの日本敗退を以ってザッケローニ監督が退任し、彼が就任以降ずっとサポートし続けた通訳矢野氏も退任となったようです。(矢野氏については彼が就任当初にも記事を書いています。)矢野氏が在任中にどんな風に自分の職務に取り組んでいたかが伺えるニュースを見つけました。

MSN産経ニュース
「通訳が今明かすザックのプライベート 和食レストラン探しに歯科医の付き添い!? 」
2014.8.15 07:00 (1/3ページ)[スポーツ・ウオッチ]

この中で彼は次のように語っています。
通訳業の重要なポイントに挙げたのが、(1)専門知識(2)集中力と記憶力(3)情報収集能力(4)伝達力(5)監督への忠誠心-の5項目。

多くの場合スポーツ通訳者はその競技の経験者が採用されることが多いようです。それは、求められる専門知識がかなり特殊で深い…ということが有るでしょう。また、日々繰り広げられる勝負の中で常に数字を意識しながら、選手と一丸になって試合に臨む姿勢は欠かせません。通訳者も間違いなくチームの一員です。

そして、何よりチームのメンバーからどれだけ信頼されているかは、最も重要なポイントではないでしょうか?矢野氏はこれについては「監督への忠誠心」という言葉で表現してます。ですが、実際には彼の人柄がとても重要なポイントを占めていたように推察しています。

私も個人的に地元野球球団の通訳さんを知っています。お会いして話したことは一度しかないのですが、球団に寄せる愛情と熱意をもって取り組んでおられる様子がオシャベリの中からもヒシヒシと伝わってきて、その人柄に触れてすぐに彼の大ファンになりました。

つまり、球団や選手に対する忠誠心や人柄で、通訳が好感を持たれ信頼される存在にならなければ、上手いコミュニケーションは取れないということです。これはビジネスでも程度の差はあれ同じことが言えると思っています。

インタビュー記事からは「やりきった!」という感じが読み取れます。本当におつかれさまでした!ただ一つ言わせて欲しいのは、記事の最後に「最低でも通訳くらいにはなれる(笑)」と言っている点…。選手として大成できなかった自分を評して謙遜している言葉だと思うのですが、とても残念です。彼が監督とチームに信頼され4年間務め上げた功績は大きいと思います。しっかりと胸を張って、今後スポーツ通訳を目指す人たちへエールを送って欲しい!と思いました。