2014年1月25日

23. 通訳学校では教えてくれないコトー通訳者のスタンドプレー(?)

Twitterへある通訳者さんが下記の趣旨でポストしているのを見つけました。
ペア通訳者がクライアントの面倒見が過度によくて、頼まれもしないのに業務後のお買い物に付き合ったりしていた。こういうスタンドプレーは次から同じことを期待されると他の通訳者が困る…。


まず、本当に「困る」かどうかというと、恐らく実際には困らないだろうと思います。なぜなら「頼まれもしないのに」の時点でクライアントがありがたがっているかどうかよくわかりませんから(笑)でも何より、多くの通訳者はどちらかというと「”通訳業務以外のこと”はしない主義」の方が圧倒的に多いからです。(あくまでも私の印象…ですけれど。)このアプローチは正しいと思います。

そういう見地から考えれば、次に困るのは「同じレベルの過剰サービスを期待される通訳者」ではなくて「過剰サービスを期待して期待はずれに終わるクライアント」ということになり、他の「通訳者のスタンドプレー」を過度に気にすることはないでしょう。

ただここで一つ気になるのは「どこまでが”通訳業務”か?」です。この定義付けが通訳者によって違っているため、時にスタンドプレーのように映ってしまう行動もあるのかも知れません。仮に上記の例でクライアントが「買い物に付合って欲しい。」と依頼していたとして、果たしてそれがスタンドプレーといえるのか、そういう意味では難しいところです。

また、これはエージェント経由・直請けの仕事如何で随分と事情が違ってきます。

以前、やはりTwitterの投稿で
同じプロジェクト付きの他の通訳者達が、業務終了時間がくると訳してる途中でも一斉に通訳をやめて業務終了してしまい、釈然としない。
とおっしゃった方がいました。いくらエージェント仕事とは言え「訳出を途中で切り上げるなんて…!」と思ったのですが、一概にそれがひどい、とも言えない事情も考えられます。

例えば…

* クライアントが残業代を支給しない契約をエージェントと交わしている。
* 都合よく通訳者を使い倒すクライアントで、エージェントが通訳者を守ろうとしている。

などです。ただ、本来であれば途中までの通訳(訳出)は意味がないので、時間いっぱい仕事をすることを目的にするのであれば、切りの良いところまで訳出するのが当然のサービスでしょう。そうしたことを他の通訳者と話ができる状況をエージェントさんが作ってくれれば理想的ですし、たとえエージェントを介さない仕事でも他の通訳者と良い関係が築けることは重要になってきそうです。

直請けの仕事であれば(私の場合)、残業代を支給しない契約のクライアントであれば、自分の中で時間的線引をして対処ができますし、それ以外なら、後の予定が詰まっていない限り可能な範囲で残業は引き受けます。

エージェント経由の場合であれば、事前に残業の言及がなければ残業依頼された時点でエージェントに一報し判断を仰いだ上で対応することになります。

ですが"通訳業務"の定義によっては、残業以外の事情もいろいろ考えられます。

* アテンドなどでネットで調べ物をして欲しい…と言われたら?
* タクシーやホテルの手配をして欲しい…と言われたら?
* 業務後、自分も向かう最寄り駅まで案内して…と言われたら?

明らかに「通訳」行為では有りませんが、ならばそれが全部「通訳業務以外」であるかどうか、それは個人の判断です。愛想ばかりよくて技術のおぼつかない通訳は使えませんが、愛想を振りまかないまでも「一緒に気持よく仕事できない通訳」だと思われることは、やはり残念なことでしょう。

フリーランスとして稼働する上で、自分なりの”通訳業務”の定義を持っておくことは必要だと思います。そのスタンスがはっきりしていれば、同僚のスタンドプレー(?)に遭遇しても動揺することはないでしょう。