2013年12月1日

21. 通訳学校では教えてくれないコトー同時通訳:入り口としてIT

私は大学卒業後にシステムエンジニアとしてメーカー系のシステムインテグレーター(いわゆるSIer)へ就職しました。その為、職歴書を見たエージェントさんが比較的IT関連のお仕事を多めに振ってくれたこともあり、フリーランス駆け出しの頃からかなりIT寄りで仕事をしてきました。振返ってみると同時通訳の経験を積むのにIT分野は(私のバックグラウンドを考慮しなくても)入り口としては入りやすい分野だったように感じています。

経験上、IT分野の通訳はちょっと損かな…と思うのは、5年前と現在ではトピックになっている末端技術や、データベースやプログラミングに関する思想がずいぶん様変わりしてる感じのあることでしょうか。刻々と進化する業界ですからそのスピードにキャッチアップしていくには、ずっとその流れを見ている必要があります。

こうした業界の文脈における概念を理解せずに「ITはカタカナだから大丈夫。」と思っているうちは「あの通訳さんはカタカナにしているだけ。」とお客様に厳しく指摘される事態も起こりかねません。(そういう通訳さんと残念ながらご一緒したことが有ります。)

一方でIT用語の多くは、日英の場合にそのまま英語読みにしてロジックを組み立てていけば何とか形にすることができるのも事実で、英日の場合でも日本語の定訳(略語・概念)を知らない場合でもそのままカタカナでの訳出で、業界の方であればほぼ理解できてしまいます。

用語そのものの音を変換する必要が無いことで、概念やロジック構築に時間を多く割くことが可能です。同時通訳に於いては一瞬の出来事ですが、この一瞬が物をいうのが同時通訳ですから。また業界的に見ても案件数はコンスタントに非常に多い印象で、同時通訳の経験を積みたい方の入り口としては比較的入りやすいかな…と思います。

ただ、ちょっと注意は必要なのは、エージェントからIT案件として出てくるものの多くは、実はIT業務案件である場合も少なくなく、ITそのものの知識よりは業務内容(物流、生産管理、業務管理 他)について精通していることを求められることも少なく有りません。その場合に求められるITの知識はそれほど高次の物ではないので、いかにお客様業務の飲み込みが速いか、事前に一般的な業務手順を知っているか、ということが鍵になります。

結局、何にしても全体的な底上げは必要ということには変わりない…ということになりますね。