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2015年11月22日

WiFi通訳アプリABELON(3)ー 活用可能性(課題解決編)

前回まで、一般的な使用感、そして実際の通訳シーンへの適用における課題を見てきました。確かに今は課題が多く残されていますが、利用する側がある一定の条件を揃えることで解決したり、あるいはABELONサイドで機能強化することで解決できる問題や、さらに広がる可能性もありそうです。

【一定の条件を揃える(限定する)
▶一方通行のみの通訳


通訳者への耳フィードはマストというのは前回述べた通りです。ここをクリアできれば適用場面はかなり広がるのではないでしょうか?例えば、講演会などの通訳では英語>日本語オンリーの訳出を求められるということが稀にあります。その場合オーディエンスの数が多い事が常ですので、参加者自前のモバイル機器を通訳受信機として利用できれば、主催者側のコストは大いに削減できます。また、急な人数の増加にも対応に困ることはありません。

▶社内のスモールミーティング
freedesignfile.com
企業内では最近は当然のように社内WiFiが設定されています。生耳にはなりますが、社内WiFiを利用できればごく少人数10名程度までの会議であれば、通訳はPCを、会議参加者がモバイル(とイヤホン)を持寄れば機器手配の必要は有りません。ただその際、レイテンシーの問題でタイムラグが発生しないよう、WiFiはローカルであることがやはり望ましいのです。またローカルであればセキュリティ(盗聴防止)もWiFi上で保証されます。

【ABELONサイドでの機能強化】
▶通訳者への耳フィード確保
同じようなWiFiを利用したアイデアで通訳者への耳フィードの改善策はすぐに思いつきます。例えば、同じようにスピーカー用のサーバーを起動してスピーカーにBluetoothなどの無線マイクを持たせて(新規追加の)スピーカー専用チャンネルに入力してもらい、通訳者は通訳席でモバイルからスピーカー音声をフィードすることは簡単にできそうです。問題になるのはレスポンスでしょうか?

ですが、こういうところこそシステム屋さんの腕の見せどころ…です。ぜひ、ABELONさんの今後の取り組みに期待したいところです。



このように、同時通訳者には通訳機器だけ与えておけば快適に通訳できるわけではありません。各通訳シーンに応じて適切な環境が整えられていなけれ思うようなパフォーマンスをだすことがなかなかに難しい、という現実があります。これは同時通訳者が時に「厄介な人達(笑?)」と、サービスを受ける側の人達に捉えられてしまう理由でもあるでしょう。ですが、集中力を要する通訳という作業にはやはり周囲の協力や理解は欠かすことができないのです。

結論は冒頭で述べた通りで、まだまだ課題は多く直ぐに役立つシステムとは言えません。しかし課題があるということは、課題を一つ一つ解決していけば使えるシステムに育てていけるということです。いずれにしても、主催者、通訳者、機材準備サイドのコーディネーション無しには会議の成功は難しいのです。それを考えれば、技術的に克服すべき問題はそれほど大きくはないように思います。今後のABELONの展開に期待します。

尚、JACI(日本会議通訳者協会)ではABELON開発元を招待して機能紹介等を行うようです。私はプライベートな都合で参加できないのですが、参加されたみなさんの感想や、私の想定内容と違ったよ!といったようなご報告があれば、お寄せ頂ければ嬉しいです。

JACIセミナー「通訳ガジェットを語ろう」
通訳の生産性を高めるガジェット、アプリ、ライフハック


日時】2015年12月12日(土)
場所】ハロー貸会議室麹町

<スケジュール>
14:15~14:30 受付
14:30~17:30 講演会(途中休憩あり)
17:30~18:00 Q&A

申込みはコチラ

*会議通訳者協会主催

2015年11月17日

WiFi通訳アプリABELON(2)ー 活用可能性(課題編)

 前回は製品としての「ABELONを使う」という切り口で「性能と使用感」を評価してみましたが、今回は実際に通訳シーンで活用が可能なのかという視点で検証してみました。が、結論から言うと「本格的な会議シーンへの活用へはまだまだ多くの解決すべき課題がある」と思います。まずは解決するべき課題から具体的に見ていきましょう。

【言語切替の操作性の悪さ】
通訳者はPCでABELONサーバを立ち上げPC接続マイクに音声を入力していく、という手順は前回説明した通りです。通訳者は当然二ヶ国語を行き来するわけで、そのためには入力音声を(日英なら)日本語、英語と切り替える作業が発生します。ところがこの切替はABELON画面の中にプルダウンメニューとして表示されていますが、切り替えの度に「マウスでクリック表示」→「プルダウン上でカーソル移動」→「選択」という実に3ステップが要求されます。従来型の通訳機器ですとハード的にボタン一つで切替えることができるため、この操作は繁雑を極めると言わざるを得ません。
上から二つ目のプルダウンメニューが「Language」
【スピーカー音声の通訳者フィードの別途準備の必要性】
通常同時通訳ブースは固定ですので、定位置そのものは問題有りません。しかし、ブース通訳の場合は必ず通訳者の耳にスピーカー音声をフィードするシステムが用意されています。当然のことながら、この通訳への耳フィードは別途準備の必要が出てきます。

▶フィード準備の手配・コスト
事前の準備が必要です。ホテルや貸し会議室などでは大抵の場合、デフォルトでマイク利用できるよう機器が設置されており、会場側に相談することで簡単な機器一つでマイク音声をフィードしてもらう体制を作ることは多くの場合難しく有りません。しかしこの場合はもちろん、ホテル、貸し会議室で追加料金がかかるかどうかの確認は必要です。

▶定位置通訳による音声環境不全
基本的にスピーカーの声が聞こえないため、通訳不可能になります。マイクが使えない環境では「スピーカーの声が聞こえない」という事態はよくあること。現場の通訳者の間ではこれを「生耳(なまみみ)」と呼んでいます。

この場合多くは持ち歩き可能な簡易通訳機器(パナガイド等)を利用する前提で、会議中に部屋の中をスピーカーの声の聞こえる場所に移動できることは必須条件なのです。そういう現場に行く際にはエージェントを通じて「会議中動きまわる可能性がある」事を伝え、ディスカッションになればスピーカーが代わることにアッチへコッチへと通訳者は忙しく動きまわる事になります…。が、ABELONのようにPCサーバーを立ち上げるシステムでは移動ができません。

補足ですが…移動するとなるとメモは取れませんし、例えスピーカーがマイクを使用しても部屋が広ければ音は発散してしまい、通訳者への物理的負担はかえって増大する場合さえ有ります。ですのでこの「生耳同通」は避けて通りたい通訳現場の一つとされています。が…、そういう現場にも対処せざるを得ない状況というのは日常的に発生しています。

その他同時通訳環境不備に対する追加準備
従来型の同時通訳ブース環境に配備されているのは、何も同時通訳機器だけでは有りません。マイクスタンド、デスクスライト、メモスペース、会場内と通訳者の環境を分離するブース・簡易パーティションがありますが、これらを別途準備する必要が出てきます。

従来型のマイクは通常指向性のあるものが使われており、通訳者もここに向かって喋ればいいというのがハッキリ分かるタイプのものを好むと思います(少なくとも私はそうです)。そのためにはイヤホン兼マイクのタイプではないものの準備が必要になります。さらに言語切替スイッチ操作やメモ取りのため両手は空けておきたいため、マイクスタンドは必須でしょう。

また、暗い会場であれば資料を見るのに手元のライトは欠かせません。さらに、通訳者の通訳音声はイヤホンを通じてのみ提供されなければオーディエンスに邪魔になりますし、逆に通訳者は会場の一切の音を遮断してスピーカー音声だけを聞きたいため、ブース・簡易パーティションは外せません。

このように課題がいくつかあり、すぐには現場適用…という訳に行かないのが現状です。では、全く活用の可能性がないのか?というとそうでも有りません。次回はそのABELON活用の可能性を見ていきます。

2015年11月10日

WiFi通訳アプリABELON(1)ー 性能と一般的使用感

すでに数年前にここでも書いていましたが、IT技術の進化によりアナログで対応していた通訳機器は必要のなくなる時代がすぐそこまで来ているようです。(ケータイを通訳機器として利用し同時通訳をしたことがあります、笑)つい先日、JACI(日本会議通訳者協会)のウェブサイトで、WiFi Interpretation System ABELONというアプリを知りました。以下のYoutubeでも簡単に特徴を紹介しています。



早速インストールして、一般的な「性能や使用感」をまとめた上、実際の「通訳シーンでの活用の可能性」を考えてみることにします。

まずは「性能と使用感」についてです。
ABELONサイトはこちら

【アプリとインストール】
使用開始は至って簡単で、PC側のサーバーアプリ(送信側)とクライアント側アプリを(タブレット/スマホ等の受信側)それぞれABELONサイト他からダウンロードしてインストールするだけ。特に難しい設定は有りませんでした。

サーバーアプリ:Windows/MacOS対応
クライアント側アプリ:Android/iOS対応

市場に出回っているWiFiに繋がる機器であれば特に問題なく動作する仕様です。(詳しい仕様についてはABELONサイトでご確認下さい)

【運用上の注意点】
▶ WiFi設定について
同一WiFi上にサーバーとクライアントが乗っていないとダメであるということ。ABELONのサイトにも情報がありますが、通常は専用ルータを準備してローカルWiFiネットワークを設定した上での運用を想定しています。
携帯電話に付いているテザリング機能では?と思う方もいるかもしれませんが、親子関係が発生するネットワークでは子端末どうしが通信することはセキュリティ上良しとされていないため、不可と考えるのが妥当でしょう。実際、私も試してみましたがダメでした。

▶ 複数言語対応
複数言語を発信する際は、サーバーを言語の数だけ立ち上げます。サーバーが複数起動していればWiFi上でそれを検知し、クライアント側のアプリインターフェースに自動的に利用可能言語がリストで表示されます。

【最大クライアント数について】
マルチキャストを使っていないかぎり最大でも40−50クライアントがせいぜい?と思っていましたが、ABELONサイト情報によれば、高スペックのルータを調達すれば数百〜まで行けるようです。恐らく帯域とチャネルのコンビネーションでクライアント数を確保していると思われます。ただし、数百まで対応できるスペックのものだと値段が跳ね上がります。40-50クライアント対応のルータは安ければ1万円を十分切る価格ですが、その上となると一気に8 - 10万円に跳ね上がります。

【インターフェースと一般ユーザビリティ】
機能自体も大変単純なもので、特にメニューに迷うことは有りません。

▶ サーバー(送信側)


言語毎のチャネル割当はデフォルトで行なわれており、通訳者は対応言語をリストメニューから選択します。使用方法としては会議スタートした段階で左側「再生ボタン」コフアウトは右側「Muteボタン」クリックで対応するのが妥当のようです。というのも「再生ボタン」の感度が今ひとつ…で、クリックしてもすぐに再生表示にならない(PCスペック依存と思われますが…)感じです。それに比べると「Muteボタン」の反応は比較的スムーズでした(ま、機構上そうなりますよね)ので、通常の通訳ブースでやるようなスイッチON/OFFの切り替えを「Muteボタン」でするイメージになり、特に混乱はないと思います。

▶ クライアント(受信側)
  
一旦言語設定してしまえば特に操作を要求される場面は有りません。言語選択は上述の通りリストから選択するだけ。あとはボリューム調整くらいでしょう。

【音質等の使用感】
ノイズ等はほとんど感じません。非常にクリアです。ただし、サーバー側で通訳音声入力のタイミングからクライアント側で通訳音声が聞こえてくるまでに微妙なタイムラグがあります。一秒以下ですが、パナガイドと比べた時とは感覚的に明らかにワンテンポ遅い印象です(自宅のWiFi環境でテストしています)。ただし、これはサーバーのスペックに随分依存すると思われますので、スペックの高いPCを用意し他のアプリを全てシャットダウンして運用するなどで多少の改善は見られそうです。

そんな感じで、アプリ自体の性能と使用感は「かなりイイ!」という第一印象です。次回は「通訳シーンでの活用の可能性」について検証したことを紹介したいと思います。

2015年11月8日

These countries speak English as a second language best

INDEPENDENTのサイトにおもしろい報告書に関する記事を見つけました。「第二外国語としての英語を上手に話せている国民はこいつらだっ!」…な、感じ(笑)?

These countries speak English as a second language best
by Bethan McKernan in discover

元になった詳しい報告書はコチラ↓
EF ENGLISH PROFICIENCY INDEX
5th Edition (2015) by EF EPI(EF English Pro ciency Index)

まだ一部しか読めていないけど、Asiaの項目をざっと眺めただけでもおもしろいです。例えば、韓国では英語教育への投資が凄まじく、実力も日本の学生に比べると格段に上がってきた…のような論調(COURRiER Japon)がよく聞かれていますが(数年前に中国についても同じような持ち上げ方をしてたこともあった)グローバルに見ればドングリの背比べだということがよく分かります。

年齢層別にも分析がされてて、過去のその国の英語教育政策が奏功したか否かも見えてきそうです。

ただ、各国国民の英語力レベルよりも気になったことが、一貫してINDEPENDENTの記事にも報告書の数カ所にも出てきます。
INDEPENDENT記事
"In the developing world, English is less of a foreign language skill and more a tool synonymous with development, expanding a country's economy and increasing its connectedness to the rest of the world."

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FE EPI 5the Edition

Executive Summary
"The status of English today sets it apart from other foreign languages."

Conclusion
"Although it takes a great deal of effort
to change course, steering a country, region, or company towards a future with an English-speaking workforce cannot be considered misguided. Economically speaking, English is here to stay, at least for the next several decades. We hope that by examining the level of English skills among adults around the world, we can contribute to discussions about these strategic decisions."
…そうなっちゃったよね、という感じ。私が若い頃は何か日本語以外の言語を学ぶことに意義があると感じていました。もちろん、その考えに今も変わりはないのだけれど、損得を考えると英語をやらない訳には行かない…という現実。実際、最近は非英語/日本語の通訳者でも英語を理解できることが求められると聞いたことが有ります。

英語以外の言語を選択する人がこの動きの中で減少するとしたら、残念な事だと感じます。