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2013年5月22日

BBC同時通訳者の苦難「主の祈り」

「主の祈り」と言えば「天にまします我らの父よ…」で始まるアレです。私は中学高校とミッション系の学校だったため、入学当初に聖書の授業の一環として「主の祈り」を全文暗記させられました。三つ子の魂なんとやら…で、聖書は私にとっては嫌いな授業の一つでしたが今でも暗唱することができます。でも、もし前触れもなくいきなり日本語で「主の祈り」を唱えられたら咄嗟に英語に通訳できるかと言われると、間違い無くアウトです。

'He is clearly not a Catholic! Viewers slam BBC's Pope election coverage after on-air translator fails to decipher the Lord's Prayer and the Hail Mary correctly

On-air translator could not even turn the Lord’s Prayer into correct English
Viewer tweeted: ‘BBC translator now in pits of despair and given up entirely’


先日、新しく就任したローマ法王が行ったイタリア語の講話の同時通訳がBBCで流れたときに、BBC通訳が英語に上手く訳すことができず、放送直後に通訳を非難する声が多数寄せられたそうです。問題になったBBCの放送はこちらのYoutubeでご覧下さい。



通訳の合間にとにかく鼻息が激しいのが痛々しい…。定訳があるお祈りが出てきてしまったことは本人もすぐに気がついたはずです。それでも訳さないわけに行かないのでなんとか聞いた内容を訳そうと必死です。最初の2-3センテンスまではそれでも英語を聞いているとかなり上手く訳出できていると思います。ちなみに、この後に続く「聖母マリアへの祈り」も完璧に訳出することのできた同じニュースを流した別の局の通訳者がいたことを理由にさらにバッシングされている事実もあるようです。(ただし、同時通訳だったかどうかは言及されていません。)

放送通訳は同時通訳と言っても、多くの場合完璧な同時通訳とは違います。放映時間の少し前に原稿を一通りもらい、内容把握やリサーチをする時間があります。この場面ではわずか1時間前に新しい法王選出を知らせる白煙が上がり、急遽就任のスピーチとなったようです。この1時間の間に果たして伊英通訳者が充分な準備をすることができたのか?と言うことが焦点になります。

と思っていたら、同じことを考える人が居たようでこんなブログを見つけました。

andrewleightranslator
#8: In defence of the BBC Pope’s Speech Interpreter…
Posted on March 14, 2013


このブロガーは通訳者を擁護しBBCに責任があるのではないか、としています。午後6:30という放映時感を考えれば緊急依頼の伊英通訳者だった可能性も高く、一人の通訳者が準備するには時間不足(1時間)であり、来るべき法王スピーチに向けてBBC(あるいは専属通訳者)が参考資料他を事前にリサーチしておくべきであったことを理由としています。

もうかなり前にBBCの同時通訳者(日英)はとても優秀で狭き門だと通訳情報誌で読んだ覚えがあります。この通訳者はイタリア人だったようですが、やはり私と同じように母国語では言えても、ターゲット言語である英語にその場で訳出する場面を想定していなかったと思われます。英語はキリスト教と関係の深い言語であることを考えれば、やはり「主の祈り」”くらい”英語で言えて当然…なのでしょうか?

THE LORD'S PRAYER IN FULL

Our Father who art in Heaven,
Hallowed be thy name;
Thy kingdom come
Thy will be done
On earth as it is in heaven.
Give us this day our daily bread;
And forgive us our trespasses
As we forgive those who trespass against us;
And lead us not into temptation,
But deliver us from evil.

2013年5月20日

通訳翻訳ジャーナル 2013年 7月号

明日発売の通訳翻訳ジャーナル 2013年7月号にて「SNSを仕事に生かす」で記事を執筆させて頂きました。知合いの翻訳コーディネーターさんも執筆されています。ご興味あれば手にとってご覧下さい。

いつもはブログを書きたいように何の制限もなく好きなように書いているので、今回のように字数制限付きで言いたい内容を過不足なくまとめることにはとても苦労しました。

図も作ってなるべく分かりやすく、自分ならではのエピソードを織り込むことを心がけましたが…文章を書くということはこんなに難しいのか!と再確認。

ブログ記事ももう少し簡素に、要点を明確に書くことを努めようと反省中です。まずはもう少し更新をがんばらなくちゃ…ですね(笑)

2013年5月6日

十人十色(翻訳)勉強会 広島編

東京の翻訳者が中心となって結成する十人十色勉強会が、今月広島に出張してきます。このグループは自分の翻訳スタイルや、普段使っているツールをお互いに披露しあい、翻訳者どうし技術や知識を広げながら切磋琢磨することを目的としています。また、勉強会の様子をUstream中継して、その場に集まることのできない翻訳者へも間口を開いています。(私も一応…メンバーです。幽霊会員みたいで申し訳ないのですが、Ustreamがあるときは見てます。
日時: 5月21日(火)14:00~17:00
場所: アステールプラザ工作演習室
https://www.facebook.com/events/162862647212753/
今回、広島出張でこられるのは以下の名。

井口富美子さん 
日翻訳者
高橋聡さん 
日翻訳者
光明宜孝さん 
日翻訳者
齋藤貴昭さん 
日翻訳者・翻訳コーディネーター

皆さん、最近の翻訳専門誌でお見かけする方々で、有名翻訳者養成学校で講師されてる方、翻訳者向けに著書をお持ちの方、はたまた翻訳者向けUstrem放送を定期的に配信されている方と、翻訳者の間では熱心に情報発信を行ってらっしゃいます。

残念ながら私は出張で出席がかなわないのですが、広島の翻訳者の方はご参加検討されてみてはいかがでしょうか?ご自分の翻訳スタイルや独自のツールを公開したいという方はもちろん、今回は見学参加だけという方も大歓迎と伺っています。また、翻訳はまだ始めていないけれど興味がある…という方も受け入れて下さるそうです。

お申込みは記のFacebookグループからどうぞ!
参加される方の十人十色勉強会レポートも楽しみです。

2013年5月3日

「猪野瀬知事よ、おまえもか…」

猪野瀬東京都知事が物議を醸していましたが、結局IOCからは処分無しということで決着がついた(?)ようです。

IOC、猪瀬知事発言を処分せず=20年五輪招致
時事通信 5月1日(水)21時46分配信

先日の知事の発言(失言)については、以下の通り

猪瀬都知事、イスラム失言を謝罪
AFPBB News 2013年04月30日 15:17
2020年夏季五輪の開催を目指す東京の猪瀬都知事は米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)とのインタビューで通訳を介し、「イスラム教国が共有するのはアラー(神)だけで、互いにけんかしており、階級がある」と述べた。
その後のご本人がFBのGovernor of Tokyo (東京都知事 猪瀬直樹 の部屋)で、そんなつもりはなかったうんぬんかんぬん…と釈明とも反論(?)とも取られる書込みをされており、Twitterのフォロワーから「どうするの?」と問われると「FBに書いた」とメンションされるなど混迷していた様子です。この書込みは削除されて、現在は別のきちんとした「謝罪文」が掲載されています。

猪瀬都知事、一転謝罪 五輪巡る発言「訂正したい」
2013/4/30 12:11

まぁ…「やれやれ。」で終わるのかなと思っていましたが、通訳者にとっては見過ごせない発言が周辺から出てきました。Twitterで私がフォローする方が指摘されているのを偶然目にしましたが、Yahoo!ニュースに寄せられていた個人の記事です。

猪瀬知事失言、ディフェンス強化を。
松瀬学 | ノンフィクション作家
2013年5月1日 9時7分
「猪瀬知事だけでなく、できれば、帯同する通訳にもIOCの行動規範を理解してもらっていた方がいい。」
通訳がIOC行動規範を読んで、知事がそれに沿わない発言をしたら沿うようにでっち上げろ…ってことでしょうか?IOCの行動規範を通訳が読むくらいは別に問題はないと思いますが、それを「ディフェンス強化の対策の一つ」として明示するのは間違っていると思います。

それでも、ただ単に一個人の提言だから目くじら建てても仕方無いか…などと思っていましたが、あらあら今度はご本人の言。

五輪招致で都知事「他都市にも敬意払う」「失言はもう終わった話」
産経新聞 5月3日(金)7時55分配信

会見ではIOCから処分しないなどとする通知があったことを強調。相次ぐ質問に「もう終わった話だ。通訳を介した話でもあり、これ以上お話しする必要はない」などといらだちものぞかせた。
複数言語間のコミュニケーションで理解に齟齬が生じると、まずは」通訳や翻訳のせいにしてしまおうとする一般的な態度は今に始まったことではありません。「通訳翻訳を介することで微妙なニュアンスが伝わらないこともある」とでもおっしゃりたいのでしょうが、公式に謝罪までされている内容について「通訳を介した話でもあり…」ということは、いくら何でも言うべきではなかったはずです。 

「猪野瀬知事よ、おまえもか…」的な残念さが、この言わなくてよかった一言にずっしり満載です…。
 

ちなみに、詳しいことの顛末について知りたい方は、下記のTogetterが参考になると思います。〔報道検証〕五輪誘致:NYタイムズ紙が報じた猪瀬都知事のイスラム誹謗発言は①事実なのか②公式な発言なのか